わたしは目で話します

  • 偕成社 (2013年2月2日発売)
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  • 本棚登録 :62
  • レビュー :14
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784038082504

作品紹介

「文字盤」を知っていますか?口で話したり、手を動かしたりすることの難しい人が、目で言葉を発するための道具です。この本は全篇、その文字盤をつかって、目で書かれました。聾学校の教師から、ドイツ語の翻訳者へ、そして難病ALSを発症し、音声言語をうしなうまで-。一貫して言葉の問題にかかわり続けてきた著者が、病を得て、今あらためて思うこととは?話すことに悩みをもつ、すべての人々へ贈るメッセージ。中学生から一般向け。

わたしは目で話しますの感想・レビュー・書評

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  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者、たかおまゆみさんが文字盤を使い、書き上げた一冊。

    最初は発病から診断確定まで。次はたかおさんの経歴、そして言葉がいかに大事なのかという、明るく真摯なまなざしが目に浮かぶような内容に驚きを隠せませんでした。

    私が同じ状況に落ちいたとしたら、泣きパニックになり、こんなに明るい内容の本は書けないと思った。この明るさ、前向きさの陰にどれだけの悔しさや悲しさ、涙が隠れているのだろう…と思うと、胸がつまりそうになった。

    たかおさんは強い人だと思った。覚悟を決めているからこそ、今、何をすべきか見極めることが出来る人なんだろうと思った。涙している暇があるなら文字盤を!と。

    自分の気持ちを整理して、文字にする前に削る言葉、必要な言葉を加えて、人を傷つけないように、ヘルパーさんや読み取る人に的確に想いが伝わるように…推敲を重ねて磨き上げられる言葉。大切な温かいコミュニケーション。

    なんで言語障害児、重度心身障害児のために奔走しているたかおさんが、最終的に言葉を失ってしまうALSに罹ってしまったのか…。神様は(いるとしたら)とても意地悪だと私は思った。それでも泣き言一つ書かれていないので涙が出そうになった。


    =この本を読んでくれている人のなかには、話すことが苦手な人、人に「ウケる」話ができないとおちこんでいる人、話すとすぐに顔が赤くなってこまってしまう人などなど、人と話すことに悩みをかかえている人たちも多いだろう。
    そんな人たちへ、わたしからひとこと。
    百聞は一見にしかず、そういう人は私のベッドサイドにきたらいい。自分が口で話せることがどんなにすごいことかわかっちゃうだろう。そして自分が悩んでいたことが、どんなにぜいたくだったか、人と言葉をかわすということがそれだけでどんなに尊いものか、知ることになるだろう=(219ページ)


    切なすぎてこのメッセージで涙が出てきた。他、男性よりも女性、しかもお母さん世代の方が人工の呼吸器をつけずに亡くなる選択をする人が少なくないというのがショックでした。…でもこの選択、私も同じことを選択するかもしれないと思ったのも事実。例えばわが子や伴侶がALSになったら、お母さんは奮闘して介護するだろう。それが自分が介護される側に回ってしまったら…、家族の重荷になるだけじゃん…。そう考えるだけで絶望してしまいそうだ。それだけALSは家族やヘルパーさんなどの協力が必要不可欠なのだ。

    文章は前向きで明るいけど、わが身に置き換えて考えると途方もない絶望しかイメージできない。果てしなく重い…。つらかった…。

    次は同病者の藤田正裕さんの「99%ありがとう」も手にしてみたい。

    一日も早く原因と発病のメカニズム、確かな治療法が確立されますように。

  • (No.13-18) ノンフィクションです。

    内容紹介を、表紙裏から転載します。
    『「文字盤」を知っていますか?
    口で話したり、手を動かしたりすることの難しい人が、目で言葉を発するための道具です。
    この本は全編、その文字盤をつかって、目で書かれました。

    聾学校の教師から、ドイツ語の翻訳者へ、そして難病ALSを発症し、音声言語を失うまで・・・。
    一貫して言葉の問題にかかわり続けてきた著者が、病を得て、今あらためて思うこととは?

    話すことに悩みをもつ、すべての人々へ贈るメッセージ。』

    私はALSという病気があることは以前から知っていましたが、この本を読んでとてもショックを受けた項目があります。
    女性である著者も発症する前は何となくそう思っていたらしいのですが、私もALSになる人はほとんどが男性で女性は少数だと思っていました。
    男性に患者が多いのは確かなんですが、その男女比は約2対1くらいなのだそうです。3人患者がいれば一人は女性ということになります。ですが進行して呼吸器をつけなければ生きることが難しくなった段階で、呼吸器をつけない女性患者が多い。つまり緩和ケアをしつつそのまま亡くなる女性患者が多いのだそうです。
    正確なデータはないのですが、いろいろなデータをつまみ食いした感じでは呼吸器をつけた患者の男女比は8対2か、9対1くらいになるようです。
    時々メディアに登場する患者さんが男性ばかりになっている理由はこれだったのです。
    呼吸器をつけるのは「お父さん」や「おじいちゃん」がほとんど、「お母さん」はつけたがらない・・・・。
    そして女性が「私は呼吸器をつけない」と決断するのは個人的な性格ばかりとはいえず、そういう力が社会に働いているからだと著者は気がつきました。
    つねに世話をする側だった女性が、世話をする側からされる側になった時の家族の混乱振りと自分の無力さから「自分は迷惑になるからいてはいけないのでは?」と感じてしまう・・・。
    これは衝撃でした。
    呼吸器をつけ「女性患者はいったいどこにいるのー?」と文字盤で叫びながら、情報を発信している著者は立派だと思います。

