悪役令嬢、セシリア・シルビィは死にたくないので男装することにした。1 (フロース コミック)

  • KADOKAWA
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040647784

作品紹介・あらすじ

拝啓
親愛なるお父様、お母様――
親不孝な私をどうかお許しください。
確定の死亡フラグを回避するため、私セシリア・シルビィは【男】になることにいたしました!

どのルートでも絶対に死ぬ「悪役令嬢」に転生したセシリア。
女性だけが選ばれる神子候補になると、何が何でも死ぬ。絶対に死ぬ。
その運命を回避するため【男装】することに……。
女バレ=死! 目指せ平穏な人生!!

悪役令嬢×男装×ドタバタラブコメディ第1巻☆

感想・レビュー・書評

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  • ⭐︎3.5
    5巻まで読んだ。未完結。

    男装してても気づくやろって思うし、どうやって男装時にしまってるんだという長髪と巨乳… 好意を寄せられても気づかないのはもはや悪役令嬢モノの様式美?そして、そういう悪役令嬢モノの様式みたいなのをちゃんと踏襲してる感じが。 主人公が突っ走り気味、ちょいアホだから、ちょっと2巻あたりでダレたけど、4巻は面白かった。

  • 素性を偽って男装する話好きだから好み〜ラブコメ要素バンバンあるけどファンタジーもしっかりしてるからいずれか一方が好きな人は楽しめるはず

  • 少しガチャガチャした感じの作画ですがストーリーは面白いです。
    魅力的なキャラが多いと感じました。

  • 悪役令嬢に転生したセシリアが断罪回避のため男装してモブとしてイベントを乗り越えようとする話。ネットの広告で見かけて初めて買った悪役令嬢もの。
    以前はこんなにキラキラした絵柄は好んで買ったことなかったけど、キャラクターの活き活きさが可愛くて面白かった。突如現れるボーイズなラブの展開も含めて先の展開が気になります。

  • 防御力低めの男装令嬢は、泣いたり笑ったりで忙しくとも麗しの顔が近い!

    昨今の文芸トレンドのひとつ「異世界モノ」とは、カテゴリーとして衆目を惹きつける概念ですね?
    本作はそこに「女性主人公」縛りを加えることで方向性と客層をわかりやすくしたWEBコミックレーベル「フロース・コミック」に属する作品であり――。
    「悪役令嬢」を冠する最近の作品の中で私個人の好みとは断らせていただきますが、最大の注目株のひとつです。

    同名作品のコミカライズ企画としては原作小説一巻発刊と同時発表など、準備期間が取られていたためか週一更新というお待たせしないペースを実現。それに負けないクオリティも両立させた疑うことなき良品です。
    原作の良さを十二分に引き出しつつも媒体の違いを使って注目すべきところをズラしているのでコンテンツの入門とは少し違った漫画版としての新鮮な感覚を味わうことも出来ると思いますよ。

    まずはWEB系コンテンツではおなじみ紹介プレゼン系のタイトルが踊る表紙をご覧ください。
    いのいちにやってくる「悪役令嬢」と並んで目立つのが「男装」の二文字ですね。

    結論から言ってしまえば本作は主人公の二重生活が肝になっているのです。
    すなわち公爵令嬢「セシリア」と、学園で浮名を流す男装の麗人「セシル」、主人公はふたつの立場を使い分けて約束された死の運命を回避しようとがんばります。

    基本的に貴族が通う学園での生活が舞台となる以上、セシリアが常の姿をさらすのはひとりでいる時の寝室(と回想パート)に限られます。とは言え、基本無防備な姿から立場と服装を切り替えたとしても読者目線ならきっちり同一人物だということがわかります。常の姿と仮の姿を等価で結びつつ、互いを引き立てるのが強いですね。

    表紙の主人公が天真爛漫なのに不敵な表情を浮かべている通り、人が良く行動力の塊である人柄は薄々察してもらえるとは思います。
    ぶっちゃけ彼女には悪役らしく高飛車わがままに振舞って敵を作っている余裕はありません。

    なぜならば主人公セシリアは現代日本から近代風ファンタジー世界に転生してきた事情と、転生先の元ネタらしき乙女ゲームの設定を(未来知識のような感覚で)抱えています。知っているからなおつらい。
    何の手も打たなければ十七歳でなすすべなく謎の殺人鬼に殺害されるか王子に婚約破棄されて処刑という過酷な運命を背負っています。

    と、最低限の情報共有ができたところで話を進めますね。
    人生の主人公とは人それぞれ、生まれ持った個人のもの。
    (本来は)主人公の敵役ポジションということもあって地味にハードな運命を背負わされているセシリアですが、水面下はさておいて本作の作風自体は至って能天気に進みます。

    それは――メタ的に言えばタイトルからわかるように主人公が自分であると気付いていないセシリアが周囲に抱く勘違いとおせっかい、天然たらしっぷりで男女問わずに魅了していること。あと自分自身に向けられる好意にまっっっっったくもって無頓着で男泣かせなラブコメ模様がこの作品の基本路線だからなのですよ。

