赤い蝋燭と人魚

著者 :
  • 偕成社
4.04
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本棚登録 : 1686
レビュー : 244
  • Amazon.co.jp ・本 (42ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039651006

作品紹介・あらすじ

「よるくま」の酒井駒子が贈る、小川未明童話。新しい「赤い蝋燭と人魚」。

感想・レビュー・書評

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  • 小川未明さん2冊目。
    今作は美しくも悲しい物語。
    酒井駒子さんの挿し絵で、ぞくぞく感がいっそう増してくる。

    子供をお腹に宿した人魚は、人間をこの世で一番やさしい生き物だと信じていた。
    けれどもそれは、残念ながら悲しい過ちだった。
    お腹の子供の幸せだけを願い、人魚は勇気を出して陸へ上がり子供を人間に託すのだった…。

    人間の強欲さ、浅はかさに虚しくなる。
    この世で一番やさしいと信じた人間の、身勝手な鬼の心を神様は決して見逃さない。
    切なさ寂しさがいつまでも心から離れない。

    物語の内容は悲しいものなのに、酒井さんの挿し絵がマイナスな感情も自然と和らげてくれるから不思議。
    絵の影響力は偉大だ、と改めて思い知った。

    • nejidonさん
      mofuさん!わーい、わーい!嬉しいなぁ。
      私もこれ、持ってます(^^♪
      人間を信じたばかりに哀れな運命をたどった哀しいお話ですが、言わ...
      mofuさん!わーい、わーい!嬉しいなぁ。
      私もこれ、持ってます(^^♪
      人間を信じたばかりに哀れな運命をたどった哀しいお話ですが、言われる通り絵が良いんですよね。
      画家さんの解釈で救われている良い例だと思います。
      赤ちゃんがおててをグーにしていたり。
      何だか今日は興奮してコメントしててすみません。
      まさかこの本のレビューを読める日が来るとは思いませんでした。
      ありがとうございます!
      2020/07/25
    • mofuさん
      nejidonさん、またまたコメントをありがとうございます(*^^*)

      図書館で小川未明さんの絵本を2冊借りたんです。
      この2冊は前から評...
      nejidonさん、またまたコメントをありがとうございます(*^^*)

      図書館で小川未明さんの絵本を2冊借りたんです。
      この2冊は前から評判が良くて気になっていました。
      物語の内容は想像以上に悲しいものでしたね。
      『月夜とめがね』とは雰囲気が全く違うので、びっくりしました。

      物語のイメージを変えてしまう酒井さんの絵の力はほんとすごいですね。
      赤ちゃんのおててのグーはほんと可愛らしい( 〃▽〃)酒井さんらしい絵でしたね。

      一日で2回もコメントをいただけて嬉しいです!
      こちらこそ、ありがとうございました(^-^)
      2020/07/25
  • ずっと読みたかった絵本。絵が酒井駒子さん。文は小川未明さんという…プレミアムな組み合わせ。

    3回ほど繰り返し読みました。始まりの母人魚のページからぞくっとして、自分の希望や願いを込めて産み落とされた(産み捨てられた…)娘人魚が不憫でならなかった。

    赤い蝋燭を買いに来た母人魚のページはぞくっとした。絡み合う様々な因果応報…。

  • いわゆる“大人向けの絵本”にはまったのは、この絵本をプレゼントで頂いたことがきっかけだったと思う。
    小さい頃から絵本は大好きだったけれど、この絵本は小さい頃に読んでもたぶん分からなかった。
    とても恐ろしく、哀しい物語。
    普通の童話ならば、おじいさんとおばあさんはひたすら優しく善良なパターンが多いけれど、この絵本はそうじゃない。人間の打算的な部分や醜さが描かれている。

    酒井駒子さんの絵は大好きで、絵本はもちろん、小説の装丁に使われてたりするとつい目に留まる。
    この哀しいお話にもぴったりだった。
    アンデルセン童話の人魚姫よりも、さらに残酷で哀しい物語。だけどどこか美しい、というすばらしいバランス。

  • 悲しく切ない物語。酒井駒子さんの絵はそんな寂寥感を呼び覚ます。知っているお話だけど、絵でこれほどまでに伝わってくるとは。人魚の切ない想いと人間の身勝手さが悲しく愛おしい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「絵はそんな寂寥感を呼び覚ます。」
      肯くばかりなり、、、
      「絵はそんな寂寥感を呼び覚ます。」
      肯くばかりなり、、、
      2014/05/01
    • 綾里 未優さん
      nayncomaruさん。
      ずっと文章からは和風の物語として想像していましたけど、酒井さんの挿絵だと、どこか洋風の港町に見えますよね。そこ...
      nayncomaruさん。
      ずっと文章からは和風の物語として想像していましたけど、酒井さんの挿絵だと、どこか洋風の港町に見えますよね。そこも新鮮で絵の力は大きいなと思いました。
      2014/05/01
  • 人は、本当は優しくて、思いやりがあって、気高くて、上品なはずなのに。考える頭があって、誰にでも平等に接することができるはずなのに。

