表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040693163

作品紹介・あらすじ

読者の共感を呼んだ前作「社会人大学人見知り学部 卒業見込」を出発点に、新たな思考へと旅立ったオードリー若林の新境地! 

累計20万部に迫る前作『社会人大学人見知り学部 卒業見込』。
そこで吐き出された社会への違和感、悩みは普遍的なものだと思っていたけれど、
「あれ? これって人が作ったシステム上の悩みに過ぎなかったのか?」
と気づいてしまった著者。
「俺が競争したい訳じゃなかった! 競争しなきゃ生きていけないシステムだった!」
新しい発見に意識がいったところで、
「別のシステムで生きる人々を見てみたい」
と、猛然とキューバへ旅立った。

キューバはよかった。そんな旅エッセイでは終わらない、間違いなく若林節を楽しんでもらえる、そして最後はホロリと泣ける、待望の書き下ろしエッセイです。
本当にプライベートで若林さんが撮ったキューバ旅行の写真も多数掲載予定。

感想・レビュー・書評

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  • 前から気になっていたオードリー若林氏の旅行記。
    少し前に読み終わった『暇と退屈の倫理学』とほぼ同時期に手に取ることになったのは全くの偶然。
    あちらの本に若林氏が推薦コメントを寄せていることは知らなかったし、本書で綴られる若林氏の胸の内がここまであちらの本と呼応することに驚き。

    彼の発端は父親の他界ということになるのだろうが、誰しも”何か違う”、”何か満たされない”という思いにぶち当たり自分を見つめ直すことがあると思う。

    そこで取り沙汰されるのが、あくせくしない生き方だったり、お金じゃない何かだったり、古き良き原風景への回帰。
    いわゆる社会主義的なものの中に見出せそうなキーワードなのだが、必ずしもそうではない。
    あちらの社会にだってコネを基盤とした癒着、不正、不公平は堂々と存在するし、そこで生きる人々は人々で、いい暮らしをしたいとか、他人に抜き出て競争を勝ち抜きたいという根源的な欲は捨てきれない。

    で、行き当たるのが”血の通った関係”と熱意。
    うんうん、そうだよね。

    本能的にいろんなものに惑わされたっていい。
    それはそれで一時の快らしきものを与えてくれるものだから。
    でもやはり中心に据えとかなきゃいけないものはブレないようにするぞ、と思う今日この頃。


  • 理由は自己分析出来ていないのだが、キューバにどうやら惹かれている
    キューバに感する知識も大してなく本当に勝手なイメージなので人前であまり口にはしない
    でも野生の勘は結構当たるのできっと何か自分の中にあるのだ
    アメリカとの国交が回復した時、よし!これでキューバに行ける!と胸が高まった

    そんな理由から帯に「キューバ」という文字を見つけ、本屋さんでパラパラと…

    き…気になる
    決して彼のファンではないが(ファンの方申し訳ございません)テンション低め、人見知り、世の中を斜にみる、そんな部分の共感と、一人旅のできる人を常に尊敬している、そしてなによりキューバ!
    というわけで読んでみた

    一人旅の不安と興奮が伝わる
    そうそう夜中に異国の地に着くときのあのドキドキは、嫌なものだ
    タクシーの中で暗くてよく見えないのに周りを凝視し、ドライバーには隙を見せまいと力が入るが、たいてい無意味だ
    初めての国の景色や周りを見たところで、大した情報にもならないのだから
    そして大抵は運良くホテルに着いて肩すかしとなる
    そして翌日太陽が昇り、ホテルの窓から外の街並みを見ると…ゲンキンなもので一気に高揚感MAXになる!
    ああ!
    来たんだ!
    キタキタ〜
    みたいにね
    …わかります!
    なかなか掴みはOKじゃないか

    ちなみに現地では日本語の話せるガイドを雇っている
    なるほどこういう旅行もアリかも…
    いきなりキューバで一人行動はちょっと勝手がわからない
    キューバの情報量も他の観光地に比べ少なかろう

    というわけで想像しづらい人見知りの日本語の上手なキューバ人ガイドと、現地在住日本人女性がガイドであった

    あまり詳しく書くとネタバレになるが…

    闘鶏場なんてものがあり、軍鶏が闘う野蛮でディープな世界に行きたがるあたり
    広告の看板がない社会主義を垣間見る部分
    カストロ4〜5時間ぶっ通しの演説にエネルギーとエンターテイメント性を見出す
    このように、着眼点などなかなか面白い
    一人で行きたいビーチに行く方法もユーモアとスマートさがある
    また巨漢のタトゥー男に、引き下がらず立ち向かうところもやるじゃん若林!(笑)

    旅エッセイ以上の膨らみを持たせているなかなか面白い構成ではあるが、個人的には、計算され過ぎの苦手部分も…

    これはひとえに私個人が、そうとうなひねくれ者で協調性に欠けるからである
    ファンの方お許しください

    心に残ったのは、
    直接話のできる血の通った関係
    当たり前だけどいいなぁ
    Wi-Fiが繋がらないところにしか生まれないのか…
    そうでないことを願う…

    こういうキッカケをうまく利用して、カストロやゲバラに関する本を読んでみたい

  • 旅行エッセイ、とでも言うのだろうか。
    旅先は、社会主義国のキューバ。
    写真も多数載せられ、全編通してセンテンスが短いためとても読みやすい。
    タイトルになっている章は三分の一ほど読むと現れる。
    誰かに飼いならされて手厚い庇護を受けるよりも、自由と貧しさを選んだ野良犬が気高く見えるという著者の思いから、表題となったらしい。
    野良犬は自ら選んだ境遇ではないと思うが、眼を惹きつけるタイトルではあるよね。