    この本は闘病記の部分はもちろんありますが、言語についての項目が大変興味深かったです。
    自分の中で思っていることを外に出すことがどんなに重要か。それこそが生きることなのだと。
    会話の手段が変わると文法まで変わるとか。

    基本的なものは市販されているけれど、様々に工夫してその人に使いやすいようにすることも出来るし、ローテクで安価、誰でも使えるすぐれもの、それが文字盤!
    世界中に文字盤はあるけれど、おそらく日本語は群を抜いて文字盤向き。
    それを知ってなんだかとても心強く感じました。

    話すことが出来なくなって生きる気力を失いかけていた著者は、文字盤で息を吹き返しました!

    辛いことがいっぱいあるのに、それでも生きて仕事をする著者の姿勢に感動しました。

  • 著者によると、100%文字盤を使って書き上げたとのこと。
    人間にとって「ことば」がどんな意味があるのか、コミュニケーションとは何か、人と人がどのような関係であることが好ましいのか、教えてくれました。
    相当な時間を使ってつづられた文字の列なのでしょう。いつものように速読してしまいそうになりますが、内容をよく理解して、胸にキチンとしまい込むべき深いものを感じました。

  • 「言葉が人間を人間にする」。人は失ったときに初めてそれの大切さがわかるのだろう。文字盤というコミュニケーションツールを通じて、改めて言葉の大切さを感じました。

  • 全身の筋肉が動かなくなってしまう難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に
    罹った著者の闘病記。

    言語障害児教員、ドイツ語の翻訳者という仕事の中で、人間として生きるために
    言葉がどれほど大切であるかを実感した著者が、その言葉を発することが
    できなくなるという、あまりにも過酷な運命にめぐり合わされた。
    絶望の中、彼女に光をもたらしてくれたのが、文字盤だった。

    透明なアクリル板に書かれたひらがなを、唯一動かせる目によって選び、
    文字盤の反対側にいる支援者と目を合わせることで、言葉を綴るのだ。
    その方法で書かれたのが本書である。

    文字盤のことを初めて知りました。
    その使い方の、何とローテクで、人間味のある温かなこと。
    目をあわせなければ成り立たない文字盤での会話は、コミュニケーションの
    基本を再確認させてくれました。

  • 帯文:”難病ALSによって身体の自由をうばわれた著者が文字盤をつかい、目の動きだけで書きあげた渾身のメッセージ。「言葉って、こんなにすごいもの!」”

    もくじ:はじめに、1章 ALSってどんな病気? 2章 言葉の障害との出会いー学生時代と日本聾話学校勤務時代、3章 ドイツ語との出会いースイス・チューリッヒ滞在時代から翻訳者になるまで、4章 ようこそ文字盤の世界へ、5章 文字盤を通して考える「コミュニケーション力」、6章 もう一度「言葉が人間を人間にする」って? おわりに

  • 本当に文字板だけで書いたのかと思う位に実に豊かな内容の本でした。体は動かなくても、心は自由であることができる。当人からの言葉で語られる感動を知ることが出来た

  • すべての筋肉が衰えて、次第に話せず動けず寝たきりになる神経難病ALSを発病したたかおさんが文字盤を使って目で書きました。聾学校の教師、ドイツ語翻訳家、そして音声言語を失うまでのお話は、とても明朗で豊かな言葉で溢れています。言葉の力に触れる一冊。

  • この232ページを全て頭の中で推敲して書かれている驚き。読んでいて、暗さを全く感じる事なく、言葉って素敵だよ!とお話されていた。実は、もっと「闘病!」という感じなのかな?と思い込んでいたので、良い意味で裏切られました。そしてハイジ好き仲間ここに発見。原作を読んでみたいと強く思いました。コミュニケーションが苦手、嫌いでも言葉があるから大丈夫!子供さんに是非読んでもらいたいです。

  • ALSの患者さんによる本です。
    漢字とひらがなのバランスに違和感があるな、と思いながら読み進めていたのですが、文字盤を介しての編集だったと知って、納得。

    「ALSがどんな病気か」や「話し言葉や書き言葉」について知ったり考えたりするには、とてもよい本だと思います。

    それにしても、なぜ、ALSのような病気が存在するのか、不思議です。
     ※ALSに限らず、遺伝的(遺伝子的)な病気については、
      いろんな病気が存在することが不思議ではあるのですが。
    ある意味、生命の神秘を感じます。

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