勇者、辞めます2 ~次の職場は魔王城~ (カドカワBOOKS)
- KADOKAWA (2018年5月10日発売)
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感想 : 2件
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784040727172
作品紹介・あらすじ
勇者を辞め、魔王軍の仲間となった引退勇者レオ。助けると誓った魔王エキドナの故郷・魔界へと乗り込もうとするのだが、その前に片づけなければならない問題は山積みだった! ボロボロ魔王軍復興ファンタジー第2弾
感想・レビュー・書評
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勇者が魔王軍に入ったら。1巻でなにかとありましたが、なんとか魔王エキドナにも認められた元勇者。かつての仲間、デモンハートシリーズの一体が復活し・・・
いい感じにおれつえーもありますが、戦闘は結構あっさりしています。ノリが良いのでサクサク読めるのがいいところですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すべてをまとめきったな、ならば処女作に続け。
『勇者、辞めます ~次の職場は魔王城~』は作者クオンタムさんにとって、紛れもなくすべてをまとめきった処女作であり、傑作であったと思います。
「勇者と魔王」という王道に、いろんな奇想を加えつつ結局はこれから――というハッピーエンドに帰ってきて最高の満足感がありました。
なので、続巻が出たこと自体驚きつつも、実はもう続きはいいよね、とか思ったりもしたのですが。
その考えいささか早計であったと言わざるを得ません。
ぶっちゃけ、そして幸せになりましたとかいう漠然とした未来予想図は消え去りました。
「魔界と人間界の融和」という大目的に向かって勇者と魔王と四天王が邁進します。
後述するもうひとつの目的も見えたことで、絶妙にほろ苦さが隠されたロードマップが早くも見えてきました。
ちなみに今回はシュティーナがメインの「エロトラップダンジョン(!)」編、エドヴァルド、リリがメインの「ドラゴンステーキ」編、の中エピソードをメインエピソードが包括する構図になっています。
にも関わらず、全員に見せ場が用意されているのは流石の一言。
クライマックスに向けて四天王たちが見せた活躍は、彼ら彼女らのできることをすべて堪能させていただきました、といった感です。ここだけでも満足できました。
勇者レオ、万能である彼が主人公たるゆえんは、世界という重荷を仲間と分け合うことになったため。
そして、彼が主人公でなくてはいけない理由はもう一つ。
扉絵を開いた瞬間に、察しの良い方なら今後のストーリーラインを描けると思います。
勇者レオと魂を同格とし、黄道十二宮をテーマとする、それぞれが特化した能力を有した人類のための人造救世主「デモン・ハート・シリーズ」。
すなわち。
先に自分自身と向き合い独りでいることをやめた彼が、それでも一対一を譲れない相手、きょうだいたちとの再会、それから……激突、です。
その一番手は【DH-06】ヴァルゴ。
勇者レオへの復仇に燃えるシュティーナの弟子「カナン」の懐中に収まりながらも往時の勢いを失わず、有り余る我に任せて望みを果たすべく、自らの力でシナリオを構築します。
最初にツッコんでおきますと。
なんで処女宮/おとめ座モチーフがチンピラ風のツンデレステゴログラップラーやねん!
と、思いましたが能力の「超再生」を考えると納得しました。まっさらな状態に戻るなら、なるほどねえ、と。
次いで回復能力をよくこうも多様に応用できたなと思いました。
加えて単一のテーマに則った戦いの組み立て方と、性格、趣向が見事に合致していて、凄まじく完成度が高いキャラになっています。
言動は粗野でも芯は通っている上に、クレバーでした。
彼の活躍する過去編では、無茶苦茶さと快刀乱麻を併せ持った本物の「英雄」を見せてもらった気がします。
頭はいいんだけどアホすぎる当時の敵にも笑いが漏れましたよ。
事実、この巻の印象の八割くらいは彼に持っていかれましたもの。好きですよ。
デモン・ハート・シリーズの設定はあれだけで終わるのはもったいないと思っていただけに、嬉しい意味で意表を突かれました。
そして一番言いたいのがハッピーエンドへの持って行き方! 星五つ評価の決定打はここに他なりません。
勇者としての生き方と、魔王としての振る舞い方、これらが「色々あったけど一件落着!」って言い切れるほどの、多少のご都合主義を笑い飛ばせる力強さを生んだんだと思うと、確かにこの小説は「勇者と魔王」なんですよね。
また、一巻時点で指摘した人間界サイドの薄さ(一巻でまとめる上では些事ですが)も、年若く未熟な少年視点を加えることで、多重的な価値観を生んでいるなと思いました。
さりげなく一巻時点でのモブキャラに名前を付けているのにもおっとなりました。
完成したメインキャラの裏で次代のサブキャラを育てている、長期シリーズの布石と感じて嬉しくなりました。
幹部たちの意識改革が済んだ後は、これからという新人にも目を向けているのかもしれませんね。
三千年前がファンタジーの風俗や文化に密接に影響を与えていたのも、魔法詠唱のセンスの良さも、地味に好きなポイントだったりします。
ここまで書いて、本当に見どころがたくさんな『ゆうやめ(略称)』。
獣将軍リリの可愛さについて書く機会をまた逸してしまったようですが、好機がまた巡ってくることを祈って、今回のレビューを終えることにいたします。
間違いなく処女作に続く作品でした。
著者プロフィール
クオンタムの作品
