赤いろうそくと人魚 (日本の童話名作選)

著者 :
  • 偕成社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (35ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039635808

感想・レビュー・書評

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  • 「紙屋ふじさき記念館」を読んで、大学生の百花の卒論テーマが小川未明でこの本にも少し触れていた。
    記憶になくて再度読もうと手にしたのがこの絵本。

    いろんな解釈ができるなぁと思った。
    人間の世界へ送り込んだ人魚の母が身勝手なのか。
    (人魚の母は、人間は優しくて町も明るくて賑やかで美しいと思っていたのだが。)
    老夫婦が、簡単に香具師の話を鵜呑みにして大金を手に入れたのが悪なのか。
    話しを持ちかけた香具師が悪の大元になるのか。

    すっかり忘れてしまっていた内容だったが、思い出しながらこんなに暗い話しだったかとあらためて感じた。


    〜以下、簡単なあらすじ〜

    岩の上に休んでいる人魚は、いろいろな空想にふけっていた。
    長い年月の間、話しをする相手もなく、冷たい暗い海の中で、魚や獣とずっと暮らさなければならないのは気が滅入ることだった。
    せめて自分の子どもだけは、人間の世界で育てて大きくしたいと陸に産み落とす。
    ろうそく屋の老夫婦に拾われて、育てられ、ろうそくに絵を描いて売ると繁盛した。
    だが香具師のことばに騙され、大金を得ると老夫婦は人魚を売る。
    その後、赤い蝋燭が山のお宮に灯った晩は、大嵐になり災難が降りかかり、ついにはその町は滅びてしまう。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    北方の、冷たく暗い海の岩の上で、女の人魚が考えていました。「人間の住む町は、明るくにぎやかで、美しいと聞いている。人間は魚よりけものより、人情があってやさしいと聞いている。一度手に取りあげて育てたなら、決して捨てたりしないと聞いている。さいわい自分達は人間そっくりだから、人間世界で暮らせるはず。せめて自分の子供だけは、人間の世界で育て大きくしたい」と―女の人魚は決心すると、波の間を泳いで、陸の上に子を産みおとしました。人魚の赤ん坊はろうそく屋の老夫婦に拾われ、育てられて、美しい娘となり、一生懸命家業を手伝って繁盛して、幸せになったかにみえたのです―。小学中級以上のお子様にも。

    お金に目が眩む人間の身勝手さ。
    さびしい海でも人魚は母娘で暮らした方が幸せだったかもと考えたりした。

  • 6歳の娘は怖がって好きではなかったようだが、私にはぐっときた。
    私は、今まで読んだことがなかったお話。

    赤ちゃんから手塩にかけて育てた娘を、よく赤の他人に売るなんてことが出来るな……と老夫婦が恐ろしかった。これまで蝋燭作りで散々儲けさせてもらったのに。ただ、昔の日本であるということを考えると子供を売るなんてことは、そんなに珍しい話でもなかったのかもしれないな。現に遊郭に売られる話もあるわけだし。。

    詐欺師や村に天罰が下ったのは良かったものの、人魚の娘は逃げられたのかな。
    お母さんのところへ帰れていたら良いなと思うけれど、母人魚が最後に現れた事からも、バッドエンドだったのかもしれないなと悲しく思った。

  • ある時、女の人魚が、暗く寂しい海の世界に絶望し、生まれてくる子どもを、やさしいと聞く人間の世界に預けます。人魚の子どもは、山のふもとで蠟燭屋を営む老夫婦に拾われ、大事に育てられます。
    娘は美しく成長し、ろうそくに絵を描くことにします。娘が絵を描いたろうそくを持って山の上のお宮に参詣し、その燃えさしを持って帰ると、どんなに大暴風雨の日でも決して溺れることはないという噂が立ち、ろうそく屋はとても繁盛しますが…。

    あるとき南の方の国から、娘の噂を聞きつけた香具師が来て、おじいさんとおばあさんに娘を売ってくれと言います。最初は承知しなかった年寄り夫婦でしたが、香具師に人魚は不吉なものであるから手放した方がよいと言われると、だんだんとそれを信じてしまい、ついに娘を手放すことにします。
    とうとう娘が売られるその日、娘は急き立てられ絵を描くことが出来ず、赤く塗りつぶしたろうそくを二、三本残します。
    その日から、赤いろうそくをお宮に点すと、たちまちと大あらしになり…



