家なき娘〈下〉 (偕成社文庫)

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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036524501

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  • 1978年のアニメ『ペリーヌ物語』の完訳版。フランス人を父に、インド人を母に持つ、聡明で強い意志を持つ少女が、苦難と悲運を乗り越えながら父の故郷を目指し、幸せをつかむまでの物語。

    序盤のペリーヌに降りかかる不幸(母の死・貧困)は、『レ・ミゼラブル』のコゼットの境遇を彷彿とさせる。しかし、作者はペリーヌに鋼の意思と思慮深さを与え、逆境をものともしない逞しさで運命を切り開いていく少女に仕立て上げた。
    読んでいて楽しいのは、不衛生で息苦しい女工の木賃宿を抜け出して、近くの沼沢地の小島でのサバイバル生活。手作りのエスパドリーユは誰か再現してほしい。
    母の遺言「幸せになるんですよ」を実現するために、ペリーヌは一歩ずつ確実に、今ある状況に不平を漏らすことなく、目的に近づいていく。理不尽な言葉に何度も反論したい気持ちを呑み込むペリーヌには、身につまされるお勤め人の方も多いのではないだろうか。
    物語は祖父の営む繊維会社で通訳として働くことになってからは、小気味よい展開に。しかし、思わぬ伏兵がペリーヌの前に立ちはだかる・・・!

    最後は涙涙の大団円。巻末には訳者によるエクトール・マロ―の簡単な評伝、いくつか登場する馬車の図版、そして、訳者が尋ねたマロクールのモデルとなったフランス北西部のかつての繊維工業地帯の短い紀行文も添えられて、物語のイメージを膨らますのに一役買っている。

  • 物語として面白いのはもちろんなんだけど、大人になって読み返すと細かい所まで面白い。工場での人間関係などが現代からみてもあるあるな人間達の思惑が錯綜している所。自分がその火の粉を被らず、自分の正しいと思うところを捨てずに乗り切るかという危機に瀕する所。前半の肉体的な苦痛とはまた違ったものに対してペリーヌが対処していくところが頼もしい。(正確には工場での絶対権力者の信頼を勝ち得たから乗り越えられたが)

    そして雑学的な所ではジュートの色でものの良し悪しを判断している場面(インドといえばスパイスとか茶ではなくジュートというのも)、とてもいい先生が出てくるが体格が良くベローヌという名前のままだから都会での先生として売れず田舎に残ってるとか(女性を蔑視しているわけではなくて聡明で使命感のある女性として登場している)、その先生がペリーヌの賢さを綴りは未熟であるがペリーヌが泥炭地の説明をした時の洞察力、観察力に感嘆したこと等。所謂叩き上げで工場内の事柄は全て掌握していて、言葉は流暢で丁寧なタルエルが実は根本を押さえてないとか。流石啓蒙思想が盛んであったフランスの小説だからか、ペリーヌが成し遂げた功績として工場の福利厚生があるとか。

    そして子供の時は幸福に本を閉じたけれど、ペリーヌの今後はまだ一波ふた波ありそうにも思えるのだった。ペリーヌの存在だけで大叔母達が黙っていられるのか、ペリーヌに相応しい夫たりえる人が現れるのかとかね。

  • ペリーヌしらかばたべちゃった。控えめに生きるって大切

  • Original title:En-famille.
    通訳として祖父の下で働く事になったPerrine。
    両言語が専門用語以外そつなく出来るのに、
    EnglishからFrancesへ文を訳す時には自信がないという事と、
    これ程しっかりしているから学校教育を受けたと思いこんでいただけに、
    学校へは行ってないと知った時は本当に驚きました。
    祖父は絶対に母親と孫を許さないと決意しながらも、
    最後はPerrineを孫娘として認めたので感涙しました。
    この後の話も読みたいと思うのに、続編がないのが残念でなりません。
    最後のPerrineが孫だと判明する最後の件が一番の感動所でした。

  • おじいさんが息子の葬儀に会社の人間が誰も来てくれなかったことに腹を立てて、自分も会社の人に病院なりきれいな集合住宅を作りたくないと主人公にもらしたら、主人公は他人が自分にしてくれなくても自分が人と同じことをしなくてもいい、自分が人に何かをしてほしかったら、まず自分が人に与えないといけないと諭したところは何事にも通じるものがあると思った。

  • 10歳未満のお子さんなら、アニメから入るのが自然かもしれません。
    10歳くらいになるまで、アニメの家なき娘を見ていないのなら、文庫を先に読むのがお勧めです。
    文庫を読んだ上で、なぜ、アニメでは、まとめてしまったかを考えるのもよいかもしれません。

  • 小さな小屋でのサバイバル生活が終わるので、ちょっと楽しみが薄れた。でも、すっかり少女を応援する気になっていたので、きちんとした終わりに導いてもらえてうれしい。後半は、人間関係を泳ぎ抜く、また別のサバイバル生活のような気もする。

  • 孫であることを隠し、おじいさんの工場で働くペリーヌ。やがてフランス語と英語の両方を操れるペリーヌは、技師との通訳、手紙の翻訳などの仕事を任され、おじいさんからの信頼を得るようになりました。でも、でもおじいさんは、結婚を反対された為に出て行ってしまったペリーヌのお父さんを未だ許してはいないようで、それを考えるとペリーヌはどうしても自分が孫であることを打ち明けることをためらってしまうのでした。

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