シリアからきたバレリーナ

  • 偕成社 (2022年1月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (303ページ) / ISBN・EAN: 9784037269609

作品紹介・あらすじ

シリア人の少女アーヤは、イギリスで難民認定を待っているところだ。
内戦で住めなくなったシリアを脱出し、ようやくマンチェスターに辿り着いた。途中、小さなボートで海を渡る際に父と離れ離れになり、気力を失った母を支えながら赤ちゃんの弟をつれて、毎日、難民支援センターに通っている。
ある日、同じ建物にバレエ教室があることに気づく。シリアでバレエを習っていたアーヤは、そこで明るい少女ドッティや先生ミス・ヘレナに出会い、踊ることで息を吹き返していく。
希望とあたたかさと人間性に満ちた、2020年〈カーネギー賞〉ノミネート作品。

みんなの感想まとめ

物語は、シリア内戦を背景に、少女アーヤが難民としてイギリスに辿り着く過程を描いています。彼女は、戦火で家族と離れ離れになりながらも、バレエを通じて希望を見出していきます。アーヤの経験は、単なる難民の物...

感想・レビュー・書評

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  • 新型コロナウィルスのニュースが日々の中心である日本は。やはり平和な国なのだろう。
    世界の至る所では、紛争が続いており、コロナのワクチンどころか、もっと恐ろしい感染症と隣り合わせで生活している人々がいる。

    アラブの春の余波がシリアにも及び、アサド政権と反政府勢力との武力衝突が始まるまで、アーヤは、アレッポで家族4人と幸せな日々を送っていた。
    他の国のように、政権が倒れて、すぐに人々にとっての日常が戻ると思っていたが、衝突は内戦になり、多くの人が命を落とす惨状となっていく。
    アーヤの父は医者で、戦火で怪我を負った人々の手当に奔走していたが、いよいよ国を出て、かつて暮らしたことのあるイギリスを目指すことを決断をする。

    物語は11歳のシリア人の少女アーヤが、シリアからイギリスにたどり着くまでの物語と、イギリスのマンチェスターで難民申請をするために過ごす日々が並行して描かれている。

    難民という括りではなく、1人の普通の生活をしていた少女として、自分を見てほしいという人としての尊厳。
    イギリスに来るまでの過酷な道のりのトラウマ。
    イギリスで出会った信頼できる大人と友人。
    父の教えと心の支えであるバレエ。

    いくつものキーワードが重なり合い、読む者の心に迫る。

    今も内戦が続くシリア。
    タリバン政権のアフガニスタン、パレスチナ問題。
    この世界には、ごく一部の権力者によって普通に暮らしていた人々の人生が失われた物語が無数にあることを忘れてはならない。
    またその戦争の根本には、かつての植民地支配による問題があることも知るべきだろう。
    できるならば、旧宗主国の作家ではなく、当事者である国の作家が描いた物語が世に出てほしい。
    2022.2.16

  • シリアの内戦により、アレッポからイギリスに避難してきた家族の話。
    長女アーヤの物語。
    児童文学なだけあっめ、読みやすい分かりやすい。

    知ってるようで知らない難民のこと。

    難民とは?庇護申請者とは?
    庇護申請を出し認められて初めて難民と認定されるのは知らなかった。
    勉強になった。

    海を渡ってイギリスに来るまでのシーンは悲しかった。
    パパとの最後のシーンはキツイ。
    タイタニックを思い出してしまった。

    バレエを通し友達や先生にも恵まれ、幸せになってくところがよかった。
    意地悪してきた子とも仲良くなれてよかった。

    英語が話せなく心身弱ってく母を支え、小さな弟の面倒をみたりと
    そんな子は、たくさんいるんだろーなと思った。

  • またとても心に残る児童書に出合った。

    何も知らない私だけれど、難民、庇護申請、などなど、このお話で教えてもらった。
    世界中で起こっている紛争、戦争、そこで生まれる「難民」
    それは現在も過去にも。

    シリアの少女、11才のアーヤは、病んだ母、幼い弟の世話をしながら必死でイギリスへ向かうために過ごしている。
    バレエを支えにして。

    シリアでの平和な暮らしと、あまりにも過酷な脱出の旅が並行して語られる。
    そして、過去の難民であった大人にも出会う。

    バレエの描写が美しく強く哀しかった。

    たくさんの大人、子供たちにこの本が読まれますように

    ≪ 流されて 難民への道 先見えず ≫

  • 「シリアからきたバレリーナ」発売のお知らせ | 相模原市バレエ | 相模原市のバレエ教室なら野沢きよみバレエスタジオ
    https://bit.ly/3HVQ6sO

