りかさん

  • 偕成社 (1999年11月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (250ページ) / ISBN・EAN: 9784037444204

みんなの感想まとめ

物語は、1970年前後に生まれた女の子ようこと、彼女が受け取った日本人形のりかさんとの心温まる交流を描いています。ようこは、りかさんを通じて他の人形たちの思いや声を聞き、その背後にある歴史や感情を理解...

感想・レビュー・書評

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  • 段飾りの雛人形が印象的な表紙。

    主人公のようこは、自分と同世代くらいだろうか。
    1970年前後に生まれた女の子が、小学生の頃のお話だ。

    いわゆるリカちゃん人形が欲しかったのに、おばあちゃんがくれたのは、日本人形のりかさん。
    ちょっとガッカリしたけれど、このりかさん、なんとようこと意思疎通ができるのだ。
    雛祭りの頃、大きな蔵のある登美子ちゃんのおうちに、りかさんを連れて遊びに行くと、登美子ちゃんの段飾りの雛人形や古いお人形達の声が聞こえてくる…。
    人形たちとその持ち主たちとの思い出が、人形の中に宿っている、ようこは、りかさんを通して人形たちの声を聞き、そこにある障りを解決していく。


    りかさんをようこに託したおばあちゃんは、手を出さず、その子の力を信じて見守るところが、「西の魔女が死んだ」のおばあちゃんを思い起こさせる。

    「こういうお話大好き」というレビューがおおいのだが、私は『人形モノ』がとても苦手なのだ。
    小学生の頃、
    美内すずえさんの「妖鬼妃伝」(1981年「なかよし」に連載)
    や、
    あしべゆうほさんの「悪魔ディモスの花嫁」シリーズ(プリンセスコミック)
    を、怖いもの見たさで読んだトラウマが未だに残っていて、落ち着いて読めない。
    あの絵柄が脳内に満ちて、背筋がゾクゾクしてしまう。

    そして、「リカちゃん」じゃなく、「りかさん」を渡されて、ちょっとガッカリですむようこちゃん、いい子すぎやしませんか⁉︎
    「リカちゃん」が売り切れで、誕生日に「ハルミちゃん」を渡され、かなりブーたれたかつての私からすると、とんでもなく良い子である…その時点で感情移入できず…。

    それは置いといて。この作品、表紙の雰囲気とは違い、心あたたまるお話というわけではないと思うのだ。

    かつては日米友好の証として日本に来た西洋人形が、太平洋戦争のせいで酷い仕打ちにあう物語もあったりするのだから…実際にこういう事があったのだろう。
    戦争とは、人間の心をこうも変えてしまうのか…と
    ゾクゾクの理由は、トラウマのせいだけではなかったはず。
    2022.1.14

    • 図書館あきよしうたさん
      ロニコさん、こんにちは。

      とても不思議な作品を読まれたんですね。

      梨木香歩さんは私の好きな作家さんなので、あー、こんな作品も書かれていた...
      ロニコさん、こんにちは。

      とても不思議な作品を読まれたんですね。

      梨木香歩さんは私の好きな作家さんなので、あー、こんな作品も書かれていたのかぁ、読まなきゃと思いました。

      リカちゃんが動いても怖いけど、りかさんも迫力ありそうですね(笑)。

      ハルミちゃんは、私記憶になかったので、ググってみました。リカちゃんそっくりなんですね~。でも、ウチの娘もそうでしたが、お名前が「リカちゃん」じゃないとだめなんですよね。
      ブーたれたことまで覚えてられるなんて、ロニコさんかわいいです(笑)。

      最近かなり遅読になってしまったのですが、ロニコさんのレビューを読んだら、なんとか時間を作って読んでみたいと思いました。
      2022/01/15
    • ロニコさん
      あきよしうたさん、こんばんは^_^

      コメントをありがとうございます♪

      梨木香歩さんの本は、いくつか読んでおりますが、「家守綺譚」なども大...
      あきよしうたさん、こんばんは^_^

      コメントをありがとうございます♪

      梨木香歩さんの本は、いくつか読んでおりますが、「家守綺譚」なども大好きです。
      あの世界観は好きなのですが、人形モノはどうも苦手で…いえ、とても良いお話なのですよ。

