表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1635
レビュー : 204
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040693163

作品紹介・あらすじ

読者の共感を呼んだ前作「社会人大学人見知り学部 卒業見込」を出発点に、新たな思考へと旅立ったオードリー若林の新境地! 

累計20万部に迫る前作『社会人大学人見知り学部 卒業見込』。
そこで吐き出された社会への違和感、悩みは普遍的なものだと思っていたけれど、
「あれ? これって人が作ったシステム上の悩みに過ぎなかったのか?」
と気づいてしまった著者。
「俺が競争したい訳じゃなかった! 競争しなきゃ生きていけないシステムだった!」
新しい発見に意識がいったところで、
「別のシステムで生きる人々を見てみたい」
と、猛然とキューバへ旅立った。

キューバはよかった。そんな旅エッセイでは終わらない、間違いなく若林節を楽しんでもらえる、そして最後はホロリと泣ける、待望の書き下ろしエッセイです。
本当にプライベートで若林さんが撮ったキューバ旅行の写真も多数掲載予定。

感想・レビュー・書評

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  • 旅行エッセイ、とでも言うのだろうか。
    旅先は、社会主義国のキューバ。
    写真も多数載せられ、全編通してセンテンスが短いためとても読みやすい。
    タイトルになっている章は三分の一ほど読むと現れる。
    誰かに飼いならされて手厚い庇護を受けるよりも、自由と貧しさを選んだ野良犬が気高く見えるという著者の思いから、表題となったらしい。
    うん、眼を惹きつけるタイトルではあるよね。

    ファンの方には申し訳ないが、お笑い芸人さんの書いた本ということで期待値は低かった。
    文章が特別上手いわけでもなく、「そこ、もうちょっと踏み込んで書いて」という部分がいくつもある。ところが、読む側に期待させるものが底辺にあって、ページをめくる手が止まらない。
    それは、若林さんが何に出会ってどう思うかが知りたいからだ。

    「社会への違和感・悩みは普遍的なことだと思っていたが、それは人が作ったシステム上の悩みに過ぎなかった。では、違うシステムで生きる人々を見てみたい。」
    ・・この、社会への違和感・悩みが具体的に書かれているわけではない。
    衣食住が保証されてて何が不満なの?と、私はここで違和感満載だが(笑)まぁ先へ行く。

    旅のモチベーションは実は他にもあって、終盤それが明らかにされる。
    ここは思わずじわっと来る展開だ。
    語りすぎず、かと言ってドライなタッチでもなく、ここはもはや文学の香りさえする。
    スマホでイーグルスの「Take It Easy」を流し続ける場面では、「しまった・・」という事態に。そう言えば、大人になってから旅に出た先はどこも、亡父が「いつか行きたい」と言っていた場所だったことなどを一気に思い出した。

    旅には、いつもの自分を俯瞰させる力がある。
    そんなことを再認識させられる。
    キューバに行けて良かったね、若林さん。あなたの傍でお父さんも喜んでいることと思う。
    これからは父親のいない人生を歩むように思えても、本当はいつでも一緒。
    お父さんに喜んでもらえるように、これからも生きれば良いだけ。
    旅に出たい気持ちをおおいに刺激させられた一冊だった。

  • 若林正恭さんのキューバ旅行記。
    若林さんらしく、格差社会や命の使い方、自由といった日頃胸に秘めていた違和感を時々さらけ出しながらの一人旅。
    キューバの陽気な国民性が読んでいて楽しい。
    本場のモヒートとダイキリもぜひ呑んでみたい。
    友情を育んだキューバの人達に日本から持ち込んだ「キットカット抹茶味」を手渡せて良かった。(食べた感想を聴きたかったな)

    一人旅、けれど本当は一人じゃない旅。
    旅先をキューバに選んだ本当の理由を知った時、鼻の奥がツンとした。
    若林さんはきっとこれからもどこに行っても、心の内であれこれとちょっぴりネガティブな会話を続けながら、自分の色を増やしに行くのだろう。
    また若林さんのエッセイが読みたい。

