神秘の島〈第1部〉 (偕成社文庫)

  • 偕成社
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感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036513208

作品紹介・あらすじ

嵐のなか、四人の男とひとりの少年を乗せた気球が、無人島に漂着した。男たちは、知識の宝庫である技師・サイラス・スミスを中心に手作りの鉄や爆薬で、島を開拓してゆく。空想科学小説の祖、ヴェルヌの傑作冒険小説完訳版。小学上級から。

感想・レビュー・書評

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  • 『神秘の島』第一部

    1875年作、ジュールベルヌの晩年の作品である。最初は遭難ものなのだが、ロビンソンとちがって、気球で遭難するから、高度をあげるために、ほとんどすべての物を投げすててしまい、文明の利器はまるでない。徒手空拳である。

    主人公はオッサンが多く、鉄道技師・新聞記者・水夫・技師を慕う解放奴隷、そして、博物学に長けた少年の五人と、猟犬一匹である。オッサンたちはアメリカ北部の出身で南軍の都市に捕虜になっていたり、軟禁されており、軍事連絡用の気球を奪って脱出したのだが、暴風にながされて、絶海の孤島にきてしまう。時代は南北戦争のまっ最中の設定である。

     最初、島にたどりついたのは技師と犬をのぞく4人だが、技師が見つかってからは、もはや「遭難者」ではなく、「開拓者」になっていく。レンガ・陶器・鉄製品・ニトログリセリン・家具などを、ほんとうにいちから(鉄なんぞは岩石の採取から)作り出すところはなんとも興味深い。

    第一部末尾ちかくにある地球冷却論は19世紀の熱力学のテーマである。ベルヌはフランス人だけど、『地底探検』はハンガリーの教授が主人公だし、『海底二万マイル』もアメリカのクジラから始まるし、『80日間世界一周』はイギリス人が主人公で、国際色豊かだなと思う。

  • ここに出てくる男たちは優秀すぎる。

  • 「科学とは、人生で直面する困難に立ち向かうツールなのだ」ということを自分自身が認識したきっかけの本です。

  •  ヴェルヌの孤島生活ものです。
    『二年間の休暇』では難破した船に積んでいた積み荷を島に運ぶことができましたが、本作品では気球で漂流中に軽くするため、ほとんどの積み荷を捨ててしまったので着の身着のままです。
     しかしサイラス・スミスは良き技術者であり良き科学者でもあるので、島にある資源から必要なものを作り出します。
     土をこねてレンガや陶器を作るのから始まり、金属を精製したり火薬を作ったり。グリセリンだとか石鹸だとか、有機化学で習ったような用語も出てきます。
     特に、山の上の湖から海につながる地下水路を住居に改造するエピソードはすごい。私ならこんな発想はとても出てきません。
     もし私が彼らと同じような立場になったとしても、とても生き残ることはできないでしょう。

     
     しかし知識というのは役に立つものですね。今は身の回りに物があふれていますが、もし無人島に放り出された場合、生き残るためにはどんな知識が役に立つか分かったものではありません。そんな意識を持っていれば、学校での勉強にも身が入るのではないでしょうか。
    (三角関数を使って距離や高さを求める記述もあります。こんな利用法を数学の授業の時に教えてくれたら、もっと興味がわくと思うのですが。)

     
    『十五少年漂流記』に、バクスターという少年が登場します。手先が器用な職人肌で、色々な工事を行って生活を快適にしてくれます。
     私が子ども時代に『十五少年』を読んだ時、この地味なバクスターがあまり印象に残らなかったのでした。
     ところが大人になって再読した時、こういう存在は非常にありがたいものだと思ったものです。
     この『神秘の島』では、物資が乏しいため、5人の人々は皆バクスターのようになって作業を行います。そして5人のリーダーであるサイラス・スミスは、バクスターとブリアンとゴードンが合体して成長したような人物です(決してドニファンは混じっていない)。

      
    ……という風にこの第一部では、島の開拓の話が中心で、ストーリー的に驚くような展開はありません。無人島でのサバイバル方法を楽しむ巻です。とはいえ、少し謎の伏線となるような記述もあり、これらの謎は第二部や第三部で展開し、発展していくのでしょう。ということで、第二部に続きます。
      http://sfkid.seesaa.net/article/453502704.html

  • 早く続きが読みたい!!

  • この歳になって今更だけど、ヴェルヌはイイよね。設定としては、あり得ないほどレベルの高い主人公達で引きぎみだが王道なカンジが楽しい。

  • 南北戦争から逃れた人々が気球から不時着した島。
    そこはただの無人島ではなかった。
    海底2万里の続編。海底2万里読後は是非読んでほしい一冊。

  • 図書館

  • ジュール・ベルヌのアドベンチャー物語。時代背景が古いんだけれど感じさせない面白さ。

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著者プロフィール

1828年、フランス北西部の都市ナントに生まれる。二十歳でパリ上京後、代訴人だった父の跡を継ぐことを拒否し、オペレッタの台本やシャンソンを執筆する。1862年、出版者ピエール=ジュール・エッツェルと出会い、その示唆を得て書いた『気球に乗って五週間』で小説家デビューを果たす。以後、地理学をベースにした冒険小説を次々に発表。作者が1905年に没するまでに六十篇を超えたそれらの小説は、いずれもエッツェル社から刊行され、1866年以降、その挿絵版が〈驚異の旅〉という総タイトルの下にシリーズ化された。代表作は、『地球の中心への旅』『海底二万里』『八十日間世界一周』『神秘の島』『ミシェル・ストロゴフ』等。多くの科学者や探検家が子供の頃に読んで強い影響を受けただけではなく、コナン・ドイル以降のジャンル小説の書き手はもちろん、レーモン・ルーセル、ミシェル・ビュトール、ジュリアン・グラック、ジョルジュ・ペレック、ル・クレジオ等々、ヴェルヌとの文学的血縁関係を自認する作家は少なくない。

「2021年 『ハテラス船長の航海と冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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