野原できみとピクニック

著者 :
  • 偕成社
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本棚登録 : 62
感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037273309

作品紹介・あらすじ

優弥はある日、繁華街で男子高生に絡まれていたところを、通りかかった稀星に助けられる。
裕福な家に生まれ、進学校に通う優弥と、底辺校に通いながら、家計を助けるためアルバイトにいそしむ稀星はお互いの違いにとまどいながらも、しだいに惹かれあっていく。
育ってきた環境が、まったくちがう2人が恋に落ちたら、見える世界はどう変わるのだろう。
2人の恋が現代日本を映しだす、格差社会のラブストーリー。



スマホをとりだして、ラインを立ちあげ、短いメッセージを打つ。
    大好きだよ
向かいのホームに降りると、稀星が手を振っているのが見えた。
優弥はあわててスマホを指さす。
そのとき、くだりの電車が滑りこんできて、稀星の姿が見えなくなる。
電車が動きだすとすぐに、上り電車が入線してきた。
先ほど打ちこんだ文字が、既読に変わった。(本文より)

感想・レビュー・書評

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  • 裕福な家庭の生徒たちが在籍通うS学園、生活の苦しい生徒の多いL高。
    線路を挟んで隣同士だけど、ガラスの壁があるみたいに全く交流がない。

    S 学園の優弥はたちのワルい学生に詰め寄られていた所を、L高の女子・稀星に助けてもらう。
    一目惚れだった。

    〇優弥と稀星、2人の視点で交互に語られる。高校生が書いたようなぶっきらぼうなナチュラルな文章。初々しい高校生の恋。
    他の子どもたちも等身大に見えた。
    〇平行線に見えた2人も、2人がきっかけになった2校の交流も、水滴が孔を穿っていくように。噂は敵にも味方にも。
    〇子どもたちから見る大人の事情や世界がリアル。大人って!という人もいれば、粋な大人も、生きにくそうだなあという大人も。

  • 駅の北側にある私立の進学校に通う優弥が一目ぼれしたのは、駅の南側にある底辺校に通う稀星(きらら)だった

    裕福な家庭に育った優弥と家計を助けるためにアルバイトをする稀星

    「かみあうはずないし、L高生とつきあってるなんて、親にだって言えないだろ? 住んでる世界が違うんだ。あんな子のどこがいいんだよ」

    「S学園の男なんてさ、やめたほうがいいよ。合うわけねえって。悪いこと言わないからさ。やめなよ。あとで後悔するに決まってるよ」

    “平行線”の世界に住む二人は惹かれあい、両校生徒の交流会を開こうと奮闘するが……

    濱野京子の最新YAは“格差社会のボーイミーツガール”

    《二人が向き合う。優弥が右手でそっと稀星の左手を握る。指先が触れたとたん、稀星の大きな目がますます見開く。今すぐ、稀星を抱きしめたい》

    格差、性的少数者、若年層の性被害、外国人労働者など現代の社会問題をさりげなく取り入れた、ピュアでさわやかな青春ラブストーリー

  • 同じ高校生という存在でも、交わることはない生徒たち。無意識に出てしまう「差」みたいなものが、読んでてどうしようもない気持ちになった。生まれてくる環境は選べないけど、そこからは自分で選んでいくことはできるのかな。誰も他の人にはなれないし、自分は自分で生きていくしかない。

  • 同じ駅を利用していても、決して交わることの無い進学校と底辺校の生徒たち。
    駅の反対側の地区で不良たちに絡まれた優弥を助けた稀星の二人は、生活圏の違いに戸惑いながらも惹かれ合っていく。

  • 駅を挟んで北にある進学校に通う優弥と南にある底辺校に通う稀星は、ひょんなことから知り合う。家庭環境も価値観も全く違う二人だが、惹かれあうようになり、徐々に自分とは違う環境にある人への理解を深めていく。
    さわやかな表紙のイラストがSFっぽくも見え、極端かつ類型化された設定が、違う世界線の出来事のような、寓話のような、不思議な雰囲気をまとって見えた。
    高校生たちが、誰かに教えられるわけでなく、自分たちで社会の多様性に気づき、他者を理解する努力を重ねる様子が、明るい清々しさで書かれている。

  • 格差社会で生まれる友情と愛情。

    表紙のセンス、帯の色、文字の配置等 YA世代が手に取りやすいはず!

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著者プロフィール

熊本県に生まれ、東京で育つ。『フュージョン』で第2回JBBY賞、『トーキョー・クロスロード』で第25回坪田譲治文学賞を受賞。作品に『バンドガール!』『石を抱くエイリアン』『アギーの祈り』『with you』『この川のむこうに君がいる』などがある。

「2021年 『野原できみとピクニック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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