空へつづく神話

  • 偕成社 (2000年6月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (286ページ) / ISBN・EAN: 9784037270803

みんなの感想まとめ

小学生の女の子が記憶を失った神様と出会い、町の歴史を調べながら神様の正体を探る冒険が描かれています。この物語は、子どもたちにとって自分の住む場所への理解を深めるきっかけを与えてくれます。感想からは、読...

感想・レビュー・書評

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  •  富安陽子さんの作品を読み続けて、彼女の不思議な物語の魅力に迫る期間、再開です。


     今回は『産経児童出版文化賞』を受賞した、土地の伝承や伝説に基づいた神話の物語(2000年)で、神様とはどのような存在なのかということを現実とアレンジ共に交えながら教えてくれた、それは物語の始まりに於ける、小学6年生の主人公「林理子」の、『理子にとって神様というものは、いつも気まぐれで、不公平で、えこひいきばかりする、ろくでもないやつ』という印象が、物語の終わる頃にはどのように変化したのかを知ることで、より分かりやすく共感を得やすい親しみやすさがありつつ(広瀬弦さんの絵も含め)、大人にとっても目から鱗の知識が多い。

     学校の図書室の通路に突然現れた「ジジン」と名乗る、まるで因幡の白兎の大国主命のような格好をした「白髪頭のおじさん」に、最初は動揺を隠せなかった理子であったが、どうやら彼は記憶喪失のようで、自分が何故この地に呼ばれたのか全く思い出せないことを知った彼女は、仮の名として「ヒゲさん」と呼びながら彼の側に落ちていた「津雲の史跡」という古い本の謎と共に、彼が誰なのかを探ろうとする。

     物語の構成の上手さとして謎を探ることで、『じぶんがくらす市の中に、こんなにたくさんの伝説が眠っていることを、理子は知らなかった』と、改めて自分の住む土地にはこんな歴史があったんだという郷土史の面白さを知ることに加えて、『土地の名前には、それぞれの意味があり、それぞれの歴史がこめられている』点には、神様と人間との密接な関係性が垣間見えてくることから、そうしたことを知らず、安易に名前を変更することは大きな災いを呼び起こすのではないかと、本書に於いても、それが危惧されるような展開になった時に感じたのだが、そこには当時の人々の真摯な願いが実は込められていたことを知ることによって、その関係性がどれだけ大切なものであるのかを感じ取れたことから、本書は神様と人間のみならず、神様と土地との関係性も身近で密接なものであることを教えてくれた、それは終盤にほろりとさせる展開となりながら大きな喜びともなった、今となれば夢のような体験を経た理子自身の成長でもあったのだ。

     「九十九市」から「津雲市」へと変わったことや、桜の木に生まれ変わって、この地を見守っているという『名月姫』の伝説、橋の根元や半町の牛廻し石や本の背表紙に付けられた蛾のマークと、それら全てには意味があることが、そのまま上質な本格ミステリのような謎解きの面白さとして二転三転する展開の面白さにもなっていながら、『おとなって、どうしてこうなんだろ。どんなふしぎなことにも、むりやり説明をつけないと気がすまないんだから』と、現実世界にそっと開いている不思議な扉の存在の素晴らしさも示唆した、富安さんのメッセージがまた印象的で、それは彼女のあとがきに書かれていた、『わたしも理子のように、見えない験(しるし)に導かれて物語を書き綴っていた気がする』のように、人生とは現実世界にちょっとした不思議な存在を感じることでより味わい深いものとなるのではないかと、私には感じられたのである。


     本書を読んだことで富安さんの物語の魅力は妖怪や歴史ロマンだけに留まらず、神話や土地の伝承、伝説も含めた郷土史の中に不思議があることを実感したことによって、彼女の中にある『不思議』の多彩な幅の広さや奥深さ、そして更なる楽しさを知った気持ちとなることで、自分の住む世界の見えないものへと思いを馳せたくなった、そんな彼女の物語には、人間と不思議なものたちとがより親しみをもって関わっていた過去の世界に憧れを抱かせる魅力もあって、それを今の世界とリンクさせたい気持ちもきっとあるのだろうと思う。