    あらすじでほとんど書いてしまった。こんな話でしたっけ?
    どこまでも救われなくて思わず失笑してしまいました。
    娘がろうそくに絵を描き出して、お店が繁盛していたところまでは、ハッピーエンドになりそうなよいお話だったのに。(ハッピーエンド=いい話というわけではありませんが)
    思えば、冒頭でお母さんの人魚が、人間は慈悲深く優しいものだと伝え聞くから、きっと一度手に入れたものを棄ててしまったりはしないだろうと何度も呟いていたのも、思いっきり伏線だったのでしょう。一級フラグ建築士。
    結局、暗く寂しい海であっても、お母さんと一緒に暮らしていく方が、人魚の娘にとっては幸せだったかもしれませんね。
    なんといっても、ろうそく屋の老夫婦がびっくりするような心変わりをするのが驚きです。人魚を拾ったときも、その後に大事に育てたときも、とてもやさしいよい人たちに思えたのに…。一体何が彼らをそうさせたのでしょう?それとも、人間って結局こんな無慈悲なものだということが言いたいのかしら。
    香具師に連れていかれた娘はどうなったでしょう。その晩、海はたいそう荒れたということだから、娘の船も転覆し、娘は母親の元に戻ることができたでしょうか?
    体は人魚なのだから、転覆しても生きていけそう。もしそうだったらいいのにな。
    でも、町が滅びるほども、海が荒れる町になってしまったのだから、娘と母親も幸せにはなれなかったのでしょうか。

  • 私が読んだのは、日本名作絵本シリーズのほう。味戸ケイコさんという方が絵をかいています。絵は味戸さんのほうが、すきなんだけど、見つからなかったので、こちらで登録。

    人間の身勝手さと人魚の悲しさあふれる物語です。

  • 978-4-03-963580-8 35p 2013・11・? 9刷

  • [ 内容 ]
    北方の、冷たく暗い海の岩の上で、女の人魚が考えていました。
    「人間の住む町は、明るくにぎやかで、美しいと聞いている。
    人間は魚よりけものより、人情があってやさしいと聞いている。
    一度手に取りあげて育てたなら、決して捨てたりしないと聞いている。
    さいわい自分達は人間そっくりだから、人間世界で暮らせるはず。
    せめて自分の子供だけは、人間の世界で育て大きくしたい」と―女の人魚は決心すると、波の間を泳いで、陸の上に子を産みおとしました。
    人魚の赤ん坊はろうそく屋の老夫婦に拾われ、育てられて、美しい娘となり、一生懸命家業を手伝って繁盛して、幸せになったかにみえたのです―。
    小学中級以上のお子様にも。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • チビ1号、小学校、国語にて
    「北の海の人魚は赤ちゃんをうみましたが、海のそこでくらすのは、さみしいから、おみやのふもとに赤ちゃんをすてます。そこに、ろうそくやのおばあさんがやってきてたいせつにそだてます。そして、人魚が絵を書いたろうそくが、だいひょうばんになりますが、人魚は売られます。人魚はなきながらろうそくをぜんぶまっ赤にぬってしまいます。私はとてもかなしかったです。さいごに人魚のお母さんが、赤いろうそくを買いにきて外はあらしになりました。おばあさんたちがもっと人魚をだいじにすればよかったのにと思いました。」

  • 名作として有名な作品です。
    子供の人魚が人間の家で育ちます。最後には人々に罰が下ります。

    暗い印象があり、私はあまり好みません…

  • 小さな時から大好きな本。
    夕方の図書館でよく読んだ。
    気が付くと目の前に寒々しい海が広がっているような錯覚に陥った。
    それくらい小さい時から私に影響を与えてくれた本。
    人間の小ささがまざまざと描かれている。
    小川未明は偉大だと思う。

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著者プロフィール

明治・昭和時代の小説家・児童文学作家。新潟県出身。「日本児童文学の父」と呼ばれ、『赤い蝋燭と人魚』『金の輪』などの名作を多数創作。

「2018年 『注文の多い料理店/野ばら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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