高山なおみのはなべろ読書記 (ダ・ヴィンチBOOKS)

著者 :
  • KADOKAWA/メディアファクトリー
3.82
  • (13)
  • (23)
  • (18)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 214
レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040671406

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「ダ・ヴィンチ」誌上にて連載された
    高山さんが鼻とベロで味わった本にまつわる文章と
    その本をイメージした料理レシピをまとめたエッセイ。


    相変わらずどこか切なくて
    それでいて心地いい。

    何でもない日常の強さを描きながらも、
    言葉にできない言葉や
    声にならない感情を
    偽ることなく、
    ごまかすことなく紡いでくれる。

    まるで猫を抱いて
    肉きゅうを触らせてもらってる時の
    あの甘やかで夢見るような感覚。

    だから、いつまでもいつまでも
    ゆらゆらと読み続けていたくなる。

    そして高山さんが作る沢山の料理は
    目にも心にも栄養を与えてくれる。


    谷口ジローの漫画『ふらり。』を読み、実測地図を日本で初めて作った伊能忠敬と江戸時代に思いを馳せながら作る
    「こんにゃくの煮しめ」。

    西加奈子の『ふくわらい』にインスパイアされて作る
    ほうれん草と卵を落とした「鍋焼きうどん」。

    吉田篤弘の『それからはスープのことばかり考えて暮らした』にハマり、
    昔のボーイフレンドが住んでた町にそっくりだという月舟町をイメージして作る
    「じゃがいものサラダのサンドイッチ」。

    小川洋子の『ことり』を読み、
    おせちの残りのハムを入れて作る
    「豆のポタージュスープ」。

    万城目学の『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』をお風呂に浸かりながら読み、
    梅干しやカレイの干物が好きな渋好みのかのこちゃんに食べてもらいたくて作った
    「卵としらすのチャーハン」。

    湯本香樹実の『わたしのおじさん』に出てくる主人公の少女が食べられるように甘口に作った
    「かぼちゃ入りのカレーライス」。

    川上弘美の『パレード』にて、
    真夏のある昼下がりにそうめんの支度をしながら語られる
    センセイとツキコさんの昔話。
    (完全再現した錦糸卵、煮茄子、きゅうりの千切り、みょうが、わけぎ、青じそを用意したそうめんが本当に美味しそう!)

    木皿泉の『昨夜のカレー、明日のパン』を読み、
    季節のひとめぐりを愛おしむ文章を繰り返し繰り返し読んで作る、
    ギフが好きな
    「どぼどぼにウスターソースをかけた焼売」。

    あるひとりの老人と最愛の猫との絆を描いた吉本隆明の『フランシス子へ』を読み、
    娘のばななさんが隆明さんからよく作ってもらったという
    「バター入り卵焼き」を再現したり。

    他にも梨木香歩の『家守綺譚』から「鶏肉の煮物」、
    武田百合子の『犬が星見た ロシア旅行』から「ウズベク風雑炊」、
    石井桃子の『家と庭と犬とねこ』から「けんちん汁」、
    山田かおりの『株式会社家族 私も父さんに認めてもらいたい篇』から関西人なら分かる「焼きそばライス」、
    木皿泉の『すいか』から「梅干しのおにぎり」、

    中でも図書館で運命の出会いをした
    堀江敏行の『なずな』のエピソードは良かった!
    姪でまだ2ヶ月の赤ちゃん、なずなと
    40代のおじさんとの触れ合い描写に胸を鷲掴みにされ、
    (コレは絶対読んでみたい!)

    おじさんが作る「グラニュー糖トースト」を再現した写真に
    しっかり胃袋も掴まれた(>o<)


    ここに出てくるほとんどの本は
    過去に僕も読んだことのある本だけど、
    徹底的に感性が違うのか
    高山さんの感想に気づかされてばかりだったなぁ~(汗)

    そして幼少の頃から物語に登場する料理があると
    必ず味を想像し、レシピまで考えていたという高山さんだけに、
    どれもお腹がきゅるきゅると鳴りだすくらい料理写真がそそられるし、
    (レシピがまたシンプルかつ分かりやすいので、紹介された本を片手に作ってみたくなる)

    貸し本屋でのゲラの校正、
    お風呂に浸かりながらの本読み、
    風呂上がりに飲むチェリオへの憧れ、
    朝起きてパジャマのまま作る「名なしのスープ」、
    お気に入りの夕方の図書館、
    旦那さんとのパン屋への散歩など、
    何気ない日常の積み重ねこそが
    強く輝くのだということに
    あらためて気づかされた。

    いつまでもこの世界には居られないことを、
    心のどこかでちゃんと知っているのは高山さんだと思う。
    だから高山さんの文章は
    永遠に朽ち果てない音楽のように美しく儚く胸に沁みる。

    それにしても唯一無二の文章が書けて
    自分のイメージを料理で再現できるなんて、
    本当にうらやましいかぎり。


    ちょっと切ない文章に目がなくて、
    本が好きで、食べることが大好きな人ならオススメです。

    • vilureefさん
      またまたお邪魔します。

      高山なおみさんのエッセイ!
      読みたいな~。
      彼女の文章って独特の間があって切なくて、なんとなく私はノラジョ...
      またまたお邪魔します。

