- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784037441500
感想・レビュー・書評
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設定が近未来的なせいか、デビュー作だからか、なんとなく薄っぺらい印象。
児童文学なためかひらがな表記が多く、読み進めるのに難儀しました。
環境破壊が進み、住むことの適わなくなった地球から離れた人類が辿り着いたナイラ星が舞台。
彼らは先住民を「野蛮」と蔑んで迫害し、資源を独占する。そして自分たちのユートピアを築きあげたのだった。もちろんそんな歴史は、政府の思惑により何重にも包まれたオブラートで美化されている。
環境破壊、強奪、実力支配、黒歴史には蓋を。
ファンタジーでありながら、現代社会の歪を写しとっている筆致はさすが上橋さんと言える。
ぜひ大人向けに、漢字を増やして文庫化してほしいものです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
デビュー作らしい。再版のあとがきには今の自分とずいぶん考え方や感じ方が違うとのことだったが、世界の捉え方や民族、文明といったものの捉え方、守り人やエリンを書いた人だなあと思う。食べ物も然り。おいしそう。
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上橋菜穂子さんのデビュー作。読むのは3回目くらいです。やっぱり面白い!リンガラー・ホウ〈精霊の木〉とか、アガー・トゥー・ナール〈過去を夢見る者〉とか、言い方が好き!!ロシュナールの〈母たち〉が、957年の月日を経て、リンガラー・ホウの種を求めて〈精霊の道〉をやってくる。「アガー・トゥー・ナール、夢見ておくれ、この夕方を。そして、であっておくれ、リンガラー・ホウに」まだ見ぬ子孫に未来への希望を託すドン。また次に〈精霊の道〉が開くとき、誰かがロシュナールの思いを継いで、リンガラー・ホウを守っていますように。
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侵略されて消された民族と、その民族が語り継いできた何かが、それを知らない侵略者の側から見たら脅威で、それが何であるかを主人公たちが探し求める。
この方の追求するテーマのようです。
精霊の守り人を読んだ後に、この方の作品を読んだはずなのですが、初めて読むような緊張感がありました。 -
ありがちだけど、わりと好き。
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素晴らしい作家さんに出会えたことに感謝。
『ゲド戦記』に通じるものを感じる。
作者がアボリジニや沖縄の古老との出会いの中で感じたもの。
人間は地球に生かされているもののひとつであることを感じることができればゆったりと呼吸ができるかもしれない。
現代文明が間違った方向に行かないように精霊が語りかけてくる。
清潔で快適、できれば楽して生きたいのも本音だし、悪くないと思う。
さて、それでは私にとって楽な生き方とはどんな生き方なの?
それは隣の人とわかりあい、分かち合えるやり方なの?この作品で子どもたちが経験したことは私が日々考えていくことに通じている。 -
ご本人も書かれているように、原石の物語。
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図書館で見かけて何となく手にしましたが、やはりおもしろい!
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遥かな未来
地球に住めなくなった人間が移民船で宇宙を旅し
新たに人の住める星々を見つけた
しかし、移住出来そうな環境の星にはどこにも
人と同じように進化を遂げた文明があり
その先住民との共生を余儀なくされる
主人公たちの住む星も、そういった先住民の住まう星だったが
地球人が移住して環境の変化した星に
何故か適応できず、やがて先住民は滅亡してしまう
…そう、人々は知らされていた———
*
あとがきにもあったけれど
これだけで三冊くらいは別ジャンルの本を書けそうな
濃厚な作品だった
SF、ファンタジー、そして歴史モノ
主人公の従妹が不思議な能力に目覚めることで物語は始まるのだが
その能力によって明かされた星や人間の歴史は
決して面白いものではなく
支配や排除や、残酷なまでの蹂躙の仕方に
たびたび閉口せざるをえなくなった
「自分がされて嫌なことは人にはしない」
どこの民族の言葉だったか覚えていないけれど
どんな科学や文明の発展した世界よりも
これが真実だと思う