    CATHERINE BRUTON | Children's/Teen/YA Author
    http://catherinebruton.com/

    HIRASAWA Tomoko illustration
    http://studio-dessin.com/top.html

    シリアからきたバレリーナ | 偕成社 | 児童書出版社
    https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784037269609

  • 世界の難民の27%がシリア難民だそうです。
    しかも、まだ「難民」になれない「庇護申請者」というものがあると
    この本で初めて知りました。

    主人公アーヤは大変な思いをしてイギリスにたどり着きます。
    普通に自分の家で暮らせることが、どんなに幸せなことかと改めて思わされます。
    戦争さえなければ、彼女たちは平和にシリアで暮らせたのです。

    〈あたしも、みんなとおんなじ、ただの女の子なの。
    生活をめちゃめちゃにされることを自分から選んだわけじゃないーでも、ことばは出てこなかった〉

    いまウクライナが大変なことになっていて、住民の皆さんはアーヤたちのように怖い思いをしているにちがいありません。

    少しでも早く、ロシアが撤退することを
    願ってやみません。

  • ケン・ローチ監督の映画「オールド・オーク」を観てからシリア関係の本を何冊が読んでいる。この本は映画と同じイギリスに来たシリア難民の話である。
    主人公のアーヤは才能豊かなバレエダンサー、アレッポでも著名なバレリーナにバレエを習っていた。そして内戦で命からがらシリアから逃げ、途中海で遭難しかかりながらイギリスに着く。ところが父親とは生き別れ、母親も体調が悪く、弟はまだ幼いという頼れる人がいない中、運良くイギリスのバレエスクールに通えることとなり、徐々にアーヤの精神も回復し、未来に向かって力強く歩き始めるという話であった。
     たびたび挿入されるバレエの動作、また踊り手の精神がバレエの根幹をなすということ、バレエの先生がユダヤ人でナチの虐殺から亡命したであることなど、ストーリの中に色んな要素が盛り込まれ、厚みのある話となっており、大変良い話だった。
     日本人が難民を理解するのに適した本だった。ただしアーヤがもしバレエの才能に恵まれていなかったら、物語は悪い方にしか展開しなさそうで、あくまでお話という感じは否めなかった。

  • シリアから戦火を逃れてイギリスへ来たバレエ好きな少女アーヤ。母と幼い弟と難民認定されることを待っている日々。
    幸運にもアーヤは再びバレエ教室に行けることに。
    バレエを通じて少女たちの心が通い合う。

  • すごくよくて、最後は涙をこらえながら読んだ。
    たしかに、アーヤにバレエの才能があり、逃れた先でもすばらしい先生と出会い……という展開は、甘いといえば甘いのかもしれないけど、希望がないとなかなか先を読む原動力が生まれない。

    でも甘いだけでなく、アーヤの今と、これまでを描くなかから、シリアでバレエ好きのふつうの少女として暮らしていたこと、ある日戦争がどんどん迫ってきて逃げ出すしかなくなったこと、過酷な逃避行とお父さん……、難民キャンプのつらさ、ひたすら希望のない待機を迫られる難民申請の理不尽さなどなど、きびしい現実も描かれていて、日本の入管などのことも頭に浮かび、つらくなる。

    そして、そういったもろもろのことを外からの視点じゃなく、ある日突然「難民」にならざるを得なかったアーヤの視点から読むことができるのがいい。周囲の無理解や偏見を受ける心の痛み、失われた人や暮らしへの悲しみ、自分と家族の人生が「申請」と「審理」で決められてしまう絶望感、一縷の希望、そして自分だけがイギリスで踊り続けてもいいのかという罪悪感などがありありと伝わってくる。

    かわいいバレリーナの(ちょっと日本人ぽい……というか、ヨーロッパ人ぽい?!)表紙だけど、踊る人にも踊らない人にも、男の子にも女の子にも手にとってほしい本。

  • バレエの描写が美しい。

    主人公の心模様がしっかりかかれていてすっと同調できる。

    友人たちがよいキャラクター。

    やさしいはなし。

    主人公がとてもつらい経験をしているけど、その悲しみにのまれないところがすごい。

  • 不安定な世界情勢、複雑で分からない事を児童書で取り込んでみようと手に取りました。難民と庇護申請者の違いなど、理解していなかった部分が大人の私にもよく分かりました。訳者も巻末に寄せていますが、「世界を良くするためにひとりひとりができること」を改めて考えるよい機会になりました。

