- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784037265809
感想・レビュー・書評
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主人公は父親と二人暮らしの少年、ヨエル。
父親は以前は海の男だったが、今は森で木を切る仕事をしている。
母親はヨエルが幼い頃、家を出て行ったきり。
ある冬の夜、目をさましたヨエルは窓の下の通りを走り抜ける犬を見る。
ありふれた灰色の犬。
でもなぜ、こんな寒い夜に外を走っていたのか。
あたりを見回していたのか。
あの犬はなにかをおそれている。
ヨエルにはそんな感じがした。
それからヨエルは夜中に家を抜け出して犬を探すようになる。
そこで出会った人々。
起きた様々な出来事。
それらは少年、ヨエルにどんな影響を与えたのか-。
これは児童書です。
確かに文章も子供向けだし、ひらがなの多い文からも児童書だとは思いますが、読んでいて児童書にしては大人っぽいイメージを受けました。
中には、こんな場面を児童書で描いていいのか?と思うようなのもあったり・・・。
それは日本の児童書では絶対にないだろうというもので、その辺は海外との感覚の違いだな・・・と感じました。
また、子供が毎夜、家を抜け出して・・・というのも、ちょっと考えられない。
以前、北欧を舞台にした映画で、夜中に家を出て遊ぶ子供を見た事があるけど、昼が短いからそうなってしまうのか、向こうではそう珍しい事でもないのか・・・なんて思ったりしました。
他にも日本人の感覚ではちょっと分かりにくい事がちょこちょこありました。
それに、児童書の割には作品の全体を通して暗くて重い雰囲気が漂っていて、それは冬の長い国を舞台にした話だからなのか-と思ったりしました。
そんな訳で私にはあまりこの本の良さが分からなかったんですが、解説を見るとこの本は優れた児童文学作品におくられるニルス・ホルゲション賞というものを受賞しており、ドイツ児童文学賞も受賞しているそうです。
その解説を見ると、私では理解できなかったこの本の良さが説かれています。
私がこの本を読んで感じたのはひと冬の間に少年、ヨエルがいつの間にか成長していたということ、大人に一歩近づいていたということ-だけ。
最近の現代小説を読んでその良さが分からなくても何とも思いませんが、この本の良さが分からなかったというのは何となくちょっと悔しい気がしました。詳細をみるコメント0件をすべて表示