  • 小6の女の子の冒険のお話
    面白かったと言うか楽しかった
    得意でないけれど何かの切っ掛けで物事を進めたり、知らない事を調べる事は素晴らし
    子どもの時にこんな本に出会えていたら もっと本好きになれた気がします

    • たださん
      私もこの本、好きです。
      世の中は捨てたものでは無いんだということを、子どもの頃に知りたかったです。
      生きる励みとなるだけではなく、物語として...
      私もこの本、好きです。
      世の中は捨てたものでは無いんだということを、子どもの頃に知りたかったです。
      生きる励みとなるだけではなく、物語として楽しめるところが富安先生ならではですよね。
      2026/03/10
    • 栗さん
      こんばんは
      いつもありがとございます
      ワクワク、ドキドキ、ユーモアたっぷり、子どもの心を良い事も悪い所もちゃんと掴んでいて 大人でも楽しめ...
      こんばんは
      いつもありがとございます
      ワクワク、ドキドキ、ユーモアたっぷり、子どもの心を良い事も悪い所もちゃんと掴んでいて 大人でも楽しめる本が沢山ですね
      2026/03/10
    • たださん
      こんばんは。
      こちらこそ、ありがとうございます。
      栗さんもたくさんの富安作品を読まれていて、これからも楽しみにしております(^_^)
      こんばんは。
      こちらこそ、ありがとうございます。
      栗さんもたくさんの富安作品を読まれていて、これからも楽しみにしております(^_^)
      2026/03/10
  • 小学生の女の子と記憶をなくした神様のお話し。

    小学生の女の子が学校の図書室で記憶をなくした神様と出会います。神様の記憶を取り戻すために女の子は町の歴史を調べます。さて、神様の正体とは、、、

    小学4年生の息子がすっごく面白かったというので読んでみました。誰でも小学生の頃、自分の住む町について授業などで調べたことがあったと思います。そんな子供時代と梅雨が明け、夏か始まる頃の何ともいえないにおいを感じる事ができました。とても素敵な本です。

    • ほっぺプニプニマンさん
      イイねしたよーん
      イイねしたよーん
      2020/08/17
    • りまのさん
      もとさん
      はじめまして
      え!ほっぺプニプニマンさんのお母様なのですか?
      びっくりしました。
      読書好きな息子さん、とても良いですね!
      ついコメ...
      もとさん
      はじめまして
      え!ほっぺプニプニマンさんのお母様なのですか?
      びっくりしました。
      読書好きな息子さん、とても良いですね!
      ついコメントしてしまいました♪
      2021/01/17
    • りまのさん
      もとさん
      失礼しました。
      お父様だったのですね?
      もとさん
      失礼しました。
      お父様だったのですね?
      2021/01/17
  • 「ここが、神にふさわしいすみかだとは思えんが、満ちたりることをしらぬ者は、己を滅ぼす。」

    六箇山がなぜ白髪山とよばれていたかには、二通りの説があって、まず一つ目は、冬、雪をいただいた山のすがたが、白髪頭の神様のすがたににているからだという説と、それから、九十九の神が住む山という意味の、白神山、白い神様の山が転じて、白い髪の毛の山になったという説がある。

    実際にある地名やよくある風景、設定から物語が始まっている。私は白神山地の由来や学校の風景を思い出しながら、雷などの自然現象にまつわる出来事を思い返しながら読んだ。幼小時代のさまざまな出来事にはちゃんと意味があるのかもしれない。こんな裏話があったらいいなと、物語の中に惹きこまれた。見方が広がった。

    #読書 #読書が好きな人とつながりたい #空へとつづく神話 #富安陽子 #偕成社 #広瀬弦

  • 記憶喪失の神様があるごく普通の女の子に助けられるお話

    ある日女の子が図書の時間に、図鑑を読んでいたら先生に図鑑の絵ばかりをみているんじゃなくて図鑑じゃない本の文ちゃんと読みなさいと怒られて違う本を探していると何故か本が落ちてきてそしたらなんと...。

