- Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
- / ISBN・EAN: 9784039639004
作品紹介・あらすじ
かわいそうなマルシュカは、ホレナ姉さんにいいつけられて、雪の山へ、スミレをさがしに出かけていきます。山の頂上には、たき火をかこんですわる、12人の男たち。「三月」とよばれる青年が杖をふりかざすと、たちまち森に、春がやってきたのです…。時に、おそろしいほどのきびしさをみせる自然の力を、美しくダイナミックに描いたスラブ民話をBIB世界絵本原画展グランプリ受賞作家により絵本化。5歳から。
感想・レビュー・書評
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スラブの民話の再話。
心優しい美しい娘マルシュカは、意地悪なまま母とその娘に無理難題を言い付けられ、吹雪の中へ追いやられる。
そこで出会う"12の月たち"が杖を振りかざすと……。
絵は出久根育さん。
雄大で厳しい自然の姿が伝わってきて、四季も感じることができた。また人物の表情や民族衣装など、落ち着いた色使いと質感で、素敵だった。
また月である12人の男たちが、キリストの話に出てくるような使徒や天使のようで、宗教画を見ているようだった。
猫丸さんのブックリストから興味を持った。
他の画家がどのように描いているのか、私も気になってきた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み始めて、どこかで読んだことあるなと思ったら、「おはなしのろうそく2」に収録されていた、「十二のつきのおくりもの(内田莉莎子訳)」の事で、そちらは、ほぼ文章だけだったのに対して、本書は、アートを思わせる厳かな雰囲気の中にも、とてもエモーショナルな思いが見え隠れし、切なくなってしまう絵が加わる事で、より物語に感情移入することができましたし、しかも絵を描かれているのは、「ルチアさん」の、出久根育さんである。
そして、本書の出久根さんの絵は、ご本人の住まわれている地の絵を描かれているからか、より物語への強い思いを感じましたし、その中で最も印象的だったのが、マルシュカの絵を見るだけで、彼女の心の清らかさを自然と感じさせられた事です。
例えば、表紙の真ん中で、たくさんのスミレの花を嬉しそうに抱えている、マルシュカを見て、ホレナと継母からいじめられているように感じられますか? 私には全く感じられず、なぜなら、マルシュカの心の清らかさが、体全体をオーラの様に包んでいるかのような雰囲気を、出久根さんの絵から感じさせるからだと、私は思いました。
また、その清らかさは、マルシュカに寄ってくる、二匹の猫の様子からも痛いほど感じられたし、仕事をしている表情や、糸まきをしている表情もそうだし、なんだったら、リンゴの木を揺すろうとする、マルシュカの後ろ姿さえも、それを感じることができた(その様子がとても健気に見えて…)。
これが絵を描く人の凄さ、そして、素晴らしさだと私は思いましたし、こう思わせるくらいの想いで、描かれたのだろうなと感じさせる、静謐なのに、今にも爆発しそうな、そんな熱量が、私を更に切ない思いにさせました。
それから、熱量というよりは、突き刺さり凍えるような厳寒さを、たった一人取り残されたような、もの寂しさがひしひしと押し寄せてくる、途方も無い孤独感と果てしなさで見事に再現した、スロヴァキア(それともチェコ?)の森は、なんと、これだけの描写で、表裏の見返しと裏表紙全てを満たしており、改めて、自然への畏怖の念を抱かせる。
物語は、よくある話ながら、長く読み継がれている理由が分かる気がして、それは、マルシュカのような人が報われる世の中であってほしいと、皆が望んでいるからだと思う。
もし、私に子供ができたら、こういう絵本を読んであげたいし、あなたが生まれてきた世界は、心のきれいな人が報われる、平等で素晴らしいところなんだよって、教えてあげたい。
たとえ、現実はそうじゃないのだとしても・・それでも、マルシュカのように、何度泣いたっていい。けれど、その後、マルシュカのように、またすぐに元気になれる、そんなしなやかさを持って、生きていってほしい。そんな思いを、私に抱かせてくれた。-
たださん、こんばんは。
オススメ本について私、エラソーにすみません^^;
そうそう!今年こそあの袋とじの本を読みますよ!たださん、こんばんは。
オススメ本について私、エラソーにすみません^^;
そうそう!今年こそあの袋とじの本を読みますよ!2023/01/09 -
なおなおさん、こんばんは(^^)
いえいえ、違います!
『さすがです(偉そうに)』←(偉そうに)は、私自身へのツッコミです。分かりづらくて...なおなおさん、こんばんは(^^)
いえいえ、違います!
