ある晴れた夏の朝

著者 :
  • 偕成社
4.36
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本棚登録 : 1056
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036432004

作品紹介・あらすじ

アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートする。肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、そのルーツはさまざまだ。はたして、どのような議論がくりひろげられるのか。そして、勝敗の行方は?

感想・レビュー・書評

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  • 『原爆で亡くなった広島と長崎の人々は、はたして、ほんとうに、罪もない人々だったのでしょうか?むしろ、殺されて当然の人々だったのではないでしょうか?』

    - あなたは、1945年8月6日 午前8時15分、広島の空で何が起こったかを知っているでしょうか?

    - あなたは、1945年8月9日 午前11時2分、長崎の空で何が起こったかを知っているでしょうか?

    アメリカ軍による原子爆弾投下。あれから77年も経った今の世にあっても未だにその被害に苦しめられている人たちがいる現実。世界で唯一の被爆国として、未だ千羽鶴が絶えず折られ、毎夏に行われる慰霊の式典には内閣総理大臣も参列し続けるなど、この国において原爆投下という現実は決して過去の歴史の中に埋もれてはいませんし、埋もれさせてはいけないのだと思います。

    そもそも、そんな原爆はなぜこの国に、広島と長崎の地に投下されなければならなかったのでしょうか?先の大戦についてはこの国に今を生きる私たちの中にもさまざまな意見があります。秘匿されてきた過去の文書が公開されることで新たにわかってきた事ごともたくさんあります。しかし、私たち日本人にとって、二発の原爆投下は決して肯定などできないものであり、だからこそ二度とこのような悲劇が起こってはならないという思いを誰もが抱いているはずです。もちろん、さまざまな意見があるとは言え、この国の中に原爆投下を肯定する人など絶対にいないと思います。

    では、そんな原爆投下を否定する立場の私たちが冒頭に取り上げた次の発言を耳にしたとしたらあなたはどう思うでしょうか?

    『原爆で亡くなった広島と長崎の人々は、はたして、ほんとうに、罪もない人々だったのでしょうか?むしろ、殺されて当然の人々だったのではないでしょうか?』

    その時何が起こったかを知る術もなく、ただただ熱い炎に焼かれ、苦しんで死んでいったたくさんの人たち。その人たちのことを『殺されて当然の人々だった』というこの主張。そんな主張を目の前で『鋭い口調でまくし立て』る人がいたとしたらあなたはどうするでしょうか?

    そんな主張はさらに続きます。その主張をする人は戦争の災禍から必死に逃れ田舎へとやむなく疎開していった人たちのことをこんな風に一刀両断にします。

    『将来の戦力を温存するために、子どもたちを安全な田舎に避難させていた…子どもたちも、兵士だったわけです。ならば、戦争でアメリカ軍に殺されても、当然ではありませんか?』

    あなたは、こんな主張を耳にして耐えることができるでしょうか?こんな主張が200人もの収容規模のホールを満席にした人たちの前で堂々となされ、聴衆から非難されることもなく勝手気ままに展開されると聞いて憤りに打ち震えないでいられるでしょうか?

    しかし、そんなことが許される場が今の世には設けられているのです。

    それが、『ディベート』です。

    この作品は、原爆投下を実行したアメリカの人たちがその行為をどのように思っているかを知る物語。『日本に対してなされた原爆投下を肯定するか、否定するか、各自の考え方をもとにして』『合計八人。四対四に分かれた』高校生たちが議論を戦わせる物語。そしてそれは、熾烈を極める議論の先に「ある晴れた夏の朝」に思いを馳せ、

    『あやまちは二度とくりかえしません』

    日本人なら誰でも知っているこの大切な言葉の意味を改めて噛み締める物語です。

    『みなさん、はじめまして。私の名前は、メイ・ササキ・ブライアンといいます』と、自己紹介を始めたのは主人公のメイ。そんなメイは『なぜ、日本の中学校の英語の教師になっ』たのかを語ります。『日本人である母と、アメリカ人である父が結婚』して生まれ『四歳になるころまで』祖父母と一緒に岡山で暮らした後、『ニューヨーク州に引っ越しをし』たため『私は日本で生まれましたが、残念ながら、日本のことはほとんど覚えていません』と語るメイは、『なぜ、いっしょうけんめい日本語を勉強し、日本語を身につけて、将来は日本へ行って仕事をしたいと思うようになったのか』を生徒たちにこんな風に語ります。それは、『今から十年ほど前のこと』、『二〇〇四年の夏。私は十五歳』という五月のことでした。『六月から八月までの三か月』という長い夏休みをどう過ごすか考えていた時、『ハイスクールの先輩たち』が急にメイの家を訪れました。『成績はトップクラス。スポーツ万能』というスノーマンと、『すごく頭のいい人。科学クラブに入っている』というスコットの二人の先輩が訪れた理由が理解できないメイ。そんなメイに『きみにひとつ、頼みたいことがあって訪ねてきた』とスノーマンは語ります。それは八月に『コミュニティセンター主催のカルチャーイベント』として開かれる『公開討論会』のことでした。『ぼくたちはホットな討論をする』、『ディベートに近いものになるかもしれない』というその討論会は『出場メンバーは合計八人。四対四に分かれる』という内容で既に七人までは出場者が決まっていました。そして、『メイ、きみにもぜひ、この討論会に出場してもらえないか』と身を乗り出すスノーマンに『ディベート、あんまり得意じゃないんです。できればほかの人に』と気が引けるメイ。そんなメイに討論会について『戦争と平和を考える』というテーマで『広島と長崎への原子力爆弾投下をとりあげる』と説明するスコットは、『原爆投下は、ほんとうに必要だったのか。そこから討論を深めていって、原爆の是非を問う』と詳細に説明しました。『メイ、きみは当然のことながら、あの原爆投下が正しかったなんて、思ってないだろ?』と訊くスコットに『あ、はい、それはそうですけど、でも…』とまだ躊躇するメイに『うん、それでいい。きみは否定派だ』と役割を指定するスコット。それでも躊躇するメイに『日本への原爆投下を肯定することなど、きみにはできないはずだ。そうだな?イエスだな?』とまっすぐ目を見られて思わず『あ、はい』とうなづいてしまったメイ。『ありがとうメイ、とてもうれしいよ』と手も握られて後に引けなくなってしまったメイ。そんなメイは、同じく日系アメリカ人のケンが『原爆肯定派』に属したことを知ります。『こうなったらもう、あとへは引けない』と覚悟を決めたメイは『「原爆」という言葉に』『心をつかまれてい』きます。そして、『みなさん、ご存じのとおり、きょうは八月七日です。一九四五年のきのう、日本時間の八月六日の朝八時十五分、アメリカは広島に原子爆弾を落としました』という「ある晴れた夏の朝」に起こったことの是非を巡る『公開討論会』が始まりました。

    「ある晴れた夏の朝」というどこか意味ありげな書名が気をひくこの作品。それは今から77年も前の八月のあの日のことをテーマに描かれた作品。そう、それは1945年8月6日 午前8時15分、アメリカ軍のB-29戦闘爆撃機によって広島上空に投下された原子力爆弾投下の是非を取り上げた物語です。私たち日本人はそんな原爆投下により被害を受けた当事国として、少なくとも他の国々の人たちよりは学校教育の場で、映像で、そして数々の書物においてその被害の実態を、その行為の意味するところを知り、それぞれの頭でそれを消化・吸収して大人になってきたと思います。この小手鞠るいさんの作品は、そんな私たちが目にしてきた、耳にしてきた原爆投下の意味を少し違った角度から捉えているのが大きな特徴です。それが、”原爆投下の是非をアメリカの視点から書く”というものです。

    そんな作品の方向性について”原爆を落とした側であるアメリカで原爆がどのように教えられ、どう捉えられているかについて書いている作品はほとんど見当たらない”と、小手鞠さんは語られます。そして、”アメリカは、いろんな宗教を信じている、いろんな人種の人たちが暮らす多民族国家です。このことを日本の読者に伝えるために、人種の異なる高校生たちの公開討論会という形にしました”とその形式についても語る小手鞠さん。このレビューでは、そんな小手鞠さんがこだわられた二つの視点からこの作品を見ていきたいと思います。

