バレエダンサー (上)

  • 偕成社 (1997年1月1日発売)
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  • 本 ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037443207

感想・レビュー・書評

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  •  英国生まれの少年、主人公デューン13歳王立バレエ学校の生徒。ロンドン、ロイヤル劇場でのガラ公演の幕が上がるシーンから物語は始まる。
     あらすじは…姉クリスタルのバレエレッスンについていくうちにバレエに惹かれていくデューン。当時男性のバレエダンサーの少ない時代、偏見と誤解にさらされながらもデューンは才能を発揮していく…
     なんでこの話が好きかと考えると…デューンのひたむきさが周りの人を巻き込んでいくところかな。「バレエが好き!音楽が好き!芝居が好き!」という一途な気持ちを持ってる人のことを応援したくなるんですよね。弟の才能に対する姉クリスタルの屈折した気持ちにも共感します。下巻も楽しみに♪

  • ※上下巻合わせての感想です。

    バレエに対する天性の才能を持つ少年デューンが、幾多の困難を乗り越えて才能を開花させていくお話。
    『シンデレラはどこへ行ったのか』という本の中で『木曜日の子どもたち』というタイトルで紹介されていた本。児童書で読みやすいこともあるが、内容に引き込まれ、一晩で読み終えてしまった。

    デューンは6人兄姉の末っ子。ダンサーとして成功したかった母親の期待を一身に受けてバレエ教室に通う二歳上の姉、クリスタルについて教室を訪れた彼は、バレエの魅力に取りつかれてしまう。
    姉のようにバレエを習いたいものの、家族に取り合ってもらえないデューンは、屋根裏で元サーカス団員から軽業を習い、教室の外で漏れ聞こえる音楽に合わせて一人練習する。
    そんな彼の才能は次第に周囲の人たちに認められ、デューンは少しずつバレエダンサーの道を歩んでゆく。

    登場人物一人一人がリアルでいちいち感情移入してしまい、読んでいて気持ちが忙しかった。著者のルーマ・ゴッデンはインドのカルカッタでバレエ学校を開いていたそうだが、実際にこのような人たちを大勢見てきたのだろう。

    本書の主人公はデューンで、彼の才能の開花と成長がこの物語の中心をなしていることはもちろんなのだが、私が特に思い入れを持って読んだのは姉のクリスタルだった。
    小さいころから特別扱いされ、わがまま放題に育ったクリスタルは、しだいに自分より注目されるデューンに対し、バレエ以外のことに目を向けさせようとしたり、策を講じて表舞台に立つことを阻止したりしようとする。決して褒められる行動ではないのだが、彼女は彼女なりに、母親の期待に応えないといけない、というプレッシャーに常にさらされ、苦労してきたのである。
    クリスタルに才能がなかったら、早々と見切りをつけて別の道に進むという方法もあったのかもしれない。だが、なまじ才能があり、華やかな見た目を持つ彼女は、天性の才能を持つ弟を横目に、不安と嫉妬にさいなまれながらバレエをやめることもできなかった。
    まだ幼い少女に与えられた環境の過酷さを思うと、つらいよね、と思わず抱きしめたくなる。

    ただ、年を重ねると、クリスタルに過度に期待を寄せる母親、モーディの気持ちも理解できる。
    待望の女の子の誕生。この子に自分の果たせなかった夢を託したい。子どもは自分の夢をかなえる道具ではないのに、同性の子どもにはついつい自分の理想を押し付けてしまう。
    デューンには悪いことをしている、とわかっていても、クリスタルへの肩入れをやめることができない。屋根裏で寝るデューンに夜中にそっと布団をかけてやる彼女の行為には罪悪感がにじみ出る。

    この物語のすばらしいところは、天才デューンだけでなく、その周りのごく普通の人たちが、挫折を繰り返しながら、自分の立ち位置を見つけていく過程が丁寧に描かれているところである。
    また、脇を支える家族、特に年の離れた長男のウィルとその奥さんのケイトの存在がいい。彼らは右往左往する父母とは違い、つかず離れずの立場でクリスタルとデューンを見守る。子供の時にこういう立場の人がいるというのは大事なことだと思う。

    物語のラストは、冒頭に少しだけ描かれるデューンの舞台で幕を閉じる。物語を読み始めてから紆余曲折を経て、ラストで再度登場する舞台のシーンに、胸がいっぱいである。
    少年少女たちはもちろん、児童書という枠にとらわれず、かつて少年少女だった大人にも読んでもらいたい傑作。

  • 36年前にイギリスで出版された本。
    「バレエは基本が大事」というところが
    現代にも繋がっています。

    今の日本と違うのは
    「貴族」がでてくること。
    そしてひとりぼっちのお爺さんの家に
    スタインウェイのピアノがあるって…。
    あるかなあ?そんなこと。

    男の子四人の後に生まれた女の子(姉)と
    その後(6番目)に生まれた男の子(主人公)。
    母親の差別が酷すぎ。

    そんな中でも素直に育つ主人公は
    すごい鈍感なのではないでしょうか。

  • デューンが頑張るところがいい!

  • 岩波のシンデレラは・・・という本で解説されていた本である。ただし原題の木曜日の子どもたちというタイトルであった。どの程度の人が読んでベストセラーになっていたかがよくわからないが、初めて読んだ気がする。
     バレエダンサーとして母親の期待を受けて教育された姉のクリスタルに対して、まったく顧みられなかったディーンがバレエ専門学校の試験に合格するという場面で終わる。

  • 才能
    ひたむきさ
    理解者

  • 家族の関わり方やピアノへのアプローチなど丁寧に描かれていて,デューンの才能が花開いていくのがわくわく物でずっと応援しながら読んだ.

  • 3回目再読。ゴッデンは大人になってから出会った貴重な作家、なかでも「台所のマリアさま」と「すももの夏」は私にとって宝物のような作品。今回は先日読んだばかりの「シンデレラはどこへ行ったのか」で取り上げられていたのでまた読みたくなった。2度目に読んでからなんと16年の歳月が…

  • カテゴリはバレエすべきだったかしら?

    エリートシンンコペーション

    ダンサーとしての萌芽(ほうが)

  • 図書館の区分けが「児童書」であり、しかも本を開けるとすべての漢字にルビが振られている上文字も大きく、これは失敗したかな?と思ったのもつかの間、古典的な”醜いアヒルの子"なストーリーながらも表現も豊かでついのめり込んで読んでしまった。
    オープニングがいきなりすぎて、なになに?ってついていけなかったが、あーなるほどと、つかみが良い。
    下巻が楽しみだ

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