拝み屋郷内 花嫁の家 (文庫ダ・ヴィンチ)

著者 :
  • KADOKAWA/メディアファクトリー
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本棚登録 : 71
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040669991

作品紹介・あらすじ

拝み屋を営む著者が、これまで一度も最後まで語ることも記録に残すことも許されなかった。忌まわしき怪異譚をここに開陳する。"花嫁が必ず死ぬ"といわれる東北の旧家では、これまで代々の花嫁が数年の内に亡くなっていた。この家に嫁いだ女性から相談を受けた著者は、幾度も不可解な現象に悩まされる-。戦慄の体験談「花嫁の家」と、「母様の家」の連作2篇を収録した怪談実話集。

感想・レビュー・書評

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  • これは怖ろしい。
    現代の日本で、こんな複雑に絡み合った、言ってみれば横溝正史的な事件があっていいものだろうか。
    そう、これは実話怪談という事なので、驚くのだ。
    細かなエピソードひとつひとつが積み重なって大きな物語を形作っており、全体として秀逸なホラー作品として読む事ができる。
    しかし、それでいて、山神(?)の正体がいったいなんであるのか、離島の花嫁の呪いがどうなったかについては、ついにわからない。
    これもまた、実話怪談ならではの、未解明さと言えるものだろう。それだけに怖さが増す。

  • 最初、土俗色の強いミステリーかと思った。タイトルの感じとか、カバーデザインとか、田舎の旧家を舞台にした和風の推理モノのそれだったからだ。私はもともと妖怪もお化けも好きだし、怖い話になぞらえたミステリーも好きな方だ、が、だからこそ、怪異現象をトリックと結びつけたり、地方に伝わる伝説を犯人の犯行手順と重ねたりして結局「怪異譚が小道具として利用される」だけで終わってしまうこの手のミステリーは苦手でもあった、純粋に怪異譚を愛する気持ちが踏みにじられているようで。

    よって、この本もまぁその手の類かな、と手を引こうとした際、本の帯に小さな文字で書かれていた「怪談実話」という言葉が心に引っかかった。…実話?

    この段に至って、ようやく本書をきちんとチェックしてみようと思い、背表紙に書かれた簡単な解説を読んでみる。そこにも、「怪談実話集」との言葉があった。

    どうやら、著者は実際に「拝み屋」として商いを行っている人物であり、どこまでが実話でどこからが味付けの部分なのかはわからないにせよ、実体験を元にした作品のようだ。…ふむ、面白そうである。そうして正式に手に取ってからは、それこそ一気呵成にというか、あっっという間に読み終えてしまった。

    まず、ちゃんと「怪異譚」である。妄想オチとか精神病オチ等ではない。この大前提が素晴らしい。次に、ちゃんと、怖い。想像の範囲内の出来事が起こる場合もあるし、こちらの予想通りの展開に落ち着くところもある、けれども、それ以上に読み手の心がゾワゾワするような、手抜きをしていない怖さが散見できた。作り物めいた安っぽさがあまり無いというか、妙にリアリティがあるというか…まぁ「実話」なのだから当然なのかもしれないが。

    そして、上記と多少矛盾するようだが、リアルな中にも、読み物として面白く構成しようという意思もきちんと反映されていて、そこがまた丁度良いバランスになっている。ただ書き連ねただけの日記風のものでは、読者は順を追って内容を理解していくことは出来るが、点が糸になる過程を自分自身で楽しめないというか、自分で考えることなしに楽に内容を追えてしまう。しかし、例えば本書の「母様の家」では、年月日も名前もバラバラの人物が、ランダムに出てきて妙な話をする。解決したかどうかは記載が無い。だから読み手は安心の枠の中から外に放り出され、え?なにこれ?どうなるの??という疑問でいっぱいになる。しかし徐々に、これらのバラバラのピースが少しずつ繋がっていく。新しい発見と驚きがもたらされる。これは、構成の妙である。

    いささか展開に強引なところもあるし、幼稚な言葉遣いの部分もあって気にもなるのだが、それ以上に、久々に怖面白いものを読んだなー、という感動の方が大きかった。

    あと、この著者の方の、慎重なんだけど熱いところとか、感覚と理論のどちらも大切にしているところとか、とにかく社会人としてきちんとバランスをとって生活している様子が垣間見えるのも興味深い。「拝み屋」を生業とし、自身が妙な体験をすることも多い方だというに、「そもそも視えるというのは主観的なもの」と言い放ち、観念論と唯物論の間でしょっちゅう悩んだり揺れ動いたりしている。「客観的な力の証明(=物に触れずに動かすとか、壊すとかいった類。誰が見ても客観的に確認できること)はどう捉えたら良いのか」についてもあれこれと頭を悩ませる。面白い。

