週に一度クラスメイトを買う話 ~ふたりの時間、言い訳の五千円~ (1) (ファンタジア文庫)
- KADOKAWA (2023年2月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040748788
作品紹介・あらすじ
彼女――宮城は変だ。週に一回五千円で、私に命令する権利を買う。一緒にゲームしたり、お菓子を食べさせたり、気分次第で危ない命令も時々。秘密を共有し始めてもう半年経つけれど、彼女は「私たちは友達じゃない」なんて言う。ねぇ宮城、これが友情でないのなら、私たちはどういう関係なの?
あの人――仙台さんでなければいけない理由は、今も別にない。私のふとした思い付きに彼女が乗った、ただそれだけ。だから私は、どんな命令も拒まない彼女を今日も試す。……次の春、もし別のクラスになったとしても彼女はこの関係を続けてくれるだろうか。今は、それがちょっとだけ気がかりだ。
感想・レビュー・書評
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【読書メモ】
父親が不在がちで一人孤独な宮城と、姉が優秀すぎて家に居場所がない仙台がふとしたきっかけから二人だけの放課後をすごすことに……な百合コメ
孤独な宮城が家に居場所のない仙台をきまぐれで助けたことから始まる二人の関係
宮城は1回5000円で仙台を買う、といっても特別な感情はお互いなく頼み事を聞いてもらう程度で……
足を舐めてもらったり(でも足を噛まれる)、チョコを食べさせてもらったり(でも指を噛まれる)、料理中に切った指を舐めさせたり、ポテチぶちまけてサイダーぶっかけたり、キスマークを付けあったり、そしてキスしたり……
友人でもなく、恋人でもないあいまいな関係から近くなっていく二人
宮城はそのことに納得できず野良猫のようだったがなんとか慣れてきて?
二人のキスから何か関係が変わるのか、この共依存的肉体ははたして救いかそれとも破滅か
【以下再読のための備忘】
・「……この本、エロくない?」本の半分くらいベッドシーンじゃん。台詞も喘ぎ声とか、それに類似したものばっかりじゃん。
・「ーー煮干しの日」
・三年生になって仙台さんに足を舐めさせたあの日から、私はどこかおかしい。舌先から流れ込んできた仙台さんの体温が私の中に溜まったまま、消えずにいる。
・甘いとか、酸っぱいとか。カステラだとか。どんな味もしなかった。そもそも、最初から味がするほどのキスをしたら大変だ。私は宮城を見る。でも、目を合わせてくれない。もう一度したいと思う。宮城という人間をさっきよりも感じたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
標題通り、とある切っ掛けで高校2年の女子・宮城が、一回五千円で同級生女子の仙台さんを買うお話し。友達でも恋人でもない、かといって赤の他人でもない二人が”売買契約”のもとに交流を深めていくうちに、何となくお互いがお互いの居場所になっていく。そんな二人の様子が淡々と綴られていく様子が、実に美しく心に突き刺さります。名前の付けられない関係の彼女たちが最後に行った行為は、二人のあり方を変えていくに違いない。二人がこらからどんな関係になっていくのか。続きを楽しみにしています。