軽装版 神の守り人 下 帰還編 (軽装版 偕成社ポッシュ)

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037500702

作品紹介・あらすじ

ロタ王家に仕える隠密シハナの罠にはまったバルサ。一方、みずからのふるう"力"を恐れつつも、アスラの心は残酷な神へ近づいていく。待ちうける運命から、バルサたちはアスラを救えるか?小学館児童出版文化賞受賞。『精霊の守り人』からさらに広がる世界・守り人シリーズ、軽装版第六弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「ーでも、他人をあっさり見捨てるやつは、自分も他人からあっさり見捨てられるからね。」

    名言でた!しかもこんな端的な名言。いや、今までもたくさんいいセリフ、あったんだけど、メモをするのももどかしく、先へ先へ進んでいた。でも、なぜかこのセリフは今の私にささった!野獣のような闘争心を持つバルサが、結局、誰よりも人間的に温かいのは、こういう考えを持っているからなんだ、とすっと心にささった。

    シハナ、なかなかの戦略家。シハナとアスラは昔から関係があったとは・・・。
    シハナの罠にはまるバルサ。この戦いもすざまじい。上巻からサルが気になっていたので、おぉ、やっと出てきたか、と。傷を負ったバルサの元にタンダが駆けつけてくれてどんなにほっとしたか。

    シハナのロタ王国を思う気持ちは熱く、一見筋が通っているように感じる。が、やはり極端な考えはどこか危うい。王弟イーハンが賢明な判断をしたのに、そこを仕者であるシハナが覆してはいけないなぁ。シハナの考えに一瞬こちらまで説得させられそうになってしまった。そうか、そうか、シハナもいいやつだったんだな、と。単純。

    この上下巻にわたる「神の守り人」では、ロタ王国に、偶然にしては大きすぎるたくさんの波が押し寄せる。スファルの思惑とシハナの思惑が違うことに加え、南部の大領主たちの思惑、北部の氏族の思惑、そして王家の思惑。さらにさらに異界ノユークからの神の再来・・・。それぞれの立場の者が、どのように自分の信念にそって立ち回るのか。とても興味深く読めた。中でも、アスラは最後、自分の意思で行動したことが素晴らしかった。

    アスラが目覚めること。そして、「絶対的な神の力」に頼るのではなく、「対話」を通して国を治めていく、というロタ王国が平和に繁栄していくこと。これらを願うような気持ちで読み終えた。

  •  重すぎる運命を背負ってしまったアスラ。葛藤の末、人を殺さずに神をその身に封じ込める決断をしたアスラに、よかったと思う気持ちと、まだ12歳の少女なのにそんな決断をしなければならなかった運命を悲しく思う。バルサはずっとアスラに幼い頃の自分を重ねていて、自分のような人生を歩んでほしくない気持ちはもちろん、同じような境遇の子に救われてほしかったという気持ちもあると思う。
     トリーシアは自分のような、石ころのように運命に弄ばれる人生を送ってほしくなくて、アスラをサーダ・タルハマヤにしたがったけど、その結果、アスラは運命にもてあそばれてしまったのはとても皮肉だ。
     チキサがずっと優しくてとてもいいお兄ちゃんだった。そんなチキサがアスラを死なせた方がいいんじゃないかと言い出して、アスラもつらいけれど同じくらいチキサもつらかったのが伝わってきた。
     最後アスラは目を覚まし始めていたと思う。どこか違う国で穏やかに過ごして欲しい。

  • 剣の重みは命の重み、、、戦いながら生きていくってすごいな

  • (2015年1月12日 再読)

    「ホビット」の完結作を見に行かねばと思って、1,2作目を見直しているのだけど、なんだかちょっと「ホビット」や「ロード・オブ・ザ・リング」と重なるところのあるお話だよね。

    恐ろしい神力を得た少女アスラめぐって、様々な追手から逃れ、罠にかけられ、それでもタルハマヤに魅入り蝕まれていくアスラを救おうとするバルサ。
    ずっと息苦しくて、心が重く沈むようなお話ですが、きっとアスラはマーサの下で一生懸命生きていってくれると思います。

  • ロタ王国の王弟イーハンである。この人物がなかなかの人物であることが非常に好感をもてる。アスラとの関わりも実は深い。
    最後「アスラはこれで大丈夫なのか?」という終わりで気になるのだが、大団円を迎えたといっていいと思う。
    カシャルが暴動しすぎ。勝手に行動しすぎ。テロリズムである。これにはイーハンも困るんじゃないかと。しかし、シハナという女、有能すぎる。チェスで相手を追い詰めるように作戦をひとつひとつ実行していく、という説明はテンプレート的でいささかうーむと思ってしまうが、有能で行動力にあふれていれ面白い人物だと思った。

  • 物語の世界が広くなったので、話に深みがでてとても面白くなってきた。いろんな国を舞台にしたいろんなお話を読みたい。バルサやチャグムが主人公でなくてもいいので。

  • はー…

    シハナのことを、そんなに嫌いではないな。
    不満を漏らすばかりの男たちにとは違い
    自分から行動に出たわけだし。
    守り人シリーズの女は、強い。

    人を殺すのはいけないことだと口に出すのは簡単だけど
    アスラの決断は、なかなかできるものではない。
    正しいってなんなのか、分からない。

    タンダとバルサは早く付き合っちゃえばいいと思う。

  • 目が覚めぬまま終わりを迎えるとは思わなかった。
    これまでの巻でも、ここまでで終了しましたという感じではなく、何日、何年、何百年と日々が続いていくように感じられる話だったけれど、よりその印象が強い。
    シハナはまた出てきそうだな。歩み寄れる日は来るんだろうか

    カイナだったり、マーサだったり、トロガイだったり、それぞれの生き方を持ったかっこいい女性が出てきて良いな。

  • メディアの報道の歪みとシハナの話の歪曲に共通しているところがあると思った。

  • 2021.02.07.読了

    バルサは益々素敵な人になっていく。

    アスラをどこまでも守ったバルサ
    目覚めないアスラに 生きていていいもと思えるようになるまで長くかかるかもしれないけど、目覚めるようささやくバルサ

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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