彼女が好きなものはホモであって僕ではない

著者 :
  • KADOKAWA
4.20
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本棚登録 : 507
感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040725130

作品紹介・あらすじ

同性愛者であることを隠して日々を過ごす男子高校生・安藤純は、同級生の女子・三浦紗枝がいわゆる腐女子であることを知り、彼女と急接近する。
異性を愛し、子を成し、家庭を築きたい。
世間が「ふつう」と呼ぶ幸せを手に入れたい。
少年の切実な願いと少女の純粋な想いが交わるとき、そこに生まれるものは――

世間の「ふつう」と、自分の本当にほしいものの差に悩んだことがある全ての人に送る、切なくも暖かい青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 最初のページで笑ってしまいそうゆう感じの小説かな〜と読み進めてみると、今度は生々しい描写が出てきたり。そうかと思えば青春小説の要素もあり。どんな小説かと聞かれると説明しにくい。ただ、面白い小説と言う事ははっきり言える。ゲイ(作中ではホモと言う事が多い)の高校生が主人公。主人公も彼を取り巻く登場人物達もみんな魅力的でした。結構重くて心がかなり痛くなる場面もあるけれど、最後まで読んで良かったなと思える小説です。

  • 読む前はもっと軽いものだと思っていた。
    でも、軽いわけがないのだった。
    自分が何者なのか、自分が愛するものやことを自由に自分に認められるかどうか、それは生きるとか死ぬとかそういう問題なのだ。
    それは私にとってもそうなのだ。
    でもそんな風に思ったことはなかった。
    それは、私が世の中で当たり前にされてるものに馴染める人間だったから、たまたま。

    異性を好きになる人が同性を好きになる人の目線を体感することができる本である、でも、もしかしたら、異性を好きになる人だって、そのことが自分が何者なのかということと密接に関わってることを感じれば、同性を好きになる人を自分と違う人と区別することもなくなっていくのではないかと思った。
    そのことを教えてくれる本だった気がする。
    何が好きかということは、性愛に関わることだけじゃなくて、もっと広い意味で、それは自分を自分と知る大切なもので、誰にも人のそれを否定したり奪ったりできるものじゃない。
    マコトさんの最後の告白にあったことは、傷つく人がいるから、ストレートに行動に出せないけれど、自分のことを受け止め知っていれば、傷つける選択はしないでいられるのだなと思う。
    でもここは、難しい。ここで簡単にこうだ!と書けないデリケートさがあるな…

  • 亮平いい奴。

    序盤、こんな刺激的な本が人気あるのかと思ったけど、深かった。勉強になった。

  • 本を読みながら声を出して泣いたのは久しぶりだ。
    主人公の純くんは男子高校生で、ゲイで、悩みや葛藤の真っ只中にいる。
    それがとてもリアルに切実に描かれていて、心をえぐられた。
    飄々とやり過ごしているようで、いつも傷ついていた純くん。サエちゃんのことが本当に好きだけど、マコトさんに抱いている恋心とは違うこと。将来的には『普通に』家庭を持つ幸せを自分も欲しいという純くん。ゲイとバレる前、バレた後の周りの反応。

    『泣かないで。僕は、ちゃんと君が好きなんだ。君が嬉しいなら僕は嬉しい。君が悲しいなら僕は悲しい。ただちんぽこが、ちんぽこがどうしても勃ってくれない。本当にたったそれだけの、単純で、どうしようもない話なんだ。』
    ここが本当に苦しかった。こんなにもちゃんとサエちゃんのことが好きだと、一度も言葉にして伝えていないのがもどかしかった。最終的には伝わっていたようだけど。

    インターネット上のゲイ友達ミスター・ファーレンハイトが自殺してしまったことも大きかった。彼の両親が息子を受け入れられなかったことも辛い。

    だけど純くんは友達と彼女に恵まれて、ひとつ踏ん切りをつけた。前向きに諦めて、自分自身を受け入れたんだと思う。自分を試したいと言うほど強くなった。
    だからきっと、最後の自己紹介は『おもろいやつ』を選んだと思う。