      あきよしうたさんも、是非機会があれば読んでみてください。
      ページ数としては、短いお話です。
      2022/01/15
  • 1999年初版から20年、再読。 
    何回読んでも、大好きな世界。
    ようことおばあちゃんが感じとる世界がとても好き。こんな世界を描ける梨木香歩さん、凄いです。
    りかさんを通して人形たちのざわめき、想いをたくさん聴いた。
    人形はそれぞれの想いを抱えて、そこにいる。
    アメリカから親善大使として贈られてきたアビゲイルも、いっぱいの愛を蓄えられて、その愛を届けるために来たのに…。その悲しみを引き受けて守り続けている汐汲み人形も憐れ。
    人は業が深いから人形を必要とした、と同時に人形を慈しむ気持ちも持ち合わせている。
    人形の使命は人間の感情の濁りを吸い取ることだという。
    「濁り」この言葉は、ようことおばあちゃんが桜染めをしている時にもでてくる。
    植物染料は媒染をかけてようやく色をだす。するとどうしてもアク(濁り)が出る。そのアクを含んだ色を「少し、悲しげ」だと著す。
    一つのものを他から見極めようとすると、そこに差別が起きる。この差別にも澄んだものと濁りのあるものがある。澄んだ差別をして、ものごとに区別をつけて行かなくてはならない。自分の濁りを押し付けない、とおばあちゃんはようこに言う。
    とても大切なことを伝えている。
    濁りやアクを「少し、悲しげ」と受け入れ、そこから澄んだ方に向かう、それは梨木香歩さんの変わらない志向なのだろう。
    「媒染を変えたら、出てくる物語も変わるだろう。ようこちゃんは、媒染剤みたいな人になれるよ」 なんて善い言葉でしょう。

  • 子どもの頃大好きで何度も読んだ作品。梨木先生の作品集に出会い、急激にりかさんを思い出し購入。大人になっても不思議な世界観に引き込まれる変わらない魅力的な話だった。アビゲイルの話で大号泣。ずっと心に止めておきたい一冊。

  • ひな祭りの前に『人形の家』を読んでいたころに知人から勧められ、人形やぬいぐるみと人との関係に興味が尽きないところ。

    ゴッテンの人形の家 に出てくる人形たちはエミリーとシャーロットの家に暮らしていたけど、りかさんは外からやってきます。

    おばあちゃんから電話で、今度のひな祭りに何が欲しい?と聞かれたようこは、リカちゃん人形が欲しいと答えます。
    おばあちゃんは、

    「お人形のりかちゃんなら気立てのいい子だ、雛祭りにはぴったりだ…よし。」

    怪しいですよね気立てがいいとか…おばあちゃん、知ってるのかな…
    で、やって来たのは半紙に『りかちゃん』と筆で書かれて古い箱に入れられた、真っ黒な髪の市松人形だったのです!

    あーあーあー。と人ごとなので面白く読んでいたんですが、
    このりかちゃんにもちゃんと思いがあるのです。人形の家のトチーのように、願うのとはちょっと違いますが、思いのようなものが、特定の人に伝わるのです。その夜のりかのメランコリックな感情の粒で翌朝目覚めたようこは、いつもと違う部屋の感覚、草原の朝の気持ちよさを感じて、箱に入れたままのりかちゃんを出して声をかけてみる。

    おばあちゃんからのりかちゃんの説明書を読むと、ようこがりかを幸せにする責任があるという。毎朝着替えさせ、髪をとかして、箱膳をしつらえて一緒に朝夕の食事をする…など。

    ある日りかちゃんからいつもと違う空気を感じ、ようこはりかちゃんと話せるようになる。ようこの家のお雛様たちがもめているのだ。
    この時のようこのあまり驚かない感じもとってもおもしろい。