    まずは、後者の『高校生たちの公開討論会』という形式です。私たち日本人にとって恐らく一番苦手な部類のもの、それがこういった討論の場ではないかと思います。”密室政治”と言われて久しいように、この国では表立った議論を避け内々に物事を決めていく文化がすっかり根付いています。下手に討論の場で相手を打ち負かすようなことは大人気ないとさえ考える土壌がこの国にはあると思います。一方でこの作品の舞台となるアメリカは、世界の中でも討論の最も盛んな国でもあります。そんな土壌から自然に導き出される『ディベート』という場。『なんらかのテーマに関して、異なる意見を持つ人たちがふたつのチームに分かれて、あるいは一対一で、議論を戦わせる討論の形式』というその場が展開されていくこの作品は、日本語を読んでいるのに、どこか英語を読んでいるようなそんな気分にもなってくるから不思議です。そんな『ディベート』は、原爆に対する意見の相違によって二つのチームに分けられます。冒頭にイラスト付きでチーム分けが掲載されてもいますが、

    ・『原爆肯定派』
    - ノーマン: リーダーでメイを誘った人物
    - ケン: 日系アメリカ人だが原爆を肯定
    - ナオミ: ユダヤ系で強硬に原爆を肯定
    - エミリー: 中国系でその視点から原爆を肯定

    ・『原爆否定派』
    - ジャスミン: リーダーで平和運動家
    - メイ: 主人公、日本生まれで4歳まで岡山暮らし
    - スコット: 天才と呼ばれ、メイを誘った人物
    - ダリウス: 黒人で医師を目指している

    以上のような四人対四人で初回が8月6日、その後一週間に一ラウンドづつ計四ラウンドにわたって議論を戦わせていくというスタイルで物語は描かれていきます。そこには、私たちが原爆に関して話したり、本で読んだりする感覚とは異なるなんとも不思議な世界観の上で物語が展開していきます。それが、

    ・『試合の流れを大きく左右するトップバッター。こんな大役が、わたしにつとまるのかどうか』。

    ・『ケンのスピーチには説得力があった』。

    ・『笑いをとったあとのスコットのスピーチは、いたってシンプルで、引きしまっていた』。

    ・『それが彼の戦略だったのだろうか。短く潔く切り上げて、あざやかな印象を残そうとしたのか』。

    ・『最後はゆっくりと、親しい人にやさしく話しかけるように語った。みんなの心に余韻のさざ波が残るように』。

    ・『スノーマンたち原爆肯定派は、そのような人々の反応をあらかじめ予想した上で、だからこそ、原爆は落とすべきだったし、落とした意義があったのだという主張に結びつけていこうとしていたのだ』。

    といったようにまるでスポーツをしているかのように勝ち負けにこだわり、作戦を練って相手を打ち負かそうという視点で物語が展開していきますす。私たち日本人の一般的な感覚だと、原爆投下というような重量級の話題をテーマにして、そこに勝った、負けたというような”軽いノリ”で会話をすることは間違いなく憚られることだと思います。場面によってはそんな”軽いノリ”を見せた人物は糾弾を受ける懸念さえ考えられます。この作品では、そんな重量級のテーマであっても、勝ち負けにこだわり、あくまで『ディベート』という場を戦っていく高校生たちの一所懸命な姿が描かれていました。これには、非常に新鮮な感覚を抱くとともに、一見このある意味での”軽さ”故に、どうしても敬遠しがちになってしまう、原爆投下の是非という重量級のテーマにも却って興味を持って触れていける、この作品にはそんな魅力があるようにも感じました。

    そんなこの作品のもう一つのこだわりが”原爆を落とした側であるアメリカで原爆がどのように教えられ、どう捉えられているか”という点です。このレビューを読んでくださっている皆さんの原爆投下に対する知識量の差異は大きなものがあるのではないかと思います。そういう私の知識量がいかに少ないものであるかをこの作品を読んで思い知らされました。

    ・『八月六日に広島に落とされた原子爆弾「リトルボーイ」は、ウラニウム型…爆心地の地表の温度は…3000度から4000度に到達…爆心地にいた人、2万1000人のうち、56人をのぞいて、全員が即死した』。

    といった基本的な情報も『ディベート』という形で語られると、単なる知識で読んでいる以上に頭に入ってくるのを感じます。そんな『原爆肯定派』の論調の中心は『戦争を一刻も早く終わらせたくて、これ以上、戦争による犠牲者を増やしてはならないという責任感にかられて』大統領がその投下を決断したというところから始まります。これは一般的によく言われる論調でもあります。それに対して、『原爆否定派』は、『歴史的な事実と食いちがっている』とその主張を切り崩していきます。『日本は、八月九日のソ連参戦によってこそ、降伏する決意をし』たこと、そして『「戦争の犠牲者」とは、アメリカ人だけを示している』ことなどをもって反論を繰り広げていきます。また、『原爆は、実験という目的で、落とされたのです。強いアメリカ、強い大統領を国民に、世界に見せつけるために』といったアメリカ国民自らが主張するからこそ説得力がある主張が登場するなど、議論はどんどん白熱していきます。そんな物語は、『ディベート』が二ラウンド、三ラウンドと盛り上がっていく中で、チームメンバーの人種問題を絡めたそれぞれの立場からの見方、そして反論が繰り広げられていき、日本人なら誰でも知るあの言葉が登場する結末へと展開していきます。上記した通り、『ディベート』という非常に興味深い場で戦わされる原爆投下の是非を被災国ではなく、投下したまさに当事国の人たちの視点からその是非を問うていくこの作品。原爆を投下した国に生まれた人間でも納得のいくと思われる極めて鋭い、説得力のある結末に、普段あまり考えることのない原爆投下の是非という、結果論としてこの国の多くの人々の命を無残にも奪った現実について、新たな知見を与えてくれるこの作品。私たちが今後為していくべきことを思い、その思いは彼の国の人たちとも共有していくことがきっとできるのではないか、そんな風に感じながら、本を閉じました。

    この作品の執筆において、“「小手鞠るい」はあの戦争をどう考えているのか、という主張を一切出さないようにし”たと語る小手鞠さん。そんな小手鞠さんは”大切なのは、8人の子どもたちがそれぞれどう考えているかということ。そこに私自身の意見を反映させることによって、一方的にひとつの物の見方を押し付けてはならない”とも続けられます。戦争はあってはならない、起きてはならないことだと思います。私たちは、2022年に突如として起こったロシアによるウクライナ侵攻を見て、この世界に平和というものが当たり前に感じられる日常はある意味で夢物語であるという現実を突きつけられました。そんな私たちのこの国は、改めて言うまでもなく、世界で唯一の被爆国です。一方で、世界で唯一の原爆投下国という側に立つ人たちが存在すること、そして、その国に暮らす人たちの中には原爆投下という事実についてさまざまな視点からのさまざまな意見があることをこの作品を通じて知ることができました。

    アメリカに暮らす小手鞠るいさんだからこそリアルに展開できる『ディベート』という形式を用いて原爆投下の是非を改めて考える機会を与えてくれたこの作品。とても読みやすい文体が故に重量級のテーマがスッと心に染みてくるのを感じるこの作品。「ある晴れた夏の朝」のことを思い、平和へと続く人々の思いは万国共通のものなのだと改めて感じたこの作品。

    作品に込められた小手鞠さんの深い思いを是非多くの人に知ってもらいたい。そう、全力であなたにおすすめしたいと心から感じる傑作だと思いました。

    • shukawabestさん
      お忙しいなか、ありがとうございます。よろしくお願いします。
      お忙しいなか、ありがとうございます。よろしくお願いします。
      2022/10/11
    • さてさてさん
      shukawabestさん、こちらこそありがとうございます。
      shukawabestさんの本棚を改めて見せていただいて、まだ読んだことのな...
      shukawabestさん、こちらこそありがとうございます。
      shukawabestさんの本棚を改めて見せていただいて、まだ読んだことのない女性作家さん、南杏子さん、メモさせていただきました。起点をありがとうございます。
      今後ともどうぞよろしくお願いします!
      2022/10/12
    • shukawabestさん
      本棚、見ていただきありがとうございます。南杏子さんは僕もまだ2冊しか読んでいませんが、命や医師の患者への向き合い方を考えさせられるとてもいい...
      本棚、見ていただきありがとうございます。南杏子さんは僕もまだ2冊しか読んでいませんが、命や医師の患者への向き合い方を考えさせられるとてもいい作品でした。他の作品もまた読もうと思っています。
      2022/10/12
  • こちらもブクログのレビューを読んで気になっていた作品。
    Amazonでポチっと。

    今の季節に読むのにぴったり(^-^)

    広島、長崎に投下された原子力爆弾の是非について、アメリカ人の8人の男女がディスカッションするお話。

    ディスカッションの話だという理解はあったが、これはとても良い。
    ディスカッションのペースも良いし、内容もいい。そして結末も最高だ(*^▽^*)

    皆さんが良い評価をつけるのにも納得!

