- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040723570
作品紹介・あらすじ
中堅出版社の文芸編集・滝川詠見は、年単位で原稿が上がらないベテラン作家・六道先生の担当をすることに。さっそく六道のもとへ挨拶(と催促)に向かうのだが、そこで彼が怪奇を喰らって創作をする妖怪だと知り!?
感想・レビュー・書評
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セクハラの作家を殴って戦々恐々の編集者・滝川詠見は、デスクに呼ばれて、異動と思いきや、40年書き続けている謎の作家の担当になるよう言われて驚く。昭和の香りに満ちた一軒家に住む六道琮馬は、実は土地の過去の記憶に絡めとられた人々の思いが形となったモノノケを糧とする妖怪だったのだ。そのモノノケの思いを小説という形にしていたのだが、本人は、自分は空っぽという。そんな六道に働きかける滝川の奮闘が健気な短編集。結構面白かった。
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妖怪×編集者のラノベ連作短編集。
文芸編集者の詠美はベテラン作家の六道先生を担当することになり、訪ねて行ったところ彼が妖怪だと知ってしまう。その正体や創作の秘密に疑問を持ちながらも、原稿をもらうために彼と親交を深めていくのだが‥
詠美がかなり冷静に妖怪という現実を受け止めるのがシュールな気はするが、作家や編集者の使命や気概といったものが伝わってくる話で面白かった。”池袋の女”は個人的に気に入っている怪異なので登場して嬉しい。 -
うーん、とりあえず続きも読んでみようかな
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諸事情でベテラン作家の担当になった主人公。
しかし出向いていっても、出てくるのは若い男性だけ。
先生は!? と頑張る主人公もすごいですが
『先生』たる彼もすごいです。
そういう方法で話を書いていたのか、と気づきましたが
主人公、結構気が付いてないです。
これはこれで編集者としては素晴らしい。
原稿さえもらえれば~という感じ満々です(笑)
しかしまったく先生の正体がわからないわけですが
最後の最後には、当然のように出てきます。
これがまた、そういうのもいたな、という感じで。
あの存在、それだけのために作られたらしいですが
小説家も人を楽しませるだけに生まれた、な存在ですし
似たようなものじゃないでしょうか?
とりあえず、無駄にプライドが高くて
面倒そうな男は滅べばいいと思います。 -
「姿見ずの橋」
担当した作家に会えず。
流石に手を上げてしまったのは問題かもしれないが、異性に対しセクハラを常時働いていた者を大手の作家だからと放置する上司もどうなのだろう。
彼が物語を書く活力は、力の使い方を間違え人に害を与える物ノ怪を食べる事により得れるのかもしれないな。
「こんな晩」
恨みを晴らすために。
本人に憑いてもメリットがない事ぐらい分かっていたからこそ、彼の子供に憑き毎晩恨みを晴らす為に苦しい思いをさせていたのだろうな。
経営者とは苦労の絶えない役柄ではあるが、彼の様な元締の下で働く事だけは絶対に避けたいな。
「池袋の女」
望む仕事をするため。
自分のやりたい事を行う為に何かしらの犠牲を払う事はあるかもしれないが、彼女の場合は甘い蜜に寄せられただけであり自らを売っただけでは。
彼の様な売り出し方もあるのかもしれないが、作家に望まれているのは作品なのだから容姿は別ではないだろうか。
「夜毎の亡妻」
彼の本来の姿を知る。
結果的に相手の幸せを奪った形になったのかもしれないが、彼が喰らわなければ悪化の道を辿り死人が出ていたのではと思うと全てを否定出来ないよな。
無意識に書いていたのかもしれないが、彼は自分の喰った者たちの想いをこの世に残したかったのでは。
「黒坊主」
正体を知ってもなお。
先輩たちのアドバイス通り彼と関わってきてから執筆された物語を読んでいたからこそ、あの場で妖になった彼を人間の姿に戻す事が出来たのだろうな。
自信には創作の力は無いというが、喰った物ノ怪の事を自らの手で物語にしている時点で十分だと思うけれどな。 -
滝川さんの筋が通ったところが素敵です。
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物ノ気を食べれば小説が書けるという六道先生。不気味ではあるけど編集者は楽なのでは?