    この家のお雛様はりっぱなものだけど、お内裏様に問題があったのです。
    ここも、大河ドラマ『光る君へ』を観てる人にはおおお!ってなるエピソード。

    りかちゃんからようこはりかさんと呼んでくださらない?と言われるように、とても頼りになるお人形。どうやらおばあちゃんともこうして話してきたようだ。

    それからりかさんとおばあちゃんの助けをかりて、この家のお内裏様、
    お友だちの登美子ちゃんの家の人形たちの問題にもりかさんがかかわってゆく。
    登美子ちゃんのおじい様は相当な人形の収集家で、後半の物語では戦争中の出来事まで遡り、ようこのおばあちゃんの助けを得て人形たちを幸せにしてゆく。
    怨霊とも違った、優しい人形と人とのつながりの世界が描かれます。

    ようことおばあちゃんの関係がどんどん深まって素敵なものになってゆくのは
    『西の魔女が死んだ』にも通ずるものがありました。
    おばあちゃんは、ようこが大人のように「ちょっとはなしがあって」なんて言って、大人ぶってかわいいこと。と思っても、そういうことは口にださないセンスがある。(ようこ談)

    人形に興味があるあるのかないのか、登美子ちゃんのセリフにもはっとさせられる。
    人形たちが昨日と違う場所にいた時、夜中の大冒険から元の場所に戻れず落ちたふりをしている。そういうことを察してからは、人形だけでなく世の中の物はみんなふりしてるだけなのかなぁって思い始めたと言うのです。
    なんと哲学的な少女たち!
    ご飯はご飯のふり、わたしはわたしのふり、お母さんはおかあさんのふり…

    これもまた、児童文学を超えた、大人のお人形を愛したひとたちに響く物語とおもうのです。

  • 近所の博物館で催されていた「ひいな展」に寄せてもらった。
    その時の 御殿飾りの雛、享保雛、立ち雛…
    を 解説付きで見させてもらった
    その時の 解説をしてくださった方が
    「これらのお雛様を飾るとき、その雛人形たちがいっぱい話しかけてくださるのです」
    というお話しを聞いた

    その話しを行きつけの図書館の司書さんにお話ししたところ
    ぜひ この 一冊を と 手渡された

    ファンタジーは事実をなぞる
    出逢て良かった 一冊です

    • chineseplumさん
      人形って本当に不思議ですね。
      この本とは素敵な出あい方をなさったのですね。図書館の司書の方も素敵な方ですね。
      人形って本当に不思議ですね。
      この本とは素敵な出あい方をなさったのですね。図書館の司書の方も素敵な方ですね。
      2013/05/15
  • 児童書なので、1時間くらいで読める短さ。でももっとたくさんのりかさんの話を読んでみたかったなあ。
    この人の本をたくさん読んでるわけじゃないけど、なんかふわふわしてとらえどころがないっていうか、なんかちょっと現実から不思議にブレてるイメージがあった。すごくオリジナルな世界なので、没頭するというよりは鑑賞する感じ。
    でもこれは今まで読んだこの人の本より、作品の世界との距離が近かったような気がする。すんなり入り込めた。
    りかさんがすごく素敵だし、人形たちの存在感がすごい。不気味だけど、ユニークで愛らしくもあり。
    アビゲイルの話は泣いてしまった。
    「人形たちは可愛がられることが使命なの」っていう言葉にうるる。こどもたちもそのためにうまれてくるのだ。

  • 再読。
    思えば、私が読んだ梨木香歩2作目。そして、確実に梨木ファンになったきっかけの本でした。ああ、出会えてよかった。

  • ようこは自分の部屋に戻り、箱を見た。お人形のおいてあった下には、着替えが幾組かたたんであり、さらにその下のほうにもう一つ、箱のようなものが入っている。開けると、和紙にくるまれた、小さな食器がいくつか、出てきた。「説明書」と書かれた封筒も出てきた。中には便せんに、おばあちゃんの字で、つぎのようなことが書いてあった。『ようこちゃん、りかは縁あって、ようこちゃんにもらわれることになりました。りかは、元の持ち主の私がいうのもなんですが、とてもいいお人形です。それはりかの今までの持ち主たちが、りかを大事に慈しんできたからです。ようこちゃんにも、りかを幸せにしてあげる責任があります。』…人形を幸せにする?…どういうことだろう、ってようこは思った。どういうふうに?