    驚愕なのは、おさめられている中編2編が、実は密かにリンクしていたということ。10万分の1くらいの確率でとんでもない依頼に出会ってしまうことがあると郷内さん自身も作品内で記しているが、まさに、何らかの因縁というか、妙な力を感じざるをえない独特の生々しさだった。

    個人的に感覚が引っかかれたところは、「山神」とも言える獣の描写。南国の仮面を想起させる顔立ちに、荒縄のような体毛、蛍光色の臓物というのが、想像の斜め上を行っていて妙に印象に残った。ファンタジーめいているのに生々しいというか、第六感に訴えるリアリティがあるというか…。人間が古代から紡いできたモノというのは、やはり想像やまやかしではなくなんらかの真実が秘されているのではないかと考えさせられる瞬間だった。

  • y買った。

  • 怖くて物悲しくて、泣ける。前作でも怪談集という体裁を取りながらも拝み屋の体験記として一本通った不思議な面白さがあったが、今作はフィクション風?ホラーとしてさらにすごい仕上がりです。関係ないはずの依頼が繋がっていく様にぞわぞわする。
    実話怪談風味を上手く残した拝み屋のドキュメンタリー小説といえばいいだろうか。すごく面白い作風です。職業ドキュメントとしてもしっかり面白くてできている上で、ノンフィクションらしさを消さずに、ストーリテリングに気をつかいドラマ性も出してるんですよね。
    全体としてはフィクションと信じています。でないとまじで怖いからです。

  • 怪談始末よりも先にこちらを読みました。拝み屋に次々に持ち込まれる相談。山奥の旧家を中心に奇妙なつながりが。実話!?ってかなり怖すぎる。夜に読むのが怖い、、、、

    と言っても「残穢」ほどではないけど。

    なかなか読みごたえもあって、かなりのめりこみました。

  • わわーん。怖くて面白かった。ホントに実話?よく出来てる。

  • 前作より怖さがました。その後が読者としては知りたい。知らないほうが自分のためでもあると思うのだが。

  • 根っこが同じ、続く話は怖いんだってば・・・。実話怪談、おっかなすぎです。

  •  老いた女性が語る、嫁いだ家で起きた怪事。
     拝み屋である師匠、先輩、そして当時まだ駆け出しだった「私」の元にきた、複数の依頼。
     事態が進むにつれてこれらの断片は繋がっていき、一本の筋となり、その忌まわしい全貌が明らかになった時、「私」が決断したのは――。 (『母様の家』)

     「嫁いだ花嫁は必ず死ぬ」という旧家に嫁いだ依頼者。助けを求められた「私」は、まずは実地検分をするために現地に赴いたが、そこで奇怪な存在を目にする。調べを進める内に、嫁ぎ先の家が抱える「秘密」が明らかになるのだが、本当の恐ろしさはその先にあった――。 (『花嫁の家』)

     これまで手がけた中でも取り分け忌まわしく、忘れ難い仕事となった『母様の家』。そして、前著ではその存在だけが何度か語られた曰くつきの怪異譚『花嫁の家』、二編の中編怪談を収録した怪談実話集。

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     読了後、しばらく体の震えが止まらなかった――。

     フィクションなら恐ろしい、ノンフィクションなら悍ましい。
     ノンフィクションだと思いたくない、フィクションだと思いたい。

     だが、読んで受けた恐怖は、間違いなく“本物”である。
     胆力に自信がある人は、ぜひ読んでみてほしい。

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著者プロフィール

1979年、宮城県生まれ。郷里で拝み屋を営む。2013年、「調伏」「お不動さん」の2作で第5回『幽』怪談実話コンテスト大賞を受賞。「拝み屋シリーズ」として、『拝み屋郷内 怪談始末』『拝み屋郷内 花嫁の家』『拝み屋怪談 逆さ稲荷』『拝み屋怪談 禁忌を書く』がある。共著に『渚にて あの日からの〈みちのく怪談〉』。

「2018年 『拝み屋怪談 怪談始末』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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