    漢字にもかなりふりがなが振ってあり、難しい漢字は平仮名で書かれていた。

    この本は中高生にも読めるように配慮がされているのだろう。
    夏休みの読書感想文にはもってこいの作品なのではないか?

    読書感想文には、この本の感想を直に書くのではなく、自分なりの戦争批判や、平和の尊さを織り込むと上位に食い込むのではないだろうか( ̄▽ ̄)

    私は中高生時代、読書感想文が大の苦手だった。
    戦争の本を読まずに読書感想文を書き、賞を取った。
    読書感想文はあらすじを知らないくらいがちょうど良いのかも(^_-)
    この本は読書感想文が書きやすそうだ♪

    • ストレンジャーさん
      bmakiさん、はじめまして。
      bmakiさんの本棚を参考にさせて頂き、ある晴れた夏の朝を読みました。
      素晴らしい内容で貴重な読書となりまし...
      bmakiさん、はじめまして。
      bmakiさんの本棚を参考にさせて頂き、ある晴れた夏の朝を読みました。
      素晴らしい内容で貴重な読書となりました。自分の感覚でチョイスすると、多分出会えなかった本だと思います。素晴らしい本との縁をありがとうございました!
      2023/10/11
    • bmakiさん
      ストレンジャーさん

      コメントありがとうございます。
      うわぁ。とても嬉しいお言葉、ありがとうございます(*^^*)
      私もこの本は、自...
      ストレンジャーさん

      コメントありがとうございます。
      うわぁ。とても嬉しいお言葉、ありがとうございます(*^^*)
      私もこの本は、自分が本屋さんに行って購入するとしたら、絶対選ばない本だと思います。
      でも、ブクログで見つけ、みなさんの評価を読んで購入しました。
      ブクログって素敵な本と出逢わせてくれますよね(*^▽^*)
      2023/10/11
  • 舞台袖(えっ、1千字?2千字じゃなかったの?そりゃあ、長いと人は読まないし…仕方ないなぁ)

    えー、こほん。8人の素晴らしいスピーチのあとに、こんなオジサンが感想を言うのを許して頂きたい。アメリカって国は凄いとつくづく思いました。「日本への原爆投下は本当に必要だったのか、否か?」こんな硬いテーマで、しかも高校生の公開討論会に、しかも4回に分けての討論に、市民の皆さん200人もが駆けつけてくださるなんて!日本ではこんな討論会自体企画できません。

    そして皆さん聞いたと思いますが、なんて深い討論だったのでしょう!原爆否定派も肯定派も、今ではアメリカの教科書に書かれている「原爆投下によって、百万人のアメリカ人の命が救われた」という説には、懐疑的になっていると思います。正にこれこそがディベートの良い点です。話し合いで真実に近づくのです。日本人の私にも発見がありました。アメリカ教育の実態を知ったことは有益でした。

    勝負事のせいか、ミスリードもありましたね。「日本人は自分たちの犯した過ちによって、原爆投下があったんだと認識している」という主張です。これは日系アメリカ人のメイさんが見事に反駁してくれました。私も色々付け足したい事があるのですが、時間の関係で遠慮しておきましょう。

    事実をもとに挑まれる討論に関しては、あ、言い忘れましたがもちろん私は否定派ですけど、私でも事実でもって反論することができたと思います。それは私にはン十年間の蓄積があるからです。高校生の皆さんは、特にメイさんはこの3ヶ月でここ迄達しました。若いって素晴らしい。色々なノイズが邪魔しないうちに、真っ直ぐここ迄届いたことに彼女達の未来を感じます。

    厄介なのは感情論でしたね。「悪は罰しなくてはいけない」「南京大虐殺を見よ。被害者面をするな!」「原爆投下は必要悪だった」少しは事実誤認もあるかもしれませんが、問題はそこじゃありません。論点を集約すれば「非戦闘員を戦争で殺してもいいのか?」「戦争は必要悪なのか?」この2点だと勝手に私は単純化します。

    前者は、私はNOだと思います。これは、この1世紀で人類がやっと国際的合意まで持っていきつつあります。ウクライナ戦争でも、実態はどうであれ建前としては両国共に否定できません。

    後者は未だ国際的合意はできていません。私の国日本でも、真っ二つとまではいかないまでも、曖昧に分かれています。でも皆さん、時間が来たので結論だけ言いますが、この討論を聞いて答は自ずと明らかになるのではないでしょうか?

    (スピーチ部分、きっちり998字)

  • アメリカの高校生8人が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非に対してディベートする‥‥
    え?ディベートする必要ある?“非“に決まっているじゃないか!と、まず思ってしまいました。
    でも、そう思うこと自体、自分だけが正しい、聞く耳持たずの姿勢ですね。8人の高校生のディベートのやり取りを読みながら反省しました。
    人というのは、どうしても自分と違う考えの人を遠ざけ、自分を傷付けた相手を憎んでしまう。
    それではいつまでも平行線のままなのだ、ということに気付かせてくれる一冊。
    戦う相手は、われわれ人類共通の敵、すなわち、無知や憎悪や偏見なのだということを教えてくれる一冊。
    みんなに読んでもらいたい一冊だけど、やっぱり中高生にお薦めしたい。
    自分の意見を持ちつつ、相手のバックグラウンドにも理解を示す‥‥10代のうちに、出会ってもらいたい一冊です。

    さてさてさんのレビューを読んで手に取りました。
    素晴らしい本に巡り合わせていただきありがとうございます!

    • shukawabestさん
      shukawabestです。
      さてさてさん、こっとんさんのレビューで気になり、昨晩、僕もやっと読むことができました。いい本ですし、ずっと心に...
      shukawabestです。
      さてさてさん、こっとんさんのレビューで気になり、昨晩、僕もやっと読むことができました。いい本ですし、ずっと心に留めておいたほうがいいテーマや両者のディベートの流れだと思います。
      いい本、ありがとうございました。
      2022/10/11
    • こっとんさん
      shukawabestさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます♪
      この本、本当に素晴らしい作品ですよね。
      さてさてさんのレビューを読...
      shukawabestさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます♪
      この本、本当に素晴らしい作品ですよね。
      さてさてさんのレビューを読まなければ、まず出会わない本でした。
      そう思うと、このブクログの存在の有り難さが身に沁みます!
      そして、同じ趣味を持つ皆さんとの出会いに感謝の毎日です!
      これからもずっと皆さんと繋がっていられたらいいなぁと思っています。
      どうぞよろしくお願いしますね♪
      2022/10/11
    • shukawabestさん
      ありがとうございます。本当に一つの気になるレビューで繋がってきますね。また、こっとんさんの本棚で気になるレビュー見つけたら読みますので、こち...
      ありがとうございます。本当に一つの気になるレビューで繋がってきますね。また、こっとんさんの本棚で気になるレビュー見つけたら読みますので、こちらこそよろしくお願いします。
      2022/10/11
  • 広島、長崎に落とされた原爆の是非を巡ってアメリカの高校生たちがディベート形式で議論する話なんですが惹き込まれてしまいました。
    肯定派と否定派に分かれて繰り広げられる議論。多方面にわたる資料を分析して導き出してゆく手法はスマートだし、感情に訴える演出力も表現方法として胸を撃つ。
    朝はご飯派かパン派かってどっちでも良さそうな話じゃなくって次の世代を担う高校生たちが、かなり重要なテーマについて自分たちの主張をぶつけ合うなんて素晴らしく思いました。断片的にしか知らなかった戦争の事実も改めて向き合うことできたし交わされる意見にはどちらにも頷きたくなる。浮き彫りにされる思惑にはゲーム感覚もあるんだけど。主張するだけでなく相手の意見も聞く姿勢等、理知的なところも文化の違いにエキサイトしました。
    平和を創造することのできる個人がいたこと。こうゆうエピソードはジーンときました。
    主語のない日本語の誤訳からの挽回は見事だったし、言語、文化の違いから発想も違う。相互理解するには知識も時間も必要だけど、互いに許して愛しあう簡単なようで難しくしてるのは、内なる敵の無知、憎悪、偏見なんだと。
    またまた良い本を手に取ることができて爽快でした。
    最後のページに核関連の年表が掲載されてましたがその歴史は1895年11月エックス線の発見から今日に至るまで続いてるんですよね。

