- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784036515509
感想・レビュー・書評
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子どもの頃兄たちの本棚にあった小泉八雲の本を思い出し、再読。
子ども向けに表現が易しく柔らかくしてあり、ルビ付き・注釈付きで、読みやすいことこの上ない。
当然とも言えるが、小さな頃の方がはるかに怖い思いをしながら読んだ。
確か講談社版だったか、挿絵のページが夢でうなされるほど怖くて、決して開いたりしないようにクリップで止めておいたら、後で見つかって叱られたことなども懐かしく思い出す。
そんなわけで、蒸し暑さをひとときでも忘れようとしたのだが、さほどの効果はなかった(笑)。
全19編の短編。
やはり白眉は「耳なし芳一」で、八雲さんの元の文章のおかげか、それとも翻訳が良いのか、怪談と言うよりは詩情豊かな芸術作品のような味わいが全体にある。
「縁起」や「因縁」から生まれ出た話なので、読み手の想像力を刺激するものがある。
「13日の・・」のジェイソンのシリーズや中野京子さんの「怖い絵」などに比べればもう可愛いらしいほど。
アイルランドに居た頃は神学校に通っていたハーン。
キリスト教文化そのものの中で育ったはずなのに、天地万物にそれぞれ霊魂が備わっているという「汎神論」的な考え方を持っていたのだろう。
そんなハーンにとって、奥様の節子さんが語る日本の昔話がどれほど興味深く楽しかったか。
それがその後の日本に伝わる怪異談の収集に繋がっていくことを思えば、やはり女性の賢さがいつの時代も鍵を握るのね。
ところで今回ある発見が。
「常識」という短編とエンデの「満月の夜の物語」が、酷似していることが分かった。
何でもエンデの作品は98年の7月11日から13日まで、朝日新聞に掲載されたものらしい。
その当時も読者の方から同じ指摘があり、エンデの説明は特になかったとか。
八雲の方は1902年刊行の「骨董」という本から選出したものだという。
エンデも日本人妻を娶っていたことだし、もしや・・まぁ変な勘ぐりはやめておこう。
どちらも面白いことには相違ないのだから。
エンデの方は文章が冗長だが、岩崎書店版のは挿絵が幻想的で美しい。
もし興味を持たれた方はそちらもどうぞ。
その際はこちらの八雲さんの本もご一緒に。「似てる!!!」と、ぜひ驚いてね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
翻訳者が平井呈一ですよ!
少年少女が読みやすい翻訳になっていますが、どれも怖いです。
小泉八雲の怪談を映画化したこちらも素晴らしいです!!
https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/B000095YJG#comment
『ムジナ』
私の高校の英語の教科書で「The MUJINA」として出ていました。ムジナって狢だよね。狸に化かされたってこと?
「こんな顔?」って日本の怪談のお約束となってますよね。なんども読んだり聞いたりしているのでだんだんムジナが怖いけど可愛い気もしてきました。
『幽霊滝の伝説』
うわあああ〜!!これは酷い、想像するだけで目眩、見てしまったら卒倒、自分に起こったら発狂しそうだーーー!!
ご褒美に惹かれて肝試しに名乗り出た女が、怖い思いをしながら戻ってみると…。
『雪女』
これは怖いのだろうか、美しい女に魅入られて死ぬ男、生き残った後幸せな結婚生活を送った男、氷の心に愛情を持ったであろう妖怪、なんとも美しいお話だとも感じる。
『茶わんの中』
うっわー理不尽〜!!!お話としては「作者に何にかがあったのか、突然終わっていて何があったのかわからん!なんか突然放り出された気分」みたいに書かれています。
映画でも「これは理不尽だーーー」と思いましたが、読んでもやっぱりわけがわからん。
『安芸之助の夢』
安芸之助が庭の木に寄りかかって昼寝をしていますと、不思議な夢を見たのです。
目が覚めた安芸之助が木の下のアリの巣を掘ってみますと…。
生物と心が通いあったような、ちょっと可愛い話だと感じた。
『和解』
妻を見捨てて任官についた男。
数年後、見捨てた妻のもとに戻ると、妻は全く変わらない姿で待っていて…
日本のホラーの定番ですね。
しかし雨月物語の「浅茅が宿」にしろ、この「和解」にしろ、妻は決して恨みではない…というか恨みも超えてしまったという感じがする。話の題名も「和解」ですからね。
『常識』
徳の高いお坊様でも騙されてしまった怪異を猟師の「常識」が見破る。
そうか、怪異だったのか。私も騙されるだろうな。
『ほうむられた秘密』
死んだ後自分の部屋で箪笥を見つめる女将の霊は何を訴えたいのか…
『鏡のおとめ』
その井戸には何人もの人が身を投げて死んでいた。
屋敷の新たな主人が井戸を覗き込むと、美しい女の姿があった。惹き込まれるように身を投げそうになった主人は危ないところで正気に返る。翌日、屋敷に井戸の中に見えた美しい女が訪ねてくる。
『食人鬼』
その村では、死人が出たら夜中前に死体だけと捧げ物を残して家人は村から出なければいけないという掟が合った。翌朝家人が家に戻ると死体と捧げ物が消えている。
ある日旅の僧が村に泊まる。そして死体と捧げ物を貪り食う食人鬼を見る。
…やっと救いが来たってこといいですよね。一心に仏に祈りを捧げれば人の道を外れた鬼も怖くないという宗教の精神あり方は良いですよね。
『梅津忠兵衛』
力持ちで勇気のある梅津忠兵衛。ある日女から「大事な用事があるので、ちょっとこの赤ちゃんを抱っこしててください!」と頼まれる。引き受けるとどんどんどんどん赤ちゃんが重くなっていくではないか!それでも引き受けた以上投げ出すわけには行かない!
