春のわかれ (赤羽末吉の絵本)

著者 : 槙佐知子
  • 偕成社 (1983年10月1日発売)
4.17
  • (2)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • 本棚登録 :25
  • レビュー :8
  • Amazon.co.jp ・本 (38ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039631008

春のわかれ (赤羽末吉の絵本)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 真夏に「春の」とは甚だしい違和感だが、赤羽末吉さん繋がりということでどうかご容赦を。
    【鬼ぞろぞろ】と同じく今昔物語からの出典で、巻19の9話「硯破」がこの話の元であるらしい。
    赤羽さんの依頼を受けて、古典に造詣の深い槙佐知子さんが再話したそうで、縦書きの流麗な文章も赤羽さんの挿絵も、そしてその内容も、胸がふるえるほど美しい。
    全38ページの中に、見開きも含めて12枚の赤羽さんの絵が描かれている。
    そのまま襖絵や屏風絵になりそうな背景だけのもの。
    調度品を描いたものや庭を描いただけのもの。
    美しいだけでなく時に大胆な描写もあり(怒りに狂う人間の顔は朱色一色)
    絵を見るだけでもこの一冊の価値がある。
    それもそのはず、この作品の挿絵で、1980年度国際アンデルセン賞画家賞を受賞しているのだ。画家賞を受賞したのは、日本人としては初めてだったという。

    【今は昔、村上帝の御世のことでございます】という出だしで、静かに話は始まる。
    左大臣の姫君が女御に上がる際の婚礼道具として、代々伝わる由緒ある硯があった。
    ところが、一人の若者がその硯を見たがったために、誤って割ってしまう。
    あまりのことに恐れおののく若者の様子を見て、姫君の13歳になる弟君が、自分が割ったことにする。
    話は、ここから展開していく。

    慈しんで育てたわが子がまさかと嘆き哀しみ、そして屋敷から追放してしまう大臣を、狭量な親と責めるひとも多いだろうが、私はそうは思わない。
    親といえど、自らの思いにとらわれるあまり、過ちを犯す時もあるからだ。
    それが人間の愚かしさ・弱さというものであり、そこから時間をかけて、それぞれの方法で乗り越えていくものなのだ。
    親子の別れの場面と、あの若者が現れてすべてを知ったときの大臣の心の動きが、何度読んでも感動を誘う。
    命を懸け若者を守ったわが子の真のやさしさ・心の気高さを知って、大臣のしたことは取り返しのつかないことであっても、どこか救われるものを残してくれる。
    和歌も何首か詠まれ、人の心の普遍性について考えさせられる、感動の名作。

    ゆっくり読むと15分ほどかかり、内容も高学年向け。
    でも、大人の皆さんもぜひどうぞ。
    私たちの遠い祖先たちが、こんなにも人間のことを熟知していて、こういう物語を残してくれたことに、感謝しないでいられない。

  • 悲しすぎるおはなし。。
    あってはならないこと、、
    絵は儚さを表現して本当に美しい。

  • 今昔物語集の中から「小さき稚児を悼みて硯を割りし侍出家せること」(巻十九の九話)をもとに作品化したもの。

    村上帝の御代のこと。
    小一条の左大臣の娘が美しいので、帝が女御に向かえることになった。
    大臣(おとど)も奥方も喜んで婚礼の仕度をした。
    そしてこの家自慢の沃懸地(いかけじ)に蒔絵をほどこした硯を輿入れの荷物に入れようと考えていた。
    それを婚礼の朝、この家に仕えていた青年があやまって割ってしまう。
    それを知ったこの家の若君が青年の代わりを申し出るが…

    美しい文章、美しいお話、美しい絵。

    ぜひ中学生の読み聞かせに!!

  • 番町皿屋敷ではないが、人にとって何が大切か考えなくては・・・

  • 今昔物語集を絵本化
    赤羽さんの淡い雰囲気の素敵な絵
    親としての反省もわかるなぁ

  • 絵と文章(日本語)が美しいと思いました。(sumire)

  • 誤解というか,優しい嘘が招いた悲劇。やりきれない。けれど美しい。

全8件中 1 - 8件を表示

槙佐知子の作品

春のわかれ (赤羽末吉の絵本)はこんな本です

ツイートする