  • 図書館から借りて読む。
    懐かしい雰囲気のお話で、始終安心して読むことができた。なんでも知っていて頼れるおばあちゃんと、優しくて気立ての良いお姉ちゃんが欲しくなるようなお話。
    少し難しい言葉遣いもあるが、娘が小学4年生くらいになったら勧めてあげたい。

  • 思わずほったらかしてあった人形の髪の毛を梳かしてしまいました(笑)。世界のすべてに命があるように感じる子どもの頃。その感じを残したまま大人になる人もいるのですね。後篇、人形が語る秘密の話に涙が止まりませんでした。平和の大切さってわかる人とわからない人がいるのでしょうか。平和を大切に思う人の小さな声が世の中を変えるといいのに。

  • 人形の使命とさまざまな思いを描く。しっとりとして品のあるファンタジー。

  • わたしが初めて読んだ梨木作品で、彼女の文章に魅了されるきっかけとなった作品。
    ようこと「いいお人形」りかさんとの小さな冒険のお話。
    ー「いいお人形は、吸い取り紙のように感情の濁りの部分だけ吸いとっていく」ー

    「お人形」の少し怖くて妖しい、でもどうしようもなく魅力的な世界にわくわくさせられた。いわゆる児童書だけど、読み込ませる魅力の詰まった本なので是非手に取ってみてください。

  • 『からくりからくさ』以前のお話。
    ぜひ併せて読んでいただきたい。
    児童書だといって侮るなかれ。

    リカちゃん人形をおばあちゃんにおねだりしたようこであったが、
    彼女の手元に届いたのは、市松人形の「りかさん」だった。
    はじめはショックを隠しきれなかったようこも
    次第にりかさんと心を通わすようになり、
    同時に人形の声を聞くことができるようになった。
    そしてようこは、自分や登美子の家に伝わる人形たちの深い歴史を旅する。

    かつて私も、スリーピング・アイを持った
    ジェニーちゃんという名のドールを持っていました。
    だのに私は彼女がいつ我が家からいなくなったのかも忘れてしまった…。
    もっと大切にすれば良かったな。
    彼女は私の家に来れて幸せだったのだろうか。

    自分の子供を嬲り殺したりする親がいるこの時代に
    人間はもちろんのことモノにも歴史が、たくさんの物語があって
    大切に守り愛していくことが大切なんだと伝えるこの本は
    ものすごい戦いを挑んでいると思う。
    でも、私はこの本を
    たくさんの子供たちに(大人たちにも)読んで欲しいな。

    あんまり強すぎる思いは、その人の形からはみだしちゃって、
       そばにいる気持ちの薄い人の形に移ることがある。それが人形。
    歴史って裏にいろんな人の思いが地層のように積もっていくんだねぇ。
    ―― 動けば汐がかかるじゃろう。汐がかかれば切なかろう。
    因縁も結局、縁だからね、なにがどうひるがえって
       見事な花を咲かすかわからないもの。

  • 「からくりからくさ」の主人公である蓉子がりかさんを祖母である麻から受け取り、子供ながらに人形の抱える念とその念に惑わされる人の業を学んでゆくという話である。漢字にルビが振ってあるところを見ると、対象にしているのは主人公である、ようこ、と同じ位の年頃、ようやく一人でバスに乗れるようになった位、の子供のようである。しかし、これは決して児童文学にありがちな一層のみお話しではなくて、むしろ「からくりからくさ」の番外編として多層的に読んで面白いものだと思う。「からくりからくさ」はミステリー風の異次元物語という調子の話で、本の中で一応の解決を見てはいるけれども、多くは語られていない謎も沢山あり、そのことがもやもやとしている向きにはこの本はオススメだと思う。じぶんも一つそんな胸のつかえ取れた。