    面白かったです。ぼくも神様と一緒に空を飛んでみたいなぁと思いました。
    神様太ってて可愛かった。
    面白くってお父さんにオススメしたら読んでくれて感想も書いてくれた。
    だからもとさんの感想読んでね。
    これの下にあると思うから。
    よかったらいいねしてね。
    出来たらフォローしてね。
    フォローし返すから。
    もとさんはわからないけど。
    ぼくがフォローするからね。

  • 富安陽子と岡田淳は子どもの時に出会っておきたかった。大人になって読んでも、きっちりどきどきさせてくれたあと、ためいきが出るほど満足する作品を量産する作家さんではあるけれども、それでもやっぱり。だからこそ。

    図書館で郷土史を調べることのわくわくを、切実を、こんなに書いてある本あったっけ。偶然知りあった地神と、若干いい加減な小学生女子のかけあいがおもしろい。クライマックス、台風のシーンは圧巻かつ爽快。映像化しても絶対受けるヤツ。

  • 大人になった今だから、より好きになれる本。

    本のタイトル、そういう意味だったのか~の納得。
    最後の最後まで練り込まれていた。
    全てがすっきりするし、やさしくて、大好き。

  • こういう物語を小学生時代にしっかり読んでほしい。記憶喪失の神様(ヒゲさん)を小学生の里子が助けるお話。神様の恩返しがいい。若干 お姉ちゃんがわがままで腹立つ(笑)

  • ヒゲさんの記憶を取り戻すため、理子(さとこ)が、がんばります。ヒゲさんの正体が、わかって心がすっきりしました。

  • 微妙な年ごろの描写が巧み。
    ついつい思い通りにいかないことを人のせいにしたり、
    何事にも気合が入らなかったり。

    そんな理子がひょんなことからであったのは
    記憶を失ってしまった神様でした。

    それがきっかけで理子は
    自分の住む津雲市に関して調べるようになるのです。
    そして、ある意味ありげな歴史を
    知ることとなります…

    謎解き要素もあるし、考えさせられることも
    たくさんあります。
    人は、便利になるといろいろなことを忘れてしまいます。
    だけれども、もし、すこしでもそれを
    思い出してくれる人がいたならば…

    もしかしたら、あの神様が
    そばにいるかも?

  • 子どもの頃、富安陽子さんの書くファンタジーの世界が大好きでした。初めて作家さんの名前を意識して「この人の本をもっと読みたい」と思ったことを今でも鮮明に覚えています。
    久しぶりに思い出して、読み直したくなって図書館で借りました。初めてこの本を読んだとき、ちょうど理子と同じくらいの年齢だったと思うのですが、理子の「なんであたしだけ!神様はえこひいきばっかり!」という気持ちにはその当時もすごく共感していたような気がします。嫌なことって重なる時は重なるし、でも誰を恨んでいいかもわからない、どうしようもない気持ちになってしまいます。そんなモヤモヤをそっと包みこんでくれる優しいお話だと思います。

    自分の住む町にも、こんな大らかな神様がいたらいいなあ、なんて思ったりもしました。ずっと好きで住んでいながら、自分の町のこと、全然知らないなとちょっと寂しい気持ちにもなりました。今度図書館へ行ったら、郷土史コーナーでも覗いてみようかと思います。

  • 久々に児童文学を読んだ。
    図書館で偶然出会った本だけど
    優しい話でした。
    ラストのヒマワリ

  • 理子が学校の図書室で見付けた古い本、それは街の歴史が書かれた本だった。その本を手にした時に現れた不思議な真っ白ななひげのおじさんは、記憶をなくした神様だった。
    地神をテーマにしたファンタジー。町の移り変わりや町の名前の由来などに、神様のなくした記憶を絡ませて物語は展開されます。神様と理子のやり取りも面白く、謎による引きつけも強く楽しく読めます。それがラストの爽快感に繋がるのです。
    元々町と神様は結びつきが強いもの。神様の記憶を探る中でそのことに気付かされる様子が素敵です。またここにはさり気なく物事の調べ方も提示されているのですね。そこがまた素敵です。
    町の名前が変わることよりも、それによって町の歴史や謂れが忘れられることの方を問題視する。名前が変わっても歴史がなくなる訳ではない。過去を大切にすることは過去に固執することではない。そこからまた新たな歴史が作られていく。それは未来を築く子どもたちへ託されたメッセージなのでしょう。

