ハリネズミと金貨: ロシアのお話 (世界のお話傑作選)

  • 偕成社
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039638106

作品紹介・あらすじ

森の小道で、ハリネズミのおじいさんが金貨をみつけました。年をとって、冬ごもりのしたくもたいへんになってきたので、この金貨で干しキノコでもかおうと、さがしはじめたのですが、みつかりません。-ハリネズミのおじいさんが、つぎつぎとであう動物たちは、みんな思いやりにあふれています。本来のお金の意味、人と人が寄り添って生きることの意味を思い出させてくれるロシアのお話です。5歳から。

感想・レビュー・書評

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  • 「100ルーブリより100人の友を持て」
    そんな諺がそのまま生きていた頃のロシアのお話。
    必要なものが必要な時に手に入らない時代。
    お金はあっても役に立たず、知人友人の間で必要なものや情報やサービスを融通し合わなければならなかった。
    このお話の中でも、登場する動物たちが次々に主人公のハリネズミおじいさんを助けていく。恩に着せるでもなく、今出来る方法で。
    そして必ず言う。「そのお金はとっておきな。何かの役に立つかもしれないから」

    季節は晩秋。年老いたハリネズミおじいさんが森の中を歩いている。
    偶然拾ったピカピカの金貨。おじいさんはそれで冬ごもりの準備をしようとするが、リス、カラス、クモ、子グマと、出会う動物たちがそれぞれにおじいさんを手助けして必要なものを作りだしてくれる。(カラスさんが作るドングリの靴と、クモさんが編んだ靴下がかーわいい!)
    全て揃ったおじいさんは、金貨をどうしたかというと・・

    教訓らしいフレーズなどないが、小3の国語の教科書に載るにはそれなりのわけがある。
    困ったときは素直にひとに頼ること。困っている人には先ず思いやりを。
    ゆずりあい、分かち合い、助け合う。こんな気遣いが溢れていれば、人の世ももっともっと生きやすいはず。まるでトルストイの民話を読んでいるような、気持ちが温かくなる良いお話だ。

    欲しいものを得るのにお金は必要なかったハリネズミ。
    日ごろからの信頼関係によって、お金なしで目的を遂げたのだ。
    一番大切なことは、思いやりを気軽に差し出し、それを衒いなく受け取れる日ごろの繋がりがあるということ。それこそが、お金では買えないものだろう。
    後書きにもこうある。
    「もしもっと困っているひとが身近にいれば、おじいさんは即座にお金を差し出したでしょう」・・経済優先にしていると、見失う視点だ。

    アニメーターのオリシヴァングさんがこの日本版のために挿絵を描いてくれたという。
    ややラフタッチの油絵風で、動物たちの表情がとても豊かだ。背景も美しい。
    もし図書館が開いているのなら、お子たちにぜひ。約8分。幼児から大人まで。
    裏表紙には、みんなで食卓を囲む春の光景が描かれている。ここまでちゃんと見せてね。
    他責を求める人だらけの昨今、このお話の語ることが胸に沁みてくる。

    • nejidonさん
      かおりさん、こんばんは(^^♪
      このお話の意味をしっかり受け取って下さって、とても嬉しいです。
      自分のこれまでを振り返ってみても、「もう...
      かおりさん、こんばんは(^^♪
      このお話の意味をしっかり受け取って下さって、とても嬉しいです。
      自分のこれまでを振り返ってみても、「もうだめだ」という時はいつも周りのひとに助けられてきました。
      それに気が付けただけでも、この本の価値がありました。
      絵本て、余計な描写は一切ないのですよね。起きたことだけが書いてある。
      読み込みが足りないと、これもただのメルヘンです。
      本当に良いお話なので、かおりさんにもぜひぜひお読みいただきたいです。
      どうか気に入ってくださいますように!
      2020/04/11
    • えりりんさん
      この話好きです(^◇^)
      この話好きです(^◇^)
      2020/04/18
    • nejidonさん
      まぁ!えりりんさんはこのお話をご存じだったのですね!
      嬉しいなぁ。なかなか絵本を紹介するひとが少なくてね。
      時には大人の本よりもずっと良...
      まぁ!えりりんさんはこのお話をご存じだったのですね!
      嬉しいなぁ。なかなか絵本を紹介するひとが少なくてね。
      時には大人の本よりもずっと良い場合があります。
      また良い本に出会ったらご紹介させていただきますね♫
      2020/04/18
  • 「100ルーブリより100人の友を持て」
    ロシアの諺です。

    人と人が寄り添って生きることの意味を思い出させてくれる絵本です。

    お金の本来の意味について、考えさせられます。

    私は、こういう考えを大事にする人と
    永遠に一緒に居られたらなと思う。

    だからといって、
    困ったときに、頼りになる、助けになることを
    前提として。
    私は好きであると同時に、
    好きな人にとって、頼りになる人でもありたい。

    そうできないのだとしたら、
    この不完全な制度の社会に生まれた現実を
    変えていこうと、声をあげなければ、
    なにかしなければいけないのかも。

  • お金に価値があるわけじゃない。困っていたらいつだって当たり前に助けてくれる人が周りにいてくれることに価値がある。きっとハリネズミ自身がそういう気持ちを持っているだろうし、だからこそ周りもそうで、社会もそういうものなんだろう。行いは巡り巡る。そういうところが大事だということを大人はどれだけ子どもたちに伝えられているのか。いや、大人自身もわかっていないかもしれない。何でも過多で物も情報も溢れる今の時代にこそこういう精神を持っている人間にならないとなと思う。

  • 4年生への読み聞かせに。

  • 損得計算抜きに自然な感情のまま困っている人に手をさしのべる… 素敵な絵本。

    ロシアの諺
    「100ルーブブリより100人の友を持て」

    大切なのは金貨ではないね。

  • NHK「サラメシ」で取り上げられた人形劇団で公演練習風景で知った絵本。早速購入してページを開いた。心温まるお話。そして、ソ連邦崩壊前にロシア人たちの暮らしが彷彿とさせられる。

  • ほっこりと心があたたかくなるお話。金貨を拾って必要なものと交換してもらおうとするハリネズミ。みんなの優しさで金貨を使うことなく必要なものがそろってしまう。結局必要なだれかのためにもとの場所に金貨を置いていく。お金よりも大切なものに気づかされる。

  • たまたま手に取った絵本が今の世界情勢を深く考えさせられるもので、自分でも驚いている。ウクライナの作家さんの作品。絵はロシアの方。

    子供にも大人にも伝わりやすい内容で人との繋がりを大事にしようと思える一冊。

  • 冬ごもりの準備のおはなし。
    金貨をひろったハリネズミじいさんは、
    それで冬ごもりのための物を買おうとするが、
    友だちはみな親切に「そんならあげるよ、作ってやるよ」と与えてくれる。
    ロシアの諺『100ルーブルより100人の友を持て』にあるように、人との助け合い、寄り添い合うことの大切さが暖かく表されてた。

  • 心温まる絵本。ロシアのお国柄と重ねて読むとさらに味わい深いですね。

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