- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784036518807
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
悟にあった時間は、体育館から保健室に行って戻ってくる二分間だけのはずだった。
だが悟は校庭で黒猫ダレカに出会った。
そして魔法の時間、魔法の場所に入り込んだのだ。
黒猫ダレカは悟の頭に語りかける。「ちょっと遊んでくれよ。おれを捕まえたらお前の勝ち。もとの世界に戻してやるよ。時間はたっぷりある。この世界でお前が老人になるかならないかというころに、元の世界ではやっと二分間がすぎるくらいさ。おれの探し方?おれは『この世界で一番確かなもの』の姿をしている。じゃあがんばれよ」
悟が迷い込んだのは深い森だった。出会ったのはクラスメイトと同じ顔と名前を持つ少年少女たち。
この世界では子供だけで暮らしていて、毎年それぞれの村から選ばれた二人が竜と知恵と力の戦いに出かけるという。竜に負けたら老人にされる。勝ったなら世界は竜から開放される。
悟はかおりのペアとして一緒に竜退治に行くことになった。
この世界の子供たちは、自分たちが選ばれたら竜との対決にゆくというルールを教えられるわけでもなく、大人という存在を知ることもなく、ただ『知って』いる。だがそれ以外のことは何も知らない。自分たちの食べ物はどうして出てくるのか?どうやって生活をすればいいのか?
悟とかおりが進んでゆくと竜退治に失敗して老人となった者たちに出会う。自分たちもこうなるのか?今後ずっとこれが続くのか?
しかしある村で、二人は秘密の竜退治の剣を手に入れたのだ。「これから向かう竜の館には多くの少年少女たちが集められている。だがこの剣を持った者だけが竜を倒せるのだ」
その言葉に励まされた悟とかおりは、竜の館に辿り着いた。
そこには他の村々から来た二人組の少年少女が集められている。
奇妙な沈黙、奇妙なよそよそしさ。
竜退治の順番が決められる。
だが、自分たちこそ本当に竜を倒せる武器を持っている悟とかおりは、そんな順番を守るより、竜を早く倒して他の人たちを助けようと考えるのだった。
===
日常からいきなりファンタジー世界の冒険へ。
この冒険は現実世界では二分間だとわかっているのですが、子供たちでの竜退治や、この世で一番確かなものとは?という問とか、竜がいる事が前提の世界で竜を退治したらどうやって生活してゆくのだ、など本格的な冒険になります。
この世界は「子供」「大人・老人」がきっぱり別れていて、子供は「生活のことは考えなくて良い。ただ竜退治に選ばれたら出発する」というだけだし、老人は「負けたもの」「ズルいもの」となっています。
しかし悟が「ぼくの世界の老人はちゃんと生きている。この世界の老人は死ぬのを待つだけ。こんなの生きていない」と言い、最初はお互いによそよそしく、この生活を当然だと思っていた子供たち同士が、協力して竜退治のからくりを探り、協力して倒す、もし負けたとしても次の者に繋がる負け方をする、そして倒した後はどうしようと考えるようになります。
しかしこの竜システムの根本の大人がズルい〜。お話としてはよくできているなーと思いました。
二分間であっても大冒険。
悟少年にとっては、「確かなもの」がわかる時間であり、ちょっぴり恋もありましたね。 -
自分が子供の時は通らなかった岡田淳さん。
素晴らしい〜ドキドキするファンタジー、前置きもコンパクトに、世界が壮大すぎず。真の敵が竜じゃないってところのなんか気持ち悪さみたいなものも30年経っても古くない、納得できる、刺さる展開だと思う。異世界に紛れ込んでしまうドラえもん映画っていつも面白くてちょっと怖くてドキドキするんだけど、これがアニメーションじゃなくても描かれる世界のルールや怖いところを読んで理解できるようになってほしい。面白い!って少年少女がまだまだこのお話と出会ってくれることを願います。 -
読み始めて序盤から最後まで純粋に
あったかい楽しいお話だったぁ〜(*^^*)
こういう一昔前の文体?話し言葉好きだなぁ♡
最後の終わり方も良かった♡好き♡ -
そういえば読んだことなかったかも?と思って!
読み継がれる名作はやっぱり面白い。
二分間の冒険、の二分間ってなんだろう?と
思わせるタイトルもさすが。
別世界に飛ばされた悟は、
もとの世界に帰るために、
猫を探したり竜を退治しようとしたり…
さあ、果たして二分間のうちに帰って来れるのか? -
とても 良い物語だった。後何年後 古典と呼ばれる 資格充分だと思う。
『モモ』と同じく「時間」 『ホビットの冒険』の「なぞなぞ」 「ちがう世界に行って帰ってくる」『ナルニア国物語』 「たしかなもの」を探す旅。
ただ、表紙のカバーの竜の絵はチョット。カバーをのけた表紙の絵の『ダレカ』にしたほうがいいのでは・・・。 -
児童書だが大人でも面白い。
ドキドキ、ハラハラがあってこれはいい。
子供の時に出会ってたら、、もっと読書する子に
育ったかなぁ笑 -
今では子どもが異界やパラレルワールドに行く児童向けファンタジーは山ほどあるが、この本が出た昭和60年(1985年)にはそんなしゃれたものはなかった。外国のにはナルニアとかあったけど、岡田淳の物語は普通の日本の公立小学校の児童が登場人物なので、エドマンドとかペベンシー家なんてのよりずっと親しみやすく、覚えやすく、画期的な作品だったと思う。
今読むと、挿し絵が古いかな(太田大八さん好きですが)と思うし、登場する子どもたちの名前が昭和の感じはするけど、物語はやっぱり面白い。
なぞなぞの部分は『ホビットの冒険』を思い出すよね。
挿し絵を変えれば、新たな読者も獲得できるんじゃないかとも思うが、この絵がいいという人もいるだろうし(『霧のむこうのふしぎな町』も新しいイラストで出たあと、前のが良かったという声がかなりあったし、『光車よ、まわれ』も前の司修さんの絵が私は好き)、2パターン出すのはコストの問題があるだろうし、難しいかな。
表紙や挿し絵の絵柄で本を選ぶ子どもが多いから、こういう作品は大人がちょっと読んであげて薦めるといいんじゃないかと思う。 -
岡田 淳 作
太田 大八 さし絵
偕成社 (1991/07)
(偕成社文庫)
異世界のようだけれど リアリティがあって
いろんなものが問われています
「この世界でいちばんたしかなもの」は?
もうずいぶん前の作品ですがよく読まれているようです
すごいですね、岡田淳さん
ファンタジーの定番だと思います
≪ 手をにぎり ダレカと共に 進んでく ≫