ごんぎつね (日本の童話名作選)

著者 : 新美南吉
制作 : 黒井 健 
  • 偕成社 (1986年10月1日発売)
4.14
  • (228)
  • (84)
  • (149)
  • (7)
  • (0)
  • 本棚登録 :1012
  • レビュー :145
  • Amazon.co.jp ・本 (35ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039632708

ごんぎつね (日本の童話名作選)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 彼岸花をどこに見に行こうかと考えていたら、この本を思い出し再々再々、、読。
    兵十の母親の葬儀の場面が、殊に好きなのだ。
    今では滅多に見られない、野辺送りの場面だ。
    咲き乱れる彼岸花の向うに、兵十を先頭にした白い裃姿の行列がみえる。
    「ごん」は、手前の六体のお地蔵さんの陰に隠れてそれを見送る。
    そうだ、喪服ってもともとは白一色だったんだなぁと、そんなことを思う。

    国語の教科書では、今も4年生の教材であるらしい。
    当時は、どうして「ごん」を撃ったの?兵十のバカバカ!と泣いたものだった。
    それが今読み返すと、「ごん」の哀れさと健気さばかりが際立って、ただただ泣ける。
    そして、自分を一番励ましてくれていた「ごん」を、それと知らずに死なせてしまった兵十の、
    これからの孤独と悲しみを思うと、いたたまれなくなる。

    作者の新美南吉さんは、17歳の時にこの作品を執筆したという。
    肉親の愛に恵まれなかったという幼年時代を通し、互いに理解しあうことの難しさを
    心に感じていたのだろうか。
    ひとは、こんなに悲しいことも学ばなければ、大人になれないのか。

    挿絵は黒井健さんで、色鉛筆を細かく削り、それを油絵具を洗う液に溶かしてから
    指に巻き付けた柔らかい布にとって塗るという手法らしい。
    通常挿絵画家さんと絵本作家さんは、入念に打ち合わせをして完成を目指す。
    だが作者は黒井健さんが生まれるより早く亡くなっている。
    どれほどの思いでこの絵を描き続けたことだろう。

    話では、新美南吉さんの郷里まで出向いて、話の中の風景を丹念に歩いて見て回ったという。
    今年も「ごん」が歩いた川沿いに、300万本の彼岸花が咲くのだろうか。
    愛知県知多半島は、いつの日かゆっくり旅をしてみたいところだ。

  • 小学校の国語の教科書に必ずあるごんぎつね。定番中の定番なのは、きっと今も色あせないテーマだから。ごんがどれだけ想いをつくしても兵十には伝わらない。どんなに自分のした事を後悔しても取り返しのつかないことはある。互いの後悔と贖罪と。子供の頃に読んだ時の「かわいそう」以上の物が心に浮かんでくるのです。そして、ストーリーだけでも十分心に響くけど、さらにこの絵が私は大好きです。

  • 両親のいない小狐のごんは、
    村へ出てきては
    イタズラばかりして、村人を困らせていた。

    ある日ごんは、
    兵十が川で魚を捕っているのを見つけ、
    魚やウナギを逃すというイタズラをしてしまう。

    それから10日ほどして、
    兵十の母親の葬列を見たごんは、
    あの時逃がしたウナギは
    兵十が病気の母親のために
    用意していたものだと悟り、後悔する。

    母を失った兵十に同情したごんは、
    ウナギを逃がした償いのつもりで
    毎日イワシや松茸や栗などを
    コッソリと兵十の家に届けに行く。

    しかしその善意は
    兵十には伝わらぬままに、
    思いがけない結末を迎える…。



    確か小学校の教科書に載ってましたよね(^^)

    名作ということで
    様々な人がイラストを書いているけど、

    なんといっても
    黒井健さんが描く
    繊細なタッチの情感豊かな絵が、
    切ない話に一番合っていると思うし、
    個人的にも一番好きです♪


    イタズラ好きのごんが兵十に同情したのは、
    母親を亡くし
    ひとりぼっちになった兵十に、
    ずっと孤独だった自分の姿を重ね合わせたんだと思うな。


    だけど
    毎日届く栗やイワシを
    ずっと神様のイタズラだと思っていた
    兵十の話を聞いて、
    寂しさを感じたごん。

    最後に

    『ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは…』

    の兵十の言葉を聞けて、
    頷きながら
    嬉しかったごん。

    最後の最後で
    一瞬でも心が通じあえたのかな…(>_<)


    もう書いている今も
    あまりにも悲しい結末を思い出しては
    撃沈です(泣)(ToT)


    新美さんの作品は
    『手ぶくろを買いに』同様に、
    美しい日本の風景描写や
    日本語の美しさを改めて教えてくれる。

    そして親子の情愛や
    動物と人間の触れ合い、

    『やさしさ』や
    『愛情』をテーマにした彼独特な作風は、

    殺伐とした今の時代だからこそ
    胸に沁み入るし、
    これからも伝え続けていかなければならない
    日本が誇る童話だと思っています。

  • 有名な『ごんぎつね』。
    絵本は何種類かありますが、やはり黒井健のイラストがしっくり来ます。『手袋を買いに』も同じく。キツネお好きなのかな。
    草花の描写が美しい。フェルティングで作られた世界のような、ほわほわと柔らかい質感の絵が最高。

    内容は小学校の教科書でお馴染みですね。小学生の頃は「ごん撃っちゃうなんて、兵十のバカー(涙)」と思ってましたが、今読むと「兵十も可哀想だ。ごんはちょっと自業自得だ」と。大人になって目線がシビアになったのか(^^;)残された方に同情してしまうんだなあ。

