手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)

著者 :
制作 : 黒井 健 
  • 偕成社
4.21
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本棚登録 : 1380
レビュー : 167
  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039633101

作品紹介・あらすじ

冷たい雪で牡丹色になった子狐の手を見て、母狐は毛糸の手袋を買ってやろうと思います。その夜、母狐は子狐の片手を人の手にかえ、銅貨をにぎらせ、かならず人間の手のほうをさしだすんだよと、よくよく言いふくめて町へ送り出しました。はたして子狐は、無事、手袋を買うことができるでしょうか。新美南吉がその生涯をかけて追求したテーマ「生存所属を異にするものの魂の流通共鳴」を、今、黒井健が情感豊かな絵を配して、絵本として世に問います。

感想・レビュー・書評

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  • 新美南吉さんの作品に黒井健さんの挿絵というと、誰もが知っている『ごんぎつね』だが、
    こちらも負けず劣らずの名作。
    タイトルを聞いただけで、なんだか胸の奥がじんとしてしまう人も多そうだ。

    色鉛筆を粉状にしてオイルに溶かし、それを布につけてこするように描くという手法は
    「ごんぎつね」が最初で、この作品も同じ手法で描かれている。
    ふわっとにじむような、幻想的な色彩。
    それでいて、お話が心にじかに伝わる鋭さも秘めている。
    とりわけ雪の世界の美しさ・冷たさは、こちらまでしんしんと手足に伝わってくるほどだ。
    一枚一枚に、どれほど時間をかけて丹念に描かれたことだろう。
    この絵を見るためだけにこの作品を読むのも大いにありだと思われる。
    それほど、黒井健さんの挿絵の魅力が大きい。
    新美南吉さんの文章の美しさも際立っていて、絵も文も、奇跡のようなコラボだ。

    母きつねの子を思う心、小さな子ぎつねの愛らしさ。
    手袋を買いに、はじめてひとりで町まで行く怖さと期待と。
    子どもをひとりで行かせなければならない母きつねの葛藤。
    上手に買えたときの達成感。
    そして無事に帰れた時の、親子が抱く安心感。
    どの瞬間もそれは丁寧に、しかも簡潔に言葉を選んで書かれている。
    特に、お店の人(人間)が良い人だったことに、子供たちの安堵感がどっと伝わってくるところは、とても素敵だ。

    う~ん、こういう作品をじっくり味わうのが、子供の心にはどれほど良いことだろう。
    でも現実にはそんな時間は限られているのだろうなぁ。
    約10分かかるけど、ぜひお子たちのためにゆっくりお読みあれ。

    • nejidonさん
      8minaさん、こんにちは♪
      ちょっぴりご無沙汰してしまいましたね。
      お気に入りとコメント、ありがとうございます!

      知人のお子さん...
      8minaさん、こんにちは♪
      ちょっぴりご無沙汰してしまいましたね。
      お気に入りとコメント、ありがとうございます!

      知人のお子さんへのプレゼントになさったのですね。
      いいなぁ、素敵な贈り物ですね。
      きっとこの年の寒い日にページを開いてみたことでしょう。
      絵だけでもじゅうぶん過ぎる魅力なのに、日本語がとても美しい。
      子供の頃には、こういった作品にたくさん出会ってもらいたいですよね。
      2015/02/06
    • 杜のうさこさん
      nejidonさん、はじめまして♪

      たくさんの花丸とリフォロー、ありがとうございます!
      そしてコメントまで、私からご挨拶するつもりが...
      nejidonさん、はじめまして♪

      たくさんの花丸とリフォロー、ありがとうございます!
      そしてコメントまで、私からご挨拶するつもりが…すいません。

      この本、子供のころ一番好きなお話でした。
      nejidonさんの本棚、大好きな絵本がいっぱいで、目移りしてしまいます(#^^#)

      プロフィールに”25匹にゃんこと同棲中”ってあって、うわ~素敵♪って。。。
      そして、超おっとりさんで腕力ゼロ。
      まるで私…とすごく親近感持たせていただいてます。

      動物物に弱くて(特に猫ちゃん)すぐ泣いてしまう私ですが、これからもどうぞよろしくお願いします(*^-^*)
      2015/10/14
    • nejidonさん
      杜のうさこさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      いえいえ、こちらこそ、ブクログのお仲間に加えていただいてありがとうございま...
      杜のうさこさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      いえいえ、こちらこそ、ブクログのお仲間に加えていただいてありがとうございます。
      「手ぶくろを買いに」は本当に素敵なお話ですよね。
      時代を超えて読み継がれるものには、それなりの魅力がちゃんとあるんだなと思います。
      こんな本棚でも、少しでも参考になりましたらどうぞご利用くださいませ♪とても嬉しいです!

      25匹にゃんこってなってますが、もう一度数えたら26匹でしたよ(笑)
      今度直しておきますね。
      それに泣き虫繋がりというのも同じようで・・
      これからも、読んだ本の楽しいお話が出来たらいいなぁと思います。どうぞよろしくです。
      2015/10/15
  • おはなしと絵がものすごくマッチしていて、終始優しい気持ちになれる。
    絵を思い出すだけで、その時感じた感情や感覚が蘇る、黒井健さんのイラストはすごい!

