冬の巨人 (富士見L文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/富士見書房
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本棚登録 : 135
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040702438

作品紹介・あらすじ

千年にわたり永遠の雪原をただ歩き続ける巨人。人間の世界のすべては、巨人の背にあった。彼はどこに向かっているのか、少年は答えを求めるが……。傑作ファンタジー、著者全面加筆のうえ完全版として復刊!

感想・レビュー・書評

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  • 厚い雲に覆われた極寒の地を千年にわたって歩き続ける、鉱物質の体を持つ巨人ミールの背の上で、その体熱を動力として人々は都市を築き、生きている。
    ミールの研究を続ける変わり者教授の助手、オーリャは、雲の上でひとりの少女に出会った。


    古橋秀之さん、初読。
    閉じられた世界から、新たな世界へ…という物語を、一時間で読み終えてしまう分量で…とにかく何もかもが、うす味。

    【ファンタジー史に残る傑作】は、さすがに言いすぎでは…

  • 厚い雲と雪に覆われた世界を歩む巨人の背に作られた都市。空で出会った謎の少女。世界の終焉がやってくる。
    特異な設定が死と再生の物語を彩り、物語を構成する要素がギュギュッと詰まって大満足な面白さ。ラストの美しさも至極で、単巻ものの魅力を堪能できます。

  • 歩く巨人の背中に都市があって人々が住んでいる。その巨人は永遠の大雪原を歩き続ける・・・。設定は面白いし、とても興味をそそるものだが、如何せん内容が薄い。主人公のオーリャも中途半端な性格で好きになれないし、レーナも一体何だったのか分からない。生まれ変わった巨人の歩いたあとに花が咲いて草木が生い茂るって、水前寺清子の歌かって突っ込みたくなるラスト。

  • ミールと呼ばれる巨人の上に住む人々の物語。
    外市街に住む主人公のオーリャは初めての調査行から帰ってくると、とある才能から新たな調査行の担当に選ばれた。その調査行での出会いをきっかけにミールでの生活が大きく変化していく…というお話。

    この薄さで世界観や設定が、非常にしっかりしていて良い意味で驚いた。

    ページ数が少ないが故の終盤の怒涛の畳み掛けがあるものの、前半のモノクロな世界が色鮮やかに変化していく最後の展開は情景が目に浮かぶようでよかった。

    ワンダと巨像というゲームをやったことがある方は、情景描写がしやすいのではないだろうか。
    設定こそ異なるが、広大な世界というより、矮小な自分たちの世界と初めて見る圧倒的スケールの巨人といった世界観はどちらもファンタジー好きにはたまらない情景である。

    これはこれで完結しているので文句があるわけではないが、後日談や前日談、本編のもっと詳細な描写など膨らませる余地は多分にあると思う。
    明かされていない設定などがかなりあるだろうから、続編に期待したい。

    個人的には登場人物の名前が大変覚えにくかった。日本人が命名したわりにはかなり読みにくい名前だと思う。

  • この薄さでちゃんとファンタジーできているのがスゴい。世界観や設定も違和感無く頭に入ってきたし、アニメやゲームにしてもハマりそう。読んでいると、美しくも儚いイメージが浮かんでくる。
    ストーリーも良かったけど、ラストがトントン拍子に進みすぎて物足りなかった。そこに至るまでが良かっただけに余計…。レーナのことも、もう少し詳しく説明してほしかったかな。全てを明らかにする必要はないと思うけど、どうもスッキリしない…

  • 雪の降る寒い日に読み終わりました。とても好きな世界です。
    雪原を歩く巨人の背中に作られた都市に住む人々の話…登場人物たちも真摯で好きです。
    ここが世界の果てか、と思います。千年の歩みを止めて崩壊した巨人と、住んでいた人々のこれからが気になりますが、ここで終わるのが良いのかもしれません。
    寒い日にぴったりな本でした。

  • 情景描写はとても綺麗だった。
    富裕層とそれ以外の層の隔離、終末党にミール信仰、巨人というワードのせいか進撃の巨人を連想してしまった。
    こんなに素敵な設定があるのだから、この世界観でもっと読みたかった。
    なぜ巨人が歩いていたのかや、レーナの正体について扱ってほしかった。
    最後は、ご都合主義がすぎるのではないか。
    オーリャはカメラアイでも持っているのか。
    教授の言う巨人の目、外からの目というのは、私たちにも必要なものだと思う。

  • 雪原を歩く巨人の中に住んでいる人々。
    老いた巨人は、一体どこへ、何をするため歩くのか。

    童話が少々難しくなった、という感じでした。
    下っ端、権力者、その子供、反対勢力。
    想像できるような話の流れでしたが
    色々謎が残ってしまったような。
    とりあえず、読んでいて時間の単位が
    歩数と時間の二種類あるのは分かりました。

    彼女は一体何だったのか。
    彼はどうして彼女を奪ったのか。
    知りたいけれど、知らなくても話としては
    何の問題もありません。

  • クラシックのように美しく素朴なファンタジーだなあ。
    ずっと静かに流れている破滅の予感と、瞬く間にすべてを眩く照らし出す太陽の光。

  • 世界観と初盤から中盤にかけての物語は良いが、いかんせん終盤が唐突。覚悟もなしもなしに、主人公がやっと英知に小指の先が触れるか触れないかというところでミールが止まるので、急展開に感じる。レーナの存在が唐突。いや、唐突なのはいいんだけど、触れ合う時間もほとんどないままにミール停止と次の展開に進んでしまう。結局レーナは何者だったのか。ミールとは何だったのか。謎が何も解明されず世界は破壊され再生された。もっと市井の人々、ミールで生活する人々の生活をしっかり描いてくれたら面白いものになったろうに。これがライトノベルの限界か。

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著者プロフィール

第2回電撃ゲーム小説大賞<大賞>受賞。『ブラックロッド』(電撃文庫)でデビュー。著書多数。

「2017年 『ある日、爆弾がおちてきて 【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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