  •          「カミサマが綴った物語だと、本気で思った」

    新美 南吉さんは童話の神様だと思う。さらに黒井さんのイラストとのコラボは、天界の域だと思う。ほんとに。

    私が生まれたとき母の知人がプレゼントしてくれた本です。何回も何回も、とにかく繰り返し読みました。自分がもし子どもを産んだらこの本を引き継ぎたいくらいすき。

    ラストのシーンは、何回読んでも涙腺決壊、ボロボロ。周りに人がいると気味悪がられます(汗)

    新美さんの童話は、ストーリーは勿論(子どもに読みきかせるには悲しいものもあるけど)、景色や色の表現がありえないくらいキレイ。情緒を養うのにもいいかもです。何冊も本は出ているみたいですが、やっぱりこのイラストが一番好き。ほんわかしていて、あったかい。

  • 日本人の心

    ストーリーに月は関係ありませんが、「月のいい晩でした」という表現が好きなので。美しい日本の昔の風景や季節を感じさせる言葉がたくさん出てきます。日本語って綺麗だなあと。


    高橋

  • 『ごんぎつね』といえば、”可哀想な話”の代表みたいになっている。「いたずらばかりしているとろくな目に合わないぞ」という教訓話とも受け取られる。でもわたしがこの話を改めて読んで感じたのは、これが作者の南吉にとって、ある種の幸せを描いた作品なのではないか、ということだ。

    子供のころは何気なく見過ごしていたが、冒頭部分、雨上がりの川の描写が美しい。雨降りによって抑圧されていたごんのエネルギーが一気に解放され、その気分が川の氾濫にも表れているかのようだ。

    野生動物であるごんが、兵十の顔を一発で見分けているのも、なんだか気になった。いつもどこかから人間たちの生活を覗き見ているのだろうか。後に「おれと同じ一人ぼっちの兵十か」というセリフもあるが、きっとごんには、同じきつねの友達が居ないのだろう。

    初登場時、兵十は氾濫する川に入ってうなぎをとっている。「はちまきをした顔の横っちょうに、まるい萩の葉が一まい、大きな黒子《ほくろ》みたいにへばりついていました。」という描写が、絶妙に彼のキャラクターや、そのときの真剣さを物語ってる。

    しかし、彼が”おっ母”を亡くしたときの様子は、ごんの憶測という形で間接的に描かれ、実際の光景の描写は無い。このことが作品を味わい深くしている、重要なポイントである。
     他の南吉作品を読んでみても、どれも気持ちの問題を取り扱っているようだ。わたしには、病弱で体が思うように動かなかった南吉の、空想ばかりしていた経験が反映されているように思えてならない。

    後半、栗やまつたけが届くのを不思議に思った兵十が、「神さまのしわざ」ではないかと友人から示唆される。
    それを聞いたごんの反応はこうだ。

    「へえ、こいつはつまらないな」

    「おれが、栗や松たけを持っていってやるのに、そのおれにはお礼をいわないで、神さまにお礼をいうんじゃア、おれは、引き合わないなあ」

    初めは罪滅ぼしのつもりだったのが、この頃には何か別の意味を持つ行為となっていたことが、ここから伺える。
     ごんが兵十の土間にそっと栗を置いて帰ったときの気持ちは、南吉が自らの作品を世に出すときの気持ちと重なるのでないだろうか。

    『ごんぎつね』はいたずらを戒める話ではない。むしろいたずらをする者のやるせない動機や、いたずらから得られるささやかな喜びを描いているのだと思う。

  • 誰もが知っている、
    昔なじみの作品。
    色褪せないどころか、大人になっていくごとにより鮮明。
    田舎で曼珠沙華を目にしただけで悲しくなるくらい。
    とても美しい作品。
    描かれたごんがとっても可愛くて健気で。。
    新美南吉の、淡々とした、それでいてストレートに響いてくる文章がたまらない。
    ラストの終わり方がつらいけど大好きです。

  • 小学校の学芸会で村人役をした思い出深い作品で黒井さんの絵本で再会した時、あまりにも素敵で感動した。
    以来「ごんぎつね」は黒井さんじゃないとってなっちゃった。あと「手ぶくろを買いに」も!
    ご本人もこの絵本が作家としての分岐点であり、この作品以上を目指しているようなことをおっしゃってました。
    読み返してみると、お話の切なさとノスタルジーな気持ちとでキュンキュンする。
    子どもの頃にはなかった感情もみつかる。良かれと思ってした事が相手に迷惑かけたというシーンが経験と重なってチクチクしたよ。

  • 日本人なら誰もがご存じの普及の名作、ごんぎつね。
    ただいたずらが好きなこぎつねではなく、
    純粋でさみしがりやの性格なので
    愛されているきつねさん。
    このお話の舞台になった場所を見たくなり、
    数年前愛知県半田市の新見南吉記念館にも行ってきました。
    曼珠沙華の花が美しく咲いていて、
    ひょっこりごんがお花から顔を出したら、と想像してしまいました。

    ラストは、胸がはちきれそうなほどぐっときます。
    頭に入ってしまっている最後の文を口に出すたび、
    目が潤んでいます。
    動物と人、言葉は通じなくても。
    心と心が重なった瞬間、ごんはもうひとりぼっちじゃなくなりました。

全145件中 1 - 10件を表示

ごんぎつね (日本の童話名作選)のその他の作品

ごんぎつね Audible版 ごんぎつね 新美南吉
ごんぎつね Audible版 ごんぎつね 新美南吉
ごんぎつね Kindle版 ごんぎつね 新美南吉

新美南吉の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ほし よりこ
にしまき かやこ
なかがわ りえこ
トミー=アンゲラ...
有効な右矢印 無効な右矢印

ごんぎつね (日本の童話名作選)に関連するまとめ

ごんぎつね (日本の童話名作選)を本棚に登録しているひと

ツイートする