      高山なおみさんのエッセイ!
      読みたいな~。
      彼女の文章って独特の間があって切なくて、なんとなく私はノラジョーンズの音楽と通じるものがあるんですけど、どうでしょう??(^_^;)

      さて、このエッセイに出てくるのでしょうか、「なずな」?
      とーっても素敵な育児小説です。
      子供を産んだ今も子供が苦手な私ですが(笑)、この小説を読んだ後は赤ちゃん時代の育児が懐かしくなりました。
      円軌道の外さんも絶対気に入りますよ~(^_-)-☆
      2015/09/29
    • yamatamiさん
      円軌道の外さん

      お久しぶりです。こんばんは!
      円軌道の外さんのレビューを読んで、このエッセイをたまらなく読みたくなって手に取りました...
      円軌道の外さん

      お久しぶりです。こんばんは!
      円軌道の外さんのレビューを読んで、このエッセイをたまらなく読みたくなって手に取りました。

      円軌道の外さんのおっしゃっていた高山さんの文章の儚さ、切なさ、美しさという印象、とても共感します。

      そして私は、円軌道の外さんの感想に気付かされてばかりです。

      とにかく、すてきな一冊に出会わせていただいてありがとうございました!とお伝えしたかったのです(*^_^*)
      2015/10/27
  • 高山なおみさんが読んだ本の感想と、そこからイメージしたお料理のレシピがのっています。

    その高山さん、子どものころ、たべものを口いっぱいに頬張って、
    息を吸いながら食べるクセがあったそうです。
    そうすると、鼻と食べものが近くなるぶん、匂いを直に感じ取れるからだとか…。
    まさに”はなべろ”ですね~。

    『それからはスープのことばかり考えて暮した』じゃがいもサラダのサンドイッチ
    『家守奇譚』鶏肉の煮物
    『かの子ちゃんとマドレーヌ夫人』卵としらすのチャーハン
    『センセイの鞄』そうめん
    『昨夜のカレー、明日のパン』焼売
    『家と庭と犬と猫』けんちん汁
    『フランシス子へ』バター入り卵焼き
    『ムーミン谷の十一月』肉桂ビスケット
    他にも、こんにゃくの煮しめ、豚の生姜焼き、豆の煮込み、五目ごはん…、
    定番のお料理が続くなかで、驚いたのは焼きそばライス。
    (パンじゃなくて、ごはん?!)

    温めて薄く膜が張った牛乳と甘食。(あぁ、たまらなく昭和)
    夏が来るたびTVドラマ「すいか」を見て、
    お風呂のフタをぎりぎりまで閉めて、タオルをしいて本を読む高山さん。
    なんか親近感わきます。

    お料理本って、眺めるのは大好きなんですが(笑)、
    作ってみるのはせいぜい1、2品。
    でもこの本は、作りやすそうなメニューが多くて♪
    そして、読みたい本がまた増えた…(笑)

    • koshoujiさん
      うさこさん、何を隠そう、私はお料理得意なんですよ。
      学生時代と就職してからも2年間は一人暮らしだったので、殆ど自炊してたので。(^^)/ ...
      うさこさん、何を隠そう、私はお料理得意なんですよ。
      学生時代と就職してからも2年間は一人暮らしだったので、殆ど自炊してたので。(^^)/ 
      ま、それがさておき、「楳図和夫さんに電車の中で描いてもらったまことちゃん」。
      河北の読者に驚きの目で迎えられ、大好評のようで、2日ですでに400人が見に来ました(笑)。
      うれしい限りです。
      次にどんなお宝を出そうか考えているのですが、
      あまりに初っ端インパクトのあるのを出したせいで困っています(笑)。
      で、次は、私の名前をキャンディーズの蘭ちゃんが呼んでくれた40年前のラジオの肉声(音源)。
      或いは、テニスの東レパンパシでパンフレットに書いてもらった
      数人の外国人女子選手のサインとプレーの画像を掲載する予定です。(^^)/
      ただ、蘭ちゃんが私の名前を呼んだ音源は、
      仙台の〇〇〇〇くん(笑)と、
      私の本名を明らかにせざるを得ず、悩んでいるところです。
      まあ、本名がわかっても別に危害を加えられることはあるまいと思っていますが。
      フェイスブックなどは本名でみなさんとやりとりしていますからね。
      漢字までは出していませんが。
      2016/04/12
  • 高山なおみさんが鼻とベロで味わった本の話と、そこから生まれた料理の物語。

    ぱらぱらとめくった時にちらちらと見えた「家守綺譚」の鶏肉の煮物、「それからはスープのことばかり考えて暮らした」のじゃがいものサラダのサンドイッチ、「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」の卵としらすのチャーハン、「すいか」のおにぎり、「ムーミン谷の11月」の肉桂ビスケ…
    わー!!早く読みたいよー!!

