バレエダンサー 下

  • 偕成社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037443306

感想・レビュー・書評

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  •  バレエ学校の演目バレエ「くるみ割り人形」の主役クララ役に選ばれるかどうかで緊張していたルース・シェリン(主人公デューンの姉、クリスタルの同級生)が、夜中に泣きやめなくなったときのこと…寄宿舎の寮母、ミセス・グリスピーの言葉がとてもすてきなので紹介します。
    p.214〜
    「どんなにあんたが考えても、感じても、今夜はどうすることもできないだろう。ルース、こんなに緊張して、心配してるのだったら、やることはひとつしかないよ。毎日、毎日、一時間、一時間を、がんばること。明日の授業や練習をきちんとやらなければならないんだから、こんなに、気分が悪くなるほど泣いていてはだめてましょう。あたたかい飲み物を作ってあげるからね。体の外からも中からもあったまったら、ベッドにはいってねむること。」ミセス・グリスピーは、やさしい笑顔でそういった。ミセス・グリスピーはルースが好きだった。「今夜できることはそれだけ」


     デューンの姉クリスタルが自己の覚醒の場面の言葉も印象深いので紹介します。
    p.261〜
     クリスタルは自分に問いかけた。もしあたしが死んでしまっていたら、と思ってみると、ふしぎなことに、クリスタルは今ではルースのことが気にならなくなっていた。デューンが自分より才能があることも、ねたみをぬきにしてみとめていた。謙虚に、七人のダンサーの一人としておどれるのがうれしかった。
     きっときょう、あたしのなかのどこかが、死んでしまったんだわ。クリスタルはつぶやいた。薬でではなくて、あたしの身に起きたことのせいで。きっと、どこかに新しいクリスタルが、新しい決意がうまれたから、どんなことがあろうとも、もどっていく気になったんだわ。

     う〜ん、いいですね~。ライバルとの切磋琢磨、嫉妬、プライド、羨望…これぞ王道の成長物語!光と影が人生にはつきものだよなぁ…だからこそ、ルーマ・ゴッデンの書く物語には説得力があるんでしょうね。1997年出版。

     夢や希望を持ち努力しても挫折しそうな、または挫折した経験のあるすべてのかたにおすすめします。

  • 上下巻に分かれた本はたくさん読んできましたが
    こういう経験はたぶん初めて。
    下巻を読んだら、主人公が思っていた人とちがっていたのです。

    上巻では弟が主人公と思っていました。
    表紙も彼が子どもスワンを演じている姿でしょ?
    誰だってそう思うでしょ?
    シンデレラみたいな話だったのです。

    でも下巻にはいったら、主役は悩み多き姉。
    心の優しい弟が子どもスワンの姿で
    姉を助けているような表紙ですね。

    この本はいろいろな壁にぶつかる女の子が
    それを乗り越えられるようには…
    そんなことを教えてくれるお話だったのですね!

    それと、上巻にも書いたお爺さんのスタインウェイのピアノ、あれもあそこで終わりでなく、下巻でも重要ポイントで登場します。

  • 上巻であったようなイラストはなかったように思うが、踊りの場面が多かった。クリスタルはクララの役は演じたものの、最後はみなと同じバレリーナになった。ディーンはスタンウェイのグランドピアノを手に入れてしかも女王と謁見するほどの若いバレーのプリマになったというハッピーエンドの話である。現在のシンデレラ物語の男性版である。

  • 手塩にかけてもらえる姉と蔑ろにされる天才の弟が成長していく話。
    上は弟がめげずに大好きなバレエの道を切り開いていくのが中心で、下は姉の弟への嫉妬による葛藤が中心でした。姉も”出来る”ので近しい弟に嫉妬してしまう気持ちもわかる気がします。。
    最後は弟を認めて良きバレエダンサーになる姉になってました。めでたし。

  • 児童書だから読みやすい。
    デューンの頑張りが報われて純粋に嬉しい。
    バレエが観たくなりました。

  • いじわるでわがままで嫉妬深い姉クリスタル.上巻はデューンの敵あるいは妨害物という感じだったのが下巻は彼女が主人公のようだ.悪がしこい策士でデューンを傷つけもするが,彼女もまた成長していく.デューンにとっては大切な姉なのがよくわかり,家族ってなんだろうということも考えさせられる物語だった.

  • p114まで

    若い娘の如才(じょさい)なさ

    クリスタルは悪魔の子?

    小さな家に住んでいて大きな山を見ているひとは、じっと見つづけていると、ある日、その山を征服しているものだわ。

    ロジャー 悪夢 夜のギャスパール ラヴェル

    「苦悩は陶酔の一部よ」by ミス・ヘーリー

    おさだまりの言葉

    クリスタルの処女を差し出す覚悟は、ロミオとジュリエットではなく<春の祭典>の群舞の娘たちが
    血、処女の血でそまったドレスを着ていた場面を思い出し、痛ければいいのに、と思った。

    アンシア・ディーン 

  • クリスタルの人間味あふれる人物仕立ては古典的でありながらも今でも十分に楽しめた。
    若干グダグダ感があったものの最後は感動のフィナーレとなり
    上巻の冒頭のシーンがよみがえる。
    これが児童図書というジャンルにするにはもったいない作品だと思う。
    目新しさはないものの、小説の抑えるところがすべて詰まったエンターテイメント作品だ

  • 姉ちゃんかわいい

  • 上下巻あり。久しぶりに良かった!やっぱり。ルーマー・ゴッテン好きです。兄弟の育てられ方に疑問はあるが、だからこその設定ですし、下巻で大きくなったお姉さんのクリスタルの心理描写とか、乗り越え方なんかが思春期の子にはとても読んでおいて欲しいように思います。
    表紙の絵がほわっと柔らかすぎるのが、内容に合っていない気がして残念。中のイラストは武田美穂さんですが、ますだくんとは違うタッチで良かったです。

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