ライブダンジョン! 支援回復のススメ (カドカワBOOKS)
- KADOKAWA (2016年12月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040721309
作品紹介・あらすじ
とあるMMORPGに似た世界に来たゲーマー・努。転移時に引き継いだレアアイテムの売却で当座の生活は安泰だが、ある時、ゲームでやり込んだ白魔道士プレイが異世界ではチート技能になると気づき……!
感想・レビュー・書評
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MMORPGの「ライブダンジョン!」にはまり、人が少なくなってから1人で5台操作しソロ攻略に挑む。
攻略成功したと思ったら神様特典で同じような世界観の異世界へ転移した。
レベル1のヒーラーからの出発だったが、京谷努はタンク役のガルム、アタッカー役のエイミーとともにその世界ではまだ確立されてなかったパーティプレイであっという間に49階層まで到達する。
エイミー、ガルム共に突破できずトラウマになっていた50階層のシェルクラブを倒すことができ、より絆が深まる三人。だが、新聞の取材で悪意ある記事をかかれ怒ったエイミーは新聞社に乗り込み自警団に捕まり、ツトムとガルムもギルド長から呼び出される。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本作はネトゲに迷い込む類の、割合本格的にネトゲネタを扱った物語である。
タイトルからもわかるが、本作で特徴的なのは主人公らを含むダンジョン攻略者らの冒険する様がライブ中継される設定だろう。街中の大画面で中継される様を、街の人々が娯楽として見物するのだ。
それゆえにダンジョン攻略者にはスポンサーが付く場合もあるし、最深部を進む上位のパーティには新聞社からのインタビューなどで金が落ちる。そのお金でパーティは補強を行い、その探検する様を一般人が見物して金を落とす、と金の回りを設定しているところなどは秀逸なところである。
そうしたよく形成された世界観に、ネトゲ廃人であった主人公が混ざることで社会全体に影響が及んでいく様を描く本作は、かなり規模の大きな作品である。
その一方で、人間ドラマにおいても見るべき部分が多い。すでに攻略者を引退している猫耳少女と犬耳騎士を連れてダンジョンに潜るこの巻でも、彼らが攻略者を引退するに至ったドラマに触れ、そのドラマをベースにここでの攻略が展開されている。そこで描かれる心理描写なども達者なものである。
本作はネット小説からの書籍化であるが、加筆も大きく、全体もよくシェイプされていて一冊の本としてよく完成されている。
ネット小説の書籍化として考えるならば、特に成功している一冊だろう。星五つで評価している。