テラビシアにかける橋 (偕成社文庫 3264)

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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036526406

感想・レビュー・書評

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  • 時代の流れなのかもしれない。アンデルセン賞が興った初期の頃は戦争の傷痕がまだ社会に残っていたせいか、明るい希望に溢れた作風の作家が選ばれていたように思われる。

    世の中が平和になり暮らしが安定してくると、それまで見えなかった個々の人間の心の闇が浮き彫りになってきた。特に90年代以降の受賞作家はそういう傾向にある。

    子ども達と言うより、実は大人が幸せを感じられないのではないだろうか?ここに出てくるレスリーの両親は他人にどう思われようと自分達のスタイルを貫ける。社会的にも経済的にも安定した、いわば幸せな大人だ。

    一方ジェシーの両親は、おそらく幸不幸など考えて余裕がないのだろう。家族の生活を支えるために必死で働くとうさん。子ども達の世話に明け暮れ、家計の心配が耐えないかあさん。上の娘達も年頃になって何かとお金がかかる。

    ジェシーの親も決して悪い親じゃない。けれども心に余裕がない。もう少し余裕があって親子で会話する時間がとれれば、ジェシーの心情もまた違ってきたんだろう。でも現実にはレスリーの家庭は稀なケースで、ジェシーの家みたいなケースのほうが多い。

    この物語の最も大きなテーマは親しい者との死別とそこからの立ち直りなんだけど…平凡な家庭の問題がとても鮮明に提示されている。
    食べるには困らない、病気や不仲などの家族の問題もない、でも、満たされていない。

    [国際アンデルセン賞作家 22/35]

  • 思っていたよりあっけなく・・

  • 久しぶりの再読。パターソンでは『海は知っていた』(姉妹もの)ですごく泣いた記憶があるんだけど、テラビシアはその当時も、感動的なのになぜか入り込めず、今回も同様だった。なんでだろう。ただ、今ひとつ自分を理解してくれないなと思っていた担任の先生が、最後にかけてくれた言葉にはぐっときた。

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「命・生き方」で紹介された本。

  • かすかにほろ苦さが残る終わり。主人公の成長が描かれたラストはなるほどという気分。ただどうしても他の結末はなかったものかと感じてしまい、残念。悲劇パートがとってつけたようで、これといって泣ける話ではない。

  • 「苦しみと絶望の谷は、いつか希望の門にかわる
     ――もしそこに橋があるのならば」

    ヘブライの予言者ホセアの言(訳者あとがきより)

    風邪で、鼻水と咳が止まらない状態で読むべき本ではない。
    涙と鼻水で枕元が洪水になって息ができず苦しかった。
    でも読み終えると、心なしか体調も回復したように思える。

    変わり者の少年と少女が過ごす、みずみずしい描写で描かれた日常、二人の王国テラビシア。
    そこに橋が架かるときにはきっと雨も止み、太陽が雲間から顔をのぞかせることでしょう。

  • 図書室にある本を読んでみました。貧しい、女兄弟ばかりの中の一人の男の子として、閉塞感を持って毎日を過ごしているジェシーに、風変りな少年みたいな女の子、レスリーが越してきて友達になる。作家の両親を持つ彼女は優れた想像力を持ち、ジェシーが今まで知らなかった豊かな世界に導いてくれるが・・・。友達へのあこがれと友情と、ちょっぴりの妬みと、現実の厳しさと、悲しい事件。でもレスリーを通して培ったものが、ジェシーを一歩大人に成長させてくれます。

  • 还有我孩子的心。知道、知道。子供だからやってしまう残酷ないたずらも楽しい。ハンドクリームにのり混ぜるなんて秀逸(笑。それから、自分の気持ち、その通り言葉にすることは何歳つになっても、本当に難しい。

  • 資料番号:020182630
    請求記号:933パ

  • 主役の女の子が「チャーリーとチョコレート工場」に出ていたので気になっていた映画の原作。何気ない日常とそこに潜む問題、それを想像の世界に昇華させることで暮らしていく子どもたちの姿。これがどんな風に映画になっているのか、楽しみ!

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