    • Manideさん
      しじみさん、こんばんは〜

      この作品は、なかなか読みごたえありますよね。わたしもとても引き込まれました。

      戦争と向き合う若者たちが、とても...
      しじみさん、こんばんは〜

      この作品は、なかなか読みごたえありますよね。わたしもとても引き込まれました。

      戦争と向き合う若者たちが、とてもリアルで、その熱意がとても心に響きました。忘れてはいけないことですが、どうにもできないレベルの話でもありますよね。

      今も、あちらこちらで戦争が起きていて、ほんと、悲しいことですよね…
      2023/11/02
    • つくねさん
      Manideさん、こんばんは

      これ凄くわかりやすいし中高年にもお勧めな作品でしたね。
      高校生たちの意識高めで頼もしく思いました。
      ...
      Manideさん、こんばんは

      これ凄くわかりやすいし中高年にもお勧めな作品でしたね。
      高校生たちの意識高めで頼もしく思いました。
      あっちこっちで紛争起こってますよね。
      どうにかならないものかって思いますねぇ
      2023/11/02
    • Manideさん
      ほんとですね〜
      なんか、とても悲しいですよね
      ほんとですね〜
      なんか、とても悲しいですよね
      2023/11/02
  • ◇◆━━━━━━━━━━━━
    1.感想 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    これは、いい作品だったな…

    志とか、人生の意味とか、色々考える中で、ほんと、自分がちっぽけに感じるし、もっと、何かのために生きていかなければならないと強く感じることに繋がる作品でした。

    広島、長崎に落とされた原爆がテーマになっていますが、この本にでてくるような想いを抱えて生きている人がいると思うと、ほんと、自身の歩みを正さなければと痛感させられます。

    「無知は敵である。」なんて、言葉は、とても心に響きました。

    「一般論ではなかなか人を説得することはできない。けれども、個人的な語りは、個人的な思いは、個人の胸に届くのではないか。」という言葉も、自身の発言を俯瞰して、修正していく必要があると感じました。

    また、8月がやってくる前に、この本に出会えたことは、よかったです。
    197ページで、文字フォントも大きいので、たぶん、1日で読み終わる感じです。ぜひ、みなさんに読んでほしいと思う作品でした。


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    2.あらすじ 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    この作品は2018年の8月に発行されている。

    物語は2004年の8月がメインとなっていて、2014年から過去のお話を思い出している内容となっている。

    1945年8月6日の朝8時15分広島に原爆が落とされた。
    上空9467メートル地点から投下、高度533.4メートルまで落下したとき、核分裂を起こし、直径280メートルの火の玉と化した。その時の中心温度は、約100万度で、太陽の表面温度よりも高かった。

    そんな原爆投下の是非を巡って、若者たちが議論する中で、みなが想いを一つにしていく。


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    3.主な登場人物 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    人物は見出しにイラスト付きで掲載されている、
    主人公は日系アメリカ人のメイ。

  • 日本未公開の映画『オッペンハイマー』が話題になっている。
    1942年のマンハッタン計画を軸に、原爆開発者の物理学者オッペンハイマーの軌跡と悲劇を描いた伝記映画。米公開は今月21日予定、観客の反応から日本での公開日を判断していく、と言ったところか。
    オッペンハイマーは後年原爆の開発を激しく悔いていたが、アメリカ国内では未だに「必要悪」「使用しなければ日本は降伏していなかった」という意見が散見される。『オッペンハイマー』の試写上映後には「感動した」という声もあった。
    一体何に感動したのか、その感想を述べた人は投下についてどうお考えなのか…。

    映画に思惑を巡らせると疑問が増えてくばかりだが、ここに一つ、アメリカ側の原爆観を考える上でのヒントが隠されている。
    アメリカの高校生8人が、日本への原爆投下について肯定派と否定派に分かれてディベートするという、昨年ブクログでも話題に上った本書。
    「賛成」「反対」(稚拙で軽はずみに聞こえる方)ではなく「肯定」「否定」の言い方を遵守するところに、両チームともテーマを慎重に捉えていることが伝わってくる。ディベート大会が開催されたのは2004年。アメリカがイラク侵攻して間もない頃なので、参加者もテーマに対して非常にセンシティブだ。(ちなみに物語はフィクションだが、非常に良く構成されている)

    「核兵器は悪に対抗するための平和の武器」

    「原爆を肯定?」
    多くの(日本人)読者が抱いたように、自分も肯定派の彼らがどのように正当化していくのか気になった。
    意見が違って当たり前。人の数だけ意見がある。育った世界だって違うわけだし。だから肯定派の意見を無闇に忌み嫌ってはいけない。読書中は自分にそう言い聞かせながらページをめくっていた。
    だからか、最後まで否定派であったけれど肯定派を否定しきれなかった。彼らも彼らなりに原爆投下をリサーチし、時には自分が思いもしなかった角度から問題に切り込んでいたから。

    例えば「罪もない人々」の定義。
    被爆者のような一般市民を「罪もない人々」と表現する否定派に対して肯定派は、「南京大虐殺」や「国家総動員法」の例を持ち出す。一見「罪もない人々」に思える一般市民も投下への引き金に関与していたのではないか、と。
    「『国家総動員法』によって全国民がアメリカと一戦交える心づもりでいた=罪がないというのはおかしい」という解釈は少なからずショックだったが、同時に覚えておかなくてはいけないと思った。

    ディベートのメンバーも、主人公メイのような日系にユダヤ系・黒人etc…と様々。
    そのため自然と、特に否定派が戦争の根源と強調する人種差別にも話が及ぶ。
    彼らが会場のホールではなく、広島や長崎、各平和資料館を訪れていたらどうなっていただろう。それぞれに有利な資料を持ち合わさず、目の前に差し出された事実のみを意見もルーツも違う8人が同時に目にしたら。

    肯定派もこの世界に残り続ける。
    我々は否定し続けながら、このことも念頭に置かなきゃいけないようだ。

  • フォローしている方々のレビューもあって、前々から読みたかった本だったのですが、今日が、広島に原爆が落とされた日ということもあり、先程、一気読みさせていただきました。

    夏休みに、アメリカの高校生8人が、「原爆肯定派」と「原爆否定派」に分かれて、公開討論会をするという物語なのですが・・って、「原爆肯定派」の人なんているのかと思われた方や、聞いただけで嫌な気持ちになられた方も、いらっしゃるかもしれません。確かに、私も登場人物紹介の、「原爆肯定派」という文字を見たとき、一瞬呆然としました。
    「嘘でしょ?」って。

    しかし、それでも読んでみたら、これが思いの外、感情的にならなかったというか、目頭を熱くさせながらも、冷静に様々な意見を読むことが出来た自分がいて、これは何故なのか考えると、私も原爆投下に関連する事柄を、それぞれの国の立場や、それらの細部の内容まで知らなかったということが、まずはあったし、同じアメリカ人でも、高校生達の中には、中国系やユダヤ系、黒人の他に、日系人でも、両親ともアメリカ人であったり、父はアイルランド人で母が日本人といった、様々なルーツの人達が一堂に会して、それぞれのルーツに根ざした意見を述べている事に、私は、肯定派、否定派問わず、とても真摯な気持ちを感じさせられたし、それが結果として、日本人を非難するような形になったとしても、そこに至った理由が、その人にしか分からない、真剣な切実さを帯びていることを感じられたので、決して、怒りに身を任せるとか、辛くて読んでいられないといった気持ちに駆られなかったのだと思うし、それは、どちらの立場も反戦思想に共鳴し、戦争反対の意思を持っていることからも感じ取れる。

    また、討論会の内容が原爆や戦争に留まらず、そこから、更に大事なものに展開していくことについては、戦争がもたらす悲しみと、その要因となるであろう悲しみに、共通した繋がりがあるからであり、その負の循環こそ、実は世界を覆い尽くしている、絶望的に悲しい闇の一部であることが痛感されるからだと思うと共に、それを晴らす為の行動も明確になることで、では今後、どうしていけば良いのかということも、本書は提示してくれる。

