鬼ぞろぞろ (赤羽末吉の絵本)

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039630407

感想・レビュー・書評

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  • う~ん、これも面白い!
    【今は昔のこと。】で始まる、中世説話文学の最高峰と言われる「今昔物語」の中のお話(巻十六の三十二話)を、絵本化したもの。
    舟崎克彦さんと赤羽末吉さんというと、以前こちらで紹介した「日本の神話」のコンビでもある。
    歯切れの良い文章と、味わい深い挿絵は相変わらずで、鬼は最初にしか登場しないが、その迫力も見所のひとつだ。

    鬼に唾を吐きかけられたために透明人間になった男は、はじめのうちこそ元の姿に戻りたいと観音様にお祈りするが、そのうちに悪心が芽生えてしまう。
    このあたりを読むと、「易きに流れる」のが人の常かと情けなかったりもするが、その業の深さがユーモラスでもある。
    ひとたび悪心に取り付かれてしまうと、そこから自力ではい出すのがいかに困難か、読むとよ~く分かる。
    いよいよというところで良心に目覚めてくれたので、「心の中の鬼退治」とでも言えば良いのだろうか。

    ところで、海外のひとに「鬼」を説明しようとすると、案外手こずる。
    それは男か、女か、複数の時は[s]を付けるのかどうか。demonとは違うのか。
    いえいえ、自分の心の中の悪いところが、形になると鬼のようなんですよ、と言っても、相手はますます???という様相。
    げに恐ろしきは人の心なり。
    この男、鬼よりも恐ろしいではないか。

    透明になった男は、赤一色で表現されている。
    俯瞰した絵は絵巻物を見るようで、ちょうど物語の場である京都は、今祇園祭の真っ最中。
    鬼がぞろぞろいた昔は、「鬼がまだ威勢が良かった頃」であり、一度は逢ってみたかったいう気持ちにもさせる。
    約10分。これも【鬼が出た】を先にカンニングすることをお薦めします(笑)

  • 鬼として生きるか、人間として生きるか…
    鬼のようなあさましい心と、ひとかけらの良心が、男の行く道を選ばせる。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    大晦日の夜遅く。
    道を歩いていた男は、鬼の行列に出くわしてしまう。
    鬼は男に唾をはき、また歩いて行ってしまった。

    鬼のつばをはきかけられた男は、他の者から姿形が見えなくなっていた。
    すると男は…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    本作は、「今昔物語集」の中から、鬼の唾で姿を消された男の話を絵本化したものだそうです。

    他人から姿形が見えなくなった男は、はじめは慌てたものの、そのことを利用し、盗みをはたらきはじめます。
    しかしその後、不思議な出来事に遭遇し、男はわずかに残っていた良心を取り戻します。
    クライマックスシーンでは、男は「鬼となるか、人間として生きるか」の選択を迫られているように見えました。

    なかなかの文章量ですが、絵巻物を思わせる赤羽末吉氏の絵も、物語理解を手伝ってくれます。
    年長~小学校低学年頃の昔話の読み聞かせにオススメです。

  • 8分10秒

  • さすがの赤羽末吉。物語にぴったりの絵。

  • 別冊太陽『こわい絵本』選書 
    「松明を灯して橋を渡ってくる行列。ひれ伏した男がふと顔を挙げてみると、それは鬼の行列だった。男は鬼がかけたつばで姿を消されてしまう。そして観音様の導きで、ある娘の憑き物を退治して無事に元の姿を取り戻す。
     異界に連れ込まれたこの男の物語は『今昔物語」の一説を脚色したもの。」 

  • 面白かった。
    ○未就学児~

  • 単純な勧善懲悪ではないが人の心の弱さを描いてなかなか面白い昔ばなし。
    おおみそかから話はスタートするが、季節感は強くはない。
    字はまあまあ多いが細かく絵も描かれている。
    一人読み、〜中学年くらいから
    読み聞かせ、〜低学年
    どちらかと言えば家読み向き。
    武士、鬼、盗み、戦い、昔ばなし

  • まあまあ

  • 昔話のおもしろさったら。この世には鬼がまだまだいるね。鬼は人が作り出したもの。

  • おおみそかの夜おそく、、、、

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著者プロフィール

舟崎克彦  東京都生まれ。学習院大学卒業。白百合女子大学教授。「ぽっぺん先生」物語シリーズ(岩波書店)で路傍の石文学賞、『雨の動物園』(岩波書店)で国際アンデルセン賞を受賞。作品に「日本の神話」シリーズ(あかね書房)他多数。

「2013年 『クレヨンマジック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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