潮風のおくりもの

制作 : Patricia MacLachlan  掛川 恭子 
  • 偕成社 (1995年6月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037265601

潮風のおくりものの感想・レビュー・書評

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  • 赤ん坊を亡くした家族のもとに、別の赤ん坊が預けられる。いつかは母親が迎えに来る。愛してはいけない、死んだ子の代わりと感じてはいけない、と思いながら、家族全員赤ん坊を愛さずにはいられない。特に死んだ子の母親は、夫が苦しむほど、赤ん坊に心奪われてしまう。死んだ子の姉である主人公の少女も、赤ん坊を愛することで、弟の死が死んだ時から心に積り続けていた思いを意識するようになる。
    静かな筆致ではあるが、赤ん坊を失った家族ひとりひとりが丁寧に描かれている。
    引用されている詩も印象的だし、司書と訳ありの青年の恋、そして夏に観光客が押し寄せる時以外は、厳しい自然の中、助けあいながら暮らす島の人々の姿も心に残る。
    『草原のサラ』より繊細に、巧みに書かれていて、作者の力量を感じた。
    原題はBabyだが、そこに死んだ赤ん坊と生きている赤ん坊二人が一つとなって表されている。
    ただ疑問に思ったのは、赤ん坊が主人公の父母をどう呼んだが書かれていないこと。父母は、赤ん坊の父母ではないことを娘以上に自分たちに向けて繰り返す。しかし実際に「パパ」「ママ」と呼ばせようとしなくても、主人公がそう呼んでいれば、真似して言うのが赤ん坊だ。毎日自分を一番可愛がって、世話してくれる大人に呼び名を呼び掛けない筈はない。この子は二語文が話せるのだから。預けられた時一歳近くだったのに、実母と別れる不安を感じていないようなのもおかしいし、主人公一家にすっかり慣れた後、実母が迎えに来たとき、すんなりと実母の元に戻るのも違和感があった。子どもって、もっと手に負えないものだと思う。それは表現する言葉が少ないのに、感じる力は大人よりずっとあるから。こんなに扱い易くて可愛いだけの子どもはいないと思う。
    まあそういう瑕疵があるとはいえ、とてもいい小説だった。子どもを持つ大人の女性が一番胸を打たれる読者だろう。

  • 私は好きです。ラーキンの一人称で語られる物語。たぶん10才にならないくらいの少女の気持ちが丁寧に語られていて彼女の悲しみや感情が良く伝わってくる。赤ちゃんのソフィーのかわいいこと。言葉をめぐるラーキンの想いもなかなか。何かを失った時にゆっくりと時間をかけて生きること、解決を急がないことでしょうか。

  • 2005

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