蜘蛛ですが、なにか? 9 (カドカワBOOKS)

著者 :
制作 : 輝竜 司 
  • KADOKAWA
4.20
  • (3)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 28
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040727929

作品紹介・あらすじ

魔族領に腰を据え、ひょんなことから完全復活した「私」。神化した転移能力ならどこにでも行けると言われ、ひらめいた。「私」を勝手に蜘蛛にしやがってくれた世界の管理者、「D」にも会いに行けるんじゃ……!?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 白ちゃんふっかーつ!!二年の非力期間が終了。

    魔族領に到着。魔族の皆さんって苦労してるのね。
    鬼君やっと正気に…。

    蜘蛛子こと白ちゃんの正体明らかに。

  • 舞台裏の地獄というものに魅せられました。

    五巻から続いた主人公一行の長旅も目的地となる魔族領への到着で一段落、前巻から引っ張った「鬼」編も当人の贖罪を置いとけば完全決着、と中目的、小目的共に完遂した節目となる巻です。
    当座を乗り切るにあたって必要になる神の力も限定的ながら使えるようになるなど、八巻とは打って変わり主人公にとっては躍進の巻といったところでしょうか。

    そして。
    作中にちょくちょく口を挟みつつも、姿を見せずに一等席で観劇していた「D」と主人公が遂に初対面、「ここまで来たか……」となる、作品全体のターニングポイントとなる巻でもあります。

    もし、後付けだとしてもこの上ないタイトル回収に震えてください。正直、私自身、このネタバレを事前に踏んでいなければこの作品世界に飛び込んでいなかったと思うほどの衝撃でしたもの。
    人型になったところで、この『蜘蛛ですが、なにか?』というタイトルは揺るがない。それほどに魂が揺るがされましたもの。

    挿絵で初お披露目となるのは、以前の巻でその考えが語られつつも、今になって作品全体を俯瞰してみれば、ああこれ顔見せ程度だったんだなーって思わせる、アーグナーたち魔族の重鎮。

    そして、「D」。これは神だ。神としか言いようがないと否が応でも輝竜司先生の画力で理解させられました。
    絵の力をもって、薄々感づいていた読者も悟ったことでしょう。紛れもなくこれが種明かしだと。

    直後。
    相変わらず本人の口調と思考は軽いんだけど、この上なくシビアに主人公の「生まれてきた理由」が明かされます。

    ここに来て舞台装置に過ぎないと思っていた「D」が、真に、間近に迫ってきたという今までにない感覚に悶えています。心臓が高鳴りました。
    前もってWeb版で知っていた身としても、彼女の存在感は増しています。
    度々強調されている行動原理にせよ、全く印象が異なっているんですよ。

    不躾な感想になってしまうかもしれませんが、作者はよく逃げませんでしたね。読者としては修正に敬意を表したいところです。

    けれど、出生の秘密という主人公にとっての必須要素を知った後でも、彼女ブレませんでした。
    物語全体を牽引し、読者を魅了するのは彼女のそういった心の強さなのかもしれないと思いつつ。
    いや。思えば、一巻から明示されていました。姿形が変わろうといい意味で何も変わっていない、印象をリフレインさせつつ先に進んでいく、これがこの作品の複雑な点であると共に何物にも代えがたい美点なのでしょう。

    また、この巻では旅の仲間のひとり、吸血っ子ことソフィアも、良くも悪くも芯となる部分を確立しました。
    時間軸は五巻までの「S」視点には未だ追いついていませんが、ようやくつながるだけのピースが揃ってきたことと思います。
    S視点で転生前の面影がなかった転生者がいかに過酷な半生を歩んできたかに、しっかりと字数を割かれているので、逆に合流後のハードルが上ったとも言えますが。
    書籍化によってWeb版以上の物を送り出されてきた実績があり、アニメ化も発表された今、その辺の心配はもはや無用と考えております。

    それはそうと、六巻からほぼ新キャラとしてレギュラー化したシスターズとのサイレント劇な絡みはますます冴えを増し、緊張の糸が張り詰めている中、彼女らが空気を読まずにかき鳴らすような、独自のコメディがここに完成した気がします。

    非情な現実を前に消えていく命がある一方で、救いもありますし、鬱々とした八巻の流れをある程度引き継ぎつつも読後感はあまり悪くないです。

    一方で、水面下で陰謀を巡らせる宿敵ポティマスは踏み込んだ一手を繰り出し――と、以前の巻やWeb版で一応未来予想図は先読みできているハズなのに誰か欠けるかもしれないという不安感を煽る引きで〆です。

    正直、ここから先は先の展開を読み切れる自信がありません。
    わかるのは、舞台裏が地獄だったならここから歴史の表舞台に上がるなら、そう悪くはならないって能天気な気持ちくらいでしょうか?

    次は十巻、毎度驚かされているこの物語が更なる躍進を遂げることを、二重三重の意図で絡め取られている読者としては願うのみ、です。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

小説投稿サイト「小説家になろう」に2015年5月より『蜘蛛ですが、なにか?』を投稿開始。初投稿作品だったが一躍人気作になり、本作で書籍化デビュー。

「2018年 『蜘蛛ですが、なにか? 9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

蜘蛛ですが、なにか? 9 (カドカワBOOKS)のその他の作品

馬場翁の作品

ツイートする