- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784038145209
作品紹介・あらすじ
明治16年秋、博物館の怪異研究所で働くイカルは、突然の指名で、陸軍卿、大山巌とその婚約者、山川捨松の博物館観覧に同伴することになる。11歳で渡米し、大学卒業後に帰国した捨松の身の上を聞き、その聡明さと温かい人柄にひかれたイカルは、巌と捨松の結婚について、それぞれが仇敵である薩摩と会津の出身であることを根拠に、あらぬうわさが立てられていることに憤慨する。そんなある日、捨松の兄、山川健次郎が怪異研究所にやってくる。捨松と巌の結婚後、大山邸で続いている怪異現象について調査してほしいというのだ。所長のトノサマは、巌と亡くなった先妻との子どもの教育係として、イカルを大山邸に送りこむことを思いつく。
感想・レビュー・書評
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Net galleryで先行。
こんなに早く続編を読むことができるなんて、思ってもみなかった。何というしあわせ。少しずつ読もうと思っていたのに、やめられずに読み進めてしまった。
誰かが誰かを思う物語。
出版社紹介
https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784038145209 -
博物館の怪異研究所に大山邸で続いている怪異現象について調査依頼が舞い込む。所長のトノサマは子どもの教育係としてイカルを大山邸に送りこむ。
とても面白かった!
騒がしい幽霊(ポルターガイスト)の謎に迫る今作はイカルの目利きや先生として大活躍。
ミステリーとほんのりとした恋もあり。
イカル先生っぷりも見ものだし、捨松の人柄が素敵だった。
シリーズ化するのかな?ぜひ続編を読みたい。 -
目が利くというのは、物事の本質を見抜くということでもある。主人公のイカルは、目が利く。物や人、起きた事柄の見える部分だけではなく、その奥にあるほんとうのところを感じ取れる。言い当てる、暴く、とは違う。感じ取ったうえで、自分にできることはないかと考えられる。とてもとても素敵なことだと思う。
また、イカルは亡くなった両親の言葉、生活、人との接し方などから多くのことを受け取り、学び、ことあるごとに思い出しては今にいかしている。生身の存在がなくなったあとも、イカルのなかには両親が生きていて、励まし、諌め、見守り、現世での縁を繋いでいる。
見る目を養うこと。物や人との良縁を引き寄せるためにまず必要なのは、それなのかもしれない。 -
陸軍卿の大山巌と、その新妻捨松の屋敷で起こる怪異について、研究所に相談が持ち込まれた。イカルは卿の娘たちの家庭教師として務めることになり……。
面白くてまたまた一気読み!!歴史物と、ミステリと、怪異のマリアージュとでもいうべきか。明治という時代だからこそそれがファンタジーではなく、現実にうまくとけこんでいる。
児童書とはいうものの、子どもには意味がわからないでしょうと言葉を優しくするのではなく、その時代らしい雰囲気をそのままの言葉で表しているところも好きだ。
日本史選択ではないので、そんなに詳しいわけではないけれど、捨松さんの存在は知っていた(柚木麻子さんの『らんたん』参照)。それ以外にも知っている人物の名前がちょこっと出てくるたびに、うれしくなる。そして、歴史的な事実をうまく物語に取り入れて、読者の知識にしてくれるところが、本当にうまい。例えば会津藩と薩摩藩の関係とか、葛飾北斎の絵の価値とか、指紋の研究とか。
それでいて、現在にもつながる「女と教育」「偉大な親を持つ苦悩」など、考えさせるテーマについても描かれている。
表紙ではちょっと意外な姿を見せてくれたイカル。これもちゃんと回収してくれるのがうれしい。アキラとイカルにもこれから進展はあるのだろうか?次巻が楽しみだ!!
著者プロフィール
富安陽子の作品






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