シャエの王女

著者 : 槙佐知子
  • 偕成社 (1981年12月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (38ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039631503

シャエの王女の感想・レビュー・書評

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  • 非常に心を打たれる、しみじみと美しい話。
    音読すること30分間、しばしば涙で文字がかすみ、声も詰まってしまった。
    この素晴らしい作品を前にして、私は何をどう言えば良いのだろう。
    信じがたいことにこの本は絶版となっていて、古書店でも滅多に手に入らないと言う。
    ネット上での驚愕の高値もさもありなんで、持っている人はたぶん手放さないのだろう。
    もしも皆さんの行かれる図書館にこの本があったら、どうか手に取っていただきたいと、心からそう願う。

    このところ登場回数の多い今昔物語の、巻3の14話【ハシノク王の娘金剛醜女のこと】をヒントにして作品化したものだという。
    前述した【春のわかれ】と同じで、文は槙佐知子さん。絵は赤羽末吉さん。
    日本語の持つ美しさをすみずみまで堪能できる文章と、空間を生かしたいつもの清明な挿絵である。

    話の舞台は、インドや西域がまだ天竺と呼ばれていたころのこと。
    数ある国々の中でも、とりわけ強大だったのがハシノク王の治めるシャエ国。
    武勇にすぐれたその王の大魔神のような戦いぶりに、美しく賢い王妃はひとり胸をいためている。が、王は耳を貸さない。
    やがて二人の間に王女が生まれたが、その子のためにふたりは絶望に陥ってしまう。
    それは、ふためと見られないほど醜く恐ろしい容貌の子供だったのだ。
    話は、この王女の誕生から発展していく。。

    「殺してしまえ」と命じる王に対して言った、お后の言葉。
    自分の悲運を知って嘆き悲しむ王女に心をこめて諭した、女官の言葉。
    その日から、生きる意味を求め続けた王女の心の動き。
    若い夫との、じょじょに開かれていく心の交流。
    そして、クライマックスである満月の晩の出来事。
    すべてのシーンが、まるで映画のように私の心に焼き付いて離れない。

    【あなたさまがいたずらに天地を恨み嘆かれるなら、姫さまほどつまらない人間は、この世にいないことになりますよ】
    お后が選んだというすぐれた女官のこの言葉が、胸に刺さらない人がいるだろうか。
    その言葉に答えようと悲しみから立ち上がり【父上、母上の嘆きの原因としてだけ生きたのでは、子としても責任が果たせない】と考える王女の心の気高さは、たとえようもない。

    殺戮を好む父王の、罪のあかしとして生まれたかのような王女。
    しかし、人々に慈愛を尽くそうと決めたそのときから、その姿は変わっていくのだ。
    最後の一行まで美しく印象的な、次世代に伝えたい心震える名作。
    そして私は、巡礼のようにこの一冊を探し求めることだろう。

  • 天竺の武勇に長けた王様と美しい夫人の間に生まれたシャエは王様が戦で血まみれになり周りの国を押さえつけてきたことの報いを受けて、二目と見られない醜い姿で生まれた。

    森の中でひっそりと育てられた王女はとても心の美しい少女に育つ。

    親の因果を受け入れて、孤児を育てることに決めると、王女は美しい姿に生まれ変わる。

  • 運命を恨むことなく、清く、人の為に生きなくては~

  • 絵と文章(日本語)が美しいと思いました。(sumire)

  • 争いばかりしている王のところに生まれた女の子は、世にも醜い姿の王女だった。后は、王女に乳母をつけ、国のはずれでひっそりと住まわせる。
    王女の結婚相手を選ぶ時がきて、一人の男が選ばれる。

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