    そして、それについて、私は特に意外性を感じなかったものの、それは頭で分かっているのと、実際にそれを行動に移せるのとでは、全く次元が異なるであろうし、それはある意味、善悪の共存した人間に神のような慈悲深さを要求しているような、究極的な愛や献身さもあるのだと思う。しかし、実際にそれをした人間も、世界には存在するのである。

    また、仮にそこまでの領域に達することが出来ないとしても、小さな一歩から始めることが可能な道もあり、そこで教えてくれたのは、世の中には、いろんな国や言葉や歴史や文化があって、その中にも、いろんな人達がいるということ。
    そして、その人達のことを、もっともっと知ろうとすること。これだけである。
    これだけなのだが、これが中々難しい。

    しかし、逆に私にとって、思いもかけない事実を知ることが出来たとしたら、この気持ちはもっと前向きになるのかもしれない。

    そんなことを実感したことの一つに、『日系人部隊第442連隊』という、アメリカに忠誠を誓ってナチス・ドイツと戦い、テキサス出身の兵士達を救うために、命を落とした日系人兵士たちの存在があり、本書を読むまで、このような事があったということすら知らなかった私にとっては、日本人として、とても誇り高い気持ちになりながらも、結果として、かけがえのない命が失われた、その事実には言葉も無い。しかも彼らは、アメリカ市民でありながら、住んでいた土地と家、祖先や親の築いてきた財産、仕事まで取り上げられ、強制収容所に送り込まれていた人たちなのである。

    ここで私が言いたいことは、どこの国にも、尊い命を持った、ひとりひとりの人間が存在しているという、その事実の重さは、国や文化や人によって変わらないということであり、そこに無遠慮に入り込む権利など、誰ひとりとして持っていないはずだと、私は思いたくて、それは、かつての原爆で亡くなられた方もそうですし、それが日本人に限ったことでは無いことも本書は教えてくれて、おそらく、そうした気持ちを大切にしていかないと、結局、またどこかで同じような悲劇が生まれると思うんですよね。

    しかし、そんな世界に於ける、日本人の未来を見据えた希望の一つとして感じられたのが、日本語という言葉の奥深さであり、そこには、

    『日本人は個人よりも周りの調和を重んじる』

    ことの素晴らしさを、その日本語特有の文法的構成から教えてくれていて、もしかしたら、それは今の私たちが忘れかけている、とても大切な日本文化の一つなのではないかと思うと共に、それが世界に平和の橋を架けていく、とっかかりの一つでもあるように思われて、改めて平和というものは、どのようにして成り立っていくものなのかを考える、良い機会を頂いたようで、私自身、もっともっと知らなければならないことがいっぱいあるなと思わせてくれましたし、本書は児童書ということもあって、是非若い方も読むことによって、今私たちは、こうした世界で生きているんだということを、もっともっと感じて欲しい。

    • たださん
      Manideさん、こんばんは。
      コメントをありがとうございます(^_^)

      つい周りに流されてしまうことも多い中、時に、客観的に立ち帰り、冷...
      Manideさん、こんばんは。
      コメントをありがとうございます(^_^)

      つい周りに流されてしまうことも多い中、時に、客観的に立ち帰り、冷静に考えることを教えてくれる本の素晴らしさだと、私は本書を読んで感じました。

      とは書きましても、中々、完璧になれないのも人間だと、私自身含めて思いますので、Manideさんが書かれたように、まずは、ちょっとずつ積み重ねていくことが大切なことに同感の思いで、そうした方がリレー形式で少しずつ増えていけば、自然と調和も生まれそうな気が致します。
      2023/09/15
    • Manideさん
      たださん、返信ありがとうございます。

      私、去年の冬に広島に行って、原爆ドームを初めて見てきたんですよね。ほんと、悲しいですよね。

      また、...
      たださん、返信ありがとうございます。

      私、去年の冬に広島に行って、原爆ドームを初めて見てきたんですよね。ほんと、悲しいですよね。

      また、同じようなことが繰り広げられていますが、ほんと、悲しいことだと思っています。

      みなが、幸せに暮らせることを祈るばかりです。
      2023/09/15
    • たださん
      Manideさん、更なるお返事をありがとうございます。

      原爆ドーム、実際に御覧になられたのですね。
      見て、どのように感じるかは人それぞれだ...
      Manideさん、更なるお返事をありがとうございます。

      原爆ドーム、実際に御覧になられたのですね。
      見て、どのように感じるかは人それぞれだと思いますが、きっと良い未来に向かうためにあるものと、私は信じたいです。
      2023/09/16
  • 「広島、長崎の原爆投下は戦争終結のために必要だった」

    小学生のころ、テストの答案用紙にこう書いてしまったのを35年たった今でも思い出し、後悔している。
    他人と違う意見に惹かれるお年頃。
    そのようなことを大人の人が書いた文章を目にし、深く考えず、なるほどな、と、鵜呑みにしてしまったのだ。
    間違った認識による思い込み。
    安易だった、と、自分の浅はかさに嫌気がさす。

    この小説の登場人物にそんな浅薄な高校生は登場しない。
    皆、真摯である。
    アメリカの高校生たちの原爆投下についてのディベートバトルの小説。
    父がアメリカ人、母が日本人、のメイが語り手となり、原爆否定派の立場からディベートする。
    原爆否定派も、原爆肯定派も、できうる限りリサーチし、自分たちの主張に肉付けをしていく。
    私は、日本人で“落とされた側”なので、否定派一択でいきたいところだったのだけど、肯定派の主張に、少し揺れてしまう。
    しかし心の奥底では「でも、でも…!」と、叫びのような感情が渦巻く。

    【あやまちは二度とくりかえしませんから】

    原爆慰霊碑に記された、決意のような、宣言のような言葉を、私たち人類は守っていかなくてはならない。

    小手鞠さんの小説は、『ラストははじめから決まっていた』に次いで二冊目。
    二冊とも、子供たちに、これから人生をたたかっていくための武器を手渡しているような、そんな印象を受けた。
    『ラスト〜』と今作は、“自分の思いを言葉に出来るようになること”“考えを人に伝えるにはどうすればいいのか”が、魅力的な小説の奥にあるような気がする。

    英訳版含め、この小説が広く読まれることを願っています。

    レビューを書いてくださった、さてさてさん。
    心に残るすてきな小説のご紹介、ありがとうございました!

    • 5552さん
      さてさてさん、こんにちは!

      このような素晴らしい作品をレビューしてくださり、ありがとうございます!改めて感謝いたします。
      本当に、自...
      さてさてさん、こんにちは!

      このような素晴らしい作品をレビューしてくださり、ありがとうございます!改めて感謝いたします。
      本当に、自分の無知無理解が恥ずかしいです。
      戦争のこと、原爆のこと、学んだはずなのに、ぜんぜん理解が足らない。
      「私には関係ない、もう終わった、昔のこと」として処理してしまったのかもしれません。
      この作品を、全世界の子供たちの課題小説として欲しいくらいです。
      他者と他者の意見を尊重することも学べるような気がします。
      もちろん、大人にも。
      2023/05/25
    • さてさてさん
      5552さん、こちらこそありがとうございます。
      この作品、原爆を落とした側であるアメリカに暮らす子供たちのディベートであるというところが読...
      5552さん、こちらこそありがとうございます。
      この作品、原爆を落とした側であるアメリカに暮らす子供たちのディベートであるというところが読み手に強い説得力を与えるのだと思います。小手鞠さんはとても美しい文章を綴られる方であり、その魅力もあります。
      改めて素晴らしい作品だと思いました。
      ありがとうございました。
      2023/05/25
    • 5552さん
      さてさてさん

      設定の素晴らしさもありますよね。
      日本を舞台にしたら、こうはなりませんよね。
      文章も読みやすく、すらすらと読めました...
      さてさてさん

      設定の素晴らしさもありますよね。
      日本を舞台にしたら、こうはなりませんよね。
      文章も読みやすく、すらすらと読めました。
      核の脅威が無くなる未来をこの世界の一員として願っています。
      2023/05/26
  • 8月の間に太平洋戦争を題材にした作品を一冊は読んでおきたいなぁと思ったので以前から気になっていたこの作品を手にしました

    どなたかのブックリストで見たんだけど誰だったかな〜
    思い出せない
    ま、いいか(いいんかい!)

