にいさん

著者 :
  • 偕成社
4.35
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本棚登録 : 281
レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039638908

作品紹介・あらすじ

芸術に生き、つよい絆でむすばれた兄と弟、いせひでこが魂をこめて描くゴッホとテオのものがたり。小学校高学年から。

感想・レビュー・書評

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  • こ、、この絵本はすごい!いままで見てきた、いせひでこさんの絵のタッチとはまたかなり違う印象です。一枚一枚の絵の圧倒的な迫力!絵の力、ダイナミズムを感じます。物語が、有名なフィンセントとテオのゴッホ兄弟の話だからでしょうか。フィンセントの世の中からなかなか認められない苦悩、にいさんを思うがゆえに寂しく、苦しく、そしてずっとあこがれ続けるテオの想い、そういった心の声をまさしく、いせさん流に絵本に表現した傑作だと思います。フィンセントとテオの心象風景を見事に圧倒的な絵にしたため、そしてテオからフィンセントへの想いを綴る気持ちが文章として書かれています。

    この絵本は、タイトルは「にいさん」となっているため、小学生でも手に取ると思いますが、フィンセントとテオのゴッホ兄弟の話を簡単に補足してあげないと、ストーリー自体はピンと来ないかもしれません。

    ですが、我々大人にはバシバシに心に来ちゃいます。原田マハさんの「たゆたえども沈まず」を読んでいれば尚更、テオのフィンセントへの想いを理解できるでしょうから、この絵本の絵と、詩のような文章は響きますねぇ。

    想像していたより重厚で迫力のある絵本でした。そして心にビシッと残る一作だったと思います。

    • kanegon69 さん
      mari さん、コメントありがとうございます。私の場合は、本は事前に自分に合うか見てから読み出すため、比較的ポジティブなコメントが多いです。...
      mari さん、コメントありがとうございます。私の場合は、本は事前に自分に合うか見てから読み出すため、比較的ポジティブなコメントが多いです。mariさんのレビューも好きですよ。ある程度なら自由に書いていいんじゃないですなね。他人が不快にならなければ。思いを綴るとスッキリしますからね。
      2019/10/20
  • 弟テオドルスが、兄ヴィンセント・ヴァン・ゴッホに向けた愛の言葉。「麦畑の中にきみの空がある。空の中にぼくらの麦畑がある。そこらは金と青の風の匂いでいっぱいだ。」──。
    再読。何度読んでも心を引き付けられます。お気に入りの絵は、麦畑で一人佇むテオ、そして最終頁の兄弟です。美しい麦畑と哀愁漂うテオの背中の対照が…とても切ない。最後の二人は、最も通じ合っていた頃の場面なんだろうな〜。長年ゴッホを研究してきたいせひでこさんだからこそ、兄弟の絆を描くことが出来た傑作だと思いました。評伝も読みたい。

    メモ
    ゴッホの自画像といわれていたものが、実は、弟を描いたものだと近年判明した。

  • ルリユールおじさんがとてもよかったので、期待して手に取った。絵本は読んだ本にカウントしないのだが、これは特別。自分のものにしたいと思ったほど。作者がゴッホの弟テオという人物にできうる限り寄り添ってできた作品ということがひしひしと伝わってくる。中でも兄を失ったテオの喪失感が痛いほど胸に響く。

  • 人と同じことが出来ない代わりに
    人と違うことが出来るってこともあるよね。

    テオもきっと、破天荒な兄に振り回されて辟易としながらも、幼い頃から一番近くで見てきた兄の特別さに憧れたりもしたんだろうな。ヴィンセントに対する尊敬の念がなければ、一生かけて支えることは出来なかったんじゃないかと思う。