    お笑い芸人さんの書いた本ということで期待値は低かった。
    文章が特別上手いわけでもなく「そこ、もうちょっと踏み込んで書いて」という部分がいくつもある。ところが、読む側に期待させるものが底辺にあって、ページをめくる手が止まらない。
    たぶん若林さんが何に出会ってどう思うかが知りたいからだ。

    「社会への違和感・悩みは普遍的なことだと思っていたが、それは人が作ったシステム上の悩みに過ぎなかった。では、違うシステムで生きる人々を見てみたい。」
    ・・この、社会への違和感・悩みが具体的に書かれているわけではない。
    衣食住が保証された国で安穏と生きてて何が不満なの?と違和感満載になるが、まぁ先へ行く。

    旅のモチベーションは実は他にもあって、終盤それが明らかにされる。
    ここは思わずじわっと来る展開だ。
    語りすぎず、かと言ってドライなタッチでもなくもはや文学の香りさえする。
    スマホでイーグルスの「Take It Easy」を流し続ける場面では、「しまった・・」という事態に。そう言えば、大人になってから旅に出た先はどこも、亡父が「いつか行きたい」と言っていた場所だったことなどを一気に思い出した。

    旅には、いつもの自分を俯瞰させる力がある。
    キューバに行けて良かったね、若林さん。あなたの傍でお父さんも喜んでいることと思う。
    これからは父親のいない人生を歩むように思えても、本当はいつでも一緒。
    お父さんに喜んでもらえるように、これからも生きれば良いだけ。
    旅に出たい気持ちをおおいに刺激させられた一冊だった。

  • ドラマ「だが、情熱はある」から「ナナメの夕暮れ」を読み、その流れでこの本を読んでみることにした。
    「ナナメの夕暮れ」が日常を題材としたエッセイであるのに対して、この本はキューバ旅行を中心した、非日常の中で感じたことを題材にしている。
    若林さんならではの視点で語られているというところもあるが、単純にキューバという国に対して興味を持った。ゲバラやカストロなどの人物も、もちろん名前は知っているのだが、今まであまり触れることがなかった領域であり、今回の読書を通じて新しい気付きを得ることができた。
    最後はズルいですね、お父さん出しちゃうのは反則です。
    そして最後の言葉が良いですね「Take it easy(気楽にいこうぜ)」
    若い頃ではおそらく何とも思えなかった言葉ですが、ある程度年を重ねた今、良い言葉だなと思う今日このごろです。

  • 読む前には あのオードリーの若林とは知らずに手に取ったけど、知ってから一体どんな内容か気になりつつ読む。才気迸る内容ではなくてとても気軽に読める3泊5日のキューバ旅行記だけれど、亡くなった父親が行きたいと言っていたキューバに思い立って出掛けて日本や自分の良さ悪さを再確認している若林が居る。きちんと物事を見つめているので共感が持てるし、大好きだった父親へのオマージュも感じられた。さーっと読めるけど面白かった。

  • 文庫版で読みました。
    モンゴル編、アイスランド編、コロナ後の東京、が加筆されています。

    解説まで読んで、ふふっと笑顔になった後、鼻の奥がツーンとした。
    泣きそうだった。

  • 控え目に言っても最高。
    初めて若林のエッセイを読んだけど、本を普段から読むだけあってとても文体がまとまっていて読みやすかった。
    ただのエッセイかと思いきや、若林を通して今の日本の在り方や自分の日常を考えさせられる。
    最後は涙を堪えるのに必死だった。
    灰色の街に住んでいるからこそ色をとり戻すために旅に出て、そしてちょっぴりこの日本人であることを誇りに感じて帰ってくる。
    旅っていいなぁ…
    とても充実した読者体験だった。

  • 若林さんと一緒にキューバを旅行している感覚に。キューバ旅行を行くきっかけになったエピソードに人柄の良さを感じました。

  • お笑い芸人のオードリー若林氏の旅行記というスタイル。
    行き先がなぜキューバなのだろうと思っていたが、最後にナットク。
    社会主義の国に生きるというのはどのような感じなのか、想像も難しい。
    ただ、南国で音楽にあふれたキューバなら、何とかなりそうな気がする。
    ゲバラやカストロについて興味がわいてきた。

  • キューバと言われて真っ先に思い出すのは、何年か前に流行ったブエナビスタソシアルクラブの音楽です。
    ゆったりとしたリズム、哀愁漂うメロディー。若林さんはこの癒しを感じに行ったのかなと思ったら…いろいろな理由があったようです。
    ***
    以下、名言集
    「先生、知ることは動揺を鎮めるね!」「若林さん、学ぶことの意味はほとんどそれです」

    「明日死ぬとしたら、生き方が変わるのですか?あなたの今の生き方はどれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」(ゲバラ氏)

    元々人間は競争したい生き物なのかも知れない。

    ***
    あと
    社会主義はコネが物をいい、
    資本主義はカネが物をいう
    みたいなのも。

    ちなみに若林さん、ラストはずるいです!

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著者プロフィール

1978年9月20日生まれ。テレビ朝日『しくじり先生 俺みたいになるな!!』、日本テレビ『スクール革命!』、NHK『マサカメTV』、ニッポン放送『オードリーのオールナイトニッポン』等テレビ、ラジオで活躍中。ダ・ヴィンチの好評連載を単行本化した『社会人大学人見知り学部卒業見込』を2013年に刊行。

「2017年 『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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