秘密の花園 上 完訳版 (偕成社文庫 3169)

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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036516902

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  •  インドで両親をなくした女の子がイギリスのおじさんの屋敷で暮らすことになり、周囲の人たちや自然との触れ合いによって心を開いていく物語。知らなかったのですが小公女と同じ著者なんですね。一般にはどう思われているかわかりませんが、僕の感覚ではこの本は日本では小公女よりも知られていないように思います。しかし内容においてはまったく負けていないと思います。
     家族の病気や死など不幸な境遇におかれた女の子がけなげに頑張るという点では小公女や若草物語などと共通していますが、本書が面白いのは、主人公の女の子が最初はかわいくも性格良くもないということです。インドでの彼女は親の愛情を十分受けずにほうっておかれて、暖かいコミュニケーションを誰ともとれず育ったため、常に無愛想で、また屋外にも出ていなかったため不健康でした。それがイギリスの環境で生き生きとしてきて、外見もそれに対応して魅力的になっていくのです。このことは、内面を磨くことによって外見を変えることができるということを子供たちに教えてくれました。
     屋敷の外から来るマーサやディコンの方言がユニークで、とても温かみがあります。屋敷内のおじさん、コリン、召使頭のメッドロックさんらも明確に性格づけされています。読み始めるまでは地味で退屈な話なのではないかと少し心配していましたが、その心配はまったく的外れで、秘密の花園とこれらの登場人物をめぐりどのように物語が展開していくのか下巻が楽しみです。小一男子でもわくわくできる物語です。地味に感じられた一つの理由は表紙絵と挿絵なのですが、これは89年に出版された古本を手に入れて読んでいるので致し方ないところです。調べてみたところ角川つばさ文庫からアニメっぽい表紙がついた短縮版?が出てたり、岩波少年文庫やポプラポケット文庫とかからもいろいろ出ていますね。ただ主人公が最初かわいくないのがポイントなので挿絵の選択は難しいところです。本書の挿絵も慣れれば悪くないです。出版社の比較に関して、本書は文に少しテンポが悪いかなと思われる部分があり訳のせいなんだろうかといぶかったのですがそうではないかもしれません。先にも書きましたがマーサやディコンの方言の訳はとても良いです。

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