騙し絵の牙

著者 :
  • KADOKAWA
3.63
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本棚登録 : 2532
感想 : 408
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040689043

作品紹介・あらすじ

昭和最大の未解決事件「グリ森」をテーマに描いてから、約1年――。
『罪の声』塩田武士の最新刊は、大泉洋“主演小説”!
塩田武士×大泉洋
新しい<小説の形>がここに! そして最後は“大泉洋”に騙される!

芸能事務所、さらには大泉洋本人との共同企画により、主人公に俳優・大泉洋を「あてがき」して社会派長編小説を執筆。
2013年から構想開始し、プロット改稿を幾度となく重ね、取材・執筆すること約4年。雑誌『ダ・ヴィンチ』連載を経て、この度単行本化!

出版、映像、音楽……エンタメ業界は、スマホと「時間の奪い合い」になった。既存のエンタメ産業は、「過渡期」真っ只中である。
本作『騙し絵の牙』では、出版界のなかでも「レガシーメディア」と言われるようになった「雑誌」の編集部を物語の舞台に、業界全体を映し出して「エンタメ産業のうねり」を圧倒的リアル筆致で描く。
さらに、そんな窮屈な時代に風穴をあけるような、太陽のような明るさと才知に長けた主人公に、俳優・大泉洋をあてがきして物語を創作。実在の俳優と物語の主人公がリンクする、新しい読書体験に!

●痛いほど圧倒的リアリティ、ウィットに富んだ会話の応酬! 「小説のなか」で大泉洋が動く!●
大手出版社で雑誌編集長を務める速水。誰もが彼の言動に惹かれてしまう魅力的な男だ。
ある夜、上司の相沢から自身の雑誌の廃刊を匂わされたことをきっかけに、速水は組織に翻弄されていく。
すると次第に彼の異常なほどの“執念”が浮かび上がってきて……。
斜陽の一途を辿る出版界で牙を剥いた男が、業界全体にメスを入れる!
小説を愛するすべての読者へ贈る一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 今更出版業界の苦境を
    語っても不毛ですよね。

    紙の本の良さ、活字の
    良さが再認される時代
    はきっと巡ってきます。

    それまで出版各社には
    耐え忍んでほしいです。

    そんなことよりこれぞ
    出世の王道!

    上司の支援を得ながら
    同僚や部下の後押しも
    得る。

    こんなふうに労使の間
    をうまく泳ぐには?

    その極意はユーモアの
    センスを磨くことなり!
    と言わざるをえません。

    立身出世を志す諸兄は
    必読です。

    生半可なハウツー本を
    読むよりもよほど役に
    立つこと請け合いです♪

  • 2021/08/03読了
    #塩田武士作品

    活字離れや書籍電子化が叫ばれる中で
    文学誌の存続をかけて奔走する編集者。
    それぞれのポストや想いを賭して
    信じる者、裏切る者。
    そして最後最大の騙しが爽快で面白い。
    映像化作品も観てみたい。

  • なんというか・・・難しかった、かも・・・。
    わかる人はわかる人なりに楽しく読めると思う。

  • まさに、エンタテインメント小説のお手本のような!
    今、「なんか面白い本ない?」と聞かれたら、迷わずこれをお勧めしますわ、間違いなく。
    いやぁ、カルチャー誌の編集長、速水に心を持って行かれましたよ。
    あてがきされた某大泉洋が脳内で速水として語り、歌い、笑い、泣き、悩み、そして牙をむく。
    いろいろと身につまされる部分もあるけれど、それ以上に、速水の、一人の人間としての魅力にはまる。文芸への愛、そのゆるぎない一本の筋の「もう一つの意味」を知った時、彼の魅力は百万倍の輝きを増す。早く映像で観たい観たい!

  • 「罪の声」の作者が、「大泉洋」さんにあてがきしたという作品です
    映像化前提、メインの部分は正しくといった印象を受けます
    会話の雰囲気がそのまんまな感じ

    現在の出版社の抱える問題とそのジレンマが、よく描かれていました
    しかし、この本は「エピローグ」からはじまる物語です

    「大泉洋」さんが演じるのに苦労したワケです
    騙されたというほどの展開ではありませんが、なかなか面白かったです

    あと、それでも私は紙の本を読みます
    電子書籍は目がチカチカするもの

  • 表紙や各章の冒頭に大泉洋さんの写真があるから
    もうほんとに速水が大泉洋さんにしか見えなかった。笑
    軽口たたいたり、ちょっとものまねしたり。本当に当てがきしてたなぁと。
    新聞記者を経験してたり、塩田さん自身の経歴とも重なった。

    雑誌や本が売れない昨今、出版社って大変。
    営業や作家との打ち合わせ、会議。
    好きな作品は積極的にお金を出して買うようにせねばと改めて思った。

    速水はなぜ編集者という人生を選んだのか。
    それで本当に自分の願いが叶うのか。

    エピローグまでは編集者という仕事をこなしたり、プライベートを過ごす速水を、というか、一般的?な編集者の日常小説みたいな内容だったけど
    エピローグで速水の本心や真実が明らかにされる、という構成だった。

    「騙し絵の牙」とか、映画の宣伝で「騙し合いバトル!」と謳ってあるからには、もっとすかっとするどんでん返しがあると期待していたので星3に。
    設定やキャラは面白かったけど、展開は正直物足りなかった。
    思っていた「騙し合い」はなかったかな。

  • 「そういうことか…!!」
    351ページを読んで、表紙・裏表紙を三度見してしまった1冊。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    大手出版社で雑誌「トリニティ」の編集者を務める速水輝也。

    しかし出版社上層部から「トリニティ」廃刊の可能性を示唆されたことから、それを食い止めようと奔走する。

    果たして速水と「トリニティ」の行く末は?
    そして彼の生い立ちから見えてくる、速水の“本当の目的”とは…?

