- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784036450701
感想・レビュー・書評
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ハンセン病って聞いたことあったけどよく知らなかった
ハンセン病で隔離とかもなんとなく聞いたことがあったが
今回、この本を読んで初めて詳しく知った
政府が決めたことは絶対となる傾向が恐ろしいことを生んでしまった
伝染病で、遺伝する
あっという間に、この話が広がり
患者さんを一つの町のようなところに隔離…
小さな田舎町だと、家族にハンセン病が出ると他の人たちからは村八分のようにされる
妹は、姉がハンセン病のために結婚がダメになったと姉を罵る姿は、きみ江さんにはあまりに残酷すぎる
お兄さんは、理解のある人だったし
そのお嫁さんが、他人であるにも関わらず
よき理解者
自分の家族に反対され家に戻って来いとまで言われたのに結婚して家を出たのだからと拒む
すごいいい義姉だ
母は、一人でも生きていけるように厳しく接する
小さい頃は、それが憎いから厳しいと思ってしまう
園の中で、園名と言う
ペンネームのようなものを使ったりと、不自由な暮らしを虐げられ想像を絶する
身体が麻痺して、痛みが分からず
怪我をしても気づかない…
そりゃ、怪我がどんどん悪化していってしまう
生活水準も上がり
ハンセン病は、無くなってきてる
やがてコロナもそのように消滅してほしい詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
国の決めたことが全て正しいと思うことの怖さ。本当のことを正しく理解することの大切さを、改めて感じる。
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21歳でハンセン病と分かって、国立療養所多磨全生園に入所した山内きみ江さんの伝記。
きみ江さんは、1934年静岡県の農家の三女としては生まれる。
小学校に入学した翌年太平洋戦争が始まる。体は弱いのに負けん気だけは人一番だったきみ江さんの小学校生活。小学校卒業6年生のとき、終戦。 神経がおかされて知覚障害をおこしていて、色々な事が出来ない。医者にかかっても、神経痛だとかリウマチだとか診断されてしまう。
21歳のお正月、焼いた餅が下唇にはりついた。普通は熱いととびあがるとこだが、きみ江さんは全く感じない。兄嫁に連れて行ってもらって、らい病の専門医に見てもらう。そのでハンセン病診断されて、多磨全生園の入所を決める。
きみ江さんは、入所していた山内定(さだむ)さんと結婚する。
私は、中学校の学校図書館に勤務していた時に、ハンセン病療養所にいた方とその付き添いの弁護士さんの生徒向けの講演を、聞いた事がある。その方は結婚されて息子さんが医者になって医者と結婚しようとした時、相手のご両親が反対されたと話していた記憶がある。
ハンセン病で入所している方は結婚は可能でも、子どもは作れないとあった。中学校で聞いた私の記憶は間違いだったのだろうか。
きみ江さんの力強い生き方に驚き、兄嫁の誠実さに自分だったらできるだろうかと問うた。「恐れ」と差別はリンクしている事も改めて確認した。
コロナ禍で、「正しく恐れる」と良く言われるが、自分に置き換えると難しい。リスクを回避するつもりで、私も差別してしまうのではないか。自分に問うていきたい。 -
淡々と時系列で描かれるきみ江さんの人生を追うことで、障害とは、病とは、差別とは、ということを自然に考えることになる。伝染するのは、恐がる人の心。知ることで、恐怖は理解に変わっていくと思う。
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幼い頃ハンセン病に感染しながら、貧しさと誤診と戦争で放置され、21歳でハンセン病と診断されたときは、病はかなり進行していた、というのがいたましい。
しかしきみ江さんは持ち前の強さと頑張りで、人生を切り開いていく。
著者がきみ江さんに深く関わって書いたことは伝わってくる。
しかし文章はあまり上手くない。書いてほしいところには手が届かず、書かなくていいことが書いてある。特にこの本は子ども向けなのだから、戦前戦後の様子や、社会がハンセン病をどうとらえていたか、治癒の過程などもう少し詳しく書くべきだし、きみ江さんがどんな宗教を信じてもよいが、ハンセン病になったのは、前世で悪いことをしたからかも、と考えたことは、知識のない子どもには誤解を招くと思う。
大多数の人が栄養状態が悪く、免疫力が低い上、治療法がない時代には、隔離は仕方ないことだったかもしれないが、療養所で甚だしい人権侵害があったこと、治療法が確立し、完治しても、隔離されたままだったこと、差別が改善されなかったことがハンセン病患者の最大の不幸だと思うが、きみ江さんの人生を描くことに重点がおかれるあまり、そのあたりが足りない。
しかし、子ども向けのハンセン病の本は少ないので、存在は評価したい。