    りかさんが蓉子のところへ来た訳は「からくりからくさ」でも簡単に紹介されていたが、この物語はまさにその場面から始まる。蓉子もいまだひらがなの、ようこ、であり、祖母の麻も健在である。更に、「からくりからくさ」で最後の方に登場する幼なじみの登美子ちゃんも重要な役割を担って登場する。更には4人の女性の生い立ちに迫るエピソードも人形の語る話として出てくるに至って、先に「からくりからくさ」を読んだものは、内心にんまりする場面が多数あるだろう。しかし、そういう何かシリーズものにあるような、半分見えている楽屋落ちにだけ、この本の価値がある訳ではないことは間違い無い。

    「からくりからくさ」では著者である梨木香歩の植物に対する念のようなものがとても強く、うっかりするとその念にしばれれて二進も三進もいかなくなるような感じに囚われがちだったが、この「りかさん」ではそんな念に囚われることもなく、梨木香歩の異次元世界にすんなり入りこめる。もしかしたら、想定読者層が若いせいなのかもしれないが、時々著者の内側から、作中の人物を通して現の世に表われて来ようとする植物の念が、やんわりと、ようこ、の視点で受け流され、読むものを縛りつけることがない。そこには「家守綺譚」で描かれたような、さらりと夢と現を行き来する粋のようなものがあって、読ませるという意味では力が抜けたような感じが、反って好感が持てる。唯一、物語の中でようこに絡みつく老桜の念がはっきりと登場する場面があったがこのエピソードは例外的で、この本の中で念を持っているのは、人と人形、だけとなっている。面白いのは、人形の念はりかさんや麻やようこによって次々と明るみに出て、解決を見るのに対し、人の念は一向に埒が明かないままである、ということだ。人には念もあるが業もあり、一筋縄では行かない様子が語るともなしに語られている。そんなところに梨木香歩の観察眼を感じて、感心してしまったりもする。

    そもそも植物をじっくり観察するような眼を持った作者のことだから、動かないもの、あるいは動かないと一般には思われているようなものから気を感じる力には長けているのだろうと思う。もちろん、口数の決して多くないそのようなものたちと語る力があるのであるから、口を開くことを生業としているものから気を感じることなど容易である筈だと想像する。にも拘わらず、人形や植物、というところがもっぱらの対象であるのは、どこか口のついた存在から発せられる雑音のような念と業の強さに押されて、自ら戸を立てているということなのだろうか、と実は改めて思ったりもした。その対比は言ってみれば夢と現の対比と取れないこともなく、足の置き方として夢に偏りがちだったバランスをうまく現へ戻し、かつその絶妙の落とし所を見つけて結実したのが「家守綺譚」だったのだなあ、と「りかさん」を読んで納得した。つまり、そのバランスへ至る道のりの中間にこの「りかさん」があるように思えるのだ。という訳で、「からくりからくさ」を読んで少し構えることになっていた自分の梨木香歩に対する気持ちは、うまくこの本を読んでほぐすことができた。そのことが自分にとって一番の収穫だったように思う。

    さて、この本で一つ胸のつかえが取れたと最初に書いた。それは人形の名前のことである。りかさんは、ようこがリカちゃん人形が欲しいと麻に言ったことでようこにもらわれることになったので、何となく、リカちゃん、が、りかさん、になったこと位のように思っていたのだが、考えて見れば、既に祖母の麻のところにいた時から、りか、と呼ばれていたのであり、リカちゃん人形とは関係のないことは気づいていて然るべきだった。ではその名前の由来、あるいは象徴するものはなんであろう。実は、それが理科ではないか、と思うに至ったのだ。麻が教師をしていた時に教えていたのは理科だった。であれば多分、りかとは理科のことであろう。しかし、りかは麻のところに来る前からりかだったのだろうか、それとも麻がりかと名前を付け直したのだろうか。あるいは、りか、という名前に惹かれて麻は理科を教えるような職業に付くようになったのだろうか。取れた筈のつかえはやはり残ったままなのかもしれない。

