軽装版 精霊の守り人 (軽装版 偕成社ポッシュ)

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037500207

作品紹介・あらすじ

女ながら、腕のたつ用心棒である、バルサは、新ヨゴ皇国の皇子チャグムの命をすくうだが、このチャグム皇子は、ふしぎな運命を背負わされていた"精霊の守り人"となったチャグム皇子を追って、ふたつの影が動きはじめバルサの目にみえぬ追手から命がけでチャグムを守る…野間児童文芸新人賞。産経児童出版文化賞。路傍の石文学賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • ずっと気にはなっていたけれど、シリーズの多さに身構えてしまい、それとなく読むことを避けていた作品。でもついに、上橋さんの「鹿の王」と「狐笛・・・」を読んで、手を出すことになってしまった。私にとっても長い旅になりそう(笑)

     端的に言って、素晴らしいファンタジーだった。これまで読んだ2作品よりも、よりファンタジーだったと私は思った。すごい世界観。圧倒的な世界観。この世界観とストーリー展開の完成度は言わずもがなだと思うけれど、物語の端々で人間の機微が巧みに表現されていたり、人間世界の真理をつく表現があったり、はっとさせられることが多かった。この世のものでないものの卵を勝手に宿され、運命に翻弄されるチャグムのやり場のない怒り、権力者によって父親を奪われ、故郷を追われることとなったバルサの怒り、哀しみ。そして、バルサの「人生なんて不公平なものだ」という悟りの境地ともいえる心境。何より、国の祖とさせれる人物が、自身の威信のために事実を捻じ曲げ、正しい史実が語られなかったというこの物語の基礎とも言える背景や、星読み達がいつのまにか政のためだけに働くようになり、本当に大切なことに目が霞んでいたというようなことは、現実世界でのあれやこれやを暗に指摘されているようで、うむむむと唸る思いだった。

    チャグムとの別れのシーンはぐっときた。チャグムもバルサもタンダもなんとも強い精神の持ち主だ。与えられた運命を、自分なりにもがき、抗いながら生きていく。人生は本当にそういうものなのだろうと腹落ちする感じがあった。

    まだシリーズ1作目。旅は始まったばかり。

  • もう10年以上前、小学生か中学生の時にお小遣いで買った大好きな作品を再読。
    上橋菜穂子さんの作品に出てくる食べ物ってすごく美味しそうで魅力的。独特の甘辛い香辛料で煮付けた魚、タレがしみたご飯、読んでるだけで口の中に唾がたくさんわいてくる。
    これは全10巻のシリーズの第1巻目。新ヨゴ王国第二皇子のチャグムが、目には見えないもう一つの世界の水の精霊の卵を身に生み付けられていて、ひょんなことから女主人公の用心棒・バルサがチャグムを守ることになる話。当時2巻目の『闇の守り人』から読み始めた私的に、シリーズものだけど1話完結的な楽しみ方もできると思う。
    呪術師のおばあさんトロガイ、その弟子タンダ、宮に仕える若き星読み博士のシュガとか、キャラが濃くて素敵な登場人物が多いのも魅力。
    幼かった頃に好きだったお話って、時を経て読み返しても色褪せないどころか、もっと違う良さを感じられる気がする。
    夏の終わりに、童心を思い出しつつの読書体験、贅沢な時間だった。

  • (2014年10月2日 再読)

    「みをつくし料理帖」、「RDG」シリーズに続いて、「獣の奏者」を読み返そうかなと思っていたのですが、まさかの「守り人」シリーズ実写化!!の話を聞いて、バルサとの再会を優先させました。

    綾瀬はるかかぁ~と思って読むと、意外と最初の印象より違和感ないかも?
    うんうん、悪くないかも、いけるかも。
    タンダやチャグムは誰が演じるのかな。


    初めて読んだときは、面白かったけど、そこまではまらなくて、盛り上がったの実は「虚空の旅人」からなんですよね。
    何気にチャグム押しなので。

    でも2回目、すごくおもしろかった。
    2回目の方がすごく面白いってのは、本物だと思う。

  • アジアのファンタジー

    チャグムの成長 別れ
    男子を育てていた母としては心に染みる

    これはアニメにもなってますよね

  • 言葉遣いがとても丁寧。
    トロガイが女性だと描かれるまで、完全に男性だと思って読み進めていた。
    私の中に何らかのフィルターがあるんだろうな。

    お祭りとかにあまり縁がないけれど、
    身近で行われているお祭りにも何か伝えようとしているものがあるのかな?

    p.222でのガカイへの聖導師の言葉は、身につまされるものがあるな。
    先を見て、その部署の利益だったりから来る言葉が
    本当に必要か、対応しなければならないか を考えて判断しないといけない。
    「ほかの者たちより、はるかに長い時を思い、はるかに広い世を見ている。その目を持っているからこそ、正しく国をみちびくことができるのだ」

  • 「いいかげんに、人生を勘定するのは、やめようぜ。
    不幸がいくら、幸福がいくらあった。
    金勘定するように、過ぎてきた日々を勘定したらむなしいだけだ。」(246 ページ)

    自分で望んだわけではない運命。
    それでも、自分をいやおうなしに動かしてしまう、
    その大きななにか怒りを感じる小さな主人公。

    自分をとりまく世界が目まぐるしく変わる中、
    後悔や幸せを噛みしめながら、
    大人も子供も必死に、たくましく、
    もがいて生きぬいていく物語り。

  • 面白かった

  • ドラマ化したファンタジー物語がこんなルビも沢山ふられた児童向けの一冊だとは思わなかった。
    軽装版は漢字を増やしてくれたようでありがたい。

    何と言っても、30歳の槍使いの用心棒という、他にない主人公像が魅力。
    面白かったです。

  • ずっとずっと気にはなっていたが、なかなか一歩を踏み出せずにいた本の一つ。
    なぜなら読み出したら最後、その世界に引きこまれてしまい、現実世界に帰ってこれなくなりそうだったから…。

    上橋菜穂子さんのファンタジーはファンタジーであってファンタジーでない。
    バルサ、タンダ、チャグムなど登場人物がまるでクラスメイトのように人格が手に取るようにわかり、いきいきとしている。
    私たちの住む世界にバルサがいるかのように。
    (実際には私たちがバルサの世界に住み込んでしまうのだが)

    読み終わってしまうのが惜しくなり、なんども行きつ戻りつしながら読みたくなる本である。

  • 上橋さんの《獣の奏者》を読んで上橋作品にハマり、こちらの作品を知りました。

    《守り人》シリーズの1作目。
    短槍使いのバルサのかっこよさにしびれました。

    ファンタジーだけれど、子供から大人まで幅広く楽しめる作品だと思います。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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