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    俳優・タレントの大泉洋さんを当て書き(特定の俳優がその役を演じると、あらかじめ決めて書かれたもの)した「騙し絵の牙」。
    当て書きなだけあって、各章の扉絵は大泉洋さんのモノクロ写真が使用されています。
    これだけビジュアル的にも大泉洋さんを挟み込まれると、速水=大泉洋としかイメージできなくなってきます。
    雑誌「トリニティ」を守ろうと、男くさい闘いを展開していく速水の姿は、ドラマ「ノーサイド・ゲーム」を彷彿とさせます。

    装丁(本の見た目全般)を担当されたのは、星野源さんのCDジャケットなどもデザインされた吉田ユニさんです。
    大泉洋さんの姿と、その影が女性の像になっている意味がわからなかったのですが、351ページでタイトルの意味も含め、初めてその秘密が明かされます。

    プロローグとエピローグは速水の視点ではなく、速水の同期の小山内の視点で書かれていたため、最初は小山内が主人公と勘違いしてしまい、第1章に入ってからしばらく混乱しました。
    ☆4つといきたいところでしたが、プロローグでの混乱があったため、総合3.8とし、☆3つとさせていただきました。

    プロローグが、なぜ小山内視点で書かれているのかは、エピローグまで読むとわかります。
    そして第6章までの話を踏まえてエピローグに入りましたが、エピローグの展開に文字通り目を丸くしてしまいました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    322~332ページの展開には、今の時期のニュースと小説家・藤岡の姿が重なってしまい、せつなくなりました。

    追い込まれたとき「なぜ助けてと声をあげなかったのか」と言う方がいますが、そう声を上げるつもりでいた相手が、その日その時その声を受けとる余裕がなければ、その声はなかったものになってしまいます。
    そしてその声を受けとるはずだった方も、その時はそんなに重要なやりとりだとは思いません。
    そんな状況で、本人と相手を誰が責められるでしょうか。

    第3者である者にできることは、その事実を静かに受け入れ、ただ黙って両者を見守ることだけだと思います。

  • 映像化作品を2回見た。
    速水がなんだかおどろされた感じがあって、
    どちらかというと、恵が主人公のような印象を受けた。

    絶対、小説のほうが面白い!!!

    大泉洋らしさも、読みながら、笑っちゃうくらいそのまま。
    替え歌あり、物まねあり、毒舌、ウィットにとんだ会話、
    まさに、大泉洋、そのままが速水。

    書籍や雑誌を作る際、編集の仕事がどんなに大変か。
    本が売れない時代になってきて、
    廃刊やリストラなど、出版業界も厳しくなっている。

    「本を出したい」「この人の小説を本にしたい」
    速水の編集者としての熱い思いがひしひし伝わる。
    それが、幼年期の体験にあることを知り、
    ラストのシーンは、ジーンときた。

    映像と小説、全く別物。

  • 私は、電子書籍経験していないのですが、
    確かに場所もとらず手軽にと言う感じはありますね。
    でも、私はまだ紙の本がいいです。
    これから先に電子書籍が良いと思う事が来るかもしれませんが。

  • 大泉洋をあてがきして描かれただけあって、この物語の主人公、速水はキャラが立っているというより、キャラが出来上がっている。大泉洋そのものだ。そして、物語の中で大泉洋が動く動く(笑)
    また、他の登場人物もキャラ設定がしっかりしていて、読んでいて惑わされることなくすんなりと読めた。

    雑誌『トリニティ』で編集長を務める速水は、人たらしだ。上司からは信頼され、同期からは愛され、部下からは親しまれ、そして何より小説に対する情熱が速水という人間を作り上げている。
    そんな速水も、上司から雑誌廃刊を匂わされ、妻とは離婚。挙句に若手作家が自殺するという不運に見舞われる。その後速水が選んだ人生は。ここで初めてタイトル『騙し絵の牙』に気付かされる。

    この小説を読んで、出版業界の憂き目を感じずにはいられないが、編集者という仕事が魅力的に感じられた。

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著者プロフィール

1979年、兵庫県生まれ。神戸新聞社在職中の2011年、『盤上のアルファ』でデビュー。2016年『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞し、“「週刊文春」ミステリーベスト10 2016”国内部門第1位、2017年本屋大賞3位に輝く。2018年には俳優・大泉洋をあてがきした小説『騙し絵の牙』が話題となり、本屋大賞6位と2年連続本屋大賞ランクイン。2019年、『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞受賞。2020年、21年には『罪の声』『騙し絵の牙』がそれぞれ映画化された。

「2022年 『朱色の化身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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