    読みたい本も増えました。
    レシピと写真を見ているだけでなんだかお腹がすいてきます…
    読書欲と食欲がムクムク…秋にぴったりの一冊でした。

    高山なおみさんのさっぱりしているけど優しい文章、本とご自分の生活、日常とに寄り添って綴られた一文一文にリラックスしながら読むことができました。

  • 高山さんってこういう文書くんだ…知らなかった。短めのエッセイ+料理レシピでワンセットで24話収録。エッセイもレシピも好きすぎて…。けどね、(楽しみにしているのに)未読で積んでる『センセイの鞄』のネタバレが盛大に書かれていたので、そこはかなりショックでした。ええぇ…ガーン…。なので星一個減らしたりして。【「そうめん」の章は『センセイの鞄』のネタバレが書かれているので、『センセイの鞄』を未読な方は飛ばして読むことをおススメします。】

  • 入院中のベッドで時間も気温もわからないままうつらうつら読んでいて、高山さんの読んでる本と、読んでる高山さんと、それを読んでるわたしとがないまぜになって、どこまでが自分かわからなくなった。
    なんて生々しいんだろう、なんて、全身で読書するんだろう。読書、て行為でいいのかな。
    読んだ本はもう一度読み返したくなったし、知らなかった本も読んでみたく思った。
    昨夜のカレー、明日のパン、の引用で、引用なのに涙がでて仕方なかった。月日は巡るけど、日常のピースは似てても同じではないこと。わかってても、知らんぷりして喜んだり驚いたり、していたい。
    1話ごとのレシピも簡単そうで、作りたくなる。そんでまた本に潜りたくなる。
    高山さんに料理があって、ほんとうに良かったなぁと思う。

  • 2018年4月22日紹介されました!

  • 2017.2月。
    高山なおみさんの文章は、やっぱりいい。
    今回はさりげない写真ものっててそれがまたいい。
    高山さんの料理はがつんとおいしそうなんだよなあ。
    作ってみたいのがたくさん。
    絶対おいしい。
    そして、読みたくなった本もたくさん。
    高山さんのように、枕元にお茶とおやつを置いて、何も気にしないで1日中布団に潜って本が読みたい。
    ああ、幸せだ。
    そしてサッポロ一番塩ラーメンを食べるのだ。

  • この人の文章が好きだ、と読み始めてすぐに思った。ひらがなと漢字の配分がよい。文字がすんなりと入ってくる。読み終えてから著者のプロフィールを見て、本業が料理家だということを思い出した。そのくらい自然な文章だった。

    p44
    堀江敏幸さんの小説は大好きで、ぜんずではないけれど何冊か読んでいる。
    彼の本はいつも、紙の上にピンセットてまひとつひとつのせたみたいに、丁寧に綿密に文字が並んでいる。

    p168
    心の中のことは、言葉になんか入りきらない。声に出すと、うそのような気がするからだまっていると、自分のまわりにぽかんとした空間ができる。空気が冷えてかたまってしまう。

    p193
    人の感受性は、豊かな方がよいなどと、ひとことではくくれないものがあるように思う。幼いころにはみなまっさらな心を持って、見るもの聞くものすべてにじっと目をこらし、感受性の袋を最大限にふくらませているのだけど、大人になってもそれがいきいきとよみがえってきては、反芻をくり返してしまう人。その不思議さ、おもしろさにただならぬしつこさとこだわりを持っている人が、本を書くようになるのかもしれないけれど、言葉にまみれたその執念を、体から出してやらないと生きるのに苦しいんじゃないか。

  • ゆるっとした雰囲気でするっと読めた。
    大事に読み進めたい本です。
    料理も気負いなく作れそうなものばかり。文と空気感を大切にしている方なんだなぁと思いました。

  • 日々の生活を丁寧にされている感じが
    伝わってきて気持ちのいい本でした^^

    おいしそうなお料理のレシピと
    読書記。

    その両方ともにトライしてみたいものに出会えて
    これからまた楽しみができました♪

全29件中 1 - 10件を表示

プロフィール

1958年静岡県生まれ。料理家、文筆家。『諸国空想料理店 KuuKuuのごちそう』でデビュー。レシピ制作からエッセイの執筆など幅広く活躍。 著書に『帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。』『たべる しゃべる』、『押し入れの虫干し』『料理=高山なおみ』、『今日もいち日、ぶじ日記』『ロシア日記』、『気ぬけごはん』、『高山なおみのはなべろ読書記』、『きえもの日記』『ココアどこ わたしはゴマだれ』、『実用の料理 ごはん』(京阪神エルマガジン社)、『野菜だより』『今日のおかず』『日々ごはん①~⑫』『帰ってきた 日々ごはん①~③』ほか多数。近年は絵本制作にも取り組んでおり、画家・中野真典との共作として『どもるどだっく』、『たべたあい』、『ほんとだもん』、『くんじくんのぞう』がある。

高山なおみのはなべろ読書記 (ダ・ヴィンチBOOKS)のその他の作品

高山なおみの作品

高山なおみのはなべろ読書記 (ダ・ヴィンチBOOKS)を本棚に登録しているひと

ツイートする