ミネルヴァの梟は飛び立ちたい ~東雲理子は哲学で謎を解き明かす~

  • KADOKAWA (2019年3月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784040656120

作品紹介・あらすじ

 東雲理子(しののめ・りこ)は、城京(じょうきょう)大学大学院に進学。専攻は哲学。修士課程での研究テーマについて図書館で悩んでいるとき、返却したはずの哲学辞典が何度も自分の机に戻ってきてしまうという謎が起こる。
「哲学に興味がおありですか?」
 そのときに話しかけてきたのは、どこかミステリアスな雰囲気の銀縁メガネの男。後に判明するのは、この男性が理子の新しい指導教員、大道寺哲(だいどうじ・てつ)だということだった。
 理子は大道寺の助けを借りながら、日常の謎に挑んでいく。
 ある日を境に姿を見せなくなった喫茶店の常連さん、何度待ち合わせをしてもどうしても会えない友、理子の研究室に代々伝わる謎の決まりごと……。
 平凡な毎日の、一見なんでもないようなちょっとした事件の数々。
 そんな日常に潜む不思議な謎を哲学的な視点から解き明かす、哲学ライトミステリー。
 スマートニュース×カクヨム「連載小説コンテスト」優秀賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • 2020年代になってミステリー小説を読むようになったからか、哲学を扱う小説はないか検索したところ本書がヒットしたので購入。著者が大学で教鞭を執る哲学研究者であり、ヘーゲルの有名な言葉がタイトルに使われていることにも興味を持った。

    本書は、大学院で哲学を学ぶ女子学生が主人公で、学内を含めた日常生活のなかで起こった出来事について指導教授とともに哲学的に考察していく内容となっている。
    著者が哲学的考察アプローチに小説という文体を採用したのは、哲学が日常の些細な出来事に対しても理性を働かせて考察し、対話によって思考を深めていくものであることから、説明的な哲学入門書よりも読者が哲学を理解しやすいのではないかと考えたからかもしれない。
    また、読者の理解を助けるために、章末に2ページ程度の補講があるのも好感が持てる。

    読者に親しみを抱かせる目的で女子学生を主人公とする手法は、多くのジャンルの入門書に採用されているが、本書も恐らくそれに倣ったのだと思われる。
    ただ、キャラクター設定としては読みやすさを感じるものの、主人公と同世代の友人や同級生などの若者同士の会話部分も含めて文体が少々硬めなので、読んでいて多少違和感を覚えてしまった。
    副題についても、「哲学で謎を解き明かす」とされていることで、謎解きミステリー的な展開を期待してしまうが、謎というよりは日常的に感じるちょっとした疑問を哲学的に解釈する展開に終始するため、あまり期待値が高すぎると肩透かしを食らうかもしれない。

    とはいえ、哲学研究者である著者が、本作をカクヨムに連載小説として投稿し、コンテストで優秀賞を受賞したことから書籍化デビューを果たしたという功績は、プロの作家でなくても、また出版社や編集者とつながりがなくても、自分の専門性を活かして書籍化が可能だという好事例であると思えた一冊であった。

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著者プロフィール

大学で教鞭を執る哲学研究者。そもそも哲学とは何かを伝えるために「カクヨム」で執筆した本作を、スマートニュース×カクヨム「連載小説コンテスト」に応募したところ、優秀賞を受賞し書籍化デビュー。

「2019年 『ミネルヴァの梟は飛び立ちたい ~東雲理子は哲学で謎を解き明かす~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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