  • 五木寛之さんが今なお読み続けている絵本「手ぶくろを買いに」。小さいころ、学校の図書館で手に取った方も多いのではないでしょうか。

    寒い冬、母狐が子狐を気遣い、人間の街へ手袋を買いに行かせる物語。子狐は母の注意に従って、警戒しながら店へと向かいますが、最後は無事に手袋を手に入れ、母のもとへと戻ります。子狐が「人間は怖くなかった」と報告すると、母は「ほんとうにそうかしら」とつぶやいて、物語は終わります。

    →続きはこちら
    GUEST 115/五木 寛之:スミスの本棚:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京 http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/2014/03/post160254.html

  • 小学生に読み聞かせに行く機会を得たので、なにか冬の本をと思って、本棚から抜きだした一冊。

    私が小学生の頃、たしか教科書に載っていたと思う。だから、よく知っている話だしと下読みせずに出かけ、ぶっつけ本番、声に出してみたら、その文章の美しいこと。深いけれど、決して暗くはない森に降る雪、さえざえとした月の光、しんとした静けさ、夜の空と野原に広がる雪の白。そんな印象が黒井氏の絵とともに思い浮かぶ。

    人間って良いものかしら。お母さんの問いが胸に刺さる。人間ってやさしい、と思った子ぎつねが、ずっと人間に怖い目にあわされずに暮らしていくことを望む。私は、帽子屋さんがいい人だったと信じたい。きっと、木の葉のお金でも手袋を渡してくれただろうなと信じたい。

    子供たちは静かに聞いてくれたけれど、わかったのかわからなかったのか、面白かったのかつまらなかったのか。反応の薄さに困ったその時、誰かが「なんか、心があったかくなるお話だね」とぽつんとつぶやいた。

    どうか、誰かの心にすみつづける一冊になりますように。

  • 以前は、帽子屋さん優しいな、と読んでいた(と思う)のだけど、今回読んだら冒頭のこぎつねにノックアウト。雪を初めて見てまぶしく感じた時とその上を歩いた時のセリフに胸がきゅうっとなってたまらん。

    「目に何か刺さった、ぬいて頂戴」
    「お手々がちんちんする」
    …悶絶。

  • 黒井健さんの描くきつねがとにかく可愛い!毛先が光を含んでふわり輝いているよう。思わず触りたくなります。ごんぎつねとともに黒井かん絵のこの本をおすすめ!

  • 「ごんぎつね」も「手ぶくろを買いに」も同じ作者の新見南吉さんが書いてるって知らなかった‥!
    地方の教師で若くして亡くなった童話作家だったから宮沢賢治とよく比較されていて、北の賢治の南の南吉といわれていたらしい。

    おじいさんがね、間違った手を黙認してくれるところがね、すごいほっこりする。笑

  • 動物でも、人間でも、あかちゃんが醸し出す、守って欲しい光線。
    大人なら、その光線を浴びたら守ってあげたいと思う。
    それを言葉で説明するのではなく、お話の筋と絵で伝えてくれる。
    冒険をさせた母親と、間違えた子供と、それを見逃そうとする人間の大人。
    その3者のお互いの間に距離を持ちながらも、お互いを尊重しようとする心。
    自分もそういう態度を示せるようになったときに、さらに感動が深まります。
    間違いを指摘するだけが、正しいことではないということを教訓とできれば、2度心が温まるかもしれません。

  • 冬の絵本なんですけど、ほんとうにあったかい絵本です。

    この絵本のあったかさは、どこから来るのでしょう。
    ふんわりとしたわた毛のような挿絵のせいでしょうか。
    お母さん狐の優しい言葉遣いのせいでしょうか。
    それとも、怖いと言われた人間が優しい生き物だったせいでしょうか。

    お母さんの語り口のような文章。
    母が寝る前に絵本を読んでくれた、小さい頃のひとときが蘇ります。
    それはまるで魔法の呪文。
    言葉のひとつひとつが、とろとろと眠りに誘います。
    この絵本を読み終わる頃、誰もがきっと夢の入り口に立っていることでしょう。

    このあったかさに会いたくて、私は何度もこの絵本を開いてしまいます。
    そして、小さい子にも、大きくなった子にも、優しい気持ちで読んであげたい。
    なんていうか…そう、母性本能をくすぐられる絵本。
    私にとって、究極の「胸キュン」絵本なのです。

  • 大好きなお話、大好きな絵!

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プロフィール

1913年愛知県生まれ。半田中学から東京外国語学校に入学。中学3年の頃より文学に興味を持ち始め、童謡、詩、童話の創作活動を始める。雑誌「赤い鳥」に投稿、鈴木三重吉の推薦を受ける。東京外国語学校卒業後に喀血し帰郷。その後女学校の教師をしながら執筆活動を続けるが、1943年結核により逝去。享年30歳。代表作に『おじいさんのランプ』『牛をつないだ椿の木』などがある。

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