    現実はこんなにもすべてがうまくまとまってきれいに終わるなんてありえない、所詮フィクションだな、と思わなくもないけど、私はハッピーエンドが好きだ。

    最後に、章のタイトルになっているQUEENの曲を聞きながらもう一度読みたい。

  • NHKで放送された『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』の原作本。

    ドラマの方を先に見たが改めて本作を読むと、ドラマが原作に沿って忠実に丁寧に描かれていた事に感動する。

    中年男性のパートナーがいる同性愛者の男子高校生・安藤純が主人公。

    男性を愛する純だが異性を愛し、子を成し、家庭を築きたい気持ちもある。

    読みながら「普通」の意味をずっと考えさせられる。

    100%同じ人間なんて存在しないし、他人から見れば些細な事でも当人にとっては凄く大きな問題だったりする。

    自分と異なる「普通」だって、それを受け入れる事の出来る自分で有りたいと強く思いながら読了。

  • 中学生高校生に読んでほしい

  • みんなに読んで欲しい作品だと思った

    人物の心情もすっと入ってくるし、感情移入して泣いてしまった
    結構分厚かったけどあっという間に読み終わった
    ミスターファーレンハイトの言葉は心に刺さる物が多かった
    普通とはなんなのか、自分は空気抵抗を無視し、摩擦をゼロにしてしまっていないか、と考えるきっかけにもなった。
    ちょくちょくQUEENの話を挟んでくるのもまた面白かった。色んな曲が作中に出てくるけど、リストアップしておいて後から聴くのオススメです
    私のお気に入りはdont stop me now

    最後の自己紹介の後はどうなったのかすごく気になる!

    そして、人を愛する形は様々だと改めてわかった

    • らさん
      あと、三浦さんの「神様は腐女子説」すき
      あと、三浦さんの「神様は腐女子説」すき
      2021/03/31
  • ドラマにハマって、再放送されたときも全話かかさず見て、それから原作を読みました。
    めちゃくちゃ心がえぐられる。
    同性愛に悩む純くんの気持ちに共感する。「普通」になりたいと願う、切実でひりひりする感情。
    あと、純粋に恋してしまう腐女子のさえちゃんがいい子すぎて。
    「僕ら、百を望んで十返ってこればいいほうだから」。名言だなあ。

    原作は思ったよりも生々しい表現が多かった。
    ドラマのあの、行間を読ませる感じが好みだな。
    あと配役や演出がとてもよかった。

    同性愛者でなくても、腐女子でなくても
    共感できる作品。きっと得るものがある。

  • いやーないたーー。

    ゲイを隠して生きているジュンとそんな彼に恋をしてしまった腐女子の三浦サエの物語。
    途中で現れる、ジュンのチャット仲間ミスター・ファーレンハイトに泣かされた。この人物の生き方に泣かされる。

    あとジュンの幼馴染の高岡もいいキャラだ。ジュンを一度は貶めた小野も最後には憎めなくなってくる(ここのシーンで今まで語られていたQUEENの話が活きた)

    地味に伏線回収したりするし読後感もよかった。ジュンのこれからの物語に期待したい。

  • NHKでドラマ化されて知った本で、ドラマを最後まで見てから本を手に取りました。
    LGBTについてすごく考えさせられました。
    漠然としか知らなかった事をもう少し詳しく知ることが出来たような気がします。
    泣かなかったけれど、胸が痛くなるくらい切ないなぁ・・・と感じました。
    最後、読者のご想像におまかせします、みたいな感じが読んだあとも色々考える事が出来てよかったと思います。

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著者プロフィール

小説投稿サイト「カクヨム」に2016年10月より『彼女が好きなのはホモであって僕ではない』を投稿開始。2018年同作で書籍デビュー。同作は2019年に『腐女子、うっかりゲイに告る。』のタイトルでドラマ化され、話題となる。他著作に『御徒町カグヤナイツ』(KADOKAWA)、『今夜、もし僕が死ななければ』(新潮社)、『#塚森祐太がログアウトしたら』(幻冬舎)などがある。

「2023年 『100日後に別れる僕と彼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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