    人魚の哀しみが痛いほどわかる。心の痛みは、決して消えることはない。でも、痛みを乗り越えられたら、心はより強く、より美しい姿と形を成す。人魚の哀しみと痛みを感じながら、私は、自分を正直に、謙虚すぎることなく、慎みながら生きようと思った。

  • 光と闇。


    悲しく、美しく。
    心に深く響くお話。

    酒井駒子さんの描く"光"と"闇"が、
    とても、すてき。

  • とても有名な作品なのに、ぼんやりとしたあらすじしか知らなかったので読んでみました。
    1921年に発表されたとのこと。

    人間のエゴのせいとはいえ、悲しく、恐ろしい結末にびっくり!
    衝撃を受けました。

    日本のお話のはずなのに全くそう感じなかったのは不思議でした。
    酒井駒子さんの絵の力なんでしょうね。
    『人魚姫』もそうですが、人魚の出てくる物語は悲しい印象があります。

  • 大好きな酒井駒子さん繋がりで
    手にした絵本です。

    物語自体は小学校時代に読んだけど
    ずっと怪談の類いだと記憶していました(汗)

    大人になって改めて読み直すと
    哀切に満ちた
    その深い内容に
    胸を締めつけられました。


    童話を単に子供のための読み物ではなく、
    大人にも通じる
    永遠の童心に訴える文学として捉えた
    童話作家の小川未明氏は、

    美しい日本語の文体で、
    お金ひとつで簡単に変わってしまう
    愚かで醜い人間の心を、

    物悲しく、
    そして厳しい視線で描いています。


    対する酒井駒子さんの
    イラストが紡ぐ、
    硬質で暗く肌寒い質感。

    黒く塗りつぶされた背景に重ねられていく
    赤、青、黄を基調にした
    抑制された色使い。

    静謐さをたずさえた
    芳醇で美しい絵。


    人間の業を鋭く描いた和の話を
    無国籍風な油絵のタッチで
    新たに表現してみせた
    酒井さんのセンスには脱帽です。

    美しい絵が
    より物語の悲劇性を際立たせていて、
    読む人の胸を激しく揺さぶる。


    それにしても
    信じていた人間に裏切られた人魚の娘や、
    我が子と共に人間に未来を託した
    人魚の母親の気持ちを考えると
    やりきれない思いでいっぱいになる。


    自分はいつもこの絵本を読むと
    Coccoが歌う
    『強く儚い者たち』の世界観とカブってきます。


    切なくて救いのない話に込められた
    いくつもの風刺。


    人間の脆さと弱さ。


    哀しみと美しさは
    表裏一体であることを感じさせてくれる
    傑作絵本です。

  • 大好きな酒井駒子さん繋がりで手にした絵本です。

    物語自体は小学校時代に読んだけど
    ずっと怪談の類いだと記憶していました(汗)

    大人になって改めて読み直すと
    哀切に満ちた
    その深い内容に
    胸を締めつけられました。


    童話を単に子供のための読み物ではなく、
    大人にも通じる
    永遠の童心に訴える文学として捉えた
    童話作家の小川未明氏は、
    美しい日本語の文体で、
    お金ひとつで簡単に変わってしまう
    愚かで醜い人間の心を、
    物悲しく、
    そして厳しい視線で描いています。



    対する酒井駒子さんの
    イラストが紡ぐ、
    硬質で暗く肌寒い質感。


    黒く塗りつぶされた背景に
    重ねられていく
    赤、青、黄を基調にした
    抑制された色使い。


    静謐さをたずさえた
    芳醇で美しい絵。


    人間の業を鋭く描いた和の話を
    無国籍風な油絵のタッチで
    新たに表現してみせた
    酒井さんのセンスには脱帽です。


    美しい絵が
    より物語の悲劇性を際立たせていて
    読む人の胸を激しく揺さぶる。


    それにしても
    信じていた人間に裏切られた人魚の娘や、

    我が子と共に人間に未来を託した
    人魚の母親の気持ちを考えると
    やりきれない思いでいっぱいになる。


    自分はいつもこの絵本を読むと
    Coccoが歌う
    『強く儚い者たち』の世界観とカブってきます。


    切なくて救いのない話に込められた
    いくつもの風刺。


    人間の脆さと弱さ。


    哀しみと美しさは
    表裏一体であることを感じさせてくれる
    傑作絵本です。

  • 滋賀県の伝統工芸品である和蝋燭。
    福井県では指定郷土工芸品です。
    石油を精製したときに産出されるパラフィンを主原料とした洋蝋燭に比べ、炎が美しく、長持ちして、しかも油煙もほとんど出ないと言われています。

