にいさん

著者 :
  • 偕成社
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  • レビュー :45
  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039638908

作品紹介・あらすじ

芸術に生き、つよい絆でむすばれた兄と弟、いせひでこが魂をこめて描くゴッホとテオのものがたり。小学校高学年から。

感想・レビュー・書評

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  • 弟テオドルスが、兄ヴィンセント・ヴァン・ゴッホに向けた愛の言葉。「麦畑の中にきみの空がある。空の中にぼくらの麦畑がある。そこらは金と青の風の匂いでいっぱいだ。」──。
    再読。何度読んでも心を引き付けられます。お気に入りの絵は、麦畑で一人佇むテオ、そして最終頁の兄弟です。美しい麦畑と哀愁漂うテオの背中の対照が…とても切ない。最後の二人は、最も通じ合っていた頃の場面なんだろうな〜。長年ゴッホを研究してきたいせひでこさんだからこそ、兄弟の絆を描くことが出来た傑作だと思いました。評伝も読みたい。

    メモ
    ゴッホの自画像といわれていたものが、実は、弟を描いたものだと近年判明した。

  • 人と同じことが出来ない代わりに
    人と違うことが出来るってこともあるよね。

    テオもきっと、破天荒な兄に振り回されて辟易としながらも、幼い頃から一番近くで見てきた兄の特別さに憧れたりもしたんだろうな。ヴィンセントに対する尊敬の念がなければ、一生かけて支えることは出来なかったんじゃないかと思う。

    「兄さんは僕のすべて、僕だけの兄さんだった!」
    ヴィンセントのあとを追うようにしていったテオの人生は、きっとこの一言に尽きるのだろう。

    太陽の光が降り注ぐ、広い広いひまわり畑で、楽しそうに追いかけっこをする幼い男の子たちの姿が目に浮かぶ。

  •  兄・ゴッホと弟・テオの物語。
     しかし、兄弟は成長するにつれて夢と生活の狭間で揺れ動き、片やその柵から繊細かつ孤独な画家として、一方は兄の作品を取り扱う画商としての物語ともなっていく。
     弟・テオの視点で話は進んでいくが、互いへの愛情と依存、憧憬と軋轢を、文字だけではなく絵柄で見事に表現している大人向けの絵本。

     さて、ゴッホと言えば、やはり「向日葵」の印象が強過ぎるのか、そのイメージは目に鮮やかと言うよりは、まるで目を刺すかのように強烈な黄色である。
     しかし、黄色(表紙参照)よりも、著者の描く鮮やかで深みのある青が、他の色彩よりも印象的。話者がテオであるが故か?
     蒼穹、あるいは深海にも思える青は、己が信念を貫く才能溢るる画家としての兄への憧憬か、はたまた周囲との軋轢に苦しみ、自らを孤独へ追い込んでいく兄への憐憫か。

  • 子供の頃二人で育った環境がいつまでも残っているのね…

  • 青と金の話。ゴッホの一生って文字で読むとただ悲惨としか思えないのに、絵で見ると綺麗だなあ。他の全てを捧げないと絵の才能はもらえないのか(´・Д・)」 でも綺麗。

  • 子供の頃のまぶしい日々を思うと、黄色のひまわりが目にしみて涙を出さずにいられない。あの日々はどこに行ってしまったのだろうか。にいさん。

  • 大好きな絵本

  • ゴッホの事を知らない人は恐らくほぼいないだろう。ひまわりの絵を描いた人、誰でもそう言う風に知っているだろう。私は「黄色」が正直あまり好きな色ではない。服も一着も持ってないし、色物の中から選ぶことはまずない、どちらかと言うと「黄色」だから外す、と言う方だ。なので、黄色を塗りたくったようなゴッホのひまわりの絵は好きではなかった。
    中学生まで、私は絵を描くのが好きで、美術の授業が一番好きで、絵を描く才能があるから専門学校に進みなさい、と言われているような子供だった。うちの経済事情で専門学校には行けないことが解っていたので、自ら諦めた。そして、絵を描くことも止めてしまった。絵を描いても何ものにもなれないだろう、と自分で思ってしまった。それからは絵を描くよりはハードルが低い、義務教育を受けていれば誰でも出来る文字を書く事、文章を書く事に熱中するようになった。高校の進路相談の時に「プロの作家になりますから就職しません」と言って、担任教師に見下げられた視線を向けられて、大人を心底憎んだ。それから、私の中の精神状態は十代の反骨精神を抱いたまま今に至っていると思う。
    ゴッホは、私にとって森脇真末味の漫画の中で特別な意味を持った画家だった。『ブルームーン』と言う作品は、戸籍を持たない双子の男の子の話で、兄と弟の物語でもある。それでも。自分の好きな漫画の中で取り上げられた画家、と言う認識でしかなかった。
    昨年の終わり辺りか、何故かヴィンセントとテオの物語が読みたい、と言う気持ちが湧きおこり、黄色が苦手な私だが、ゴッホの「夜のカフェテラス」の夜空、「星降る夜」の、星が落っこちそうな絵を見た時に、私が何度か見ている同じ夢の中の星空に凄く似ている、と思ったからか。
    これくらいの興味で、黄色が嫌いな私がゴッホに興味を持つことが出来るだろうか、勢いでなんか食いついてないか、と言う気持ちもあって、何か読みたいが分からないし、読破する気力が続くかも分からないな、と思っていた時にこの本の存在を知った。
    「ぼくには、にいさんがいた。」
    で始まる物語。あなたには「わたしだけの」「ぼくだけの」と呼べる存在がいますか?…そう問われている気がした。
    弟のテオの献身、その献身を生んだ兄ヴィンセントと言う人間がどれほど純粋で生に苦悩していたか、短い文章と絵の中から静かに語りかけてくる。
    純粋でありたいと思うと、社会からは孤立してしまう。妥協が出来なければ社会不適合者とみなされる。それは現在も同じ。「生きにくい」と思っているすべての人に読んで貰いたい。生きにくさは自分の魂に嘘をつかない勲章。ゴッホはそれを貫くと言う、周囲にまき散らす攻撃性を以てではなく、ただそうしていただけで、自分が消えていく方へ行ってしまっただけなのだろう。
    ゴッホにとって、唯一の自分の味方であった弟のテオが、ゴッホの死後、後追う様に衰弱して亡くなったテオ。二人は今、隣り合ったお墓の中で眠っている。
    作者がゴッホと言う作家に対する想い、ヴィンセントとテオと言う兄弟の生き方に対する想いが詰まった画集であり物語であり、作者から二人への手紙の様な一冊。だが、作者の意思をこれでもかと押し付ける感じは一切なく、とても静かな物語。
    泣けました。
    ヴィンセントとテオ、愛しいあまりに憎むことも会ったであろう魂の兄弟の事をもっと知りたいと思った。

  • 弟テオの目線で続かれたゴッホのお話です。
    胸がせつなくなり、色々な感情が渦巻きます。
    最後に涙を浮かべてくれた子もいました。

  • 舞台:オランダ、フランス
    ストーリー:兄フィンセント・ファン・ゴッホと弟テオドルス・ファン・ゴッホ。テオの視点で描く兄の生涯。

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