見事赤ちゃんを抱き続けた梅津忠兵衛に女の氏神が現れて…
…この短編集の中で、ちょっと安心するような応援したくなるようなおはなし。
『おかめの話』
ヤキモチ焼きの女房おかめが死ぬときに「決して後添えは迎えない」と約束した亭主の八右衛門。しかし八右衛門の体はどんどんと弱っていき…
『忠五郎の話』
美しい女に言い寄られた忠五郎は、女に川の底の屋敷に連れて行かれて婿となる。
『まもられた約束』
これは雨月物語「菊花の契」を小泉八雲風に書いたものです。
小泉八雲は、信義の心、兄弟の絆に興味を持ったんでしょうね。
『果心居士』
辻で説法をする果心居士のやってみせた不可思議のお話。
中国の仙人譚みたい。
『青柳ものがたり』
友忠は山奥の小屋で美しく賢い女の青柳に出会い女房にと望む。
数年は幸せに暮らしていたが、あるとき青柳が苦しみだし…
…小泉八雲が「この話は途中で途切れています。だから私が書き足してます」といっているお話。前半は恋愛っぽい、ちょっと途切れて後半はまあ異種婚姻譚なんだけど…やっぱり途切れてイマイチ話がうまく繋がっていないというのと、この結末が不憫だと感じる。
『ろくろ首』
豪胆な武士が僧侶になり全国を巡っていたときに、人食いろくろ首強盗に出会うが退治して、さらに退治したろくろ首を袖にくっつけたまま旅を続けたというお話。
豪胆でなんか楽しい。
『耳なし芳一の話』
これは怖くて良いですねえ、正しい日本の怪奇譚。
映画「怪談」で映像化されて本当に怖かった!!
こちらの映画もぜひ御覧ください!冒頭の壇ノ浦の表現、平家の亡霊たち、芳一の体中にお経を描く場面、全てが禍々しく怪談映画として完璧です。 -
女がひとり、しゃがみこんで泣いている。どうしたのかい
?話してみなね、と話しかけると、女は立ち上がり、こっちをみた。女の顔には、目も鼻も口もなかった。
(『キラキラ子どもブックトーク』玉川大学出版部より紹介)
「明治時代にアメリカからやってきて、日本を深く愛したハーン(小泉八雲)が、古くから日本に伝わる話を集めて美しい物語につむぎ直しました。」 -
ザ・日本の怪談集…という感じの1冊だが、著者は異国で生まれ育った人なんだよな〜…と、読み終わって改めてしみじみ。生まれついての日本人でないからこそ見える日本、欧米に伝えたい日本、だったのかな。『菊花の約』(収録名『まもられた約束』…『日本雑記』より)を八雲が取り上げていたことを知って、意外に思うと同時に少し嬉しかったり。『耳なし芳一』も載っているところで、『平家物語』に触れる頃におすすめしたい。翻訳も美しく、『学校の怪談』を卒業する子どもたちに贈りたい。個人的には、未就学の頃に『耳なし芳一』絵本で読んで、強く印象に残っていたので、手元に置けることに感無量。
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〜久しぶりに読み返してみて〜
やはり、記憶違いではなかった・・・
怖かったです。 -
「子どもを本好きにする10の秘訣」>「昔話・神話・歴史」で紹介された本。
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読了。読書倶楽部課題図書。
子供の時に読んで知っている話が多かった。
昔の物語によく見られる不条理なものが多かった。なんでこんな良い人が狙われるわけ?とか。
物語は知っているものばかりだったので、小泉八雲の人となりについて知りたいと思う。
(170728) -
これって子ども向けだよね?
一応完訳になってるのかな?
思ったより全然怖くない話ばかりで、思ったより悲恋の話が多かった。 -
明治時代、はるばるアメリカからやって来たジャーナリスト、小泉八雲。最愛の妻が、実は昔であった雪の精だったという話(雪女)、うたたねしているあいだに、べつの人生を生きてしまった男の話(安芸之介の夢)、幽霊になって約束を果した侍の話(まもられた約束)、前妻の亡霊に呪い殺される若い後妻の話(やぶられた約束)など、まだおばけが頻繁に出没していた江戸時代までの「怪奇伝説」を彼が集めた中からの19編。
何十年かぶりに小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の怪談を読んでみました。八雲自身の著作ではありませんが、彼が日本各地を訪ねて集めた古典を再話、作り直した怪談の数々は、八雲ならではの詩情が注がれ、静かな語りの中に恐さがにじんでいて、単なるお化け話ではなく文学的に優れた作品になっていると思います。大人になってから読む「耳なし芳一」もなかなかでした。小学上級生向きに書き改められていますが、十分大人の鑑賞に堪える作品集です。