- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040689043
作品紹介・あらすじ
昭和最大の未解決事件「グリ森」をテーマに描いてから、約1年――。
『罪の声』塩田武士の最新刊は、大泉洋“主演小説”!
塩田武士×大泉洋
新しい<小説の形>がここに! そして最後は“大泉洋”に騙される!
芸能事務所、さらには大泉洋本人との共同企画により、主人公に俳優・大泉洋を「あてがき」して社会派長編小説を執筆。
2013年から構想開始し、プロット改稿を幾度となく重ね、取材・執筆すること約4年。雑誌『ダ・ヴィンチ』連載を経て、この度単行本化!
出版、映像、音楽……エンタメ業界は、スマホと「時間の奪い合い」になった。既存のエンタメ産業は、「過渡期」真っ只中である。
本作『騙し絵の牙』では、出版界のなかでも「レガシーメディア」と言われるようになった「雑誌」の編集部を物語の舞台に、業界全体を映し出して「エンタメ産業のうねり」を圧倒的リアル筆致で描く。
さらに、そんな窮屈な時代に風穴をあけるような、太陽のような明るさと才知に長けた主人公に、俳優・大泉洋をあてがきして物語を創作。実在の俳優と物語の主人公がリンクする、新しい読書体験に!
●痛いほど圧倒的リアリティ、ウィットに富んだ会話の応酬! 「小説のなか」で大泉洋が動く!●
大手出版社で雑誌編集長を務める速水。誰もが彼の言動に惹かれてしまう魅力的な男だ。
ある夜、上司の相沢から自身の雑誌の廃刊を匂わされたことをきっかけに、速水は組織に翻弄されていく。
すると次第に彼の異常なほどの“執念”が浮かび上がってきて……。
斜陽の一途を辿る出版界で牙を剥いた男が、業界全体にメスを入れる!
小説を愛するすべての読者へ贈る一冊。
感想・レビュー・書評
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まさに、エンタテインメント小説のお手本のような!
今、「なんか面白い本ない?」と聞かれたら、迷わずこれをお勧めしますわ、間違いなく。
いやぁ、カルチャー誌の編集長、速水に心を持って行かれましたよ。
あてがきされた某大泉洋が脳内で速水として語り、歌い、笑い、泣き、悩み、そして牙をむく。
いろいろと身につまされる部分もあるけれど、それ以上に、速水の、一人の人間としての魅力にはまる。文芸への愛、そのゆるぎない一本の筋の「もう一つの意味」を知った時、彼の魅力は百万倍の輝きを増す。早く映像で観たい観たい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
紙の本を愛する人、紙の雑誌を愛する人、本屋さんを愛する人全てに読んで欲しい。
大泉さんモデルの編集長が担当する雑誌が廃刊になる。それを知り廃刊を阻止するため全力で頑張ると言う粗筋。
ざっくり言えばそれだけだけど、紙の本を愛する自分には終始心痛い展開や描写、世間の本に対する価値観に涙が出そうになった。でも自分の興味のない物に対してなんて所詮そう言うものなんだろうと思う反面本当に紙の本に価値はないのか?と聞かれたら絶対そうではないと私は思う。
少なくとも自分にはそうだった。
苦しい時に救ってくれた本。
勇気をくれた本、冒険したり、喜怒哀楽色々な本があって体験して。
一度しかない人生だけど本を読むことで沢山の世界をみれて体験できる。
だったら電子書籍でもいいんじゃない?と言う人も居るだろうけど、勿論それでもいい時はある。けど、電気や電波が届かない時に読めない小説は本当に自分にいつでも寄り添ってくれるのだろうか?
気軽にパラリとめくる。それ一冊だけで電気も電波もいらない。
それに電子書籍だけになったらサイン会は無くなるのだろうか…書店もなくなるのか?
