軽装版 闇の守り人 (軽装版 偕成社ポッシュ)

著者 :
  • 偕成社
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本棚登録 : 758
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037500306

作品紹介・あらすじ

女用心棒バルサが生まれ故郷のカンバル王国にもどった。その昔、地位も名誉も捨て自分を助けてくれた養父ジグロの汚名をそそぐために。日本児童文学者協会賞。路傍の石文学賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • タンダやチャグムなど、大切な人のいる新ヨゴ王国を離れ、故郷カンバル王国へ向かったバルサ。読者はバルサの過去をもっと深く知ることになり、バルサはずっと抱いていた祖国への怒りに向き合うことになる。
    ジグロが殺した友がなぜ8人だったのかなど、本書で明らかになっていくにつれ、ログサム王の本当の、そして恐ろしい陰謀がわかってくる。ジグロの弟、ユグロみたいな人間には、私もコロッと騙されそうだと思うと、小さな怒りのようなものが自分の中にも灯った気がした。
    牧童の存在がとても良かった。一見、カーストの最下級のものとみなされている者たちが山の王の民であり、誇りをもって暮らしていることになんだかとても心地よさを感じた。

    そして、ヒョウルとの<槍の舞>で、ジグロは本当の意味で弔われて、バルサは怒りの向こうへ突き抜けることができたのかも、と思ったときの安堵感といったら・・・
    上橋さんのあとがきに、この「闇の・・・」は大人に人気で、前作の「精霊の・・・」は子供に人気との記述があった。なんだかすごくよくわかるな、と思った。

    ただ・・・・、寒く貧しい北国、カンバル王国が、山の王からの、いつとは知らされずもたらされるルイシャに頼るしか民を飢えさせない方法はない、という現実は厳しいな~。国のために、民のために、と画策したユグロの気持ちもわからないでもない。ただ、あまりにも自分を信じすぎ、周りを軽んじてしまったユグロ。彼の今後が描かれることはあるのだろうか、と気にしつつ、シリーズ次の作品へ。

  • (2014年10月15日 再読)

    そうそうこんな話だったーと読んでいると、シリーズの最後を思い出して、バルサの長い長い旅路になんとも言えない気持ちになりました。

    上橋さんが、1作目の「精霊の守り人」だけでなく「守り人」シリーズを一つの作品として映像化という話だったからNHKで実写化することに...というようなお話をされていましたが、本当にねーこれからだからね、と色々噛みしめてしまいました。

    「闇の守り人」は、バルサの生まれ故郷カンバルのお話。
    養父ジグロとの過去に向き合い、弔いをします。

    ほんと2回目なのにすっごいおもしろいんだけど。

  • あっという間に読めます。字大きいしルビふってあるしセリフ多いし。感情も風景も立ち廻りも細かく描写されていて想像するのが簡単楽ちん。平易で親切、流石の児童文学です。だけど内容がただの勧善懲悪ファンタジーじゃなかった。沢山の子供達に読んで欲しい。

  • 守人シリーズ2作目。心の傷と過去にしっかり向き合うため、バルサは故郷カンバル王国へと戻る。捻じ曲げられた過去、ルイシャ〈青光石〉贈りの儀式の秘密、ヒョウル〈闇の守人〉とは何者なのか?
    息をつかせない展開で最後まで一気読必至。バルサとジグロの槍舞いのシーンはもう涙なしには読めない、、

  • 守人シリーズ二作目

    どちらかと言うとこちらの方が私は面白く読んだ。
    精霊はまだ私自身が物語の世界観に追いついて置けていなかったと言うか。

    壮大なシリーズの中ではまだ序章なのだろうけれど、読み応えもありあっという間に読了。
    バルサとジグロの物語がやっと完結する。

  • 見えていないけれどある世界って、西洋っぽさを感じる。
    (イデアとかがそういう感じだった気がするが?)
    重なり合っているけれど見えない世界もあるかもしれない。
    小さい頃に読みたかった、そうすれば再読して違う面が見えてくる楽しさ得られたのに。

    ジナがまっすぐでいいな。
    物語の中で物語が語られる、何かを伝えていくこととはということを考えてみたくなるようなお話だった。

  • バルサの故郷カンバル王国の過去の歴史を、バルサの歴史ととも弔っていく。ファンタジーの枠を超えた奥の深い人間ドラマ。

  • めっぽう強い女用心棒バルサが過去と向き合う話。
    児童文学らしいが主人公が31歳って児童受けするんだろうか
    そりゃ私は青さがウリの少年とかより同調し易いけれど。

    腕のいい人が作った肉じゃがみたいな話。
    安直な萌えもただ難解な仕掛けもなく、
    人間の魅力とその場の空気をひしひしと
    感じることで目が離せなくなるような。
    友達が目の前で喧嘩してたら目が離せなくなるようなものか。
    ドラマ性ってそういうことだよな。

    最後の槍舞いがもうたまらん…!
    槍戦が速くて綺麗だなあ「舞い」って概念が既に綺麗。
    馴染みのタンダとどんな感じなのか気になる
    気の置けない相手といるバルサが見たい

  • 再読。過去の傷と向き合うバルサ、現実は美しくはないけれど、向き合い切ってだんだん気持ちが解れていく。大人でも楽しく読める児童文学。

  • 何て世界観‼︎
    守り人シリーズ最高

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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