サースキの笛がきこえる

  • 偕成社
4.13
  • (8)
  • (19)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 99
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037268602

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 妖精でもない、人間でもない。サースキはそんな異端の存在。
    人が、自分たちと違うモノを恐れ、排除しようとする、まさに差別や迫害がいかにして起こるかを、妖精というファンタジーの存在で描いた作品。ただ、そう生まれてきたから、という理由だけで迫害される恐ろしさを感じてしまう。
    この物語の救いは、まずサーキス自身が周りからの冷たい仕打ちに対し悲観的すぎず、どこかさらっとしているところ。そしてなにより、サースキを愛してくれる人たちの存在。厳しいが、いざというときはサースキの見方をしてくれる良心、サースキの正体に気がつきながら情を抱き、優しくしてくれる祖母、そしてヤギ飼いの少年。
    彼らの存在があって、サースキはひねくれることなく、まっすぐ自分の道を進む決意をするまでに成長する姿に胸を打たれる。
    サースキの両親の想いが明らかになる場面では、思わず涙…
    きれいな世界と現実世界の怖さが不思議に融合した、心に残る作品。

  • ほかの人とはちがう、と感じたことのあるすべての子どもたちにー作者



    児童文学ポスターでオススメされていたので、読んでみた。


    面白いお話だった♪

  • 妖精と人間のハーフの少女の物語。

    妖精の世界で、他の妖精のように姿を消すことができないのでモックルンクン。あやうく人間につかまりそうになる。妖精としておちこぼれのモックルンクンは、妖精と人間とのあいだに生まれた子供だとわかる。妖精の王は、モックルンクンを赤ちゃんの姿に戻し、人間の赤ちゃんととりかえた。

    鍛冶屋のヤノとアンワラ夫婦の所に生まれた風変わりな赤ん坊、サースキ。肌の色は浅黒く、髪はふわふわの白、瞳はくるくると感情によって色を変える。いつも不機嫌に泣いてばかりで、時にはありえない運動能力を見せる。薬草などにくわしい祖母のベスは、サースキはとりかえっ子じゃないか、と疑うが、両親はその考えを一笑する。
    けれど、サースキが変わった子であることは村でもうわさになり、子どもの間ではいじめが広がる。
    成長するにしたがい、サースキは他の人とちがうという違和感に苦しむが、妖精だったころの記憶は心の奥底にしまわれている。
    両親に止められても、荒れ地に行ってバクパイプを吹き、やはり村からはみだしものの少年タムと語らうのが楽しみだった。
    村で良くないことがあると なんでもサースキのせいにされてしまう日々。とうとう、村では、夏至祭にはサースキを火にいれてしまう、と計画される。
    そのころにはサースキは、自分は半分 妖精だと気づき、昔の記憶を少しづつ取り戻していた。
    村人にどんなに辛くあたられても、自分を守ってくれた両親と祖母。サースキはみんなに迷惑をかけないように、村を去ることを決めた。
    妖精の塚に入り、自分ととりかえられてしまった、両親の本当の子どもを取り返す。母アンワラが本当に喜んでくれる贈り物がなにかわかった、と・・・。


    妖精と人間。まったく違う容姿と価値観だから、サースキはどっちつかずで悩む。自分は何者なのか、と。
    妖精にかかわってしまったばかりに、人生を狂わされてしまった人々。・・・サースキの両親、祖母。 妖精にだまされ、サースキの父だったファーギルじいさん。生きるのに希望をもてず、妖精の国へ自ら入るブルーマン。
    サースキが 両親や祖母に愛されずに育っていたら、
    人間の親友タムと出会っていなければ、
    この結末ではない、悲しいものだったと思う。

    よかった。
    アメリカの作者だけれど、妖精の世界の描き方に納得。

  • 哀しく、さみしい、美しい物語だった。

    妖精と人間の子供として生まれたサースキ。妖精の世界でうまくいかずに、“とりかえ子”にされてしまう。
    人間の世界でもおかしな子といじめられ、うまくいかない…

    誰かが悪い訳ではなく、妖精の世界、人間の世界、ただ、少しずつ何かが違っているだけ。
    しかし、その違いのせいでサースキは妖精でもなく人間でもないものとして生きていかなければならない。

    そんな中でも、サースキを理解しようとしたり、ありのままのサースキを好きになる登場人物もいる。

    それが救いで、この物語に美しさを与えている。

    どこかで、サースキはタムと笛を吹き続けているかもと思わせるラストも美しかった。

  • いわゆる、とりかえ子のおはなしです。

    妖精の世界から、人間の世界へ、とりかえ子とされた、サースキ。
    妖精の世界から受け入れられず、人間の世界からも受け入れられず・・・・・。
    さまざまな辛い仕打ちを乗り越えて、サースキがどのように成長していけるのか・・・・・・。
    目が離せません。

    差別される辛さなど、しっかり書き込まれているので読み進むのが悲しい部分もありますが、サースキとともに乗り越えていくような気分になります。

  • 人間と妖精の間に生まれた少女サースキのお話。

    妖精界を追放された彼女に待っていたのは人間界での生活。

    他の人と違うと思った人は、この物語を是非読んでいただきたい。

  • 妖精のサースキは、人間の血が混じっている。妖精の世界ではうまくやっていけない。人間の子どもになれと言われたとき、「でもあたし、妖精でもあります。半分は妖精です!」と、必死に訴える場面がポイントです。

  • 人間の赤ん坊ととりかえられた、人間と妖精の血をひくサースキ。人間でも妖精でもないサースキは、その容姿や行動からしばしば親を悩ませ、自分自身も苦しむ。結末に深い愛情を感じられる作品。

全19件中 11 - 19件を表示

斎藤倫子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×