  • 小さい頃、お人形が話したらいいなと夢見ていたのを思い出してわくわくしました。

  • リカちゃん人形が欲しかった小学生のようこにおばあちゃんが贈ったのは、おかっぱ頭の市松人形のりかさんだった。

    落胆しながらも人形のお世話をしていくうちに、ようこはりかさんの声が聞こえるようになった。

    おばあちゃんの元に来る前の持ち主にも、おばあちゃんにも大切にされていたりかさんは、気立が良く賢く、いつも洋子の味方になってくれる存在。

    友達の登美子ちゃんのお家に雛人形を見せてもらいに行ってから、ようこのお家に着いてきてしまった、背守がなくて帰れないと泣く少女の存在。

    登美子ちゃんのおじいちゃんが集めていたお人形たちの声を聞いて、お人形を通じて過去の人の思いを感じ取っていくようことりかさん。

    汐汲がずっと守っていた黒こげになったアビゲイルと登美子ちゃんのおばあちゃんの姉の悲しい過去。

    お人形は人の強すぎる思いを整理してくれる存在。
    嬉しい時も楽しい時も、悲しい時も寂しい時も、お人形が人の気持ちを整理してくれる。

    良いなあ。児童文学だけど、大人が読んでも大変面白い。

  • 叔母から借りて。
    いずれ再読したい。
    レビューはその時に。

  • 2014年9月読了
    内田善美の漫画が読みたくなりました。自分は、子どもの頃にちゃんと人形遊びができただろうかと心配になった。

  • からくりからくさを読み終えてから少し間をおいて手に取った。

    読んでいる間ずっと、「西の魔女…」と同じ安心感に包まれている感じがした。この世界のことをよく知っていて、どんなことにも動じない、とても信頼できる大人がそばにいる…という感じ。

    自身の経験との共鳴かもしれない。

    私が社会人になり結婚して間もなく亡くなった祖母。田舎から息子(私の父)を訪ねてくる時は、いつも和服に羽織を重ねた正装だった。苦労に苦労を重ねた祖母は、再婚して改姓していたが、父のところへは定期的に顔を見に来た。

    祖母は何でも知っていて、どんなこともくしゃくしゃの笑顔でやり過ごしていた。

    祖母のそばにいるのが好きだった。

    このことを、読み終えて思い出したのだ。

    アビゲイルの話は、胸の奥からうめき声が出てしまっていたくらいに辛かった。比佐子の苦しみが苦しみとして出せなかった時代の日本を思う時、それは私の父の子供時代や、若かった祖母の日々に重なる。

    多くの人間や人形の魂が、その重さに見向きもされないままに消えていったことだろう。

    からくりからくさの、りかさんの最期を思い出した。彼女は…きっと幸せの中で燃えたのだと思えるようになった。

    梨木作品の妖しさとあたたかさには、いつもやられてしまう。心にしみて、しばらくは動けない。

  • 図書館にて。

    自分にとって、身近な人でも、よくよく考えてみると、あまり、その人について、多くの事を知らないなと思う時がある。

    特に、苦手な人だったり、あまり付き合いのない人だったりしたら、尚更だ。

    だけど、みんな、それぞれ見えない所で、きっと、様々な物語を抱えて、生きている。

    悲しい話も。楽しい話も。

    相手の悪い面ばかりに目が向く人ではなくて、相手のいい面を見つけられる、良い所・魅力的な所を引き出せる人になりたいと思った小説でした。

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著者プロフィール

作家。小説に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』(新潮社)、『家守綺譚』(新潮文庫)、『海うそ』(岩波書店)、『椿宿の辺りに』(朝日新聞出版)など。エッセイに『ほんとうのリーダーのみつけかた』(岩波書店)、『炉辺の風おと』(毎日新聞出版)など。児童文学作品に『岸辺のヤービ』(福音館書店)、絵本に『蛇の棲む水たまり』(ブルーシープ)などがある。

「2025年 『森のはずれの美術館の話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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