小説・秒速5センチメートル (文庫ダ・ヴィンチ)

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  • KADOKAWA/メディアファクトリー
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040666495

作品紹介・あらすじ

「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル」いつも大切なことを教えてくれた明里、そんな彼女を守ろうとした貴樹。小学校で出会った二人は中学で離ればなれになり、それぞれの恋心と魂は彷徨を続けていく-。映画『秒速5センチメートル』では語られなかった彼らの心象風景を、監督みずからが繊細に小説化。一人の少年を軸に描かれる、三つの連作短編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 【あらすじ】
    「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル」。いつも大切なことを教えてくれた明里、彼女を守ろうとした貴樹。二人の恋心の彷徨を描く劇場アニメーション『秒速5センチメートル』を監督自ら小説化。

    【感想】
    恋って歳を重ねていくごとに形が変わっていくけれど、それでも相手を想う純粋な気持ちは変わらないんだなあと思った。そして、ひとを愛することの難しさも、反対にひとを愛することの幸福感も、どちらも恋は持ち合わせているんだなと感じた。

  • 映画がほぼ心理描写ばかりでまあ小説になると少し読み辛いし淡々と話が進んでいくからあまり好きにはなれなかった。多分何気ない台詞が含まれた漫画版が完成された形だと思う。心理描写ばっかりだと小説というよりエッセイぽいからやはり会話は必要だとこれを読んで思った。
    新たらな発見は結局二人はすれ違いだけど目を見て会えたということぐらいでした。あと二人の手紙の内容であかりの「ずっと絶対好きです」は何気ない文の筈なのになにか美しいと感じてしまった。この主人公はあんないい女の子と交際できただけで幸せじゃないだろうか?
    最後の「前に進もうと思う」って一文は一体どっちに行こうとしたのだろうか?
    彼女の方なのか今の進んでいた道の方なのか?振り向いてるのは彼女方だししかし心理的な考えだったら「人生前に進もう」だと思うしまあ映画では自分の進んでいた道だったと思うので後者だと思う。
    しかし何人もの女性と交際できるだけで幸せなのに贅沢な主人公にはあまり感情移入できずにもやもやするだけで後悔した。
    やはりアニメーションをたのしむアニメにそこまでなにかを求めてはいけないと分かった気がした。

  • 数年前に映画を観たんだけども、そのときの記憶がごっそり抜け落ちていることに気がついて、どうせなら小説版でも、ということで読んでみた。
    なんと形容していいのか、この読後感。ほろ苦いような、甘酸っぱいような。
    直近にアドラーの心理学の本を読んで、過去など存在しない、人生は連続した点であり、その瞬間瞬間を人は生きているという考え方に触れて、まあなるほどなとか思っていたけど、貴樹や明里が共有したような美しい過去があったとしたら、それまでもなかったことにはしたくないよな、と。今、ふとした瞬間にでも、過去から救われることもあるだろうから。
    個人的にはコスモナウトが好きだったかな。言えない片想い。切なさ。いいねぇ。
    映画と小説は相互補完の関係とのことなので、また映画も観てみたい。

  • 大切な思い出を思い出として切り離せるか否かという気持ちになる本。男と女の恋愛観みたいなことで、よく男の方が引きづりやすいという話をよく聞くけど、まさにこの物語の主人公遠野貴樹は典型的な恋愛下手男子。
    映画は未読なので映画も見てもう一度楽しんでみようと思う。

  • まるで情景が目に浮かぶような描写。
    アニメも見たくなった。

  • 映画版を見たのは高校生の時だった。あの時は主人公への悲哀と自分の経験を重ねて酷く悲しい印象を持ったが、その後大人になってから観なおし、最後に主人公がほほ笑んでいる事に気が付いた時、まったく真逆の感想を持ったのを覚えている。なんて不器用で前向きな映画なんだと苦笑した。
    そして今、今更ながら小説版を読んで、更に印象が変わった。ずっとすれ違っているだけのように感じたヒロインとは、実のところ向いている方向は同じで、彼は決して忘れ去られたわけではないのだと、読んでいて安心してしまった。
    思春期に1度見てから大人になりもう一度観て、そして最後にこの小説を読んだことで、ようやくこの作品は完結を見たように私は思う。
    ずっと大切にしたい物語だ。

  • たまに思い出す作品。
    心の1番奥の大切な部分に共鳴する感じ。

  • なぜ貴樹と明里は疎遠になってしまったのか...
    その他、映画で理解できない部分があって読むことにした。
    正直言って、まだ理解できない。
    額面通りに貴樹は「愚かで身勝手」と言う事なのだろうか。
    貴樹は一見、一途の様だが、投げやりだ。
    不器用さゆえの悲恋?
    叶わぬ初恋?
    ...どうも釈然としない。
    まぁ腹を立てたところで、どうしようもないのだが(笑)。
    コミック版の方もなかなかの評判なので、読んでみたい。

  • 恋のお話し
    なんだけど、単純にそんな一言では済ませられない

    ネットでは異常に高評価な原作アニメ
    個人的には山崎まさよしの長めのミュージックビデオな印象なんだけどね(笑)
    ただ、映像として美しいし説明しないことで視聴者の想像力を掻き立てられるんだけど、最終的には悲しいイメージ

    一方、小説は心理描写がされているし、3部の今の状態がどうやってそうなったのか、今はどんな心境なのかがわかるので、かなり良いイメージになっている
    終わり方としても、二人の関係が再開されそうな予感になっている
    まぁ、確率はかなり低いんだろうけどね

    結構前に見たので細部は忘れてるけど、もう一回ちゃんと観たいなぁ

    アニメと小説でそれぞれ補完の関係だし
    さらにマンガも別の切り口からの描き方をされているみたいらしいので、漫画版も読みたいなぁ

  • 映画をみてからの小説。映画では描かれなかった、登場人物たちの気持ちがありありと書かれていて、物語に引き込まれる。映画の映像が、ありありと浮かびあがる。神秘的で、切なくも、優しい気持ちになれる。

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著者プロフィール

1973年生まれ、長野県出身。
2002年、ほとんど個人で制作した短編作品『ほしのこえ』でデビュー。
2016年『君の名は。』、2019年『天気の子』、2022年『すずめの戸締まり』公開、監督として国内外で高い評価と支持を受けている。

「2023年 『すずめの戸締まり(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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