    さて原爆投下の是非についてアメリカの学生がディベートするという内容の本作
    気になったのは原爆投下についてのアメリカ人の視点について日本人が書くということについての意味です
    「なんでそんなことすんの?」
    と思いました
    思ってハッとしました
    これだいぶ否定的な感情が込められてますよね、我ながら

    原爆投下の是非?そんなもん非に決まってるやないか!もう絶対的「悪」です
    二度と(正確には三度と)繰り返してはならない悪行ですよ!
    そしてこの絶対的「悪」を行った(当時の)アメリカ人は絶対的な「悪人」であり、悪人どもの言い訳なんか聞く必要ない!
    ということを思っているということですよね

    うーんこれじゃ世界平和なんて無理だぞ
    この本を読んでそう思い反省しました
    そして冒頭に思った「意味」についてですが

    広島の慰霊碑に刻まれた
    「安らかに眠って下さい  過ちは  繰返しませぬから」
    の解釈に繋がっているのだと思いました

    関係ないんですきっと
    日本人であるとかアメリカ人であるとか

    I STILL LOVE THEM

    (決まった)

  • レビューを読んで、8月になったら読もうと決めていた作品
    大変勉強になった、ハナマルです!
    連休最後の日に、素晴らしい作品に出会えて満足

    8人のアメリカの高校生が、公開討論会に出場するお話
    テーマは『戦争と平和を考える』
    広島と長崎に落とされた原爆の是非について、原爆肯定派4人と原爆否定派4人に分かれて、徹底的に議論を戦わせるディベート形式
    一人一人が演壇に立って意見を述べ、
    最後に会場の人の投票により、勝敗が決まる

    なんといっても日本人作者が、敵国だったアメリカの高校生の視点で描いているのが興味深い所である
    メンバーは日系、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系の出自なので様々な意見が出て来る

    討論会では、広島・長崎原爆投下は勿論、真珠湾攻撃、日中戦争、人種差別、アメリカマイノリティ、ナチズム等多岐に渡り話を展開しながら、戦争と平和の本質に迫っていく

    さて、気になる勝敗の行方はいかに。。。

    何に対しても言える事だが「知る」「学ぶ」は、とても大切な事だと改めて思った

    2019年中学生課題図書のようだが、年齢問わずもっと沢山の方に読んでもらえたらと思う一冊だった

    是非!

  • ブク友さんが上半期Best3に掲げ「ディベートという形式を用いて原爆投下の是非を考える傑作」と書かれていたので読んでみたいと思いました。
    ありがとうございます!

    アメリカの高校生8人による公開討論会。わたし自身もその会場で聞いているような臨場感、それぞれの主張に思わず引き込まれました。異なる視点、立場の違いを知ること、耳を傾けること、考えは違っても相手への敬意は忘れない…ディベートというのは理解をより深めるんですね。

    ディベートの締めくくり「平和な地球を創造していきたい」という言葉が今まさに胸に刺さります。

    • さてさてさん
      koalajさん、こんにちは!
      いつもありがとうございます。
      この作品良いですよね。実のところ、一年前の上半期と比べて今年はピンと来る読...
      koalajさん、こんにちは!
      いつもありがとうございます。
      この作品良いですよね。実のところ、一年前の上半期と比べて今年はピンと来る読書が少ないと自分では感じていました。そんな時にど真ん中に突き刺さったのがこの作品でした。この国に生まれ当然のことのように知っていると思っていた原爆。そんな原爆投下の裏側にこんなさまざまなことごらがあり、投下した側の視点からはこんな風に見えるという衝撃は、未だこびりついたままです。学校の課題図書になったことから、その視点で子どもたちに是非…という見方を他サイト含めたレビューでは広く見かけるのですが、そんな大人なみなさんは、ここに書いてあることご存知だったのかなあ…と思ってしまいます。少なくとも私には知らないことがとても多く、大きな衝撃を受けました。お子さん方にも読んでいただきたいですが、大人な方にも是非読んでいただきたい作品だと思いました。やはり、私の2022上半期ベスト3は揺らがないなと改めて思いました。
      すみません、コメント欄に長々となってしまいました。koalajさん、書かれていらっしゃる通りディベートの相手への敬意という点、とても大切だと思います。また、だからこそ締め括りは、刺さるものがあるのだと思いました。
      やはり、素晴らしい作品だと改めて思いました。ありがとうございました!
      2022/07/07
    • koalajさん
      さてさてさん、こんにちは!
      この本を教えて頂いてありがとうございました。地元の図書館で何年か前に中学生の夏休みお薦め図書になっていたようで沢...
      さてさてさん、こんにちは!
      この本を教えて頂いてありがとうございました。地元の図書館で何年か前に中学生の夏休みお薦め図書になっていたようで沢山所蔵していました。原爆については恥ずかしながら私も知らないことばかりでした。著者の小手鞠さんは岡山県生まれ、広島に近いから原爆投下に関心も高く、またアメリカ在住でアメリカ側からの視点も肌で直接感じて、この本を書かれたのでしょうね。折々に読み返して心に留めておきたい内容でした。
      さてさてさんの読書量、レビューの深さにはいつも感心しています。これからも楽しみにしています!
      2022/07/07
  • 小手鞠るいさん『ある晴れた夏の朝』 | 小説丸(2020/01/23)
    https://shosetsu-maru.com/interviews/authors/1713

    アメリカの高校生による、原子爆弾の是非のディベートを描く『ある晴れた夏の朝』 | Kaisei web | 偕成社のウェブマガジン
    https://kaiseiweb.kaiseisha.co.jp/a/ath/ath1807/

    タムラフキコ |【東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)】Tokyo Illustrators Society
    https://www.tis-home.com/fukiko-tamura/

    ある晴れた夏の朝 | 偕成社 | 児童書出版社
    https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784036432004

  • 「I STILL LOVE THEM」(単行本192ページ)

    家族をイスラエル軍の砲弾で殺されたパレスチナ人医師が言った言葉だそうです。

    「それでも私は(彼らを)愛する」

    本気で平和を貫くというのは、どれほど深い覚悟を必要とするのだろうか。

    もう一つ。

    原爆慰霊碑の中の、
    「過ちは繰返しませぬから」

    この言葉の主語は人類全体を指していて・・・。

    という話は小学校時代に教えられていて、今は教えられていたことさえ忘れて、

    「(私たち人類は)過ちは繰返しませぬから」

    と胸のなかで自然に主語を補完していたような気がする。

    だから、「主語が変われば解釈も変わってしまう」というのは、この歳になって気づいた大きな驚きであった。

    本書は、アメリカの8人の高校生が4対4に分かれて原爆投下の是非を問う、ディベート形式の小説。

    本書のディベートのような道筋を、紛争の最中にいる人たちがたどり、誰も傷つけられることなく、対立が解消できたなら、どんなにかいいだろう。

    本書をレビューしていただいた2人のフォロワーさん、素晴らしい作品を紹介いただき、ありがとうございました。

  • 他の方のレビューを見て、アメリカによる広島、長崎への原爆投下の是非を学生が肯定派、否定派に別れディベートする。ただそのやりとりのみを書かれた話。
    読み出しから、ずっと引き込まれて
    ずっと考えさせられた。
    多くの人が一度は読むべき本だと思った。
    子供たちに読んでもらいたい本だ。
    もちろん自分の子供にも勧める!
    図書館で探したら課題図書のコーナーにあった。とりあえず、買って手元に置いておき、定期的に読みたいと思った。

    • bmakiさん
      ストレンジャーさん

      引き込まれる本ですよね。
      この本が、ディスカッション形式で進行していくというのは知っていたのですが、ここまで引き...
      ストレンジャーさん

      引き込まれる本ですよね。
      この本が、ディスカッション形式で進行していくというのは知っていたのですが、ここまで引き込まれるというのは、ある意味良い誤算でした(*^▽^*)