  • 控え目に言っても最高。
    初めて若林のエッセイを読んだけど、本を普段から読むだけあってとても文体がまとまっていて読みやすかった。
    ただのエッセイかと思いきや、若林を通して今の日本の在り方や自分の日常を考えさせられる。
    最後は涙を堪えるのに必死だった。
    灰色の街に住んでいるからこそ色をとり戻すために旅に出て、そしてちょっぴりこの日本人であることを誇りに感じて帰ってくる。
    旅っていいなぁ…
    とても充実した読者体験だった。

  • とあるきっかけでキューバに訪れたオードリー若林のエッセイ

    離陸場面と最後が好き。
    有能と無能、勝ち組と負け組。新自由主義のもとに生まれた価値観。離陸と共に、これら"冷笑的なニュアンスの込められた当事者性の感じられない言葉が物凄いスピードで後方にフェードアウトする"っていいよね。旅が好きな理由を言語化してくれたような感じ。
    (自分も有能とか無能とか言う奴はマジで嫌い。松本人志が川崎の殺傷事件の犯人を"欠陥品"と言ったように、上から目線で人間をモノのように見下す残酷な視点。自分の周りにもいる。もしかしたら自分のそれに加担してる時があるのかもしれないけど、、)

    そんな日本より共産主義(当時)の国キューバの人々の方が幸せなのだろうか。共産主義と言っても、アミーゴ社会というように人脈が収入、家の大きさ、社会的ステータスに大きく影響するらしい。

    どちらにおいても大切なのは"血の通った人間"でいること。若林をキューバに導いた人物がそうであったように。

    変わりばえのない日常に色がなくなってきたら、色を与えに旅をしよう。

    「出かけたいところがあることって人を幸せにするんだな」俺もそう思います。










  • 最終章の一つ前かな?からぐんぐん色合いが変わっていく展開に引き込まれた。小説みたいな読後感。

  • 社会人大学人見知り学部卒業見込を読んだとき「根暗でネガティブな私と一緒」だと思っていたのに、なんだか裏切られたような気持になりました。同時にとても勇気づけられました。今回もまったく同じ気持ち。

    簡単に言ってしまえば、若林さんがキューバに一人旅に行った際の”旅日記”なのですが、視点が面白いしちょいちょい入ってくる哀愁ある表現がとても好きです。

  • キューバに行きたくなりました。

    若林がキューバに求めていたもの、わたしも途上国を旅した時に同じようなものを勝手に求めていたなあ、と気づきました。それを綺麗に言語化してくれていて、読んでいて気持ちよかったです。

    地球上に新自由主義から逃げられる場所なんて、もうそんなに残っていないのだろうな。そう思うとアリのように毎日働き詰めるしかないのだろうか。でもこのまま死ぬのは嫌だなあ〜

    なんて、読了後はぼうっと考えてしまいました。

    若林さんの哲学、好きです。ラジオを鬼のように聞きます。

  • キューバの旅行記.たった3泊5日の旅ながら,作者にとって中身のグッと凝縮された,再生感溢れるものとなっている.新自由主義経済への疑問や格差社会への腹立ちなどが社会主義国キューバでくっきりし,日本の良さも新ためて感じて有意義なものとなってるようだ.写真も多くわかりやすいものとなっている.最後になってお父さんへの別れのような意味もあったのだと,若林さんの一つの区切りのようなものだったんだと納得した.

  • リトルトゥースな僕は、ラジオとこの本で、若林さんのキューバ紀行をより深く楽しく感じられました。

    親父のメガネのツル話も思い出しました。

  • 前作の自信過剰でありながら、周囲の自分への評価のギャップの高低差に悩む姿を、第三者的に見つめる若林さんの姿にとても共感して、本作も読みたいなと思っていました。旅行記なのですが、お父様が亡くなられたことが、また若林さんの生き方を変えたんだなというのが伝わって、とても切ない気持ちになりました。若林さんには幸せになってほしいな。ちなみにわたし、リトルトゥースです。ふふふ。

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著者プロフィール

若林 正恭(わかばやし まさやす)
日本のお笑い芸人。「オードリー」のツッコミ担当だが、当初はボケだった。
2013年に初の著作にして代表作『社会人大学人見知り学部 卒業見込』を刊行し、2017年『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』を刊行し第3回「斎藤茂太賞」を受賞している。2018年8月、『ナナメの夕暮れ』を刊行。
趣味多数、その中に読書と本の帯収集がある。『アメトーーク!』人気企画「読書芸人」の常連。

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