自分の大好きな本を胸に抱えてドキドキしながら待つ喜びも、憧れの作家さんを前に緊張する経験も無くなり、装丁の面白さを楽しむこともなく重さを感じることも、本を閉じた音も聞けない世の中がくる。
なんて寂しくつまらない世の中なのだろう。
出版界が生き残るためにも改革は必要だろう。
それでも、どうか読書人が絶滅危惧種にならない世の中であってほしい。 -
活字離れ。
出版不況。
読書人口の減少。
電車の中で本を読む人とスマホを開く人の割合を比べることすら無意味だ。
舞台は大手出版社の雑誌編集部。
主人公 速水輝也は雑誌「トリニティ」の編集長。
新聞記者から「小説を世に出したくて」転職してきた。
雑誌編集の、出版業界の、そして会社組織の最前線の現場の息づかいが激しく伝わってくる。
小説は何のためにあるのか。
雑誌は誰のためにあるのか。
組織内でのコップの中の権力闘争に翻弄されながら、良い作品を、読み応えのある小説を、世に問うていこうと主人公たちは奮闘していく。
知恵は現場にあり。
対話の最前線にこそ、人とのふれあいの中で、人生の醍醐味は味わえる。
そして、時を捕らえることの重要性。
今そこにある課題を、危機を捕らえ損なうと、取り返しのつかないことになることも。
プロローグとエピローグのみ、主人公の同僚 小山内甫の語りで物語が語られる。そこにまた二重三重に深く人間を描ききる醍醐味があった。
幾重にも仕掛けが施された、読み応えのある大作。 -
大泉洋を「当て書き」した作品。
公私共に順風満帆と思われていた大手出版社雑誌編集者の速水だが、出版業界不況の中、自らの雑誌に廃刊の危機が。社内抗争に巻き込まれ、同時期に家庭内トラブルも抱えることに。速水のとった行動は、そしてその訳は。。。
コメディタッチなところも面白く、出版業界の内情も興味を持って読めた。速水の編集にかける真意は驚き。 -
1979年生まれの若い作者であるが,読ませる小説を書く。この作品,本屋大賞2018の10作品にノミネートされたそうな。小説命の書店員さん達がお勧めする理由は読めば判る。ここまで若い作家の読ませる作品に出会うのは,僕もしばらくぶりだろう。
でも(ここから手のひらを返して本音) このエピローグはどうにも頂けない。鼻に付く、ああ臭いくさい。どうしてこのエピローグの部分をこの本の”編輯者”わ切り落とさなかったのか!所詮編集者というもんはその程度なのかと知れた。 -
冒頭から引き込まれます。大泉洋さんが主人公にピッタリで映像化がイメージしやすい。仕事では誰からも愛されるが家庭はうまくいかない。ありがちなステレオタイプ。最後の最後、題名通り騙しがありますが別に不要なんじゃないかと思います。映像化では最後の部分削られるんじゃないかな。
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大泉洋氏に当て書きした小説ということで読みました。
おやじの権力闘争の話は好みではないのですが、この本は楽しく読めました。多分、洋さんが頭の中で動いてくれたからと思います。そんなに格好良くないという突っ込みもしてしまいました。 -
出版社を舞台とした小説で、編集者の喜び・苦悩・やりがいがよくわかる。本が好きな人には、十中八九、刺さる物語だと思う。
大泉洋をモデルに書いたとのことで、主人公の速水は完全に大泉洋で再生される。小説というよりは、大泉洋主演の映画を見たような、不思議な読後感。
最後に明らかになる真相がやや唐突であり、少し残念。 -
登場人物とそれに語らせる著者ご本人が「粋な会話でしょ?」と、いかにも思っていそうな臭い会話が出てくる本は私は嫌いなのだが、本書の主人公とその周辺との会話にはそういう臭さが無く(と私には思えて)面白かった。
瞬時にこんな会話ができる、頭の良い主人公とその周辺は純粋に凄いなと思う。
本書は「雑誌」の編集者達の話だが、この「小説」を図書館で借りて読んでいること自体、肩身が狭いし申し訳なくも思う。
ただ、昔は全て買って読んでいたものが、ここ数年は図書館で借りることがメインになった理由は私なりに4〜5個ほどある。
でも、本を買うことが少なくなった理由の中に、webへの傾倒は、私の場合、全く無い。
もし今後、本書に書かれているような世の中になったとして、紙の本が廃れて図書館さえも電子図書館なるものに取って代わられたとしたら、もう借りることはないだろうし、スマホ画面で本を読むことはないまま人生を終わるであろう。
図書館で借りることが多いくせにこういうことを言うのは申し訳ないが、それでも本は紙でなくては読む気がしないのだ。
だが私以外の家族は誰も本を読まないし、彼らは原作を読まないまま映画を観に行くし、原作を読んた時に既に脳内で映像化する醍醐味を味わった後に映画を観てギャップに文句たらたらなのは私だけだし、そんな私に家族は「原作と映画は別物と考えろ。原作を知らなくても映画は映画で楽しめばそれでいいじゃないか」と言う、という状況なのだから、世の流れは本書の通りなのかもしれない。
私には出版ではなく印刷業界の血が流れているので、紙媒体の敗退があるのなら印刷業の敗退も深刻だろうとは少し思うけれども、そんな話ができる親族は皆亡くなっているし、直接今の自分の生活には影響が無いし、きっと印刷業界も私ごときの心配など無用であって別の形に進んで行くのだろう。
ところで、本書は大泉洋さんありき、映像化ありきで書かれているようだが、相沢編集局長は私の脳内キャストでは鶴瓶さんである。
パチンコ業界、アニメ業界のことなどは、読んでもいまひとつわからなかった。
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