      お子様がいらっしゃるのですね!この本はお子様にもきっと良い本となるのではないかと思います∩^ω^∩

      うちの子にも勧めたいのですが、うちの子たちは大の本嫌い。
      小さい頃から、私が絵本読んであげるよーって言うと、走って逃げていく子たちでした(^◇^;)
      本って本当に素晴らしいのになぁ。。。
      2023/10/11
  • アメリカが投下した原爆で亡くなった人の命は、殺されて当然だったのか?それとも、罪のない人たちの命だったのか?
    アメリカの8人の学生が、肯定派、否定派に分かれて、ディベートを行う。
    日系、中国系、ユダヤ系、アイルランド系など出自の異なる学生が「アメリカ」と言う国が下した決断を討論すると言うのは、とても新鮮だった。
    本来は終戦の日に合わせて、読みたいと思っていた作品だったが、個人的な理由で今年は終戦の日をきちんと考えることが出来なかった。
    少し遅れて読んだけど、この作品自体が児童文学になるのか?大人向けだけど、中学生ぐらいでも読めるようにしてあるのか?行間も広く、190ページぐらいなので、あっという間に読み終えてしまった。
    日本人の作者さんが書いたものだけれど、視点をアメリカ人に変えることで、被ばくと言う現実を違う目線で読めたのは良かったかも。
    ラストはアメリカにはない、日本人ならではの曖昧な表現に助けられる否定派だが、肯定派の学生の意見もしっかりしていて、嫌な感じは一切しなかった。
    変に涙を誘う展開ではないのも、若い人たちに戦争と言う現実を伝えるのにちょうどいい気がする。

  • 読み終えて感慨に耽っています。というのも、私がここに書かれてある歴史的事実を知るまでには、随分長い時間と少なからざる労力を要してきたからです。というのも、こういった事実が記された書籍に私のような一般読者が手軽に触れられるようになったのは、ここ20年前くらいからだと思うのです。さらに、驚くべきことに40年前くらいまでは、「日本人は好戦的で、日本は侵略国家だった」と教える社会科の先生が普通にいました。歴史を客観化して見ない、のちにいう自虐史観が植え付けられていたのです。

    また、ここに書かれたディベートから教わった大切なことがあります。それは、知識は学ぶことがゴールではなく、活かすことが大切ということです。自分一人が納得するだけじゃなく、共感の輪を広げていくことの大切さですね。日本の社会はとかく、熱意・誠意・根性という言い方で非論理的なものに価値をおき、論理を理屈と言って嫌います。教育現場では、知識を活かすことの大切さを学ばせ、本書に登場するような人たちと交流するときや、国際社会においても敬意を持たれるような日本人を一人でも多く育ててほしい。

    本書は作者が論点を列挙し、整理するようにディベート形式で表現されていますが、戦争終結の手段として原爆が肯定されるかどうかは、今起こっているウクライナ・ロシア戦争に置き換えれば、使用の可否の結論は自ずと出てくるものと思います。

  • 題名にある「ある晴れた夏の朝」とは、
    1945年8月 広島 長崎 に原子爆弾
    が、投下された日の朝。

    アメリカに住む、中高生8人が、
    日本へ投下した原爆の是非を、
    肯定派と否定派、に別れ勝敗を掛けて、
    公開討論会を行う。

    両派の述べる論点 例えば

    °人種差別
    °日本とナチスドイツは同盟国
    °日本の中国南京大虐殺
    °日本人アメリカ移民がヨーロッパでドイツ兵と戦った経緯

    などなど多方面から、論じられる。

    そして、日本の教科書では、原爆投下を
    肯定している…と。

    さらに、広島平和記念公園の慰霊碑には

    安らかに
    過ちは
    繰り返しませんから

    と書かれている。
    これは、原爆を肯定して、日本人が反省しているのだと。

    否定派のメイは、母は日本人、父はアイルランド系アメリカ人。
    母に、慰霊碑の文章の英語と日本語訳を見せる。
    母 曰く
    「過ちは繰り返しません」
    と言っているのはね、
    日本人が…と言うような狭い意味ではない。
    「われわれ人類は過ちを繰り返しません」
    と言っている、と説明する!

    主語はないの? とメイ。

    日本語は 英語と違い 主語が無くても
    文章が書けるの!
    日本語は、そういう風に出来ているよ。

    あぁ、確かに、そうだった。

    アメリカの中高生達にとって、公開討論会などの機会は容易に作れるものなのだろうか?
    一つの事柄を徹底的に考え、話し合い、仲間と共にしらべる。
    この時期、人間としてどれ程成長できるだろう!
    そして、人々の前で、自分の主張が 最も効果的と思える方法を考えながら、発表する機会を持つ事は、何と素敵なんだ!

    私は、何も知らないのだなあ、と思う。
    戦争の事も、歴史も、何も分かっていない。

    ただ、戦争というのは、戦っている
    どちらにとっても、残酷である。
    「敵討ち」 を繰り返していたら、
    人類など、地球など、すぐになくなってしまう。

    さてさてさんの感想を拝読して、
    いつかは読みたい中の一冊でした。
    本当に出会えて良かった本でした。
    ありがとうございました。

    • さてさてさん
      basilさん、こんにちは!
      原爆投下について、投下した側の視点からどのように見えるのか、見ているのかという視点はとても興味深いものがあり...
      basilさん、こんにちは!
      原爆投下について、投下した側の視点からどのように見えるのか、見ているのかという視点はとても興味深いものがありました。その一方で、投下された側がどのようにそれに反論していくのか、知っているようで知らないことが多々あることに愕然としました。ディベートはディベートなのであくまで冷静さが求められます。しかし、正直なところ私にはその場に立つ自信はないです。アメリカの高校生は他の話題でもこんな風にディベートを当たり前のこととして育つ土壌があるのだとしたら、そして、世界的にこういった土壌が標準なのだとしたら、日本も教育の見直しは必須なのかなと、そんなことも思った次第です。
      できる限り幅広く色んな作品に触れていきたいと思っていますが、そんな中でもこの作品はとても新鮮で気づきの多い一冊でした。basilさんのレビューを読ませていただいて改めてそう感じました。
      ありがとうございました。
      2022/07/19
    • basilさん
      さてさてさん、はじめまして!
      いつも素敵なレビュー、楽しみに読ませていただいております。

      この本は、読んでいる途中から、かなり動揺と言うか...
      さてさてさん、はじめまして!
      いつも素敵なレビュー、楽しみに読ませていただいております。

      この本は、読んでいる途中から、かなり動揺と言うか、心揺さぶられる部分が多く、いろいろ考えさせられました。
      なるべく多くの人に読んで欲しい一冊ですよね!

      さてさてさんの本棚は、私の知らない本を知るきっかけとなり、読んでみたい本がいっぱいです。
      これからも参考にさせて頂きます♪
      よろしくお願いします。
      2022/07/19
  • 母を日本人に持つアメリカ人、メイは夏休みに「原爆は肯定されるべきか否か」のグループディベートに挑む。

    うっかり小手毬さんという作家を知りませんでしたが、これはすごい本でした。 広島・長崎に落とされた原爆については戦争を終わらせるために必要だった、むしろポジティブな形で受け入れられているのがアメリカ、という印象がありますが、このことをテーマにした子どもたちによるディベート対決のお話です。本自体は中学生向けなのかな。文字も大きくてすぐに読めてしまう。でも読んだ後にもたれるこのボリューム感。ずっと頭の芯が熱を持っている状態で、こういう本を読んだのは久しぶりな気がしました。
    何しろすごいのがこの多層にわたって込められている情報量。血筋も考え方も「アメリカ人」という一言で括れない人たちの細やかな描写や第二次大戦時の出来事とその関係性、そしてもちろん原爆の是非(戦争の是非)。このテーマを多層に分解して中学生レベルの読み物に落とし込んであるのだから、これはすごい。しかもディベートという競技についてもよく踏み込んでいて、ミスリードや議論のすり替えなんかを(多分登場人物が意図的に)やったりするところも面白いのです。この「アメリカ」への解像度の高さは実際に作者がアメリカ在住だから見えることなのでしょうか。
    ともあれ、中学生向けということもあるのか、少し無理にエピソードを畳んだような気もするのですが、なにしろこの難しいテーマを折り込んでコンパクトに優しく描いて見せた小手毬さんに脱帽です。これ、日本人とアメリカ人全員読んでいいと思います。そしてなぜ戦争が起きるのか、なぜ戦争がなくならないのか、平和とは何か、じっくり考える機会にして欲しい。
    折しもウクライナ戦争に次いで今年はガザで悲劇が起こり、世界はまた分断と戦争の匂いに満ち溢れるようになってしまいました。そうした中でこういう本とメッセージは世界中のたくさんの人に届いて欲しいと感じました。