    「兄さんは僕のすべて、僕だけの兄さんだった!」
    ヴィンセントのあとを追うようにしていったテオの人生は、きっとこの一言に尽きるのだろう。

    太陽の光が降り注ぐ、広い広いひまわり畑で、楽しそうに追いかけっこをする幼い男の子たちの姿が目に浮かぶ。

  •  兄・ゴッホと弟・テオの物語。
     しかし、兄弟は成長するにつれて夢と生活の狭間で揺れ動き、片やその柵から繊細かつ孤独な画家として、一方は兄の作品を取り扱う画商としての物語ともなっていく。
     弟・テオの視点で話は進んでいくが、互いへの愛情と依存、憧憬と軋轢を、文字だけではなく絵柄で見事に表現している大人向けの絵本。

     さて、ゴッホと言えば、やはり「向日葵」の印象が強過ぎるのか、そのイメージは目に鮮やかと言うよりは、まるで目を刺すかのように強烈な黄色である。
     しかし、黄色(表紙参照)よりも、著者の描く鮮やかで深みのある青が、他の色彩よりも印象的。話者がテオであるが故か?
     蒼穹、あるいは深海にも思える青は、己が信念を貫く才能溢るる画家としての兄への憧憬か、はたまた周囲との軋轢に苦しみ、自らを孤独へ追い込んでいく兄への憐憫か。

  • 弟から、兄への手紙。思い出。
    不世出の画家の弟。

  • 絵本で知るゴッホ。天才と呼ばれた芸術家がなぜ、どうやって孤独なのかということ。

    思うに、やはり一人になりすぎた、周りの人たちの中に自分を見いだすことを早々に諦めすぎたからではないか。物理的な一人になる、ということもそうだけど、自分の見ているもの、感じていることがすべてだと思い、他の人からは容易に理解できないだろうと思い込みすぎた。

    他の人に伝わったのは彼の才能と、そして凡人には理解できないだろうという気持ちで、そしてそれは彼ら自身を傷つけるものだったから、彼に寄り添うのは容易ではなかった。

    彼の弟も、兄は特別で好きだと思う一方で、彼を妬み続けていただろう。もしかしたら、死んだときに心のどこかで安堵する気持ちすらあったかもしれない。

    心の扉を閉ざしてしまい、他の人の言うことに聞く耳を持たなくなるのは、芸術家でなくても、起こり得ること。人の話を聞く余裕がなくなってしまう前に、まずは自分の心と体の声を、しっかり聞ける余白を持ち続けなければ、愛する人たちを傷つけてしまうだろう。

  • みぃちゃんオススメ本
    絵本ではありますが
    子どもたちには、ちょっと難しいかな

    水彩&鉛筆ではない、いせひでこ
    鮮やかな発色の黄色とブルー
    ゴッホの色彩ですね

    ゴッホについて創作を温めていたなんて
    意外に感じましたが
    相当の時間をかけて大事に描かれた印象です

    悲しいお話ではありますが、美しい本です

  • 絵本。
    葬列の絵から始まる。弟テオが兄ヴィンセント・ヴァン・ゴッホを思い出している。

    泣きそう。
    ヴィンセントは純粋で、発達障害もありそう。
    テオが兄の翌年、兄より若く亡くなっていたことは初めて知った。

    まるで世界には、きみのすわる椅子がないようだった。

  • ゴッホとその弟テオドルスの物語
    弟から見た兄は、かくも生きにくいかわいそうな画家だった
    憎らしくて愛おしくて、だけどあなたが僕の全てで、それでもあなたは僕だけの兄だった

    切ないです

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著者プロフィール

1949年北海道生まれ。東京藝術大学卒業。
『マキちゃんの絵日記』で野間児童文型新人賞、『水仙月の四日』で産経児童出版文化賞美術賞、『ルリユールおじさん』(講談社)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。
このほか、おもな作品に『まつり』『大きな木のような人』『あの路』(文・山本けんぞう)(いずれも講談社)、『1000の風1000のチェロ』『チェロの木』(ともに偕成社)、『わたしの木こころの木』(平凡社)など。
また長田弘の詩集『最初の質問』『風のことば 空のことば』(ともに講談社)も手がける。

「2020年 『けんちゃんのもみの木』 で使われていた紹介文から引用しています。」

いせひでこの作品

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