  • 内戦でシリアを追われた少女アーヤは、長い旅の末、イギリスへとたどりついた。母は病み、幼い弟の世話をしながら、難民申請のために長い時間待ち続ける毎日。ある日、支援センターの二階でバレエ教室が開かれていると知ったアーヤ。シリアで習っていたバレエ教室を思い出し、体がひとりでに動き出す……。

    今この瞬間にも難民と呼ばれる人は増えている。シリア、アフガニスタン、そしてウクライナ……。日本ではそういう人々と関わる機会は少ないかもしれないので、こういう本はぜひ読んでもらいたい。
    難民に関する物語を何冊も読んだ。この場合はイギリスだが、政府の対応はひじょうに遅く、一元管理されるため個々の事情には配慮していられないと描かれている。すべての難民を助けることが難しいのはわかる。だからこそ、知り合った個々の相手を助けたいと思う意識、一人一人が動くことが大切だと思われた。
    アーヤの「ダンスに爆弾を落としたり砲弾を撃ちこんだりはできない」と考えるところがとてもよかった。人の思いや、ダンスでなくてもスポーツ競技や、文学や、そういうものを壊すことはできないということが伝わる。
    ドッティは、時々ちょっと無神経じゃない?と思うようなことをいうので、読みながらハラハラしてしまった。
    現代の戦争だけでなく、過去ともつながっているところがこの作品のさらに良いところ。悲しいことに戦争という過ちがなかなかなくならないが、人と人が助け合う希望だって、失われることはなくつながっていく。

  • イギリスで難民認定を待っているシリア人の少女アーヤ。同じ建物にバレエ教室があることに気づき、シリアでバレエを習っていたアーヤは、そこで明るい少女ドッティや先生ミス・ヘレナに出会い、踊ることで息を吹き返していく。人は人に助けられて生きている。普通に日々の生活を送れることがどんなに幸せなことか。

  • やや都合の良い展開だったり、蛇足かなと思う要素もあったが、戦争から逃れて国を移動するという事がどんなに大変なことか、アーヤの心に寄り添いながら知ることが出来る。間にシリアでの出来事や移動中の回想シーンが入り、徐々に過去を思い出し向き合っていくアーヤの様子がよく伝わる。最後は、ひとりチャンスを与えられたことへの罪悪感をはねのけ、みんなのために踊るアーヤの様子に勇気をもらえる。アーヤはかなり幸運で、住むところも学校も友達もなんとかなるので、ここまできたらもう最後もパパで良かったのでは…?と思ってしまうが…。全体的には心揺り動かされてとても良かった。

  • アーヤの現在と過去が交互に描かれる構成で、平和が当たり前だった暮らしが戦争に侵食されていった過程が徐々に分かり、本当に戦争は他人事ではないの身につまされる。
    国を出るのも命懸け、難民認定されるまでも果てしない手続きがあることを初めて知った。
    バレエの知識は全くないが、アーヤの繊細な感情がバレエを通して揺れたり変わっていくのがすごく伝わってくる。ドッティやミス・ヘレナとの関わり(彼女らのスタンス)もとても良い。

  • シリアからきた主人公のアーヤは、難民で、苦しい生活をしていた。それでもアーヤはバレエが好きだから大変な生活の中、バレエを通してだんだんと元の生活も友達も取り戻していくという物語。一番心に残った場面は、アーヤは爆弾で傷ついた足を、勇気を持ってみんなに見せたところです。自分にとってはみたくない思いもある中みんなに真実を知ってもらうために勇気を持ってみんなに見せたのは、すごいと思いました。
    M

  • よかった!
    シリアのアレッポからきた11歳のアーヤ
    「橋の前に来たら渡るんだよ。起こらないかもしれないことの心配はしちゃいけない」
    わずか11歳でこんなにたくさんの経験をしてたくさんの問題を抱えている、そんな中で誠実に生きる、
    つらい記憶を呼び覚まし、向き合い、ダンスにして語る、
    自分の物語を、亡くなった人の物語も一緒に語る、そんなことかな。

  • シリアから脱出し、イギリスで難民指定を待つ少女。シリアでも習っていたバレエを踊ることで自分を取り戻していく。個人的には翻訳がイマイチで、はまらなかった。

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著者プロフィール

作者 キャサリン・ブルートン
オックスフォード大学英文科卒業。中学校の英語教師として働きながら、児童文学作家として活躍。アフリカや中東などからの難民の子どもたちを教えた経験を持つ。本書はイギリスの児童文学賞〈カーネギー賞〉にノミネートされた。そのほかの作品に『We Can Be Heroes』『Another Twist in the Tale』などがある。英国バース在住。

「2022年 『シリアからきたバレリーナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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