    とりあえず言っておくことがあるとすれば主人公は男女両方の姿であっても、幼少期であっても長じた後もただひたすらに顔がいいです。
    意識/無意識問わずに微笑む決めゴマが麗しく、作中の内外を問わずに女子はもちろん男子だって惚れてしまうだろうと納得できます。レーベル自体は乙女向けなのかもしれませんが、きっと男子の読者も取り込めますね。

    加えて舞台裏を知っている読者は、女性としての魅力を知ったうえで男装の麗人としての素敵っぷりを上乗せして受け止めることになるわけですね。
    原作小説は文字情報主体だからこそ、実際は男女の関係なのになぜか発生する絵面としてのBL空間に印象が持って行かれる楽しさもありました。けれど漫画のウリはまた別かもしれません。印象を同時並列処理して男女ふたつの姿を同時に味わえると考えれば、絵情報主体な漫画の見どころはここなのかも?

    で、読者目線ならさっそく一巻で提示されたセシリア(セシル)を巡るふたりの男の煩悶する心の動きが見て取れてまた楽しい。
    自分が持っている秘密をすべて共有できて、残念な姉として振舞える義弟「ギルバート」。
    逆に一方的な苦手意識を抱かれつつ、やがて同性の友人として打ち解けていく王太子「オスカー」。

    かたや義理とは言え姉弟、かたや同性の友人とはいえ天敵……と、セシリアは勝手に思い込んでいます。
    しかしギルバートは男装しているからかあまりにも危なっかしくて無防備な姉のことを女性として見てしまい、オスカーは想い人セシリアの面影を整った顔から透かし見て……。

    どちらにしても男ふたりは内心の煩悶を散らすのに必死なのに、当の本人はのほほんと平和です。
    そんなセシリア当人の視点から周辺の動きを追っていく上で外せないのが、天然で人が良いだけでなく何よりも行動力の塊な本人のテンションですね。

    ここで上手いのがミニキャラの使い方。
    つなぎの小さめのコマなどに等身を押さえたミニキャラを配置しつつ、一喜一憂が激しくてなぜか小動物的な魅力を発散する主人公の心情をコミカルに演出してくれます。

    演出といえばもうひとつ、シリアスな説明な合間合間でミニキャラが泣いたりうろたえたり踊ったりしているので全体的にめちゃくちゃ動いているように見えます。
    心情を通じて自然と動きを演出することでアニメーションより動いている印象を受けるかもしれません。

    かと思えば、作中で障害として立ちはだかる「障り」や前世の最期でありトラウマとなった火災シーンなどはしっかりと禍々しさが伝わるよう描かれているので、単に能天気なだけじゃないんだなと思わせてくれます。
    特に前者はアクションシーンの迫力も出せています。基礎画力は相当高いですね。

    そもそもゆるめのパートをしっかり出せているからこそ、決めゴマの凛々しさも際立つので侮ってかかるべきではないでしょう。序盤からしてしっかり引きこまれました。幅広い魅力を出せる方はやはり強い。

    死を予感させるシーンをわりと容赦なく描くことで、普段は能天気に振る舞っているようでいて彼女が向き合わなければならない死の運命の重さを感じ取らせる。そのことは作品を引き締める上で必須なのかもしれませんね。
    作品の裏側で暗躍する「殺人鬼」は誰だ? という緊迫のストーリーラインとそれに立ち向かう主人公の気丈さにもしっかり目を配りたいところですし。

    ちなみに進行ペースとしては単純な分量でいえば原作小説一巻の四割ほどと好ペース、急ぎ過ぎず遅すぎずと考えれば、きっとこのくらいが最適なのかもしれません。
    中盤の見せ場である男同士(実際は男女)の同衾シーンまでという区切り方もなかなかに心憎い。

    なお巻末にはカクヨム/小説家になろうに掲載された二千字弱の短編『オスカーの手紙』が再掲されています。
    こちらはコミカライズ担当者:秋山先生による三枚の挿絵付きです。
    王太子オスカーがまめに出していた手紙がなぜセシリアの下に届かなかったかの種明かしと男装姿に油断しまくってやっぱり危なっかしすぎるセシル(セシリア)の日常が描かれています。同月発売の原作小説二巻のエピソードにつながる一幕でもあるので、橋渡しとしてもなかなか面白いセレクションですね。

    あと余談ですが、あのボリューミーな髪と体の一部分をどうやって収納しているのかという疑問については分かりやすいツッコミどころと思って気にしないというのが(現時点では)正解だと思います。

    最後にまとめるところとすれば。
    実際は異性にも関わらず、同性の関係性に恵まれているために全般的に顔が近いエピソードが頻出するという――、原作および画面作りの魅力をクローズアップしていただいたという意味でもかなり面白い第一巻でした。

    タイトルが示すとおりに主人公周りに印象を集約しつつ、緩急とシリアス・コミカルの両面性を高次元に表現した漫画づくりの腕前を見せていただいたという意味で見逃せない一作です。
    それでいて、作品を盛り上げるもうひとつの軸の本領も温存しているので続刊も見過ごせない出来となっています。つまりはこれ以上の印象を引き出せることを一読者として確信しているといったところですね。

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