『さすがです(偉そうに)』←(偉そうに)は、私自身へのツッコミです。分かりづらくて、すいませんでした(^^;)
なおなおさんのこと、エラソーなんて、思ったことありませんし、これからも思いませんよ。
そして、待ってました!!
レビュー、楽しみにしてます(^^)2023/01/09 -
それから、その後の「ごめんなさい」は、『偉そうに』に対してではなくて、以前、せっかく、なおなおさんがおすすめしてくれたのに、それを覚えてなか...それから、その後の「ごめんなさい」は、『偉そうに』に対してではなくて、以前、せっかく、なおなおさんがおすすめしてくれたのに、それを覚えてなかった事が申し訳なくて、お詫び致しました(^^;)2023/01/09
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どちらかといえば『森は生きている』のタイトルの方がなじみ深い。『森は生きている』は、1953年に湯浅芳子さんが翻訳し岩波書店(岩波少年文庫)から出版している。原題は『十二月』だった。素になったのはロシア人の児童文学作家、サムイル・ヤコヴレヴィチ・マルシャークがソビエト連邦時代の1943年に作った戯曲だ。スロバキア民話の「12のつきのおくりもの」が原案となっているという。本作はサムイル・ヤコヴレヴィチ・マルシャークさんからボジェナ・ニェムツォヴァー さんに引き継がれ、また2008年に出久根育さんの絵本で『十二の月たち』となり蘇った。
『森は生きている』『十二の月たち』は私にとって思い出深い民話となっている。
38年前のクリスマス12月に大病で入院中、県外から手伝いに来てくれた義姉(2才年上の夫の姉)。今思えば、義姉はいったいどこからチケットを手に入れたのだろうか? 彼女は幼い長男を連れて『森は生きている』の舞台を観に連れて行ってくれたのだ。12の月の神様がステッキをポンと舞台で叩くたびに、それぞれ春夏秋と季節ごとに舞台が変化していくのが美しかったと、感想を話してくれた。再発する恐怖に慄いていた私は、話してくれた舞台を想像する束の間明るくなれた。それから年月が流れ、後に誕生した次男と長男で3人で「森は生きている」の上演を観た。描いていた通りに季節が見事に変わる舞台を目の前にして、義姉への感謝の念が沸き上がり涙したのを思い出す。
今回改めて再読して継母、まま娘の設定に時代性を感じ引っ掛かりを覚える。この1点だけは実に残念。 -
これ子供の頃に好きで何度も読んだ「森は生きている」と同じ話!と読んでビックリ。スラブの民話なのか。
継母とその連れ子のホレナ姉さんの無理難題に雪の中出掛けたマルシュカが山で出会った12人の男たち。
「シンデレラみたいな話。お母さんとお姉さん、死んじゃうみたいよ。」(M6)
Mはこのお話が気に入って何度も読む。どこが好き?って聞いたら「イチゴ!」
単に食べたいだけなんじゃ?
それにしても自分勝手な母子だけど、帰ってこなくても、ま、いいかっていう感じがおかしい。
いや、マルシュカへの嫌がらせの理由もニヤニヤしちゃうけど。 -
息子7歳7か月
息子が喜びそうな本を図書館から借りてきて読み聞かせ…最近は息子が一人で読むようになってきて、母はサミシイ。
〈親〉
絵が好き ◯
内容が好き ◯
〈子〉
何度も読む(お気に入り) ◯
ちょうど良いボリューム
その他
かわいそうなマルシュカがいじわるなホレナ姉さんとままははにいじめられて、無理難題をふっかけられる。
「マルシュカが日に日に美しくなっていくのに、ホレナ(実の子)がみにくくなっていく」
母として心がゆがんでいってしまうのは、共感してしまえるなあ。
本当はいけないこととはわかっていますが。
たすけてくれるのは「男性」だしねえ…。 -
スラブ民話の再話
素敵な絵に導かれ、おはなしに引き込まれます。
寒い寒いロシアの夜、こんなおはなしを聞かされながら、自然の恐さを子ども達は学ぶのかしら。
まま母といじわるな姉は美しいマルシュカをねたみ、家から追い出そうと、雪の中、すみれをとってこいと命令する。。
けなげなマルシュカは、12の月たちに助けられるのですが、そのシーン、季節の描写がとっても美しいです!
意地悪をしていると、外見まで醜くなる。心美しく、勤勉でいると、マルシュカのように美しく、幸運に恵まれる。。
そんな教訓でしょうか。
長い冬の夜に暖かい紅茶でも飲みながらゆっくりページをめくる、これぞ絵本という絵本でした。 -
ボジェナ ニェムツォヴァー (著), 出久根 育 (著, イラスト)
出久根育(でくね いく) -
『森は生きている』絵は日本人が書いてるんですね。いい感じですよ。