  • 自分の名前も忘れてしまった記憶喪失の神様、通称ヒゲさん。ヒゲさんは何者なのか。一体なぜ目覚めたのか。小6の理子がヒゲさんと一緒に謎に迫る。舞台になっている津雲の土地の歴史や伝説などを絡めつつ展開していく感じがおもしろくてぐんぐん引き込まれた。理子はクラスメイトともあんまり仲良くもできないし授業の発表も失敗するし片付けも苦手そうだし先生にも注意されるしなんだかぱっとしない女の子。でも頑張ったよね。ほんとに一生懸命頑張った。

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「冒険・ファンタジー」で紹介された本。

  • 創作物語。ファンタジー。
    小学六年生の理子は図書の時間に白髪で真っ白いひげを生やした太ったおじさんにあいます。すうっと棚の中に消えたと思ったおじさんがまた自分の部屋にあらわれ、自分は地神であり、自分の名前とこの地に現れたわけを思い出す手助けをして欲しいという。おじさんにヒゲさんという呼び名を付け、はじめはしぶしぶ調べていた里子だったが、次第に自分の住んでいる津雲市に災害が起こるかもしれないことがわかってきて、真剣に調べるようになる。やがてヒゲさんの秘密と津雲小学校が深く関係していることが分かってきて、ヒゲさんも記憶を取り戻す。二人で町を大きな台風から守り、ヒゲさんに新しい名前を付けてあげる。理子がヒゲさんに恩返しに頼んだひまわり柄のワンピースは、ちょっと違う形で返してもらうことになった。
    読書が大の苦手の主人公が、不本意ながら図書館で調べ物をしながら謎を解いてゆく過程がとても自然に語られている。大昔の謎が自分の小学校にあったという発見は小学生にとってとてもわくわくする出来事に違いない。優しげに見えた神様が実は荒ぶる神であったというどんでん返しはどきどきするが最後はハッピーエンドで終わり満足する。

  • 【図書館】富安陽子さんの読んだ本での中で一番好きかもしれない。児童書の面白さを改めて感じた気がする。富安陽子さんは、神様のお話が好きなのかな。

  • 子供が小学生の時に、読ませたいと買った本

  • しぶしぶだった神様にお願いされての調べものに熱中していく様子がほほえましいです。
    それにしても妙に人間くさい神様がかわいらしいです。

  • とても面白かった。

    記憶を無くし、自分の名前も思い出せない神様と一緒に、町におこる(かもしれない)災いを防ごうと郷土資料や史跡を調べることになった理子。
    今住んでいる町の当たり前の姿も50年、100年前は全然違う姿だったわけで…… 調べていくうちに理子は、皆が忘れてしまった町の歴史や昔の人が未来に託した願いを知る。

    こういう歴史はどこの町にもありそうで、この本を読んで、自分の住む町の歴史や謎に興味を持つ子がいるかも知れない。
    学校の図書室の郷土資料をもっと充実させよう。

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著者プロフィール

1959年生まれ。1991年『クヌギ林のザワザワ荘』(あかね書房)で第24回日本児童文学者協会賞新人賞、第40回小学館文学賞を受賞、1997年「小さなスズナ姫」シリーズ(偕成社)で第15回新美南吉児童文学賞を受賞、2001年『空へつづく神話』(偕成社)で第48回産経児童出版文化賞を受賞、『盆まねき』(偕成社)により2011年第49回野間児童文芸賞、2012年第59回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞、2021年『さくらの谷』(絵・松成真理子 偕成社)で第52回講談社絵本賞を受賞。絵本に「やまんばのむすめ まゆのおはなし」シリーズ(絵・降矢なな 福音館書店)、「オニのサラリーマン」シリーズ(絵・大島妙子 福音館書店)などがある。

「2023年 『そらうみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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