  • なんと書いたらいいのか、読み終えて静かな感動に浸っている。原爆肯定派、否定派どちらも立派に自分の意見を主張し、相手を認めていく中で、平和を実現していくにはどうしたらいいのか、深く考えさせられた。

    戦争には反対だが、原爆は賛成。
    という主張は矛盾しているように思えるが、その主張をしている人たちは矛盾していない。適当なことを言っているのでもない。それぞれに根拠があって、その結論になっている。
    反対の立場にいるだけでは考えも及ばないようなものの見方を、わかりやすく、高校生の情熱をもって伝えてくれていると思った。

    私たちは過去を知り、よく考えたうえで、平和な未来を創っていかなくてはならない。

  • 終戦78年に読む禁忌のディベート。
    「君は日本原爆投下に肯定か否定か」

    黙祷。

  • フォローしている方のレビューで知ることができました。この本が広く手に取られますように。

    最後のスピーチと共に本書を読み終わったとき、思いもよらず身震いがした。
    余りにストレートに言葉が自分に届くことに驚いた。
    それまでの間、僕は知らず知らずのうちにディベートのジャッジをしていたかもしれない。
    原爆投下を巡る議論も、予備知識と照合して自分の意見を確認するかのように読んでいたのだろう。
    だけれども、ナオミのスピーチに込められた真摯な気持ちに-作者の純粋な祈りに-、ただ心を打たれた。
    これは小説でしか書けない、小説だからこそ書けることだろう。事実を伝えるメディであること以上に、本質と共感を届ける小説の力がここにはある。

    Imagine there's no countries
It isn't hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion ,too
Imagine all the people
Livin’ life in peace

    You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will be as one

  • 知らないことがありすぎた。
    肯定と否定、色んな意見を持っている、そして、きちんと調べて『何があったのかを知る』『自分の頭で、言葉で考える』というのがいかに大切かを学んだ。
    私もまだまだ知らないことが多すぎる。
    被害者意識だけを持っていてはいけない。
    日本が犯した罪もきちんと調べて、学んで、考えていかないといけない。
    全世界に平和を望む人がいるならばきっと、いつか平和で人種差別などない世界が訪れるはず。
    ものすごく勉強になったし、心に染みる言葉が沢山ある本やった。

  • 2019年度 中学校の部 課題図書
    たくさんの若い人に読んでもらいたいです

    原爆投下の是非
    それだけにとどまらず人種差別など深く討論する
    すごいな
    戦後生まれの私もうわっすべりにしか知らないことも多すぎる
    まして!
    アメリカと戦争していたことすら知らない若者がるとか
    きちんと伝えてこなかった私たち世代の罪だ

    公開討論会・ディベート
    私には耳慣れない言葉
    主張と友情は別、そう言い切れるのがいい

    たくさんの人に読まれますように

    ≪ 晴れた空 平和を祈り 手をつなぐ ≫

  • アメリカでは「原爆投下は戦争を終わらせるために必要だった」と教わることにまずショックを受けた。
    国によって戦争が違う意味を持つことは当然だ、でも何でもないことのように教わることが悲しい。
    そして、学校ではいつも正しいことを教えてるとは限らないと考える学生がいることも少なからず日本とは違う香りを感じた。

    正反対の意見を持っていることと友情は別、と思えるお国柄が少しうらやましく、そう娘にも伝えたい。

    スピーチのティップスも得た。
    呼吸を吐くことに集中すること、その時に酸素を下腹部へ押し込むように。そして、背伸びをしてゆっくり踵を戻す。緊張を解く方法として。
    強調するキーワードはゆっくりと丁寧に、それ以外は流れる速さで。物事は潔い終わり方をすることによって人々の心に強い余韻が残る。

  • 日本人の母、アメリカ人の父をもつメイは、ハイスクールの1年生を終えた夏休み、先輩にさそわれて公開討論会に参加する

    テーマは「原爆」──1945年8月に日本に落とされた原子爆弾の是非をめぐって、肯定派と否定派に分かれて討論するという企画だった

    両チーム4人ずつのメンバーは、日系のメイをはじめ、アイルランド系、ユダヤ系、中国系、アフリカ系とさまざまなバックグラウンドを持つ高校生たち

    被害者数やその実態、真珠湾攻撃の経緯、大統領の意図、アウシュビッツとの比較、人種差別的意識との関係など多岐にわたるリサーチをもとに作戦を立て、スピーチに臨む

    はじめは優位に立っていた否定派だったが、3回目の討論会で形勢が逆転してしまう

    敗北感の中で迎えた第4回討論会、7番目に演壇に立ったメイがスピーチをはじめると……

    第68回小学館児童出版文化賞(2019年)受賞作
    読書感想文コンクールでは中学校の部の課題図書に選定されたが、小学校高学年からぜひ読ませたい一冊

  • 平和をテーマにした児童文学は以前からあるけど、こんな書き方ができるんだなぁ、と思った。正直、驚いた。
    日本生まれアメリカ育ちのメイに焦点化されているところも読むのにとっつきやすい。
    メイがこの夏の出来事を通してさまざなことに気づいたことに、知らず知らずのうちに周りに影響を及ぼしたことに、自分がよかったと思う大人でよかったと思う。
    夏の青い空を見上げて、今日も平穏無事でいい日だったと思うことができる、空から何も落ちてこない日が続くことを祈りたい。現在、これが不可能な場所があることは承知で、そう祈りたい。

  • アメリカの若者たちが日本に落とされた原爆について議論する話。
    アメリカ人といってもユダヤ系だったり日系だったり中国系だったりして、いろんな側面から戦争を考えさせてくれて面白かった。

    わたしが心に残ったのは、原爆肯定派が日本兵が行ったと言われている南京大虐殺を例に出し、日本も『罪のない人々』の命を奪っていたと主張したシーン。
    わたしは恥ずかしながら学校を卒業してから、日本が中国だけでなく東南アジアで残虐な行為をしていたということを知った。学校教育では日本は唯一の被爆国ということが強調されている気がするけど、一方で他の国に対して日本が行ったことを忘れてはいけないと思った。

    never happen
    ホロコーストミュージアムで見た言葉が思い出された。


    教科書だけでは知り得ない側面から、戦争や平和について考えさせてくれる本。
    学生の頃に読みたかった。


  • ここ最近 戦争にまつわる本を読んでみて、義務教育のときに授業を通して触れさせてくれた戦争映画や小説は過去を文字として羅列される歴史として捉えるのではなく、それはその時代にそれぞれの国でふつうに暮らしていた人たちを 日常を恐怖に陥れた実際に起こった出来事で、あの悲劇は私たちにも降りかかる可能性があることで、実際 いま内戦や国同士の争いが起きている地域もあって、って他人事にしないようにするための 自分で考えるための 想像するための大切な時間だったんだなあと今さらおもいました

    長々と綴ったけど 今年の8月6日9日を迎える前にこの本を読めてよかった

  • #ある晴れた夏の朝
    #小手鞠るい
    #偕成社
    #読了
    1月5日にして、今年1番の良書に出会ったかもしれない!と思っています。 日系アメリカ人のメイがなぜ日本語を勉強し、日本に来ることになったかが描かれている。しかしその理由は壮大にして深い。原爆投下の是非について討論する高校生の姿。

    唯一の被爆国として私たちは歴史を能動的に学び、自分の考えを持ち、対話し行動できているか。そのように投げかけられていると感じた。太平洋戦争のみならず、中国や韓国、アジアの国々に日本がしたことを含め、数字で表された事実のみならず一人一人の思いにも目を向けられているか。

    素晴らしい本に出会いました。しかし答えはここにはない。探し続けることが大切なのだ。やっぱり読書って最高。さまざまな本が出版され、手に入り、そして自由に読める平和な社会が続くよう行動していきたい。

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著者プロフィール

1956年岡山県生まれ。同志社大学法学部卒業。ニューヨーク州在住。
『欲しいのは、あなただけ』で島清恋愛文学賞、『ルウとリンデン 旅とおるすばん』(講談社)でボローニャ国際児童図書賞を受賞。主な著書に『優しいライオン やなせたかし先生からの贈り物』(講談社)『星ちりばめたる旗』(ポプラ社)ほか、主な児童書に『心の森』(金の星社)『やくそくだよ、ミュウ』(岩崎書店)『シナモンのおやすみ日記』(講談社)など多数。

「2024年 『新装版 まほうの絵本屋さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小手鞠るいの作品

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