    もうひとつ、100%ハゼから作られた蝋燭の炎を3㍍離れたところから見つめると、仮性近視の予防治療になるそうですよ。
    非常用に、どこの家庭でも蝋燭を備えていたのはひと昔前の話。
    その代わり、今は電池の在庫を確認しています。
    滑りの悪くなった障子やふすまの敷居に、ちびた蝋燭をこすりつけたのが懐かしく思えます。それをやると、滑りが良くなるんですよね。

    ご紹介するのは、そんな和蝋燭が登場するお話。
    読書週間の最後に、日本のアンデルセンと言われた小川未明さんの「赤い蝋燭と人魚」を載せてみます。
    挿絵は、たびたびご紹介してきた「酒井駒子さん」です。
    子どものいない蝋燭職人の老夫婦。
    ある日お宮で、赤ちゃんを拾います。
    下半身が魚の形をしていましたが、神様のお恵みと信じて、大切に育てます。
    美しい娘に成長したその子は、ふたりの愛情に応えようと、蝋燭に赤い色で絵を描き、それは飛ぶように売れました。

    しかし、ここにある香具師(やし:縁日など人の集まる所に露店を出し、興行や物売りを仕事をしている人)が登場して、話はがらっと変わります。
    大金を出すからその人魚を売ってくれと、老夫婦に持ちかけます。
    そして、ふたりはお金の誘惑に負けたのでした。。

    話を聞いて、嘆き悲しみながらも最後まで必死に絵を描き続ける娘。
    真っ赤に塗った蝋燭を2,3本残したまま無理矢理連れて行かれます。
    その晩遅く、その赤い蝋燭を買いに来た客は、長い髪をびっしょり濡らした女の人でした。
    その夜は海が大荒れに荒れて、娘を乗せた舟も助かるまいと思われました。
    そこから、この海辺の町も次々に不幸に見舞われていくのです。。

    暗い、寂しい、怖い、という感想が生まれそうですが、酒井駒子さんの解釈は違います。
    赤ちゃんの絵のなんて可愛いことでしょう。
    お空に向かって「ぐー」をしています。
    黒く塗りつぶされた画面は、まるで人間の業の深さをあらわしているよう。
    その上に描かれる人魚の妖しい美しさや、蝋燭の絵の赤い色が、よけい哀れさを際だたせます。

    そもそも、何故人魚は自分の子を人間の住むところに産んだのでしょう。
    それは、このように書かれています。
     『子供から別れて、独りさびしく海の中に暮らすということは、この上もない悲しいことだけれど、子供がどこにいても、しあわせに暮らしてくれたなら、私の喜びは、それにましたことはない』
    と、考えたからです。更に、こう続きます。
     『人間は、この世界の中で一番やさしいものだと聞いている。そして、可哀想なものや頼りない物は、決していじめたり、苦しめたりすることはないと聞いている。いったん手付けたなら、決してそれを捨てないとも聞いている、……人間が手に取りあげて育ててくれたら、決して無慈悲に捨てることもあるまいと思われる。』
    切ないですね。ただただ、胸が痛い文章です。

    大正10年に世に出た作品だというので、昔話というほど古いものではありません。
    解釈の仕方はひとそれぞれ自由です。
    教訓的なものを無理矢理読み取ろうとするよりも、美しい文章をゆっくり味わい、静かに絵の世界に浸る方がふさわしいように思えます。
    お金に魂を売ったために起こる悲劇は、現代も連綿と続いていますけれどね。

    子供の頃に読んだときは、人間とはなんて恐ろしいことをするのだろうと恐怖感を抱きました。それは今も変わりません。
    旅先の土産物屋で、絵蝋燭が売られているのを見るたびに、この話を思い出します。

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著者プロフィール

小川未明(オガワ ミメイ)
1882年新潟県高田(現上越市)に生まれる。坪内逍遥や島村抱月から指導を受け、ラフカディオ・ハーンの講義に感銘を受ける。卒業後、早稲田文学社に勤務しながら、多くの作品を発表する。1925年に早大童話会を立ち上げ、翌年、東京日日新聞に「今後を童話作家に」と題する所感を発表し、童話専念を宣言する。1946年に創設された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1961年没。童話の代表作としては「月夜と眼鏡」のほか、「金の輪」「赤い蝋燭と人魚」「野薔薇」などがあげられる。

「2019年 『月夜とめがね』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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