京は成仏びより (MF文庫ダ・ヴィンチ)

著者 :
  • KADOKAWA/メディアファクトリー
4.13
  • (3)
  • (4)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 32
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040663753

作品紹介・あらすじ

勤め先をリストラされ、妻に逃げられた鉄也は、叔母の元へ一時的に身を寄せることに。そこで出会った美女はなんと若くして死んだ彼の祖母・稲だった!霊感体質を活かして仕方なく祖母の成仏方法を探すものの、行く先々で心霊トラブルに巻き込まれてしまう鉄也。彼は無事、祖母を成仏させ、再就職を果たせるのか!?京を舞台に繰り広げられる、ハートウォーミング・幽霊物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • トラブルで勤め先をリストラされ、妻と離婚することになった主人公の鉄也。京都で店を持つ裕福な叔母の元へ一時的に身を寄せることになる。しかしそこにはもう一人同居人がいた。見た目だけなら鉄也より若い美女で、名前は稲。
    彼女の正体は、若くして死んだ彼の祖母。つまり幽霊である。
    鉄也は仕方なく祖母が成仏できるよう手を貸すことになった。
    しかし日々を過ごすうち、霊感体質の鉄也は様々な事件に巻き込まれていく。

    家系が複雑なので、最初は冒頭に出てくる家系図とにらめっこになるけど、割とすぐ慣れます。
    一話目は、徹夜の家の女性に代々伝わる品と、壊れた人形の謎。
    鉄也は人形に憑依して、何故それが壊れてしまったのか「身を持って」体験する。

    二話目は、鉄也が再就職のための面接に訪れた会社で、少年の幽霊を見かける。調べていくと、本当に少年が行方不明になっていることが明らかになる。
    本来は鉄也が継いでもおかしくない家業を、現在継いでいるのは、一応いとこにあたる常比古。常比古は、母親が後妻だったこともあり、本家とは全く血のつながりがないが、経営者としては優秀。鉄也の幼馴染だった立花を妻としており、そのままあとを継ぐと思われたが、血のつながりのことで迷いがある模様。血のつながりのある失踪した子供を探してくれと鉄也に頼みにくる。

    三話目。
    女性をとっかえひっかえするタイプの男性が出てくる。その男性のまわりでは女性が何度か亡くなっている。縁切りの呪いなのではないかと思われるほど。その家で出た古い家具を、鉄也の叔母が買い取ってくる。抽斗のついたその家具の中には、生首だけの女の幽霊が収まっていた。
    鉄也の働きもあり、生首幽霊は無事成仏…したと思われたが、人の怨念はそう簡単に消えないラスト。

    四話目。
    鉄也がリストラされたのは、目先の利益を追求した経営者と揉めたため。その会社が潰れたという連絡が入る。
    いっぽうで、徹夜の幼馴染・立花を妻に持ち、本家を継いでいる常比古が、立花と離縁を申し出て、本家はパニック状態。
    鉄也のところのお手伝い、なかさんとの浮気をしていた常比古は離れに軟禁されてしまう。
    そんな中、叔母がやっている喫茶店に飾ってある墨蹟に、ぼったくり疑惑が持ち上がる。鉄也はその墨蹟を手掛けたアーティストのとこを訪ねていく。アーティストは二人組だった。しかしそのうち一人が、高所から転落してしまう。
    果たして転落は故意か、それとも…。

    五話目。
    相変わらず自宅に軟禁されている常比古。鉄也は彼の話を聞き、その心が立花から離れたわけではないことを指摘する。
    二話目でたのまれていた失踪した子供「ゆうき」の捜索も始める。
    そして稲が若い頃、祖父ではない別の相手を好きだったことを知る。
    稲と結ばれなかったその相手・慶二郎は、やがて着物職人となり、稲の娘である叔母に一枚の着物を送る。
    その慶二郎は亡くなった。鉄也は叔母に送られた着物の前に現れた慶二郎の霊と会話をする。
    慶二郎は、その着物に花を描いたというが、鉄也には花など見えない。果たして…。
    鉄也はやがて、さがしていた人物、「ゆうき」に辿り着く。その正体は、お手伝いのなかさんだった。なかさんは自分の正体をぼかしたまま、常比古とこれ以上関わらないと決めており、鉄也にもそう言ってくれるように頼む。
    好きな人と結ばれなかった稲。血のつながりや、立花との関係などに思い悩んでいた常比古。自分に自信がなくて、妻を手放してしまった鉄也。
    それぞれの絡まった糸がすっと解れて、ラストを迎える。
    慶二郎が着物に描いた花とは、『稲』。一見草に見えるが、慶二郎にとっての「花」である。
    ぼやーっとしてると思っていた叔母さんが一番何もかもお見通しだったのかもしれない。

    京都検定面白そう。
    私は関東在住なので、江戸・東京の知識を身に着けたい。

  • 続編が読みたくなる、日常系?和装美人の幽霊ばあちゃん良いですよ。

  • ほんわかとしてユーモアもたっぷりのホラーミステリ。
    成仏できない祖母の霊(見た目は妙齢の和装美人)に付きまとわれて振り回される孫の青年。この二人の漫才のようなやりとりがなんとも楽しい。そりゃもう見事なボケ突込みの数々が(笑)。
    そして次々巻き起こる厄介ごとと、その裏にまつわる霊的な恐ろしい事象。コミカルな読み口に騙されますが、かなり怖いシーンもあります。「縁切り怨結び」のラストには鳥肌立つような思いがしましたし。京都の怖さがここにあるかも。
    それでも全体的な印象は、あたたかくおだやか。主人公の成長具合も微笑ましくて。これはシリーズ化してほしいのだけど。そうするといつまでも成仏できませんね(苦笑)。

  • 面白かった〜。鉄也巻き込まれ体質。続編でないかな。

  • 人の心は、一瞬で魔に落ちたり、長い時を重ねて角が取れて、丸くなったり…生きてきた年数だけ、浮き沈みがあって、そのどれもが素晴らしいことなんだなぁと思います。
    この本の中には、いろんな人の人生が詰まってますけど、ことに女の人は、そうやって積み重ねて行くものが多いのかもしれないなぁ。
    私も三十年分、それなりに積み重なってるしね。幸いにも、あまり人を恨むようなことはなかったけど、自分の運命を呪うようなことは、いっぱいあった。
    それも、いつかは、そないなこと、どーでもよかことですわ、と時子さんみたいに言えるようになるのかなぁ。歳を取るということは、そう悪いものでもないなぁ。
    続編も出そうな感じですね。楽しみにしています。

全6件中 1 - 6件を表示

京は成仏びより (MF文庫ダ・ヴィンチ)のその他の作品

神狛しずの作品

ツイートする